「リー、挨拶」
「ぶるぅーん!んだ!」
ペコリと頭を下げて山賊に目を向ける。
エースから教えてもらったと言うか一方的に話しかけられたんだが、この家は山賊のものらしい。そして私たちは居候としているのだとか。
「か、かわ……」
川?洗濯物じゃぶじゃぶして桃拾って来いってことですか?
そうなると生まれた子供に立場を取られて私は寝床を無くすのでは!?
それは困る!断固拒否!川には近ずかない!どうぞ海まで流れてどんぶらこどんぶらこしてください!
あ、キジは美味しく頂きます。
まあ冗談はさておき、みんな私のベビートラップでメロメロになったようだ。前世持ち舐めるなよ。
「ふん、随分と懐いてるようだねエース、あんたがそいつの面倒見な。あたしらは餓鬼の世話するほど暇じゃないんだ」
「毎日酒飲んでる奴がよく言うよな…」
ぼそっと呟かれた言葉を捉えたのは一番近くにいる私だけだった。
立つこともままならない私は軽々とつまみあげられる。 だから抱えろ。抱けとは言わないから。
首がしまる。
「リー、外行こう」
「んぶぅ!」
嫌です。夜の森は危ないです。
「やんちゃな子になりそうだね、まためんどくさい…エース!その子寄越しな!風呂に入れてやったりしないといけないだろ!」
「さっき面倒みなっつったのだれだよ!!」
「いいから寄越しな糞ガキ!」
ひったくられる身体。おまえら人の身体をなんだと思ってるんだちくしょう。
「ぶーー!!あだ!だだだ!んゆっ!」
くそ、欠陥だらけの微妙なスキルどうにかして下さい!喋らせろ!意思疎通ってとっても大事ね!
聞き取り出来て話せないって面倒くさすぎる…せめて聞き取りもできないとか喋ることもできるとか、ちゃんと統一して欲しかった。贅沢言うなってか?
「餓鬼はさっさと食って寝る!ほら、どっかいきな」
しっしっと厄介者を払うように手を動かす女の…たしかそう、ダダン。
ダダンは湯の張ったタライを取り出して優しい手つきで私の頭を撫でるとお風呂に入れてくれた。
子供だからいいけど結構恥ずかしい気もしなくもないっていうか女の身体ジロジロみるなよテメェら。
ある種の羞恥ぷれいかな、堕天使を殺そう計画始めます。
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湯冷ましついでに魔法らしきものの練習をしようとエースと並んで玄関前の岩に座る。森に入らないだけマシ。良かった、ホント良かった。
と言うかエースくん悪い子ね、寝なかったのね。夜更かしは美容と成長の大敵ですよ。
ふと頬をつねってみる。
痛い…じゃなくてすっごいプニプニ…。
この肌をどこまで維持できるかが女の見せどころ、と言いたいけどとてつもなく面倒。ほっといてもいいかな…まだ子供だし。ほら、小じわが目立てばすりゃいいんですよ。多分。
今日半日周りや人やらを観察してみて魔法らしきものが登場しなかった。
もしかしてイレギュラー要素?私の目標目指せ平凡人生!なんですけど。
田舎でゆったりのんびりダラダラライフは今現状一番近いんじゃないですか?
ただ田舎すぎて森の中だけど。海兵にさせるとか言う厄介なおじいさんいるけど。
私あの人に攫われたんだよ、ね?多分?お母さんみたいな人抵抗してたし。
意識失った後の事は分からないけど状況的にその可能性が高いかも。
待てよじゃあもしかしてこの山賊の人達って人攫いとか!?
うおう……頼むそんなことありませんように。
信じよう。そんなイレギュラーな能力と常識外れの設定で無いこと、信じようあのクソジジイを…………あ、ごめんやっぱ無理。
信じれないな、あんな初っ端から胡散臭いじいさんなんて。
初めの頃は信じていたが今となってはもう………。
冷たい風がゆっくり頬を撫でるよう吹く。
もしも仮に魔法らしきものがイレギュラーだった場合、知られるのはとても危険。だって利用し放題だもんね。
となると練習はストップ?
でもそれはそれで勿体ない気がする。せっかくだから使いたいし。
「…!」
いいこと思いついた。風だ。
風なら多少不自然にふいても見えないから分からない。練習の仕様がある。ただ、私も見えないっていうデメリットがあるけど、幸いここは森の中。狙った葉っぱや草に向かって風を起こせば目で確認できる。
ははーん、我ながらいいアイディア。
「……」
手に力を込めて全身の血液を循環させるみたいにぐわーって、ぐわーー!!
目指すはあの木の葉。1メートル先の葉を捉え、目を向ける。
「リー?」
不思議そうに声をかけるエースがいるけど集中力が大事だからガン無視。
怪訝そうな顔を見せるけど私は知ったこっちゃない。
ぐんぐん血液が廻って身体が少し熱くなる。風が涼しくて良かった。
それじゃあいってみようリィン選手!
ぐっと手に力を入れ、葉に向かって力を放射するように手を開いた。
動け、葉っぱ!
──プツン
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目が覚めると朝でした。
意識を失っちゃったのかな。
結果わかんねぇじゃん!!!馬鹿!!
誤字酷いのはご愛嬌(はーと)
頑張って誤字減らします