2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第207話 勘違いは後にならないと気付かない

 

 ボンボンと外で何かが爆発する音がする。

 大広間で雑魚を潰した海賊はなんだなんだとその音の出処を探った。

 

 シキは1人壇上に座り、王座から見下ろすように片付けられていく様を眺めていた。

 

「おいおい怪物。今テメェ撃たれたらろくなことにならねェ事くらい分かるだろ」

 

 後ろから黒ひげ海賊団の船長であるマーシャル・D・ティーチが拳銃を突きつけながら言う。

 

「ダフトグリーンが壊されたか。20年、あと1歩の所で、また()()に邪魔されるのか。なぁゴール・D・ロジャー。お前だろ、ここにあのクレイジーちゃん差し向けたのは」

 

 返ってくる筈の無い問いにティーチは訝しげに眉を顰めた。

 

「ハハ、っ! ジハハハハ! こんなに面白れェ展開はいつぶりだロジャー! あぁいいさ、テメェの生まれ故郷は諦めてやる!」

 

 大笑いをし始めたシキは天を仰ぎながら今は亡き強敵に宣言した。届くように、届くように。

 眠りに誘う声(レクイエム)を。

 

「ここには、テメェの遺品がわんさかあるんだろォ? そんなにクレイジーちゃんを、麦わら帽子の野郎を守りたいか! テメェの継承者をよォ! いいさ、東の代わりに、俺がテメェの守りたいもん全部壊してやる! ここにいる奴らも! テメェが後生大事にしてきた()()()の野郎もなァ!」

 

 グシャリと肉を断つ音が耳に入り込む。不快な音だ。壇上は真っ赤に染まり上がる。ぼたぼたと音が。ぼとりと何かが落ちる音が。

 

「ジハハハハッ! 俺ァ、インペルダウンを脱獄した唯一の男だぜェ、クレイジーちゃん」

 

 この場にリィンが居たらきっと言うだろう。

 『テメェの方がクレイジーだキャラ被り野郎』と。

 

 

 左の手首から先は切り落とされていた。

 両足を切り落として脱獄した20年前の様に、能力を封じる海楼石から逃れる為に。

 

 

 

 

 

 

「誰が1番クレイジーだってんだよイカレ野郎」

 

 馬鹿になりきれなかったティーチがボソリと呟いた。ラフィットは胃痛で死んだ。多分、リィンの分も彼が請け負っている。

 

 

 

 

 ==========

 

 

 

「うひゃー! タイミングクソほど悪いのにきたきた! 怪物さんこっち! 餌は沢山ぞー!」

「お前実は発狂してるな!?」

 

 わっはっはっ、と笑いながら走り続ける。チョッパー君に乗ったナミさんと横を並走するウソップさん。私は徐々に距離を広げていく。

 

「おいリィン、お前結構体力ヤバいんじゃ……」

「寒いは無理無茶無謀!」

「おいいいい!? ほんと、ほんとしっかりしてくれ!? なんで、お前今回ほんとどうした!?」

 

 体力は元々無い。長距離走より短距離走の方が得意なタイプなんですよ私ってやつは。

 

「奥の手ぞ……ありますよ……っ? ゲホゲホ! ぜー…最近出来るした」

 

 私はブレスレットの連なった紫の石を1粒取り外して握りしめた。うえっ、体力がきつい、嘔吐く。

 

 丁度ビビり三人衆と距離を離していたのでその場で進行方向を逆にして私は思いっきり振りかぶった。

 ピッチャー! 行っきまーす!

 

 箒で飛ぶ速度で石が放たれる。不思議色も当然使っているので速度は出た。

 

 先頭を突進していた赤い闘牛の様なイノシシの様な、謎の進化を遂げたクリーチャーにぶつかりその瞬間、石は爆ぜた。

 

「……リィンさんや」

「…………なにごとぞ?」

「……お前のその武器、何」

 

 ぼふん、という効果音を上げ、石は煙に変化。するとこちらに向かって来ていたクリーチャーはほぼ全て一瞬のうちに昏倒した。

 

 これは月組から貰った物だ。

 

 毒の威力も然る事ながら、強い衝撃が与えられた際の物質変化。そしてこれが一種類ではないという恐怖。

 

 

 私は息を吸って一言呟いた。

 

「……吐血、行きます」

「「おいおいおいおい!」」

 

 役職ツッコミと役職医者が同時にストップをかけたけど吐血は生理現象なので無理です。

 

 まず聞かせろ月組、この毒はどこで入手した。

 

 

 

 ==========

 

 

 

 

「なァ、ルフィ。エースって……お前の」

「──エースに手出しはさせねェ! 当然リーにもだ! シキ!」

 

 ルフィは拳を握りしめてそう言い放つ。威勢良く啖呵を切る超新星(ルーキー)の姿に、シキは笑みを深めた。

 

「テメェも()()()の知り合いか。まァそうだよなァ、その帽子、一目瞭然ってもんだ。赤髪の小僧から譲り受けただろ」

 

 ボタボタと垂れる血を気にせずシキは20年前に失った両足の代わりに付いてある刀で立ち上がった。

 イカれたやつだと誰もが顔を顰める。

 

 シキは能力を発動させメルヴィユを浮かび直していた。

 

 右手を握りしめ、開き、また握る。無くした左手の分のバランスを補うように身体を確認しているようにも見えた。

 

 戦闘態勢に移る全員。警戒心が強まる。

 

 ここでリィンが居たならば『準備の時間を与えるな!速攻で潰せ!』とぴゃーぴゃー喚……、必死に訴えただろう。

 

「ジハハハハ……。エースとは是非とも会ってみたかったが、仕方ねぇ。お前たちはこれから死ぬ運命だ」

 

 情報源として生かしておく、という手もあったがシキはそれを選ばない。もとより『エース』、海賊王関連の情報が手に入るとは思ってない上に浮遊島で下界より離れていたシキだ。期待自体してなかっただろう。

 

 だからこそ飛び込んできた情報源を切り捨てる躊躇は全く無い。

 

「1つ言わせろ! これは譲ってもらったんじゃなくて借りてるんだ! 俺はシャンクスに返す予定だ!」

「ツッコミ所はそこなんですか!? 沢山ある中で貴方は本当にそれでいいのですか!?」

 

 ラフィットの悲痛な叫びが場を支配した。

 その言葉を皮切りにシキに対し殴りかかったルフィ、指摘は全く聞いてない様でこっそり泣いた。

 

 前言撤回。支配どころか耳にすら入ってない様だ。

 ルフィの相手大変だよなという哀れみの視線を向ける者は、現在大広間にいる麦わらの一味の面子に居ない。

 

「うおりゃあ!」

 

 ルフィが殴り、シキはそれを右手で掴む。

 左手がない事は戦闘スタイルを変えなければならないという事。自由に使える右手を咄嗟に使ってしまったかと思われたが、シキは余裕そうな顔付きでルフィを軽々しく投げ返した。

 

 空中でバランスを取り直すルフィ。

 

 そして金獅子の彼に戦いを挑んだのはルフィだけではなく戦闘の狼煙が上がるのを待っていたティーチもであった。

 

「〝闇穴道(ブラックホール)〟」

 

 辺りに闇を広げ始める。黒ひげ海賊団は一同距離を離した。

 

「ッ、お前ら離れろ!」

 

 ルフィの慌てた指示。何かがヤバいと勘付いたその時、闇は急速に広がった。

 

 全てを飲み込む闇の力。

 

 飲み込まれかけたメリー号を伸びる腕でルフィが引き上げると、部屋にあった物は全てソコに引きずり込まれた。

 

 シキは当然能力により浮かんで闇を見下ろしている。

 無名だと思っていたがとんだ化け物が伏せていたもんだ、と。

 

 ティーチは続けざまに能力を使う。

 

「〝解放(リベレイション)〟ッ!」

 

 闇と共に、ソコから物が噴出する。原型が留めて居ない、圧縮された何か。

 それは間違いなくつい先程飲み込んだ大杯やらなにやらであった。

 

 恐らくそれ以前の物もあるのだろう。吹き出された物は量に比例しシキにぶち当たった。

 

「……アイテム、ボックス」

 

 ボソリとメリー号が呟く。

 見た事の、体験した事のある現象だった。

 

 それ故に動けなかったと言っても過言ではないのだ。

 

「…………〝ギア・2(セカンド)〟〝ゴムゴムのJET銃乱打(ガトリング)〟!」

 

 血流の促進により肌が赤く熱を持ったルフィの前方広範囲の攻撃。ゴムの反動を利用したソレはドドドドという大きな音を立てながら打ち出された。

 正しくガトリング。

 

 アーロンと対峙した時から使っているこの技は思い浮かんだ最初より重さも速さも精度も数もスタミナも段違い。

 

 数回外したにしろ、ルフィはちゃんと目標を殴った。

 

 

「いたたたたたた! おい待て麦わらテメェ!」

 

 ──シキとティーチの2人を。

 

「うるせェ! うちのメリーを危険な目に合わせただろ! それに、それにリーを1週間も取りやがって!」

 

 言い分は理解出来るが納得は出来ない。ティーチはリィンの事だとしか心当たりが無かったので『リー』について言い訳をした。

 

「いやあれはどっちかと言うとアレが転がり込んできていたんだが」

「あと俺お前嫌い!」

 

 エースが探している敵とだけあって嫌悪感は端から高い上に妹が頼った海賊であったことを知って大嫌い度100%だ。

 

 素直な言葉にティーチはピクピクと頬を引き攣らせた。

 

「うるせぇ!!!!!!!(クソデカボイス)」

「いや船長の方がうるさいです」

「だいたい4日しか居なかったわそっちの堕天使は! ッッカー! 俺ァ無理だわ! テメェら兄妹ホント色んな方向に虫唾が走るわ!」

「船長、ステイ、ステイですよ船長」

 

 ラフィットが死んだ目でツッコミを入れた。

 

 エースは悪魔の実阻止という意味で。ルフィは傍若無人のぶっ飛び頭脳という意味で。そしてリィンは弱虫であるのに探ろうと模索する生意気という意味で。

 それぞれが色んな方向にティーチを不快感へと誘う。コイツらが揃う姿を見たくないと心底思った。

 

 シキはそのやり取りをただ眺めている。

 

「んな外道に付き合ってられるほど俺も暇じゃねェんだよ! さっさと首取るかもしくは潜伏しておきたかったんだがなァ!」

「知るかそんなこと! リーが出す案に乗った時点で終わりなんだよバーーーカ!」

「テメェのクルーだろ!? 手綱握れ!」

「俺馬鹿だから難しいけどこれでもすっげー頑張ってんだよ!」

「──馬鹿なのは見りゃ分かる」

「──おう」

 

 突然トーンダウンした船長2人のテンションにラフィットはもうついていけなかった。

 

 シキはそのやり取りをただ眺めry

 

「そもそもお前! 黒ひげ! エースに何したんだこんにゃろ! リーもめちゃくちゃ怒ってたぞ!」

「うっせー! テメェにゃ関係ねェ話だ!」

 

 ビシリと指をさしてティーチを睨むルフィ。

 ラフィットは麦わらの一味のツッコミを期待したいが、全員のスルースキルが高すぎて怖い。なんでこんな頭のおかしいやり取りを無視出来るのだろうか。なぜ無視して他の敵を潰す作業に移れるのだろうか。

 

 シキはそのやり取りをry

 

「堕天使が怒ろうが俺にはどーでもいいんだよ! 俺に文句言う暇があんならその堕天使をどうにかしろ!」

「無理だ! リーの性格だけはどうにもなんねェ!」

「アイツどーッッせ! なんか企んでるぞ!?」

「そんなこと分かってんだよバカ! それが分かんねェから苦労してんだろアホ!」

 

 ただの口喧嘩に発展した船長2人。

 もうどうにでもなれと自暴自棄になり始めるラフィット。

 最早傍観しか出来ない黒ひげ海賊団。

 それを余裕で無視して雑魚を吹き飛ばし粗方片付かせた麦わらの一味古参。

 微妙な表情をして古参に習うフランキーとブルック。

 

 

 シキはry……

 

「──俺を蚊帳の外に出して話すんじゃねェよ!もうお前らが潰し合ってろくそ超新星(ルーキー)共!」

 

 流石に我慢の限界だったのか2人の間に浮いていていながらも総スルーされているシキが青筋を浮かび上がらせながら吠えた。

 

──ガチャン

 

「「「「あ。」」」」

「あ!」

「あっ」

「……あァ?」

 

 浮力を失ったシキが地面へと落ちる。視線を集めた、()()()()()()()()()()()()()シキの首には、海楼石の錠が掛けられていた。

 

 

 ……そんな事を思い浮かび、尚且つ実行出来る人物など1人しか居ない。

 

「お前……それは無いわ、それは無い。汚すぎる」

「鬼! 鬼畜! 卑怯! 外道!」

 

「黙るしろお前ら!」

 

 そこで一仕事終えた表情をしていたのは、我らが極悪非道の外道悪知恵鬼畜娘だった。

 

 

 

 ==========

 

 

 

 はい。私は過去の判断に後悔してました。反省してます。そして私はとっても偉い子なのでその反省を活かして最前を尽くそうとしてみました。……足に着けても足を切り落として脱獄したんだから気付けば良かった。なんで手首に着けたんだろう。

 

 ブーブー文句を言うルフィとティーチさん

 麦わらの一味は呆れた目で周囲と視線を合わせていたりしてるが、黒ひげ海賊団はドン引きだ。

 

 いや、黒ひげ海賊団よ。あんた達は白ひげさん裏切ったっていう悪い意味で実績あるんだから卑怯も汚いも己の武器でしょう。

 

「は!? これどうなってんだ!?」

「着けたところ切り落とすされるならば逆に切り落とせぬ所にするが良いのでは、と。鍵無いですし!」

「ひっでー。お前に人の心ってのは無いのかよ」

「めちゃくちゃあるですけど。喜怒哀楽全て完備ですぞ」

「ダウト」

 

 途中まではウソップさんだったが最後だけは被せ気味の勢いで喜怒哀楽初期装備のサンジ様がツッコミを入れた。

 

「にしてもリィンちゃん薬取りに行ったんじゃ……?」

「浮遊に気付くしますたので重要そうな場所に怪物送り込むしたあと速攻でこちらに来ますた。いや、爆発させるした後ですたので怪物だけはなんとかせねばと」

「あ、あー……そうか。それでか──」

 

 サンジ様は私の後ろを目にして、飛び込んで来た存在についてコメントした。

 

「──チョッパーが体力切れで死にそうなのは」

 

 

 イエス、餌になって貰いました。

 海楼石を着ける為に気配をギリギリまで消したけど、何かしら動揺すると気配は揺らぐからね。万が一大広間に怪物が来たら絶対動揺して揺らぐと思って。

 

 気配消すのは得意。消すのだけは。

 七武海(特にミホさん)から逃げ回るってこういう事だ。

 

「別に解説してもいいですけど、このままだと島、落ちるですよ?」

 

 私はコテンと首を傾げた。

 

 

「「「撤収〜ッ!」」」

 

 今度こそ浮かび直す事は無い。各々が船へと乗り込もうとした。

 

「あ、幹部あたりは縛るして下さい〜。能力者いるしたら海楼石をくっ付けるです。盗ん……壊れるした錠なれば可能でしょう!」

「はい!? お前更になんかするつもりなのか!?」

「追手の足を削ぐは重要でしょう?」

「言ってる場合か! ほら脱出するぞ! 最悪シキは追って来れないんだから」

 

 どんな場面でもツッコミをサボらないウソップさんは私の首根っこを捕まえて縛りかけの海賊はそのまま意識を落とした。

 うーん、まァ、最悪シキだけは動けないからいいか。

 

 鍵がない限り解錠出来ない海楼石。足首や手首のように切り落とすことは不可能。島が落ちるなら下は恐らく海。逃げ場のない島だ。

 うん、大丈夫だな。そうそうに錠を外せる技術を持った人間は居ないだろう。私はピッキングに見せかけた不思議色の覇気だし。

 

「それじゃあ黒ひげ海賊団! 4日お世話になるしました! くたばれ!」

「お前がくたばれ! 美味い店あったら開拓しとけリィン!」

「会えない事を祈るで〜〜す!」

 

 黒ひげ海賊団はとっとと逃げ出し始めた。

 逃げ足の速さは流石だ。

 

 ぶっちゃけごまごましてる時間は無い。

 

「お前ら、急げ!」

 

 フランキーさんの怒号に一味もそれぞれの足で動き出す。なんか、見たことない鳥がいるけどまァツッコミは後で入れよう。あれ、なんだろうホント。

 

 

 

 

 

 

 

 

 サウザンド・サニー号はまだ朝日の見えない空を行く。

 帆ではなく、帆で作ったパラシュートを広げて。

 

「でも、どうしよう。俺、シャオに薬取ってくるって言ったんだ」

「……。」

 

 1人、チョッパー君がすっきりしない顔で呟く。

 

 崩れていく浮遊島。あそこにあった唯一の村に住むシャオという女の子のお婆さんがダフトグリーンによってダフト病というのを発症しているらしい。

 そうだよなー、私が『村は犠牲になったのだ』とか思ったとしても麦わらの一味は拠点にさせて貰ってた所だもんなー。

 

 

 私はため息を吐いてアイテムボックスから色々探し始めた。

 

「リー?」

 

 ガラガラと色々な物が出てくる。

 あ、ヤバいやつ。これはしまっておいてっ、と。……これじゃない、あれでもない。うーん。しっくりくるものが無い。ちくしょう。

 

「……うわぁ、なんか色々物騒なやつが出てきてる」

「ウソップさん」

「はいッ! 物騒とか言ってすみません!」

「男部屋に飾るされたラグありますよね。それ、貸すして。あれで飛ぶ」

 

 箒が無い今、イメージ出来る物がないと飛べない。

 女狐の靴があれば月歩の様に空中を歩くイメージが出来るけど、それを出すのはあまりにも拙い。

 

「リィンちゃんコレ?」

「そう! それですサンジさん!」

 

 取ってきてくれたサンジ様からラグを受け取り、集中を重ねる。常にイメージするのは最強の自分、OK、多分行ける。

 

「これに風を集めるして飛んでくるです。体力、切れそうになるでしょうが村人くらい島ごと浮かせてやるですよッ!」

 

 風は実際必要無いけど建前として言っておく。

 チョッパー君からIQの薬が入った袋を奪い、ラグに飛び乗った。てれれれーん、魔法の絨毯イメージ〜!

 

 うん、まぁ箒と違ってイメージに慣れてないから不安定だろうけど、とりあえず麦わらの一味から距離を取れば女狐になれる。

 

「でも、リー!」

「シャボンディで合流ですルフィ。私ならそこに行く経験ぞあります。そのサオさんの」

「シャオ」

「──シャ、オ、さんのお婆さんとかに薬配るすればよろしきですね!」

 

 メルヴィユが浮遊力を失い崩れていく。

 能力者にとって奈落の底でもある海に、小さな島から徐々に墜落していく。

 

「……進化、ですか」

 

 そんな中、お飾りであった腕の羽根が進化したのか大きく広がり空を泳いでいた。

 

 ……病に犯された者は、どうだろうか。

 

 チョッパー君がその進化に対して微妙な顔をしているのが体力面での浮遊限界などだろう。

 

「多分箒より時間ぞかかるです。でもなんとかしてみます」

「……分かった。リーしか頼れないのは分かってる。不満なのは俺のわがままだ。シャボンディ諸島で会おう」

「あっ、リィン!」

「さらばです!」

 

 ナミさんが声をかけてきたのでそれを遮る様に飛び立った。いや、だってあの人怖いじゃん。演技だとしても甘えたから後々が死ぬほど怖かったんだよ。

 

 

 

 

 

 

「シャボンディ諸島って、諸島だから指針無いんじゃ……」

 

 私の耳には届かなかった。




戦闘シーン描写が嫌すぎてカットした結果。シキ、前話までメチャ強オーラ醸してたのにすごく残念な事になった……。でもごめん大体初期の予想通りの展開だったから許して。本当に最初想像したのは海水しゃぶしゃぶだったんだ。ほんとごめん。

そして喰らえクリぼっちビーム。

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