リィンを心配してくれ!!!!!!
ルフィの元を離れ、フォクシー海賊団に忠誠を誓う。
1回戦2回戦、そして3回戦の初めもあれだけ目立つ事して妨害してたら目を付けられるのは当然だったので選ばれるのはなんとなく予感していた。趣味の悪い眼鏡の様な装備を付けると、麦わらの一味と目が合った。
多分私の若干痛む目は少し赤いはず。
「おい割れ頭!」
ルフィが全身で怒ってますという様子で、フォクシーを呼び止めた。
「ゲームしよう」
もう1回。それを待っていたとフォクシーは笑みを深める。
麦わらの一味は私が居なければ勝てない。
おそらくそんな所だと思う。
「ではこうするしましょう麦わらの一味!」
交渉は私の仕事でしょう?とフォクシー海賊団の1歩前に出て一つの提案をした。
「スリーゲームでは無く、ファイブ。5回勝負といくしましょう!」
「リー…!」
「私は船長に忠誠を誓うしたとは言えど、新参者故に寂しいのも事実。よって3人か5人は欲しいと思うしたのですよ〜!お金が足りねば、奪う可能のチャンスがいくつもある」
いい?とフォクシーに首をかしげる、と大丈夫らしく頷かれた。
私の提案にも魅力を感じる所があったのだろう。なんと言っても少数精鋭の一味、能力者はまだ居るし、私が搾取した金も取り戻しておきたいみたいだ。
「おう!」
怒れるルフィの後ろで死んだ目をしているウソップさんには悪いなと思った。
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『だ、第1回戦「ドーナツレース」は麦わらの一味の勝利…』
私を船に乗せるなんて愚の骨頂。
第1回戦「ドーナツレース」でフォクシー海賊団の負けが決定した。
「なんっっっっっでだ!」
「いやぁ…気持ち悪い」
「負けたじゃねぇか!?」
「負けますたね」
怒り狂うというよりは発狂するフォクシー。
麦わらの一味が指名したのは当然私だった。
「リー!戻って来い!」
「もちろん」
ただいま、と言うと1回戦に参加していたルフィに抱き着かれる。先程と同じく航海士として参加していたナミさんにも。
「リーが戻って来たァァァ!!」
「リィンんんんんっ!」
「重い重い重い重い!!」
2人分の体重を支えれる筈が無く、案の定顔から地面に倒れる。コテッ、とか可愛い音じゃなくてズシャアアアッ、と痛そうな音を出しながら。
いや普通に痛いな!?
「堕天使ちゃん、いつから何を企んでいたの?」
「ゲーム始める前の最初の交渉辺りですぞ、一味の総資産額が6億と言うしましたので…合計8回引く2回は6ですよね?」
「コイツ全部毟り取るつもりだったのかよ!」
「最初から2億、と言うと却下される予感が存在する。しかしながら、活躍すた私がフォクシー海賊団に入るすれば勝利を確信する故に5回戦可能と考えるしました」
「えげつねェ…」
「それに、私が向こうに行くすれば──ルフィとナミさんが本気を出す故に負けは無いかと」
3回戦でフォクシー海賊団が勝てる様にお膳立てしたから、勝ってもらいたかった。障害物で阻まれてルフィが吹き飛ばされない船内よりは、何も無いフィールドの方が勝ちやすいでしょ。トリッキーな能力なんだし。
「で、でもリィン泣いてたぞ??」
きょとん、とチョッパー君が可愛らしく首を傾げる。
私はアイテムボックスから取り出したドライフルーツなどの食べ物の中からある一つの野菜を取り出した。
「たまねぎ…」
「そう、玉ねぎ。しかも生」
「まさか…」
「眉間を揉むフリをして泣きますた」
「玉ねぎエキスの開発は絶対禁止!禁止だからな!」
「…チッ、いつか演技で泣くが可能すて見せる」
そういう事かよ!とかウソップさんがシャウトしてるけどコチラとしてはどういう事だよ。なんでチョッパー君と一緒に開発してた玉ねぎエキスの存在がバレているんだい?
「ぐへへへ…!残念ですたなフォクシー海賊団、私達と出会うした時から負けは決まるしていたのですよ」
「卑怯!外道!非道!卑劣!」
「ハーッハッハッハ!負け犬の遠吠えご苦労です!どんな気持ちです?希望が絶望に変わった気持ち、味わいますた?」
「これは後ろから刺されても文句言えねぇ」
「なんでコイツ海軍に居れたんだ?」
「ひょっとしたら追放って可能性も…」
「酷いことするわ…」
上からゾロさんウソップさんサンジ様ニコ・ロビン。
居たんだよきちんと海軍に!しかも大将だぞ!月組とめちゃくちゃ仲良しなんだぜ!なんだかんだと愛され孫娘的キャラポジションをキープしてたんだよ!
「むしろどうして入れた?」
「うるさいですウソップさん。ゾロウソ発売すて欲しいのですか?…あっ、ごめんなさい気が付かず。仲間失格デスネー、ビビ様ーー!」
「聞こえたわ!」
「「謝るから考えを改めろ!」」
考えを改めろ、か。例え販売しても麦わらの一味が目立ちやすくなるだけ。金銭を手に入れても需要が無ければ売れない。
ということは。
「ウソゾロですか」
「やめろ違う、そうじゃない」
ウソップさんが私の肩に手を置いてそれはもう必死に抵抗する。
更にその後ろではゾロさんが刀を手に狙ってるからおふざけするのやめますごめんなさい。刀だけはやめてください。
「クエーーっ!」
「おふざけはそこら辺にしておけ、だって!」
カルーが鳴き、チョッパー君が翻訳する。
「クエッ、クエーッ!」
「ふんふん。リィンが無事に帰ってきて嬉しい、だってさ!」
カルーが一番イケメンだと???
人間しっかりして欲しい。
「ルフィとナミとビビとカルーとチョッパー、それとリィンの扱い歴が短いロビンは信じちまったみたいだが…。今更安っぽい涙で騙されると思うなよチビ」
「少女を心配すてください」
「お前初対面で交渉じゃなくて脅迫したのを忘れてんのか」
「アーンしておにぎり食べるさせた時ですね。覚えるしてます」
「そっちは忘れろ」
「クエーーーー!!!!」
「「ごめんなさい」」
話が脱線すると腰を攻撃しながら指摘してくるカルガモに思わず謝る。まともかよ…マトモオブザイヤーかよ。
「ほら、ひとまず第2試合に集中しましょう? 堕天使ちゃんが戻ってきたけど、参加は出来ないんだから…」
ため息混じりの催促。
最初に登録した人間を変えれないから少し心配なのだろう。安心してくれ視界に入れば不思議色使える!
「では、勝負と行くしましょうか」
結果は見事全勝したとだけ言っておこう。
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「くっそお!全部堕天使のせいだ!」
全財産を奪われたフォクシーが悔しそうに近付く。払わない可能性を視野に入れていたから意外だったけど、素直に払ってくれた。物資自体を奪ってないから別の海賊団引っ掛けて手に入れるんだろう。それに対して我ら麦わらの一味は合計6億の勝利。ホクホクでござる。
「私が居なくとも勝てるしたと思いますがね…」
玉の増えるドッジボールは厳しかったけど、多分勝てただろう。私は少し勝ちやすいように妨害しただけだから。
「おう、止まれ割れ頭」
「……………われあたま」
「今リィンちゃんに何しようとした?ルフィ相手なら止めねぇがレディなら別だ」
「私女扱いなかなか無い故に新鮮」
「………そ、そうか」
サンジ様が微妙な顔をする。
可愛がってくれる人はいるけど少なくとも性別の前に兵士が来る。もしくは子供とか孫。男女平等な軍出身なもので。
と言うかよく気付いたな、サンジ様。私は嫌味程度だと思っていたが、攻撃しかけようとしていたのか。
めちゃくちゃありがとうございます。
「大体嘘ついただろ堕天使!嘘泣き反対!」
「偶然持つしていた玉ねぎを興奮のあまり潰してしまい、観戦で疲れた目を解そうとしたなれば手に付くしたのを忘れるし、涙が出たのみです」
「ぐ…ぬ………!」
嘘だと断定出来ないだろう。私の心の中まで読めないんだから。
「な〜な〜。シェリーの所戻っていいか?手当の仕方だけでも教えておきたいんだ」
チョッパー君の言葉にあの馬を思い出す。
フォクシー海賊団の一部が船を動かしてメリー号を開放してくれた為、勝負事に関しては絶対なんだろう。
傷に効く薬が確か船内に置いてたよな。フォクシー海賊団の前にずっと居るのも何だか立場が微妙なのでチョッパー君の代わりに取ってくるか、と船に向かおうとする。
「チョッパー、傷薬取ってこいよ。それがあった方がいいだろ」
「おう!」
「………」
そうか、私が動くよりも先にフォクシー海賊団が去ってくれればいいのか。流石に馴れ合うつもりは無い。言葉にショックを受けているフォクシーの襟首を掴もうと手を伸ばした。
「オラァ!テメェらはどっか行け!しっ、しっ」
「いでぇ!?」
「……………………」
無礼を承知で行う。本当に申し訳ないが、私は手のひらで…いや、拳を握りしめて軽くサンジ様の頭を殴ろうとした。
「っと、リィンちゃんどうした?」
「……………………………」
しかしサンジ様は私が見えてなかったのに簡単に避ける。
「………おいリィン」
「あ、やはりゾロさんも気付くしますた?」
「そりゃ、俺がそうだからな」
「……ですよね、やはりそうですよね」
面白そうにゾロさんは口角を上げるが、私は顔を引き攣らせる。ビビ様が「これはゾロサン!やったわ!」って叫んでいるけど私は何も聞こえません。
「サンジ、さん」
「ど、どうした?なんか随分弱ってるけど何があった?気持ち悪い?吐く?」
心配そうに肩をつかむサンジ様。ナミさんが「私の膝の上を枕にして休む!?」って叫んでいるけど同じく何も聞こえません。
「見聞色の覇気、使用してます……」
ノロノロビームを浴びたんじゃないか、と思うほどサンジ様の動きが止まる。じわじわと状況判断が出来てきたのか口がゆっくり開いた。
「え…俺が……覇気を?」
「はい」
この中で覇気使いを何度か見てきた私と唯一覇気が使えるゾロさんの判断が同じなら間違いないだろう。
「そっか…これが覇気…」
手をグッパと握ったり開いたり、胸に手を当てて目を閉じたり、見聞色の覇気の感覚を確かめているんだろう。しかし余韻に浸るのはすぐに終わった。バッと顔を上げて馬たちがいる小屋の方を睨みつけだした。
「おいくそ剣士!」
「なんだよ…」
「テメェの見聞色で確認してみろ!」
「ッ、バケモノがいるな」
ゾロさんもサンジ様も見聞色は掴んだ状態で使いこなせていない。常に見聞色を張り巡らせるだなんて無茶だ。だから意識して使ったサンジ様に感化されてゾロさんも使い、冷や汗を流していた。あ、ビビ様は少し黙ってて。今貴女の声は脳内シャットダウンしているから。
そして2人の見聞色はまだまだ狭いけど、いや、狭いからこそ近くに『バケモノ』が居ると焦った。
「シェリーが不安だ、気を付けて行くぞ!」
ルフィが意気込みながら船長命令に近しい指示を出す。
テントの前では、1人の男がアイマスクを付けて立っていた。
まあ、心配するまでもなかったんだがな!!!(怒)