2度目の人生はワンピースで   作:恋音

111 / 280
ドラム島編
第101話 寒さ続く中


 シンシンと雪が降る。

 冬島であるドラム王国の気候海域に入ったからか、とても寒い。

 

「暖房欲しいわね」

「それにしてもどうしてあの子達は外ではしゃげるの……?意味がわからないわ」

「マンデー。バレンタイン。あいつらは気にするだけ時間の無駄よ……」

「ナミ、目が遠いわ」

「クエー……」

 

 女子部屋で私やナミさんビビ様、それに加えてミス・マンデーやミス・バレンタイン、そしてカルーまで固まって暖をとってこれからの事と男共の元気について話していた。

 

「あー…これ以上の寒さの中あたし達は海軍を待つことになるのか?」

「ここにいてもいいでしょ〜…?」

「対BW戦に参加すたいのであれば」

「「やっぱりいい」」

 

 2人は声を揃えた。

 

「ドラム王国ってどんな所なの?」

「私もよく分かってないわ…リィンちゃんは?」

「あー…行くした経験は無し」

 

 つまりよくわからない。

 まじで国王とその取り巻きくらいしか分からないんだよな。

 

「ねぇ大将、あのゾロ君の怪我もそこで治るかい?」

「ミス・マンデー…その呼び方辞めてくださいです。元海兵としてはとても複雑」

 

 現大将そしてスパイ中としても。

 

「ちょうどいいと思ったんだけどね」

 

 確かに、雇い主としての呼び方にそれはあるだろうよ。大将女狐でいる時は名前や二つ名は呼ばれたくないしうっかり防止としては助かるけど。元々大将と呼ばれた経験が圧倒的に少なくて。

 

「違和感……」

「ならボスって呼ぼうか?」

「クロコダイルとお揃いとか嫌です」

「ほら」

 

 クスクスと微笑みながら膝の上の私を撫でる。私最近湯たんぽとして使われている気がする。

 

「マンデーちゃんそれ譲って、寒い」

 

 気の所為じゃ無かった。

 

「まって、リィンは私のよ」

「ナミさん黙る」

「……はい」

 

 昔のつんけんしたナミさんを返して。

 

「今アラバスタどんな風になってるのかしら」

「ビビ…。心配しないで、全部なんとかするわ。──大将が」

「私かよ」

「ミス・バレンタイン……ありがとう」

 

 BW組が馴染んでるのはいいが私には飛び火が…!まァ、国王軍の1部が反乱軍に寝返ったとか言われたら落ち込むよね。

 

「アラバスタの話を聞いたらただ素直にクロコダイルぶっ潰すだけじゃダメよね…」

「そうなのですよオカン、そこは私も頭を悩むさせてますてね…」

「まだオカンと呼ばれる年齢じゃな…──なんであなた達3人は『嘘でしょ!?』みたいな顔をしてるの?」

 

「嘘でしょ!?」

 

「バレンタイン…素直なのはいいけど」

 

 ミス・バレンタインが代表して驚きの声を上げる。

 クロさんは英雄として民衆を味方に付けてるからそれを引き剥がさないといけないんだよ。ただぶっ飛ばすだけじゃ逆にこちらが責め立てられてしまう。

 

 最低限王家の協力や海軍の協力、それと民衆の信頼してる何かを使うか何かして事実を認めさせなければならない。

 

 

 それを説明するとナミさんがそっと手を上げる。

 

「課題ばかりだけど1番の問題は海軍…?」

 

「「……」」

 

 ミス・マンデーとミス・バレンタインはそっと視線を斜めに逸らした。

 

「政府が認めねば国の信頼を取り返すは不可能ですからね、必要です。それは、まァ、考えるです」

 

 せめて中将が出て来てくれれば私としてはありがたいんだが麦わらの一味的にやばい。そもそも海軍はBWの事知らないと思う。でなければ私に情報巡ってるってーの。

 信頼の置ける人を派遣…、は無理でも丸め込める様にしよう。……これ本当に大問題。一応私の権力でなんとかなるっちゃァなるけど麦わらの一味に説明がつかない。

 

「……いざとなれば祖父を使うです」

「リィンのお爺さん?」

「正確に言うと違うですが、ほぼ同じですね」

 

 頼みましたガープ中将。

 

「細かな奪還作戦は伝を利用し考えるです。この船の外にも、アラバスタをどうにかしようとする馬鹿がいるのですよ」

「…! それって一体……」

「合流出来るかは不明ですが協力者はいるです」

 

 信じてるよ革命軍。

 

 はーー…課題がいっぱい過ぎて頭痛くなる。

 

「失礼、レディ」

 

 コンコン、とノックの音が聞こえ扉を向くと湯気のたった紅茶やコーヒーとケーキを携えたサンジ様が現れた。

 王族に奉仕させるとは何事…!

 

「お茶の時間です」

「ありがとうですサンジさん」

 

 受け取ろうとするとやんわり断られた。レディファーストがこれ程心苦しくなるとは…。

 

「コック君も此処にいなさいよ、外寒いでしょう?」

「や、片付けとかあるので」

「レディのお誘いを断るのはどうかと思うわよ?Mr.プリンス」

「……」

 

 ミス・バレンタインの言葉に聞こえないフリをしながら紅茶を飲む。どうして王子(プリンス)って言葉を本人使っちゃうかな(サンジ様が始まり)

 

「それじゃあお言葉に甘えて」

「サンジ君、外の奴らは何してた?」

「えーっと、部屋ん中で寝てるのがマリモ、外で雪遊びしてるのがルフィウソップMr.9だな」

「あっきれた、あいつら寒さとか感じないわけ?」

「Mr.9は最初寒そうにしてたのに…」

 

 ナミさんとサンジ様の会話にポツリとビビ様がため息混じりの言葉を漏らす。

 ハハッ、寒いの無理、やだ。

 

「彼はどうです?Mr.5」

「厨房で紅茶飲んでるよ」

「なるほど、彼に外ではしゃげる元気は無かったのね」

 

 Mr.5って全身起爆する爆弾人間だったよね?

 アレで寒さに弱いのか……意外だ。

 

──パァンッ!

 

「「「「!?」」」」

 

 外から発砲音が聞こえた。

 

「レディ達は中に居てくれ…!」

「あんたもですサンジさん!」

 

 外に出ようとするサンジ様を無礼覚悟で中に押し戻し外に出る。中では感じなかったひんやりとした外気に身を震わすとカチャッとした音と共に視界が開けた。

 ………普通こんな女の子に銃を向けますか?

 

「マーッハッハッハ! 4人、なんて事は無いだろうが一応聞こう。お前らドラム王国の指針を持ってはいないか」

 

 最悪だ、最悪のタイミングでこの方が現れるとか。流石私の災厄、今日も元気に取り憑いてるのね。

 

「お前なんかに渡すかバーカ!」

 

 =持ってますよ。

 

「あぁ?テメェ俺様が誰か分かってないみたいだな」

 

 知ってます。知ってるからちょっとルフィ黙って。この人、ドラム王国の国王、ワポル様だから。

 

 本当に最悪。

 

 

 

 

「私が交渉に出るです、まずそちらの船に乗りましょう。お戻りください」

「おいリィン!?」

 

 黒いフードを被ってワポル様の前に出る。

 

「ねぇ?ブリキング海賊団の船長さん?」

「いいだろう」

 

 ニヤリ、と笑われたので笑い返してみる。

 海賊に否定はしないのね。よっしゃーー!ナイスアホ!海賊団だったら無礼考えずにぶっ飛ばせるー!

 あ?その流れだとサンジ様もか?いやいやいや、彼のバックにいるのは何様俺様ジェルマ様だ。しかも亡命中ときた。国に戻る可能性は0じゃないから予防線張っといていいだろ。

 だがしかし!ワポル様は違う!発言力も少ない、友好国も無い、1度海賊に落ちたら這い上がる事は不可能でしょう!やったね!

 

 

 ……さて、ボコるか。

 

 

 ワポル様の後ろをついて行こうとするといつの間にか出てきたナミさんに手をぐいっと引っ張られた。

 

「リィン、聞いて…」

 

 小声で話しかけられ耳を寄せるとナミさんは呟くように私に忠告した。

 

「もう少しで嵐が来る。裏技使ってもいいからさっさと決着付けて逃げるわよ」

「大体何分です?」

「…二分くらい?」

 

 早い、思ったより早い。

 しかも偉大なる航路(グランドライン)って気候が読めない事に定評があるのでは。

 

 そんな事を思いながらブリキング海賊団の船に乗る。

 

「さて。さっさと渡して貰おうか」

「いやいや、交換条件ですよ。なんの為の交渉役だと思うしてるのですか? ま、さ、か、偉大なるブリキング海賊団の船長がその様に下衆で馬鹿な考えをお持ちとは思えませんがまァ場を和ませようとした海賊ジョークでしょうそうに決まるしてますそうですよねところでとても立派な船をお持ちすてるの様ですが食料はそれなりにござるでしょうか、私たちドラム王国で補給をと思うしてたのですがそれが不可能になりそう故にそちらを所望したいと思うしております貴方様であればその程度のはしたが…ゴホン、その程度の食料くらいお譲りする優しい心をお持ちでしょうありがとうござります」

 

 ノンブレス。周りはポカンとした表情をして隙だらけで、今がチャンスだろう。

 食料はとても悔しいけど。

 

「ではお時間ですのでさようなら!」

 

 トン、と後ろ…つまり海に向かって飛ぶとルフィの腕が巻き付いてメリー号に引き寄せられた。

 

「帆の準備ありがとうです。動かします」

 

 グンッと船の動きが急に代わり普段の倍以上のスピードを出してその場から離れる。

 

「「「「「騙したなぁぁあ!?」」」」」

 

 向こうの船から聞こえた気がする。

 

「騙される方が悪いだろこの場合…、油断し過ぎだな。アレで船の船長とは終わってる」

 

 Mr.5が厨房から出てきてサラリと毒を吐く。

 遠目で見るとどうやら嵐に襲われてる様だ。

 

「ナイスだな嵐」

「良くやった嵐」

「嵐っていうよりアレだな悪意ある攻撃」

「だからサイクロンだろ」

「よ、サイクロン」

「たまやー」

 

 キミら仲良くなりすぎでは?

 

「まァ、あの人海賊では無いですが」

「え……」

 

 Mr.5の呟きに答える様に言うと全員が驚いた顔をした。否、ビビ様以外。

 

「海賊だが、王です」

 

 は?という顔になる。

 そりゃ王様なのに海賊になる理由が分からんわな。その反応分かる。

 そんな中ルフィが首を傾げた。

 

「海賊の王様なのか?」

「まぁ、そうぞ。海賊ぞ王」

「海賊の王なのか……………じゃあアレがエースの父ちゃん!?」

「何故そうなる!?」

 

 海賊王は死んでるぞ!?

 ……ん?海賊の王様って斜め上に取っちゃったのか?

 

「あァ……こいつアホですた」

「なんだよ失敬な!」

「アホですアホ、バカとも言うですバーカ」

「バカって言った方がバカなんだぞ!」

「残念ながらその事実は覆す不可能!」

 

 ベーっと舌を出すとMr.9が呟いた。

 

「麦わらはバカで大将はアホ」

「「「「賛成!解散!」」」」

「集合!!!」

 

 誰がアホだ。

 

「覚悟はお出来でニセプリンス?略してニセプリ」

 

「大将に喧嘩売るニセプリンスカッコイイ!ん?どちらかと言うとキングじゃないか?」

「流石いじられキャラと定評のニセキング!」

「ニセキングドンマイ!」

「お前自分が賛成したの忘れてんのか!つーか俺だって後悔してらァ!大将!そこのMr.5ことボム男は昨日大将の事『あの人…嫁に行けるのかな……。外見に騙されて10人中9人にモテるけど中身を知った途端全員その場を立ち去る様な人だろ?』とか言ってました!」

「言うなエセキング!」

「エセだとかニセだとかうるせぇ!」

「私たち…ついさっきまで緊急事態だったわよね…………。ほんっっとに緊張感薄れる」

「麦わらの一味も大概だけどあたしらBW組も大概よね」

「でぇえい!BW組そこに正座!」

「「とばっちりだわ/だよ!」」

 

「ふ、ふふっ…あはははっ!ダメね、お腹痛い!」

「もう……やだこいつら………」

「おーい、小刻みに震えてるぞナミ」

「むしろ逆にウソップはどうしてそんなに平気なのよ」

「この前のルフィの呟き聞きたいか?『リーっていつでも嫁に行けそうで困るよな』だぞ?俺はもうこの船の船長と船員の間の認識の差にむしろ慄いてる最中だ」

 

 ほぼ全員から『それは無い』みたいな表情を向けられた。

 

 

 いい度胸だちくしょう。

 

「ビビ様とサンジさん以外全員正座ぁぁあ!」

 

「ビビは良しとしてなんでサンジだけ除外なんだよ!十文字以内で説明しろ!」

「おいしいごはん!」

「出来るのかよそして納得しちゃったよオイ、この食魔人」

 

 2人を除いた全員を正座させている時ゾロさんも巻き込まれてはてなマーク浮かべながら説教した。

 

 外は寒いけどポカポカした。……間違いなく苛立ちのせいだ。




BW組は仲良くさせたい。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。