2度目の人生はワンピースで   作:恋音

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第100話 平和な時間

 

 

 

 冬島ドラム王国。

 

 ルフィにより選択された航路はあのワポル国王(ブリキング)が丁度居ない島で、ある意味安全だった。

 

 

 ==========

 

 

 

 

 ドラム王国に向かっている船の中では比較的平和な時間が繰り広げられていた。

 

 

 2日経った今ではBW組も船に乗る緊張が解れたみたいで手伝いやら漫才やらもしている。

 BW組は根はいい人が多くて麦わらの一味やビビ様と良好な関係を築けているようで。

 マンデーさんがゾロさんに腕相撲勝負を挑まれたらしいが『怪我人がふざけてるんじゃないよ!大人しくしてなさい!』と叱ったり(まじオカン)。 バレンタインさんとMr.5が能力を教えてルフィとウソップさんと仲良くなったり(武器マニア(ウソップさん)が特に)。 Mr.9はツッコミキャラらしくそこらかしこで弄られてる(やんわり止めるのはオカンの仕事)。

 

 

 平和だなー…平和、なのに…。

 

「何故新聞はこの様に物騒ぞ…ッ!」

 

 ルフィの膝の上で日向ぼっこしながら新聞をくしゃりと握りしめる。

 

「リー?」

「何事も」

 

 頭を傾げるルフィに何でもないよと伝えるとふにゃりと笑った。くっ…、私の兄ちゃんとっても可愛い…!

 

「新聞見終わった?」

「はい、一応」

 

 くしゃくしゃになってしまった新聞の皺を伸ばしてナミさんに渡す。

 

「あ、手配書のみ後で下さい」

「どうして手配書が欲しいんだ?」

 

 ナミさんの後ろからウソップさんも顔を出して疑問を口にする。

 

「って、まぁたくっ付いてる…」

「まぁまぁ…いいじゃない。美味しいし」

「怖ぇよ。何が美味いんだよ」

 

 もっと言ってくださいウソップさん。

 

「で、手配書ですたっけ?」

「そーそー」

「ライバルの能力や戦力を把握してるのです」

「……おいおい、喧嘩でもおっぱじめようとしてんのか?やめてくれよ?」

「ハハッ、無知乙。愚かなり」

「お前なんで俺に対して口悪いんだよ」

 

 リア充一歩手前だから。

 まァとりあえずそこは除き。

 

偉大なる航路(グランドライン)前半から後半にゆくまで赤い土の大陸(レッドライン)があるのは理解可能ですよね?」

「そりゃ……ん?でもどうやって抜けるんだ?」

 

 3人が首を捻る姿を見て私は続きを喋る。

 

「魚人島。地下を通るして海を抜けるです」

「泳いでか?」

「まさか、船ごとですぞ。船ごとシャボンというコーティングをすて潜るのです。そしてシャボンをコーティングするが為に一つの島…と言うより諸島に寄るべき所がありますて」

「へ〜…おっもしろそうだな〜!早く行きてーなー」

 

「問題はこの島。最初航路が7つに別れるしますが前半の海で全ての航路が合流する魚人島、もしくは諸島で会う可能性が高きのです」

 

 そこまで言うとウソップさんとナミさんがガシッと私の手を握ってきた。

 

「そこまで、考えてくれるのはリィンだけよ…ッ!」

「是非とも弱点を考察して生き延びれるようにしてくれ!」

「は、はァ…。ひとまず、この2人は注意ですね」

 

 ナミさんの持ってる新聞に挟んである手配書2つを取り出す。

 

 DEAD OR ALAVE(デッド オア アライブ) 〝死の外科医〟トラファルガー・ロー 懸賞金6500万ベリー

 DEAD OR ALAVE(デッド オア アライブ) ユースタス・〝キャプテン〟キッド 懸賞金1億4000万ベリー

 

 とりあえずキッド君。キミその顔どうした?お化粧クッッソ似合わないよ?モテなくていいの童貞君。

 

「ルフィより…上…!」

「いち、おく…………よんせんまん…」

「ローさんは戦闘能力高いですよ、敵対するは凶悪海賊や海軍が主ですな。キッドさんはガキ大将の延長…みたいですね、敵対するはローさんと同じで、あ、市民被害見っけ。危険ですなー」

「「呑気か!」」

 

 根が優しいのは知ってるけど敵対する事になるから怖いよねー。こいつらガンガン懸賞金上げすぎなんだよ。このヤンデレ気味男に癇癪持ち童貞。

 会わない事を祈ろう。ローさんとは対ドフラミンゴ同盟を結んでるけど。

 

 

「他にも目星はありますが…ライバルに巨人族が居ないのは幸いです」

 

 その発言にウソップさんが巨人族?と首を捻る。

 

「誇り高き一族です。巨人族の中にはエルバフという1部の戦闘特化の方もいるですてねー…まァ

、エルバフだろうがなんだろうが巨人族の海賊は捕まっておりませぬです。一般的に船長クラスは」

「すっげー……」

 

 ため息の様に賞賛の言葉を述べるウソップさんの目が輝いて見える。そう言えばウソップさんの夢は『勇敢なる海の戦士』になる事だったかな。

 曖昧な目標だが動かしやすい。

 

 

「リィンちゃん、ルフィさん、ナミさんウソップさん。サンジさんがご飯だって言っていたわ」

「飯か!」

「ぐえっ…」

 

 ルフィの膝の上に座ってた私はルフィが突然立ち上がった勢いで甲板に転がることとなった。呼びに来たビビ様も苦笑いをしている。

 

「えっと…大丈夫?」

「………なんとか」

 

 立ち上がって服についた埃や土を払うとルフィに引っ張られながらお昼ご飯を食べに向かった。

 

「リー…ちょっとお願いがあるんだけどよ…──」

 

 

 

 ==========

 

 

「サンジさーん、私食器洗いお手伝いするぞです!」

 

 私はご飯後、毎回食器洗いをしてる。

 

「おう!リィンちゃんありがとな」

「いえいえー!私がしたくやるのみですぞ!」

 

 王族に飯を作らせる事自体怖いんだがコックも好きでやってるみたいだし、ならせめて後片付けでも。って事だ。

 でもサンジ様は優しいから後片付けさせる事にどうやら罪悪感が湧くらしい。

 

「リィンちゃん…毎回有難いけど量も多いし」

「サンジさん! 報酬、甘い物が嬉しきです」

 

 食器を洗いながらニィっと後ろにいるサンジ様に声をかけるとサンジ様は苦笑いしながらいつもの様にポケットからラッピングされたクッキーを取り出した。

 ヒャッホーイ!クッキーはココアが好きでーす!

 

「報酬と言わずに言ってくれたらいつでも作るのに、いい子だなァ」

 

 すいません、自己保身でしか動いてません。

 

「あいつらも見習えばいいのに………」

「多分、二度手間かと」

「そりゃそうだ」

 

 椅子に座ってクツクツと笑う。

 

「なァリィンちゃん」

「はぁいサンジさん」

「……キミは、どうして王族に会ったことがあるんだい?」

「恵まれるした、です。たまたま立ち寄るした島でビビ様と会うしたのみです」

「キミは王族についてどう思ってる?国のため、とか大口叩いて平気で人を虐げる様な王族を。人を兵器としか見ない王族を」

 

 うーん、と少し考えてみる。

 これ、選択肢間違えたらダメな奴ですよね。

 

「少なくとも」

 

 洗い終わった食器を片付けながら口を開く。

 

「自分に害があるなれば近づきませぬ。得があるなれば利用するです。無償で働くしようとは一切思いませんです」

「……、俺はキミが聖人君子な子だと思っていたよ。思っていたより現実主義な子だったんだな」

「幻滅しますた?私は元々自分に利益な事を優先する卑怯者ですよ」

「……俺だって卑怯者さ」

「そうですね、誰だってそうだと思うですよ」

 

 厳しい環境に逃げたんだから。

 

「俺さ、昔虐待…みたいな事されてたんだ」

 

 知ってます。

 

「厳しい訓練だった。俺だけ体が違って、泳ぎも走りも三四階くらいから飛び降りるのも、怖くてしんどくて辛くて。出来損ない呼ばわりされて、さ」

 

 知ってます。

 ……でも走るだとか泳ぐだとか、よく良く考えてみれば私よりマシだよな。うん、絶対そうだ。

 

「兄弟からは虐待されて」

 

 サンジラブなジェルマンの皆さん。キミらの評価最悪だぞ。大丈夫かメンタル的に。

 

「姉は、助けてくれたけど」

 

 良かったねレイジュ様!キミだけ高評価!

 

「母は亡くなって、どうしようも無く孤独だった」

 

 今帰ったら猫可愛がりされるからお帰り下さい。大丈夫、彼ら兄弟愛に目覚めてるから。いける。私よく頑張った。

 

「ハハッ…本当に情けない……」

 

 ジェルマン、最初から優しくしたらこれ絶対引かれるから気をつけて。

 

「私、子供の頃親と離れますた」

「え?」

「親はインペルダウン、監獄です」

「どういう……」

「連れ去られるした場所は幸せとは程遠い環境です。義理の兄弟は素敵ですたが猛獣はうろちょろすてます」

「なんつー環境で……」

「しかも私は4歳以下」

「嘘だろ!?」

 

 いやー、辛かった。

 背負われて虎やらなんやらに追いかけられて。

 

「挙句海賊王のクルーとか言われるクソジジイに剣を持つされられ筋トレ筋トレ筋トレ…私をムキムキにさせる気かと何度恨んだことか」

「は!?海賊王の!?」

「海賊に誘拐され大怪我すたり兄弟死ぬとか行方不明だしその後なんやかんやで海軍に入るし」

「なんやかんや………」

「鷹の目とガチ対戦やら変なストーカーに追い回すされるわ任務は厳しいわ、何度死ぬかと」

「随分ハードな人生だな…」

「親はふざけんな畜生な人だし。私も散々ですたよ」

 

 何度逃げようと思ったか。実際センゴクさんやサカズキさんから逃げ出したりはしてるけど。胃に穴が空いて医務室行きもあったな。毒もられたりファンクラブ的なの出来てたり人体実験更には5歳に七武海討伐、ふざけんな。

 

「何、というか……」

「1部抜粋」

「これで1部か!」

「どうですか?サンジさんは幸せですよ、私も幸せです。こう見えて」

「……まぁ、リィンちゃんの人生経験聞いたら」

 

 サンジ様の正面の椅子に座ってぐてんとする。

 

「私は今が幸せ故、過去を笑いものにするが可能なのです。サンジさんには出来るです?」

「………出来る」

「今のサンジさんには実は見えてないのみで味方は沢山いるですよ」

「…? 見えてない、だけ?」

「はい!」

 

 見えている仲間はバラティエや麦わらの一味、見えてない仲間はジェルマの王子や王女様。

 

「不幸な人間など、居らぬです」

 

 私も、幸せですよ。

 今は敵だけど、クロさん達のおかげで笑えた自信がある。

 親の血とか理不尽な恐怖に怯えるよりも先に物理的な恐怖があったりするから、ドフィさんも恐怖。

 だけど最終的に笑ってた。

 

「直接は無理ですが、感謝はすてるのです」

 

 だから決めた。

 

 

 

「クロコダイル倒そう」

「「「「どこからそんな流れになる!?」」」」

 

 外から声が聞こえてきた。

 

 

 

「BW組、盗み聞きですか」

「そこは謝るからツッコませろ!?」

「全く、お行儀悪いですね」

「堕天使ちゃん聞いてる!?」

「その堕天使呼びなんとかなりませぬか? 私ソレ嫌いなのです」

「聞いてなかった!」

 

「じゃあ飼い主で」

「「「「絶対却下!」」」」

 

 BW組の後ろにいたビビ様もサンジ様もクスクスと笑い出す。

 

「ビビもサンジも笑え!2人は笑顔が1番似合う!」

 

 みょん、と上からぶら下がってルフィが言った。

 

「リー、ナイスだ!」

「ルフィは頭使う不可能故仕方なしです」

 

 グッ、と親指を立て合う。

 BW組と私の胃を犠牲に王族組に笑顔が戻ったのなら良し。

 

「サンジ、何に悩んでるのか俺は分かんねぇけど。俺は絶対にお前の味方だからなー!」

「ビビ様、落ち込むも勝手ですが。同じ時間なら楽しむましょう?気楽に、ね?」

 

「この人たらし兄妹が…」

 

 ゾロさんがこっそり呟いたのを私は忘れない。

 これはルフィの策略だ。笑わしてくれって。

 

 

 

 

 

 

 

 感謝してるからクロさんを倒そう。

 少しでもいい、インペルダウンから出やすいように、夢のとおりなら、インペルダウンから出る事は容易いのかもしれない。だったら、インペルダウンから出て過ごしやすいように。

 決して、国の乗っ取りを企んだただの凶悪犯罪者じゃ無いように。

 

 

 ……これ、乗っ取り阻止するより難しそう。




リトルガーデンの代わりに巨人談義

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