「現状どうするのか考えましょう」
ナミさんがカオスになっていた空気を変えるために手を一度叩いた。
「こいつらは賞金稼ぎ兼犯罪組織の社員の幹部って事よね」
協力の許可が取れた2人と新たに追加されたMr.5ペア。そして縛られた謎の動物を指さすとビビ様は頷く。
「あんたはアラバスタの王女でこの会社にイガラムさんと一緒に潜入してた、と」
「はい…その通りです」
「その
「ええ、恐らく」
「いや、違うと」
ビビ様と私の言葉が被った。
「どういう事だ…?」
ウソップさんが首を傾げる。恐らくこの場にいる全員が思った事だろう。
「あ、あいつの目的は確かに乗っ取ると言っていたわ!」
ビビ様が言う。
まァ目的をそれとして言っておかないと協力するも何も無いから、口実としては充分だろ。
「国を乗っ取るして、何が目的でしょうね」
「「「「「?」」」」」
新旧BW組も首をかしげる。
言葉が苦手だからきちんと伝わるかどうか分からないけど。
「目的が国、では無くて目的の為に国が居る。ってこと?」
「そう!それですナミさん!」
「でしょう、リィンの言いたい事なら何でも分かるわ。ご褒美としてお姉ちゃんと呼──」
「そもそも国を得るしても不利益ばかり。友好国は失うし、アラバスタとなれば水問題、そして七武海とあれば政府が絡むも必須な件」
オレンジ髪のボンキュボンを華麗に無視しつつ話題を続ける。
奴はドフィさんが動かしてる国事態に全く興味を示さない。支配欲も少ないだろう。野心の方向性が違う。
……そもそもドフィさんもなんで国王になったんだか。
「まァ考えると国を狙うは意味が分からん!という訳で、他に目的があるのではと思うです」
私とクロさんの関係性を口に出す気は無いから細かい理由は述べないがある程度疑問点はある。
まずビビ様を放置していた事。
アラバスタに住むのなら、ましてや王族相手にドンパチやらかすクロさんが国の王女の顔を知らないと思うか?答えは否、あの周囲を固めていくあくどいやり方且つ脅しをフル活用する性悪男が調べないはずが無い。つまりビビ様の情報は偽物の可能性がいくつかある。そして、その偽物の情報が『国を乗っ取る事』かも。
次、簡単に口を割る幹部。
話によれば
更に、クロさんが優等生だという事。
海軍及び政府の彼の評価(表面上)は〝優等生〟 そんな奴が国の上に立てばその評価もひっくり返りかねない。会社を立ちあげるためだけに評価を作ったとも思えないんだ。もしかしたらその評価を使って国より更に上の目的の可能性が出てくる。
まァざっくり言えば。
そ ん な 程 度 で 終 わ る わ け な い だ ろ あ の 砂 鰐 が !
政府側の立場にいる海兵(=私)でも勧誘しないと達成しにくい作戦 目標があるって訳ですよね?
「あの…私達一言でも七武海って言ったかしら………?」
「……」
「固まった」
「固まったな」
「固まってるぞ」
「突かれたらまずい所突いたか」
「予想は簡単に付くです、よ。あの国に居て、変な事を企むそして実行する能力があるのは七武海くらいでしょう」
声に覇気が無かったが仕方あるまい。
私多分疲れてるんだな。(遠い目)
乗っ取られるからアラバスタも革命候補に入れよ。(諦め)
「で、確認が終わるしたのでそちらの
「空元気か」
「黙るしてウソップさん」
私が4人+2匹を向くと全員肩をビクッと揺らした。
「1、口封じで殺すされる」
「最初の選択肢から随分物騒だな!」
「2、任務失敗で殺すされる」
「結果変わらねぇ!」
「3、裏切る 4、協力する 5、捕まる」
「雑か」
「最後に6、軍に入る」
ある程度の選択肢を与えるとサンジ様が疑問を持って声をかけた。
「軍って、どうやって?」
「あー…私元海兵ですよね、ですからツテはあるですよ。その方法も。例を言うなれば、コビー君」
「「あぁ…」」
ルフィとゾロさんから納得の声が上がる。もちろんほかの人は首を傾げるだけだが。
「更なる追手の可能性も捨てきれぬので巻で行くです。まず1、2、の説明は飛ばすましょう。意味わかると思うですから」
そう言うとBW組は頷く。
「『裏切る』は
「一番平和だな」
「その代わりいつ組織から命を狙うされるか、口封じで第3者に殺すされるか分からぬ不安と戦うしながらですけどね」
「一番質が悪かった!」
ウソップさんが律儀にツッコミを入れてくれる。会話の邪魔にならない程度なので脅し…もとい、説明には丁度いいだろう。実際それを想像したのか顔青くなってるし。
「『協力する』はその名の通り。ビビ様の手伝いです」
ここで私達とは言わない。ビビ様の発言撤回もあり私はまだ
「ある種、スパイとも言うですね。全面的に
「うわ、俺ならやりたくねぇ」
「5、『捕まる』とは逃げです。答えは留置所またはインペルダウン送り。国家転覆を企む場合はインペルダウンでしょうね…」
企む、くらいなら留置所だが。……決行したら間違いなくインペルダウン。
ちなみに誇張して言うのには理由がある、選択肢を一つに絞る為だ。
「命狙われるわけじゃないから確かに逃げるのには最適だな」
ウソップさんが同調したのでここから私の本気のターンだ。
「はーい!皆さんそれではここからインペルダウンの階による責め、と言うを学ぶしていくでましょー!」
「「「「は?」」」」
全員が私のテンションの変わりっぷりに首をかしげるが、私はお構い無し。
「地上一階にござるは〝地獄のぬるま湯〟 殺菌消毒を兼ねた『洗礼』にございますでーす!なお、衣服を全て脱ぐした後100℃の熱湯にインです!」
「洗礼えげつねェなおい」
「さてさてここからは監獄タイム!一番軽い地下一階level1は通称〝紅蓮地獄〟いぇーがーにござるますです!懸賞金が低い囚人はその名の通り様々なる拷問道具及び植物でフロア全体血が溢れるです」
「それ一番軽いヤツなのか?ほんとに一番懸賞金が低い人間が行くところなのか?」
「地下二階は通称〝猛獣地獄〟 猛獣使いでサド助が暴れ回る言わば戦場。はてさて何人が死ぬでしょうか!」
「笑顔で怖い事言うな!トラウマだわ!」
「地下三階は〝飢餓地獄〟 5000万ベリー以上の懸賞金がかかれば間違いなくここからと噂の地獄に等しい適所だこの野郎。水も食料も無駄に使えるか馬鹿野郎的なやつですぞ、ちなみに環境は激アツ乾燥」
「お前だったら絶対1日で死ぬな」
「続いて呼吸するだけで肺を焼くされる地下四階〝焦熱地獄〟!煮えたぐる血、周りは火の海、生存確認は約10%!ここぞまさに地獄!」
「実は説明するの楽しんでるだろ」
「さて事実上ラストとなるは地下五階〝極寒地獄〟…指はポロポロ耳はボキボキ。もちろん防寒着などございませぬ!隣は死に、前も死に、次は自分かと怯えるして精神が病むと噂!寒さでいえば寒暖に強い電伝虫が素足で逃げるするレベル!」
「そういや電伝虫って真冬でも平気だもんな…どんだけ寒いんだよ」
そこまで言うと私は改めて4人+2匹に向き直った。
「選択は?」
「「「「軍の方でお願いします!」」」」
揃えられた返事が返ってきた。
動物2匹も頷いているからインペルダウンの脅しは効いたことだろう。いやー…インペルダウンって偉大。
つまり、自然と口封じと行動制限が取れるってわけだ。
「………私、リィンちゃんが敵じゃ無くて本当に良かった」
「BW組は理不尽が服着た奴に悩まされるしろちくしょう。私だけ振り回すされるは不公平だ」
「お前絶対それが本音だろ」
「私、モンキー一家の血筋大嫌い故に」
ここでどうしてルフィの名前が出てくるのか分からない人が多いから全員首を傾げた。あぁそうさ、私しか知らないよ!
「ところでルフィさん」
ビビ様はふと思い出した様にルフィに向き直った。
「とても、巻き込むのは辛いけど。私は守りたい物があるの、大切な大切な私の国。そのためには何でも利用するってずっと昔に誓ったわ」
ルフィは何も言わずビビ様を見つめる。
「だからお願いルフィさん、貴方達を利用させて!……わたしの国を助けて下さい!」
「おう!存分に利用しろ!」
ルフィは誰もが見惚れるような笑顔で笑った。………私には悪魔の笑みにしか見えない。
パトラッシュ迎えに来ても大丈夫、ウェルカムだ。
今なら余裕で死ねる。
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発言撤回の見込みも少ない、一味ほぼ全員やる気の状態での開幕。私1人が難色を唱えても多数決で反論は塞ぎ込める上に王族の願いときた。
ひじょーーーーに、不本意だが全力で世界最高峰の海賊と化かし合いしなければならない。
「これでビビ様への追手の可能性は減りました、が油断は出来ませんね」
イガラムさんが言うと周りも頷いた。
「えぇそうでしょうね、敵は七武海の内の1人なんでしょう?怖いけれど…やりたくないけどリィンの知り合いなら協力するわ」
ブレないナミさんが七武海より怖い件について。急募、ストッパー。
「ふふ、リィンちゃんとは幼馴染みなの。何年かに1回は会ってるわ」
ビビ様は嬉しそうに私を後ろからぬいぐるみかの様に抱きしめる。やめて、その様子でナミさんの目の光が増す、でも振り払えない王族だから!
「ビビ様話が脱線してしまいます…。ひとまず私が囮になりましょう。奴にとって厄介なジョーカーとなりうるビビ様暗殺に二重の手を打っている可能性があります」
「イガラム……」
「覚えてますねビビ様、死なない約束ですよ」
「……ええ!」
アラバスタ組が話を進めている内に、私はBW組のこれからについて話さないといけない。
「リィンちゃん!今から港までイガラムを送ってくるんだけど貴女は?」
「………。私はここにいるです、お別れをしていてです」
ビビ様を囮の出航に立ち向かわせる事事態拙いけどBW組への説明には中途半端に私の地位(雑用だけど)を知ってる人がいるのは都合が悪い。
渋々ながら頷き、残る事を進言する。
「…! ありがとう!」
嬉しそうに笑いながら港の方へ駆けて行った。一味もそちらに向かう。
「さて」
私が振り向くとBW組はビクッと肩を揺らした。
「軍にぞ入る、と言質は取りますた」
つまり、私の雑用係又は仕事押し付け係となるわけです。
「これから言う事…他言無用でお願いするですね?」
BW組は無言で首を縦に振った。
BW組(Mr.5ペア ミス・マンデー Mr.9 アンラッキーズ)はこれからが地獄。ちなみにサブタイトルの『苦労と受難』はリィンの事も含まれてますが具体的に言うとBW組です。