ドルオタだけどトップアイドルになれますか?   作:凪紗わお

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本編ではあまり見た目のことで言及していませんが、氷室涙の見た目はMaison book girlのコショージメグミちゃんをイメージしています。金髪ショートはいいぞ。



lesson.5 気持ちを伝えるダンス

月曜日の朝。ダンスができたから見て欲しいと涙先輩からLINEが来た

 

ドル研のLINEでは涙先輩は誰かの発言にツッコミを入れるのが常だから、それだけ自信があるってことなのかな?

 

そんなことを考えてたらいつの間にか放課後、部室に来ていた。家庭訪問の関係で半ドンになっていたのも関係してるかも

 

「とりあえず私のパートと美玖のパート。2人でやるわ」

 

「まぁパート分けって言っても何箇所か違うだけッス。なほっち、ミュージックスタート!」

 

「は、はい!」

 

音楽に合わせてピョンピョン跳ねたり、クルクル回ったり。あちこち指差しで"個性"を表現するとかかっこいいじゃん

 

全体を見ていたはずなのに自然と涙先輩に注目してしまう。アイドルが、氷室明日香がそこにいた

 

髪型も身長も違う。それでもそういう風に見えたってことは、涙先輩の努力を感じたからだろう

 

覚えなきゃいけないけど、それどころじゃない。たった数分なのに目が離せない。可愛くてかっこよくて、そして優雅に踊る美玖ちゃんと涙先輩に魅了された

 

曲が終わって、室内は自然と拍手に包まれた。だってそうじゃん、すごかったもん

 

「沙織、個人パートの説明と練習をしたいのだけど」

 

「うん、そういうと思って屋上の使用許可を頂いてるよ」

 

生徒会長すげぇ

 

「練習着に着替えて屋上へ行こうか」

 

『はい!』

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

「えっと……こう!?」

 

「玲奈先輩、その前にターンッス」

 

まぁ一朝一夕にはいかないよね!うん!

 

率直な感想を言うと、クソ難しい。各振り付けを体に叩き込むのは案外出来るけどその後が問題。振り付け同士をつなぐ部分がイマイチ分からないし、移動するときにぶつかりそうになる

 

「はい玲奈、ボンちゃん」

 

「さんきゅ、セイラ」

 

そして何より私の体力。もっとスタミナ付けないと踊りながら歌うなんて無理だ。4時間の練習でボンちゃん――酸素ボンベ2本だから、2時間に1本使ってる計算だね。燃費悪いね、まったく

 

あるボーカルユニットはダンスをわずか3時間でマスターするという噂を聞いたことがある。バケモンかよ

 

でも流石に私達も4時間ぶっ通しで練習していた甲斐があって、要領を得てきた。力を抜いても見た目が悪くならないところを見抜けたからね

 

「とりあえず今日はここまでッス」

 

「各自ストレッチやマッサージを忘れないように。あと玲奈は深呼吸」

 

『はい!』

 

って見抜かれてた?

 

先輩方はそういう観察眼も優れてるのかな。それとも私がサトラレなだけ?

 

「恐らく後者だね」

 

「お願いセイラ、ナチュラルに読心しないで?」

 

「はは、ごめんごめん。隣座るよ?」

 

「ん」

 

男に告られた数より女に告られた数の方が圧倒的に多いセイラ。ある種自慢の幼馴染みだけど何でいつも私の隣にいるのだろう。まぁ居心地いいからいいけど

 

「あたし達がアイドル始めるかどうかって時にあたしや沙織先輩が言ったこと覚えてる?」

 

「まぁ一応」

 

ドル研皆が私のことを好きだとか、私の決断を支持するとか。今思えばちょっと恥ずかしい告白大会だったな

 

「それはつまり、玲奈をちゃんと観てるってことさ。どれだけ動けばボンちゃんが必要か、とかね」

 

「それサトラレってかストーカーじゃん」

 

「ははっ、否定出来ないや」

 

おい

 

でも私もちょっと反省。心配してくれてるからこその行動だからね。滅多なことは言うもんじゃなかったね

 

「涙先輩に確認したんだ。この曲は玲奈がセンターの構想だってさ」

 

「なんだって!?」

 

ヤバ、急に緊張してきた!

 

「曲を聞いてすぐデザインしてさ。父さんにゴーサイン貰ったけど、ダンスを見て思ったよ。特に玲奈のは作り直さないと」

 

頑張らなくていいんですよ?

 

でも、漸く初めてのMVが撮れそう。それだけは楽しみ……かな?


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