横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

94 / 192
感想ありがとうございます。
誤字脱字報告ありがとうございます。


横浜事変その2です。




横島、封印を解く!!横浜事変その2

横浜国際会議場のVIPルームで達也と何時ものメンバーそして、真由美、摩利、十文字、花音、桐原、壬生紗耶香、五十里敬等が集まり、真由美と十文字を中心に現状把握と避難場所や避難経路の打ち合わせをしていた。

 

分かった事は敵が横浜港から侵攻してきたこと、現在埠頭付近のほとんどが敵に制圧されており、また、陸路も麻痺状態に陥っている。これは潜伏していたゲリラ部隊の仕業と推測。

そして、狙いはおそらく、魔法協会関東支部のデータバンク……

 

まず、十文字は警備隊で現部活連会頭の服部と風紀委員会の沢木に現在横浜地下街にあるシェルターへ退避行動中の生徒会長中条あずさが率いる第一高校生徒達を含む一団の支援へ向かわせ、自らは会場内に避難している一般市民の警護に向かった。

 

現在、多数の一般市民がこの会議場に避難しているのだが、ここもいつまでも安全ではない。

 

沿岸警備隊の輸送船での避難ルートを模索するも、既に沿岸で待機している市民でごった返しており、とても全員乗れる状況ではない。

結局、歩いて脱出を図る計画を立てる。

 

 

 

そんな中、突然、達也は何故か壁の方に向かい、目を凝らしていた。

その横で達也の様子を見ていた真由美はなんとなしに、達也が見据えた方向を知覚魔法マルチスコープを発動させ遠隔視覚でみると、横浜国際会議場入口に猛スピードで突っ込んでくる大型トラックが見え、その中には大量の火薬が詰まっているのも確認できた。

 

そもそもVIPルームから入口、さらに敷地外のトラックまで、かなり離れており、階層も違う上、壁や天井を幾つも隔てた先なのだが、達也はまるでそのトラックが見えているかのように壁ごしに特化型CADシルバーホーンを構え、そして、分解魔法『雲散霧消』(ミスト・ディスパージョン)を放つ。

ターゲットとなったトラックは霧の様に蒸発して消え去っていった。

 

その様子を唯一、一部始終見ることが出来た真由美はその見た事もない強力な魔法に恐怖にも似た驚きの表情で達也を見返していた。

「た……達也くん、今のは?」

 

 

 

しかし、それもつかの間

 

 

「誰か来ますが、敵意は在りません」

美月は誰かがこの部屋に来ることを知らせる。

 

 

そしてしばらくし、扉が開かれ、日本軍の軍人と思われる軍服姿の男女が入ってくる。その後に一般市民の警備に向かった十文字克人と桐原が続いていた。

 

 

「特尉、情報統制は一時的に解除されております」

女性軍人は達也に向かってそう言うと、達也はその男性軍人に向かって敬礼をする。

 

その姿に、ここにいる達也の友人達を含めた学生全員が驚きを隠せず見つめていた。

 

 

そして、壮年の男性軍人は会議室にある低い壇上に上がり名乗る。

「国防陸軍少佐、風間玄信です」

 

そして生徒達は静かに次の言葉を待つ

 

「藤林、皆さんに現状況をご説明差し上げろ」

 

そして横に風間少佐に同行していた女性軍人は藤林響子であった。

「はい、侵攻してきた武装集団は、大亜連合とつながりがあるものと推測、現在、わが軍は保土ヶ谷駐留部隊が侵攻軍と交戦中、程なく鶴見と藤沢から各一個大隊が到着予定。魔法協会関東支部は独自で防衛を開始」

 

風間少佐は藤林少尉をねぎらい、達也を見据える。

「ご苦労。さて、特尉、現在特殊な状況を鑑み、国防軍特務規則に基づき、貴官にも出動を命ずる」

 

真由美や摩利が何か風間少佐に言おうとするが

 

「国防軍は皆さまに特尉の身分について守秘義務を要求する。本件は国家機密保護法に基づく、措置であることをご理解されたい」

風間少佐はそう言って、ここにいる学生全員に達也が軍人であることを秘密にすることを義務付けたのだ。

 

達也は敬礼してから、何時もの友人たちに

「すまない。聞いての通りだ。皆は先輩たちと一緒に避難してくれ」

そう言ってその場を去ろうとする。

 

友人達や先輩たち、ここにいる学生全員が、唖然と達也を見送るだけで、声を掛けることが出来ない。達也が軍人であることに少なからずショックを受けていた。

 

そんな中

「お兄様、お待ちください」

深雪は達也を呼び止め、悲しそうな表情をしたあと、作り笑顔をし、達也の顔に手をやる。

 

達也はそれに合わせて膝を付く、まるで騎士に姫様が出撃の任を激励するかのようだ。

そして、達也の額にキスをする。

 

 

すると達也から溢れんばかりのサイオン(霊気)が漏れだし、発光と共にサイオンの嵐が吹き起こる。

 

その影響でその場にいる人間はその光と風にさらされ、皆よろめき、一歩に二歩と後ずさる。

 

達也の封印が解かれたのだ!!

 

 

深雪は達也に

「ご存分に」

微笑みで別れを告げ

 

「行ってくる」

達也はその場を去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、京都の横島は真夜、温子、小鳥と共も食事を済ませ、食後のティータイムを楽しんでいたのだが。

 

 

「なんか会場の方が騒がしいっすね?」

横島は会場が突如人の出入りが多くなっている事に気が付き、皆に言う。

 

「どうしたんだろう?私ちょっと聞いてくるね」

そう言って小鳥は席を立って、レストランから出て行く。

 

すると、真夜の家人が何処からともなく現れ真夜の後ろから耳打ちをする。

真夜は一瞬驚いた顔をするが直ぐ元の微笑んだ顔に戻り

「横島さん、緊急事態みたいなの、先ほどのVIPルームに来ていただけるかしら」

横島にそう言った。

 

「え?何があったんすか?小鳥さんどうしよう?」

 

「私が相手しておくわ」

温子もそう言いながらも、家人が横に待機していた。

 

「では横島さん行きましょう」

そう言って横島と共に先ほど使用したVIPルームに真夜の家人と共に歩いて行く。

 

 

VIPルームに入った真夜は横島をまず座らせてから話を切り出す。

 

「先ほどの会場の騒ぎは、横浜の中継が切れたからなの、理由は、横浜に多数の襲撃者が現れ、今も軍が交戦中らしいのだけど、横浜港は一部を除き完全に占拠されたわ……」

 

「な!?それで、会場はどうなってるんですか!!」

横島は立ち上がり、普段見せない剣幕で真夜に聞いた。

 

「七草殿のご息女から連絡があって、今のところ大丈夫だそうよ。貴方のお友達たちもね。………あの子たちもいる事だし」

真夜は落ち着いて横島の問いに答え、後半は小声で言う。

もちろん真夜が言う。あの子たちとは達也と深雪の事だ、この時の横島には知りようもないが。

 

横島は真夜の様子に落ち着きを取り戻しソファーに座りなおす。

「無事……か、襲撃者は何者なんですか?規模は?」

 

横島がそう言うと家人がスクリーン衛星映像を映し出す。ジャミングされてところどころ画質が悪いが、仕方がない。

横浜国際会議場は無傷の様だが、街のビルなどは煙が出ている箇所が数か所見える。

どうやら町全体に戦闘が飛び火している様子が分かる。

 

「くっ」

下を向いたまま横島は席を立とうとしたが

 

「待ちなさい。既に戦闘が始まって30分たっているわ。今から行っても多分間に合わない。その頃には戦闘が終わっているし、軍の大隊が既に向かっているわ。あそこまで行く手段はないでしょう?良かったら、後で自家用ヘリを出してさしあげますわよ」

真夜はそう言って横島を引き留める。

 

しかし、横島がコマ送りで更新される衛星映像に映ったものを見て、目を大きくする。

そこには二足で動く不格好な、兵器が数両目に入る。そう直立戦車が写っていたのだ!!

 

横島は学校で習っていた。直立戦車は機動力が高く、対人用に特化した兵器だ。4月に第一高校を襲ったテロリスト程度がこのようなものを数をそろえられるはずがないのだ。

 

横島は真夜の引き留めに応じず。VIPルームを出た後、窓から飛び出し、森の中に身を投げる。

 

 

そして、森を走り抜け、山の中を高速移動をしながら額に手をやり唱える。

 

「我が名は横島忠夫……封印・解・禁!!」

 

横島の体から膨大な霊気が一気に膨れ上がり、青白い光と共に漏れ出し横島を中心に円を描くように青白い光の柱が形成され、霊気の嵐が吹き荒れる!!

横島はついに現世で封印を解いたのだ!!

 

 

そして、さらにスピードを上げ山々を飛び跳ねる様にして一路横浜を目指し進んでいく!!




ついに封印を解いた主人公たちの回でした。

次も似たような感じの展開になるのかな?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。