横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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感想ありがとうございます。

続きです。


横島、南国の海を楽しむ!!その2

横島組、達也組のボートは猛スピードで競争しながらしばらく進み、二艘は並走したところで漕ぐのをやめる。ふと見ると小島のビーチがかなり小さく見えるところまで来てしまっていた。

 

「はーーー疲れた!!」

横島はそのまま後ろに倒れ、仰向けになる。

 

「横島さんありがとう」

「はーーーー楽しかった!!」

横島の正面で並んで座っている雫とエリカは楽し気にそう言った。

 

 

「高校に入って、こんなに楽しく過ごせるなんて思ってもみなかった」

エリカはこんなことを言い出していた。

 

「私も、魔法の事だけを考えて学校生活をするんだと思っていたから、今は楽しい」

雫は無表情ながら、エリカの話にのり、同意した。

 

「あんたはどうなのよ?」

 

「俺か?……俺は楽しいかな、可愛い女の子いっぱい居るしな!!」

 

「あんたはそればっかりね」

 

「俺のモットーは楽しく過ごす事だからな!!」

 

「あんた見てたら、悩んだりしているのが馬鹿らしくなってくるわ」

 

「なんだ?エリカでも悩んだりすることあるのか?」

 

「あるわよ!!……まあ、人並みにね……」

エリカはそう言い返すが、後半は声が小さくなる。

 

「まあ、誰だって大なり小なり悩みの一つや二つあるか」

 

「横島さんはあるの?」

雫は横島に質問を返す。

 

「そりゃある!!……このノゾキ防止用ブレスレットをどうやって外そうかとか?」

横島は深く考えるようなしぐさをして、答えたのがこれである。

 

「あんたって、全然ぶれないわね」

エリカは呆れた様に言うが、どこか楽しげだ。

 

 

 

 

暫く、ボートの上で、海の上を漂い。思い思いに風景などを見たりして楽しんでいたのだが……

 

 

 

バシャーーン!!

 

達也達が乗るボートが突如転覆したのだ!!

 

 

 

「はっはっはーーーー!!驚いたか!!………やり過ぎた?」

沖まで遠泳をしていたレオが密かに達也達のボートに近づき、水面から急に現れ脅かしたのだ。

 

それに驚いたほのかは、急に立ち上がり後ずさったため、小さなボートはバランスを崩し転覆したのだ。

達也、深雪、ほのかは海に投げ出されるが、達也は魔法『水蜘蛛』を発動して水面に立ち、深雪は、ジャンプして転覆したボート上に立つ。

ほのかはそのまま、海に投げ出され……浮いてこない。

 

 

「ほのか!!ほのかは、泳げないの!!」

雫はその様子を見て、普段の彼女には考えられないぐらいの大きな声で、達也達に叫び、そして、自らも海に飛び込んだ!!達也はその声に反応し、海に潜ろうとする。

 

 

しかし、ほのかが海中から勢いよく飛び出てきた。

いや、横島がほのかを肩車をして、海から飛び出してきたのだ。そして転覆したボートの上にそのままバランスを取り着地。

 

「おっと」

 

横島は雫が声を上げる前に海に飛び込み、海中でおぼれているほのかを助けだしていたのだ。

 

 

しかし、状況を見た達也はサッとほのかから視線をずらし、後ろを向く。

レオは、ほのかを凝視しポカーンと口をあけたまま顔を真っ赤にし、片鼻から鼻血が垂らしていた。

 

横島はそんな反応をする男性陣に疑問を持ちながら、

「お前らどうした?……ほのかちゃん大丈夫?」

そう言って、肩車をしているほのかに視線を移そうと、上を向こうとする。

 

 

「ダメ!!」

ほのかは横島の頭を無理やり、両手で押さえつける。

 

 

そう、ほのかのセパレートの上水着が、溺れた拍子か、横島が勢いよく海から飛び出した拍子かで、外れて、その豊満なバストがあらわになっていたのだ!!

 

 

深雪はほのかを凝視しているレオに向かって叱りつける。

「西城さん!!」

 

レオは海面で鼻を抑え慌てて後ろを向く。

 

 

「横島さんのバカーーーー!!」

ほのかは涙目になって片腕で胸を隠し、片方の手で横島の頭をポカポカと叩く。

 

 

「痛い、痛いってほのかちゃん?ど、どうしたの?」

横島はまだ気づいていない。

 

雫が泳いで、転覆したボートに近づき、海面を漂うほのかの上水着を回収し、横島の目の前に掲げ、そして、深雪に渡す。

 

「あっ!!たはははははっ!!………ごめん。ほのかちゃん」

ようやく状況が分かった横島は、頭をポカポカ叩かれながら謝る。

 

深雪から水着を受け取り、ほのかは素早く着用する。

 

エリカがボートを漕いで、転覆したボートの真横まで付けていた。

横島はほのかが頭を叩くのをやめたため着用が済んだと悟り、エリカが居るボートにほのかをそっと下ろした。

 

男連中は転覆したボートを元に戻し、全員ボートの上に正座。

女子陣はエリカが乗っていた方のボートに乗って、男性陣を見据える。

ほのかはと言うと泣いている様で、雫が慰めていた。

 

「なぜ、俺まで」

達也は隣の横島に聞こえる程度の小声で愚痴をこぼしていた。

 

「あほ、悪くなくても、男が悪なのだ」

横島は、小声で達也に返す。何をしてもいつも怒られている横島は慣れたもんである。

 

「お兄様?何かおっしゃいましたか?……お兄様も同罪です。見たんですから」

深雪はどうやら達也の小声の愚痴が聞こえて様だ。その視線は冷たい。

 

深雪の声に反応して、ほのかは涙ながら言う。

「グスッ、達也さんも見たんですか……グスッ」

 

「……すまん」

達也はもはや意見などいえない状況だ。

 

「まあ、圧倒的にレオが悪いのだけど……」

エリカはレオを睨み付ける。

 

「すみませんでした!!」

レオは潔く謝る。

 

「やーい、怒られてやんの」

横島は小声でレオに子供じみた事を言う。いつも横島が一人怒られているのだが、今回は仲間がいる事で、心に余裕があるようだ。

 

「横島さんもです。ほのかの水着が流されているのを確認しようと思えばできたはずです」

深雪は横島にも、底冷えする目線を送りそう言った。

 

「……すみません」

 

 

「そうね。男連中にはちょっとしたペナルティが必要ね……」

エリカはそう言ってニヤっとし悪そうな顔をだす。

 

 

 

 

 

今、二艘のボートは沖から浜に向かって移動している。

メンバーはこうだ。

 

涙が止まらないほのかと慰め役の雫と深雪。

そして、もう一艘はエリカと横島だ。

 

 

達也とレオと言うと……

 

「お兄様と、西城さん頑張って!!」

「うん、頑張って」

深雪と雫がレオと達也に声を掛ける。

 

「うらーーーーー!!」

「なぜ、俺まで」

レオと達也は海につかり、ほのかたちのボートの後方を掴み、一生懸命バタ足をしている。

いわば、人間エンジンと化していた。

これがエリカが考えたペナルティなのだが、横島はほのかを助けたのとほのかのバストを見ていないという事で許され、エリカと共にボートに乗り、普通に漕いで戻って行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





海の別荘編結構長くなっちゃってます。

後2話を予定。

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