横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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おキヌちゃん編の最後サイドストーリー5を読んでから、此方を読んでいただけると分かりやすいかもしれません。

サイドストーリー5投稿してすぐ読んでいただいた方には申し訳ございません。
おキヌちゃんの手紙の口調が大分荒れていたため、結構な個所を修正いたしました。
申し訳ございませんでした。


横島夏休み編+SIDE STORY
横島、妙神山にひさびさに帰る!!


今は第一高校は夏休みの真っ最中である。

横島は九校戦が終わってすぐ、5か月ぶりに妙神山に戻る。

 

 

険しい山々の奥、妙神山への異界の門がある結界の前。

 

「開門」

 

横島がそう唱えると、何もない空間から徐々に人が入れる程度のトンネルが現れる。

 

 

横島は異界の門であるトンネルに入ると、現世では異界の門が閉じられる。

それと同時に横島が自身に掛けた暗示や封印が解けていく。

 

「ふう」

横島は体が軽くなるのを感じつつ、自分の状態を確認するかのように体を動かす。

 

 

 

しばらく歩き、妙神山、修験場の山門にたどり着くが……

 

「横島ーーーー!!」

「横島殿ーーーー!!」

 

妙神山修験場の守護する門番の鬼、右の鬼門と左の鬼門であるが、彼らは横島を確認すると何故か涙を飛ばしていた。

 

「遅いぞ!!」

「よく戻られた!!これで助かった!!」

彼らは涙を流し、横島の戻りを歓迎している様だが、何故かボロボロであった。

 

「ただいま、鬼門。なんで2人してボロボロなんだ?」

横島は妙神山と氷室村に居る間は以前の好青年に戻る。

 

「お主が帰ってこないからだ!!」

「その通りですぞ!!」

 

「ん?話が見えないんだが?」

そう言って、あたりを見渡すと、修験場自体もところどころ、壊れていたりと、全体的に破壊の痕が目立っていた。

 

「まさか、何者かの襲撃でもあったのか?」

横島は身構えるが、そのような殺気や邪気は感じられない。

 

「「違う。小竜姫様だ!!」」

門鬼たちはハモる。

 

「…………お前たち、もしかして、小竜姫様の逆鱗にふれたんじゃ?」

横島が言う逆鱗とは、小竜姫の背中にある人形態でもわずかに残る鱗の部分である。

そこを他人に触れられると、龍と化し、暴れだすのだ。

 

「恐れ多くてそんなことできるか!!」

「そうだ!!横島殿じゃあるまいし!!」

昔、小竜姫と会ったばっかりの横島は間接的にだが、逆鱗に触れ、この修験場を破壊するまで暴れさせたことがあるのだ。可愛らしい見た目と相反し、彼女は怒らせてはいけないのだ。

 

 

「じゃあ、何があったんだ?」

 

 

鬼門たちは代わる代わる語りだした。

「小竜姫様はお主がここを出て行ってから、しばらくはいつも通りだったのだが、1ヶ月ぐらいたった4月の後半位から、元気がなくなられてな、ぼーっとしておられることが多くなったのだ」

 

「われわれも心配はしていたのだが、どうすることも出来ん」

 

「そんな時に、ヒャクメ様が訪ねてこられたのだ」

 

「ヒャクメ様は元気のない小竜姫様を見かね、ある霊具をお渡しになられたのだ」

 

「千里眼のイヤリングを……」

 

「それで、横島の私生活を確認できるとヒャクメ様が言っていた。今の妙神山は完全に現世と分離しているため、小竜姫様の霊力やここにある霊具では現世の状況は確認できなかったのだ」

 

横島は話の途中だが疑問を口にする。

「ヒャクメ様も余計な事を……結局、小竜姫様は千里眼のイヤリングで俺の私生活を見ておられたのだな?それと、この修験場の破壊とどう関係があるんだ?」

横島は昔はヒャクメ様もため口で呼び捨てをしていたのだが、現在は敬意をもって接している。

 

「その、横島殿の私生活を最初の頃はそれは嬉しそうに見ておられたのだが、何故か急にお怒りになられたりするようになられた」

 

「終いには、『無礼千万!!あの赤髪の小娘を滅してまいります』『かの学校には私自ら天罰を下してまいります』『年上だからとて限度がある!!かのおなご共に天の報いをうけさせてやります』『誰を嘲笑したのか!!神をも恐れぬ愚か者共に天罰を!!』などと言って、下界に物凄い剣幕で、行かれようとしたのを、毎度我らと老師様で何とか思い留めてもらうのだが、その時の余波でこのありさまだ」

 

「最近では『なんと惨い、拘束するなど……もはや、現世も終わりです。我が業火を持って彼の地を灰にしてまいりましょう!!』と息巻いておられたのをやっとの思いで我らで止めたところであったのです」

鬼門たちは最後は、疲れ切った様相で語っていた。

 

「…………」

横島はそれを聞いて血の気が引いて行くのを自分で感じていた。

彼らや斉天大聖老師が小竜姫を止めていなかったら、第一高校がある東京八王子、さらに九校戦の会場である富士山麓は灰になっていただろうことは容易に想像が出来るからだ。

 

 

「……お前たち、本当に苦労したんだな……すまなかった」

横島は鬼門たちにそうして頭を下げるのだった。

 

 

 

 




そう、赤髪の彼女とあの先輩方々と、あの人たちや軍の関係者は、知らず知らずのうちに、跡形もなく消されていたかもしれません。

真に恐ろしいのはこの姫様です。

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