横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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横島、前回派手にやりすぎちゃたツケが今回の話です。


横島、静かに怒る!!

九校戦、初日が終了した。

本日は、本戦のスピード・シューティングが開催され、前評判通り、第一高校生徒会長の七草真由美が見事優勝。「エルフィン・スナイパー」の通名は伊達ではないのである。

 

 

一方横島は

「シクシクシクッ、堪忍やーー、もうせえへんから、ここから出してーー!!」

 

軍の宿泊施設の地下にある。拘束室に監禁されていた。

 

 

摩利は横島が騒ぎを起こすこ可能性が高いため、交流会に出さないよう、適当な仕事を言い渡し、部屋から出られないようにしていたが、何故か横島は出てきて、最悪な形で、第一高校の恥をさらしてしまったのだ。

 

横島の性格を把握している摩利ならではの対応ではあったのだが、横島の能力についてはまだ、把握していない様だ。

摩利は横島にしこたま説教を喰らわせた後、しばらく宿泊施設内での謹慎処分を言い渡すつもりだったのだが、会場(軍)の警備担当が訪れ、横島の身柄を要求してきたのだ。

 

彼らにすれば、九島烈から、痛烈に批判されたと思われても仕方がない状況だ。横島の行動は、会場全員の命を下手をすれば、握っていた事になるためだ。ここは仮にも軍の施設なのだ。「悪ふざけでした」では済まされない。彼らのプライドもある。しかも、護衛対象である、九島烈自身を危険にさらした事になるのだから。

 

摩利は、一言二言、警備担当に横島の身柄要求は不当だと抗議したが、横島自身に非がある事は明らかなため、不本意ながら了承せざるを得なかった。

 

 

 

 

 

九校戦が2日目が終了した。

本戦のクラウド・ボールが開催され、またしても、真由美が見事優勝。真由美の能力の高さがうかがえる。

 

 

一方横島は

「シクシクシクッ、ワイが何をやったって言うんやーー!!ただ、自己紹介しただけやったのに!!」

やり方がまずかったのだ。ここはギャグでは済まされないのだ。

まだ、拘束室に監禁されたままである。

真由美や十文字克人、摩利が抗議に来たのだが、了承が得られなかった。

 

 

 

横島が拘束室は牢獄と違い、他の宿泊室の部屋とさほど変わらない。一般の部屋より、少し豪華な作りになっているぐらいだ。食事も飲食も普通に出来る。

しかし、監視カメラ等は取り付けられ、扉は外からしか開けられない。監視員も外にいる様だ。

そして、尋問は長時間にわたって行われる。

答えは出ない。当たり前だが横島には人を害する悪意が全くないからだ。

 

 

 

 

九校戦が3日目が開催。

バトルボード女子決勝戦。

この競技は人工水路をサーフボード状の物の上に乗り、ゴールを目指す。水面に干渉する魔法は使用可能だ。

第一高校では摩利が進出している。

去年は摩利と第七高校の選手とで争い、摩利が優勝している。今年も同じ組み合わせとなり、注目の試合となっている。

 

 

 

何時もの面々が、客席で固まって試合を観覧している。

 

「シクシクシクッ、せっかく摩利さんの水着姿が拝めると思ったのに、なんで、あんな露出の少ない恰好なんだ!!」

 

軍に監禁されているはずの横島が現れた!!

どうやら、摩利の水着姿を見たかった様なのだが、残念ながら、競技用水着はウエットスーツの様なものだ。横島のあてが外れたようだ。

 

そう言って、レオの隣に座る横島。

 

レオが横島に疑問を言うのだが……

「横島、お前、軍に監禁されてたんじゃないのか?出してもらえたのか?」

 

「いやー、摩利さんの水着姿が見たくて、抜け出した!」

平然と言う横島。

 

美月は心配そうに問うた。

「それって、大丈夫なんですか?」

 

エリカも心配しているくれている様だ。

「よく抜け出せたわね。後でまた怒られるわよ!!」

 

「たははははっ、バレたらバレた時だって!」

マイペースな横島である。

 

「……横島……渡辺先輩や真由美さんに後で謝っておけよ」

達也は横島に呆れたようにそう言う。

 

「わかってるって」

 

 

 

 

バトル・ボード決勝が開始!!

 

摩利が水面を揺らす魔法をかけ、他の選手の出鼻をくじく。

 

摩利が先行し、先ほどの摩利の魔法を回避した七校の選手が追いすがる。

 

 

最初の90度のコーナーに差し掛かる。

そこで事故が起こった。

 

スピードに乗った七校の選手が、コーナリングが出来ず。コーナーを減速中の摩利に衝突したのである。摩利は衝突して七校の選手を抱き留めながら、競技用の防壁に激突したが、その壁すらぶち破り、観客席の壁にまで到達し、倒れた。

 

摩利も七校の選手も動かない。

 

 

その様相に会場に悲鳴が上がる中、横島は真っ先に摩利と七校の選手の元に駆け付けた。

達也もその後に続いていた。

 

横島の見立てでは、七校の選手にはケガがなく気絶をしているだけのようだ。摩利が壁の激突の際、かばっていたためだ。

 

摩利の方は明らかに重症だ。骨が何本か折れている様だ。意識もなかった。

横島は、摩利を前で抱きかかえ、医務室に向かう。その際も横島は霊気を流し、悪化や痛みを和らげるようにしていた。

 

真由美も駆けつけ、達也と共に、横島の後に続く。

その際の横島の顔つきはいつもと違い、真由美でさえ、声を掛けるのをためらうようであった。

 

横島は真由美に

「真由美さん、治療を行います。ベッドをお借りします。部屋には誰も入れないでください」

そう言って、処置室のベットに摩利をそっと下ろす。

 

「わかったわ」

医療スタッフもいたのだが、少し外に出る様にお願いし、しぶしぶ医療スタッフも一時的にその部屋を出て、七校の選手の方にかかる。

 

 

横島は摩利の骨折箇所の治療を行う。

 

摩利は意識を取り戻し、真剣な顔の横島の顔を目の当たりにし、弱々しく声をだす。

「……そんな顔もするんだな。……私はどうなった?」

 

「もう、大丈夫ですよ。今は眠っていてください」

横島は、優しく摩利にそう言うと、手のひらを摩利の前にかざす。摩利は再び眠りについた。

 

摩利の治療に5分とかからず、処置室から出てくる横島。

 

そこには真由美や達也だけでなく、軍の人間が複数いた。横島を再び拘束するためだ。

監禁していたはずの横島が、いつの間にか、TV中継で映っていたのだ。警備の人間も驚いていたに違いない。

 

横島はまずは真由美に笑顔で言う。

「摩利さんはもう大丈夫です。今日は休ませてあげてください。後、着替えをしてあげてくださいね」

 

「わかったわ、直ぐに手配するわ。……横島くんありがとう」

そう言って、処置室に真由美は入っていった。

 

 

今度は達也の耳元まで顔をやり

「達也、摩利さんや七校の選手に魔法をかけた奴は間違いなく居なかった。俺には二人とも自分で魔法をかけた様に見えた。理由は分からん。後は頼んだ……」

横島はそう言った。

 

達也も見ていたが、摩利が七校の選手をかばう際、不自然に水面が揺れていた。それで大きく摩利はバランスを崩したのだ。達也はそれは、他の場所から、誰かが摩利に対して、妨害したのだと認識していたのだが、横島の言で、その説は消えた。

 

達也は横島に一言

「後は任せろ」

 

 

 

そして、横島は軍の人間に自ら歩み、拘束され、連れていかれる。

 




横島、ちょっと怒ってます。
自分がやった所業で、こんな状況になった事に自分自身に対しての怒り。反省ですかね

摩利と七校の選手の事故が、第三者の悪意があるように思えてならないための怒りです。

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