1年E組のおなじみの面々登場です。
昼休みの終わりかけ、1年E組に横島は戻って来た。その制服は少し汚れていた。
さっきまで、下着泥犯人と間違えられ、風紀委員長の渡辺摩利に追いかけまわされていたのだ。
そんな横島に声をかける気さくな男子生徒がいた。
「横島、昼休憩どこに行ってたんだよ。一緒に飯に誘おうとしたのによ」
「風紀委員長に追いかけ回されてたんだよ。冤罪でだ。ちくしょー!!おかげで昼飯にありつけなかったぞ」
「お前、完全に、風紀委員に目をつけられたな、入学初日にあんだけ大々的にナンパしてりゃあな」
横島に話しかけたこの男子生徒、西城レオンハルトと言う。顔立ちも堀が深く、名前から日本人以外の血が入っている事は分かる。横島にはレオと呼ばせている。
入学初日に席が横の横島に声をかけたのである。ナンパ騒動を起こしている横島に、まだ声をかけてくれる様な気さくな少年だ。
「そうだ。横島、紹介する」
レオは席を立ち、ある少年の前まで横島を連れて行く。
「達也、こいつが、今日話していた面白い奴だ。横島って言うんだ」
達也と呼ばれた整った顔立ちの少年は席を立ち、自己紹介をする
「司波達也だ。よろしく」
「俺は横島忠夫、なんだこのクラス。イケメンしかいないのか?……ちくしょーーなんだかとってもちくしょーー!!」
司波達也の顔を見て、横島は雄たけびをあげながら涙するのだ。
レオは達也に
「な、面白い奴だろう?」
「面白い?まあ、変な奴だがな」
達也は無表情ながらそう言った。
その横で話していた女生徒二人は、その輪に入って来た。
「あっ、1年の女子全員にナンパした奴じゃん!!」
快活そうな女生徒はそう言った。
「うん、私も声かけられた」
眼鏡を掛けた大人しそうな女生徒は横島の被害者らしい。
「美月は声かけられたんだ」
横島はすかさず、まずは快活そうな女生徒に声をかける。
「ボク、横島!!元気そうなお嬢さん!!よろしく!!」
「わたしは、千葉エリカよ。よろしくねナンパの横島くん」
続けて美月と呼ばれた大人しそうな女生徒に横島は声かける。
「ボク、横島!!眼鏡が似合うお嬢さん!!よろしく!!」
「柴田美月です。その、お手柔らかに……」
エリカは横島に質問をする。
「横島くんはなんで、1年生全員に声かけたのに、私にはナンパしなかったの?」
「ガサツそうだったからじゃねえか?」
レオが横からちゃちゃを入れた。
「あんたに言われたくないわよ」
エリカはレオに反論する。
「三分の一位に声かけたんだけど、風紀委員長に捕まっちまって、校内でナンパ禁止になった。くそー、あの鬼めーー俺の青春かえせーーーー!!」
横島は説明をするが、後半は心の叫びだった。
エリカはそれを聞いて笑っていた。
「プッ、鬼だってあの女にお似合いね。横島くんあんたと気が合いそうね」
エリカは風紀委員長の渡辺摩利を知っている様だ。しかも嫌っている様相だ。
「みんな、次、魔法稼働実習よ、早く移動しないと」
美月はここにいる連中に次の授業が実習室であることを伝える。
1年E組の午後からの授業は魔法稼働実習だ。
魔法の術式稼働によって機器を制御する実習だ。
それぞれ、順番で実習を受けて行く。
横島は順番待ちの間、キョロキョロとしている。前にいるレオに小声で質問する。
「レオ、これってどうやって動かすんだ?」
「はぁ?」
「だから、何をどうしたらいいのかさっぱりだ。教えてくれ」
「お前、何言ってるんだ?」
「いや、だからわからないんだって」
「お前CADを起動させたことないのか?」
「CADって?あの端末みたいな奴だな」
「おい、まじかよ………お前、なんでこの高校に入学できてんだ?」
「俺もわからん」
「はぁ?」
「いいから、教えろって」
「……サイオンを注入して、起動させるんだ。後はお前の演算能力次第だ……」
「……サイオン……あ?霊力か……サイオンを込めればいいんだな、演算能力って?まあいいか、なんとかなるだろ」
横島は、現代魔法の知識は全く持ちあわせてないのだ。
「おいおい、霊力って大時代的な……まあ、いいや俺がやっているのを見ておけ」
レオは自分の番が来て制御しだす。
横島はレオが術式稼働機器を制御している所をじっと見ていた。
「まあ、こんなもんか」
レオは終了したようだ。
横で見ていたエリカはレオにちゃちゃを入れる。
「あんたって本当におおざっぱね」
「うるせー……次、横島やってみろよ」
「よっしゃ!!」
横島は気合十分だ。
「そんなに気合い入れなくっていいって、リラックスだ」
レオはそんな横島にアドバイスを入れる。
なんだかんだとレオは面倒見がいいみたいだ。
横島は制御盤に手を触れる。
「フハハハハハハッ 霊力注入!!」
横島は直ぐに調子に乗る性質があるのだ。
バチバチバチバチバチーーーン
ズドドドドーーーーーン!!
機器はスパークして、制御を失い爆発を起こしたのだ。
横島はモロに爆発を食らう。
「ぎゃーーーーー!!」
「おい!!横島大丈夫か!?」
「横島くん!?」
レオとエリカは心配そうに横島に近づく。
横島は立ったままだったが、丸焦げになって、プスプスと煙を上げていた!!
「こんなんばっかりーーーーー!!なんでじゃーーーーー!!」
顔をぐしゃぐしゃにしながら涙をまき散らしだした。
「……なんか、大丈夫そうね……」
「……そうだな」
あんな状態だが、元気そうな横島をみて、エリカとレオは呆然としていた。
この後の授業は当然中止となる。爆発した機器は、故障と見なされた。
実際には過度のサイオンいや霊力の異常な注入によるものだが……
横島自体は無傷だった。
横島は生来の耐久力と回復力でノーダメージだが。頭の天辺から足元までギャグで出来ているため、なぜか丸焦げになってしまうのだ。
しかし、実習服はボロボロとなり、買いなおす羽目になった。
やっちまった……
連続投稿です。