横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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漸く悪霊退治開始です。



171話 横島 エリカに強力な霊具を渡す!!

週明けの月曜日、放課後の横島自宅マンション16:30。

この日、横島は風紀委員会を非番にしてもらい、本日から開始する協力体制下での悪霊対策、その準備をするために早めに自宅へ帰ったのだが……

 

 

「悪霊退治20:00からって言ったよな。お前ら何でこんなに早くから居るんだ?」

 

「はぁ?そんなこと言ってた?……レオ聞いてた?」

制服姿のエリカはリビングのソファーにボスっと我が物顔で座りながら、隣のレオに聞く。

 

「昼休みに言ってたぞ」

 

「……なんでレオまでいるんだ?悪霊退治に関係ないだろ?」

 

「俺も参加するからに決まっているからだろ。俺も一応千葉家門下らしいからな」

レオはテレビをつけながら当然の如くそんな事を言う。

 

「……で、幹比古。お前まで何でこんな時間から居るんだ?」

 

「いや~、横島が悪霊用の悪霊退散札を分けてくれるって言ってたから、つい居ても立ってもいられなくて……」

同じくソファーに座っている幹比古は苦笑いをしながら言い訳を言う。

 

「……ただじゃないぞ、今日はデモみたいなもんだ。今後はちゃんと六道のショップで買えよな」

 

「も、もちろんだよ」

 

「……美月ちゃんまで……、まさか参加するなんて言わないよね」

横島は次に幹比古の横に座っている美月に顔を向ける。

 

「だ、大丈夫です。みんなに連れられて来ちゃっただけですから、ちゃんと帰ります」

 

「ほっ、まあ、本来美月ちゃんが一番悪霊退治に向いているんだけど、戦い方とか教えてないしね。それが良いよ。一応これ渡しておくね。美月ちゃんも霊力高いから、悪霊に襲われるかもしれない。この札は念のために、持ってて、それと、早めに無人タクシーで帰ること」

 

「ありがとうございます」

 

今度はリビングの入り口の方から声がする。

「横島~~、人いっぱいで掃除できないんだけど、と言うか掃除ってどうやるの?学校と一緒?」

「香澄ちゃん。先輩に呼び捨ては良くないです」

中学の制服姿の七草香澄はジトッとした目で横島をみて文句を言い、双子の妹泉美は香澄の呼び捨てを注意する。

 

「なんで、香澄ちゃんがいるの?しかも泉美ちゃんまで…」

 

「勝手に家を出たペナルティだよ。来たくて来てるんじゃない!何か文句ある?」

香澄はなぜか偉そうにそんな事を言う。その横で、姉の横柄な態度に対して、横島に頭を何度も下げる泉美。

香澄たち双子姉妹は、七草弘一に勝手に家を出たペナルティーとして、毎日横島宅に来て、横島の生活サポートを行うように言い付かったようだ。

 

「聞いてないんだけど……真由美さーーん。どういうことですかー?」

横島は台所に向かって大きな声で聞く。

 

「ごめんね横島君。料理するの、まだ慣れてないから、ゆっくり待っててー」

キッチンから制服にエプロン姿の真由美が野菜やらを洗いながら大きな声で答える。

七草家の強引に決定した横島健康管理請負と真由美自身の横島癒し作戦の一環とし、手料理を振舞うようなのだ。

しかし、なれない料理に集中しているあまり、横島の質問の意図が伝わらなかったようだ。

 

「はぁ~、しかも、深雪ちゃんまで来て、いっしょに料理を手伝してるし~」

横島は疲れたような顔をして、真由美の横で、手際よく料理の準備をする深雪を見る。

深雪は、兄達也の監視のため動向しているようだ。先日の達也男色疑惑は一応決着は付いたのだが、今後そうならないとも限らないのではないかと、考えたようなのだ。

 

 

「横島!ボクの話聞いてるの?どこを掃除すればいいのって」

香澄は頬を膨らませながら横島に詰め寄る。

 

「ああ!もう、人いっぱいだし、そこらへんで休んでるか、もう帰っていいよ!」

 

「お姉ちゃんを置いて帰るわけには行かない!」

「お父様にも言われているので、すぐに帰れません。……ところで、マリアお姉さまどこに行かれたのですか?」

そんな事を言い、七草双子姉妹は二人とも帰るつもりが無いようだ。

 

「はぁ~、もう好きにして」

 

 

横島はうんざりしながら、寝室兼自室に戻るのだが……

「………達也、おまえ、人のコンピュータで何やってる」

 

「ほう、お前も直接入力とは驚いたな」

なぜか達也が自室で、勝手に横島の机の上に置いてあるパソコンを勝手に起動させて、なにやら作業をしている。

この時代、キーボードによる直接入力を行っている人間は珍しいが、横島は100年前の人間だ。このほうが、しっくりくるらしい。達也も、もちろん直接入力派だ。

 

「おい、人のPCでなにやってんだって、聞いてるんだ!」

 

「ああ、悪霊対策協力体制を円滑に進めるためのツールソフトを組み立てたものをインストールしておいた。これで現状使用している携帯端末のソフトと対応しているため、横島からの指令や連絡事項、悪霊の居場所のフィールドマップなどを簡単に共有できる」

 

「いや、勝手にするなよ!」

 

「そうか、ソフトの説明する」

達也は横島の注意など耳にはいらないかの様に話を続ける。

 

「人の話聞け!!」

横島は達也に怒鳴る。

 

 

「達也、タダオの物を勝手に触るなんて常識が無いわ」

そんな達也の行動を批判するリーナの声が聞こえるのだが……

 

「そこ!人のベットにもぐりこまない!!」

リーナは横島のベットの上で横島の布団に包まっていた。

 

「日本は寒いし、タダオの布団はあったかいし、タダオの匂いがするし……」

何故か顔を赤らめるリーナ

 

「エアコンつけてるじゃないか!」

 

「い、いざという時にも眠気が出ないように仮眠をとるのも軍人の役目よ」

リーナは横島の布団に包まりながら、こんな言い訳を言う。

 

「……はぁ~、で、シルヴィアさんは何でここに?」

横島はあきらめ顔で、次にベットの横のクローゼットを勝手に開けているリーナの補佐官であるUSNAスターズのシルヴィア・マーキュリー准尉にたずねる。

 

「少…コホン、リーナにお着替えを持ってきまして、集合場所はここだとお伺いしました」

 

「リーナ!ちゃんと時間言ったよな20:00って、家に帰って着替えてからでも十分間に合うじゃないか」

 

「だって、どうせここが集合場所だし、タダオと一緒にいたいから……、後真由美が余計な事しないか見とかないといけないし、今回はシルヴィもタダオと一緒に悪霊退治するから、ここに呼んだの」

 

「それはわかった……で、そのシルヴィアさんは、何でクローゼットの中を検査してるんですか?手に持っているファイルはなんですか?」

シルヴィは、何故かファイル状の情報端末を片手に、クローゼットの中身を見ながら何かをチェックしていた。

 

「リーナがお世話になるのです。横島さんの、趣味志向の把握……いえ、横島さん宅に危険物が無いか事前にチェックしているだけなので、お気になさらずに」

 

「気になるわー!!」

 

 

皆思い思いに横島宅で過ごしている。

もはや、横島宅に横島の居場所がなくなっていた。

 

 

 

はぁ、うんざりした表情で、リビングに戻る横島。

 

「まあ、いいや、真由美さんたちがご飯を作ってもらっている間に説明するか……エリカとレオと幹比古ーマンションの屋上に来てくれ……まあ、美月ちゃんも一応見学する?」

そう言って、エリカ、レオ、幹比古、美月をマンションの屋上に連れて行く。

もちろん屋上には横島が認識した人間以外入ってこれないように結界を張ってある。

 

「そんじゃ、悪霊退治の道具だが、まずはエリカから、この前エリカから預かった刀に悪霊退散用の術式を組み込む作業を行ったんだが……」

そう言って横島はエリカの愛刀紅丸を返す。

横島が千葉家に訪れた際、古くからの剣術の名家である千葉家にも、霊刀の類のものがあるかも知れないと、千葉家が保管している刀を物色したのだが、それに類するものは無かった。

次の方法として、エリカが普段使用している刀と、そして、術式に耐えれそうな刀を何本か預かり、横島自ら術式を組み込み、霊刀を製作することにしたのだ。

 

「もしかして、うまくいかなかったの?」

 

「いや、術式を組込んだ霊刀は出来たんだが、ひとつ問題があった。使用するだけで霊気…サイオンをかなり消費するんだ。対魔術式自体を組み込んでいるため、それ相応の霊気が必要となる。しかし、エリカは霊気……サイオン量が多くはないため……短時間しか稼動できない。すぐにサイオン欠乏症に陥る可能性もある……」

 

「……そう……でも、それはいつもの事よ。剣術や技術で補うから気にしないでいいわ。これで悪霊とも戦えるってものよ……それだけで十分」

エリカは一瞬悔しそうな顔をするが、すぐにいつもの表情に戻る。エリカ自身サイオン量が皆より少ないことは理解している。しかしそれを、剣術と技法で補っていた。

といってもエリカが特別サイオン量が少ないわけでもない魔法科高校に通っている生徒の平均に比べ少ないだけだ。

 

「いや、それは何とかなった。カオスのじーさんにカスタマイズしてもらったからな。起動自体に霊気を必要としないようになった。刀自身でもある程度霊力を帯び、使い手の霊気をマネジメントする機能も搭載している。また、斬った相手からも霊気を奪う事もでき、術者の霊気が少なくても、十分戦えるだけのものになった。エリカの場合。剣術や細かい技術が優れているから、かなり力になる。さらに使用者に対して防御術式も展開できるようにしているらしい。ただ……」

 

「ドクター・カオスにって!!なによそれ!!防御術式も展開できるって、なによそれ!すごいじゃない横島!!これさえあれば、今度こそ、皆に遅れをとることはないわ!!ありがとう!!」

エリカは珍しく興奮気味に横島にお礼を言うのだが……

 

「でもな……その扱いが難しいというか……カオス流っていうか……」

横島は何故か心苦しそうにこんなことを言う。

 

「さっきも言ったけど、扱いが難しいなんてものは技術で何とかできるわ。私は今までだってそうやって来た。でも、これさえあれば、私でも十分戦える!!」

エリカはうれしそうに返ってきた愛刀を見る。

 

「……ま、まあ、その、ちょっと刀抜いてみればわかる」

横島は言い淀む。

横島は何か知っているのだろう。やはり、ドクター・カオスがカスタマイズしている時点で嫌な予感がする。

 

「ん?別に前と変わったところはないようよ」

エリカはその場で愛刀紅丸を抜くが、一見変わったように見えない。

 

「エリカ、血を一滴柄に含ませてくれ……それでその刀は起動する」

横島はエリカにそんな事を言う。

 

「なによそれ……まあ、いいわ」

エリカは手馴れた手つきで刀身の根元で、すっと親指の薄皮を切り、血を一滴出し、柄にしみこます。

 

 

すると……紅丸の刀身が一瞬淡い赤色に光る。

『んん?おい、この娘っこがマスターか? どうなんでい横島の旦那!!もしや旦那の愛人か?』

 

「か……か、刀がしゃべった!?」

紅丸を構えるエリカは素っ頓狂な声を上げる。

そう紅丸から江戸なまりの男性の声が聞こえるのだ。

横島は頭痛がするかのように頭を抑える。

 

「ははっ!なんだそりゃ!」

レオはその様子に笑っていた。

 

「なにそれ、刀がしゃべってない?」

「しゃべる刀?もしやインテリジェンスソード?」

幹比古と美月はその様子に驚くが、美月はどうやらその刀の名称がわかるようだ。

 

『刀がしゃべって何が悪い!!このべらんめぇ!!』

紅丸は皆に悪態を付く。

 

「な、何よこれ!!よ、横島ーーーこれ、どうすんのよ!!」

 

「喜べエリカ……それが、新生紅丸……いや、本人曰く、紅鮫丸。新しい相棒だ。美月ちゃんが言ったとおり、インテリジェンスウエポン。意思のある武器、まあ、この場合は刀か……、カオス特製カオス式AIを搭載させ、さらによくわからん術式を放り込んだ擬似インテリジェンスソードらしいんだ。自ら意思があるため、刀自身が霊力コントロールが可能になり、マネジメントを行う。エリカの血を与えることで、エリカとリンクし、数倍の力を発揮するらしい…………らしいが………なんかすまん」

 

『おう、娘っこ!おめー、キレ―な顔に似合わず、なかなかの使い手じゃねーか!まあ、気長によろしくな!!』

 

「ええーーー!!どう扱えばいいのよこれ!!」

 

「プククククッ、お前、プクッ…扱いが難しかろうが、プクッ、技術でなんとかするんだろ?ダメだーーーー我慢できん。はーーーはっはっはーーーー!!」

レオは笑いをこらえながらエリカの揚げ足を取っていたが、ついに我慢が出来ずに豪快に笑った。

 

「レオ!!あんた!!覚えてなさいよ!!……横島ーー!!紅丸に何てことするのよ!!」

 

「だから、すまんって……でも、これでエリカもかなり手ごわい悪霊、いや悪魔も倒せるってもんだ。実際その紅鮫丸と完全にリンクすると、紅鮫丸の能力がエリカにも使える。要するに悪霊を見ることや見分けることも可能らしい。カオス曰く、最高傑作らしいぞ」

 

『横島の旦那、褒めても何も出ませんぜ!』

 

「うううう……これで、悪霊や悪魔を倒せるんだったら……刀がしゃべるくらい………」

エリカは紅鮫丸を携え、羞恥で顔を真っ赤にして、プルプルと震えていた。

 

「エリカちゃん大丈夫?」

美月は苦笑しながらエリカに労わる様に聞くが……

 

「大丈夫じゃないわよ!!今、一生懸命自分に言い聞かせてるの!!」

まだ、大丈夫ではなかったようだ。

 

 

さすがは世界の変態錬金術師ドクター・カオス!!期待を裏切らない!!

性能はすさまじいのだが、なにか、とんでもない副作用を待っているはある意味必然なのだ!!

 

 

 

 

 

この後、皆に霊視ゴーグルと呪縛ロープの扱い方を説明する。

レオにはとりあえず、破魔札ショットガンの扱いを教え、後日、レオに合ったものを用意することにした。

幹比古と一応美月には破魔札などの各種悪霊退散札の扱いを説明する。

幹比古は目をキラキラさせながら説明を聞き、そして札を手にすると、子供のように喜び、試しに破魔札を適当な目標に向かって飛ばし、発動させる。

さすがは古式魔法の名家吉田家の次男。札の扱いは手馴れたものだ。協力体制のメンバー中で一番、当てにできそうだ。

美月もちゃんと発動させることが出来たのだが。まあ、まともに飛ばせはしないだろう……

 

 

 

 

 

 

 




うーーん、エリカの設定を少しいじってます。
原作見る限り、エリカの弱点って何なんだろうと改めて思ったのですが……こういうことにしておこうと……

TOD発想のインテリジェンスソードについて……最初は原作横島のバンダナ風だったのですが……エリカ東京生まれだし、江戸っ子じゃないかな~って思っていたら
何故か、デ○フリ○ンガー見たいになった><すみません。

次はリーナと達也と深雪の霊具編

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