横島MAX(よこしまっくす)な魔法科生   作:ローファイト

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142話 横島、吸血鬼の来襲!!

「夜分にごめん、雫ちゃん」

横島は雫を電話で呼び出して、横島の部屋に来てもらっていた。

 

「うん、大丈夫。どうしたの横島さん?」

雫は薄手のネグリジェ姿のままだったが、今は気にしていられない。

 

「第一高校がピンチのようなんだ。それで俺は今から日本に帰る」

 

「え?今から?私も帰る!」

雫は一気に目が覚めた様に、そう言った。

 

「雫ちゃんはここに残って、今はあっちの方が危険そうなんだ。俺が此方で事件を解決しようとしていたのは間違いで、どうやら知らないうちに日本で危ない事件が起こっているらしいんだ」

 

「え?そうなの?ほのかはそんな事を言ってなかった」

 

「たぶん。雫ちゃんに心配かけないでおこうとしたんだよ」

 

「俺もさっき美月ちゃんに聞いて初めて知った。しかも緊急を要する事態だ。多分、魔法師では対処が出来ない」

 

「……うん」

雫は横島の服の袖を掴み。しぶしぶだが了承の返事をするのだった。

 

「こっちで何か起こってもマリアが雫ちゃんを守ってくれる」

 

「今からってどうやって?」

 

「カオスのじーさんが何か用意してくれるらしい……まあ、それも不安なんだが」

横島がカオスに最速での日本行を頼むと、喜々として、マリアに「あれを用意しろ!フハハハハッ」何か準備をさせ、横島にはこのホテルの屋上に待つように言った。

 

 

 

横島は私服に着替え、屋上に行く。勿論服の中には各種札が用意されている。

雫も黒沢さんに付き添ってもらいながら、横島と屋上に行くとカオスとマリアが何やら持って立っていた。

 

「じーさん、屋上からどうするんだ?」

 

「フハハハハハハハハッ、取り合えずこれを着て見せよ」

 

横島はマリアに宇宙服のような物を着せられる。

そして、宇宙服の肩に何やら取り付けられた。

 

「フハハハハハハッ、見よ!!これが魔法技術の粋をつぎ込んで開発した。最新型のカオスフライヤーじゃ、その名も、マリア専用大気圏突破型OO(ダブルオー)カオスライザーX2じゃ!!」

カオスは自信満々に横島が来ている宇宙服のような物を紹介する

 

「……じーさん、名前に何か不吉な言葉が入っていたのだが?」

 

「なんじゃ?OOカオスライザーX2のどこが不吉なんじゃ?」

 

「いや、そこじゃない、もっと前だ」

 

「まあ、元々マリア用に開発したものじゃしな、しかたなかろう」

 

「いや、そこじゃない。真ん中」

 

「大気圏突破型、当然じゃろう。最速で日本に行くには大気圏突破ぐらいせんとな」

 

「あほかーーーーーーーーー!!生身で大気圏突破できるかーーーー!!」

 

「生身じゃないぞい」

 

「宇宙服にホウキが二本、肩についているだけやないかーーーーーーー!!」

 

「何を言っておる。宇宙服ではないぞ。カオスフライヤーに軽量化を極限まで進めた結果、こうなったのじゃ、実にシンプルにして、すばらいいフォルムじゃ!!まさに天才の所業じゃ!!フハハハハハハッ!!」

 

「……どうなったら、戦闘機みたいのが、軽量化したら宇宙服になるんだ?しかもこんなので、飛べるのかよ。とても宇宙まで行けるとは思えん。しかもヘルメットの上にあるブレードアンテナはなんだ!?」

 

「それはわしの趣味じゃ」

 

「……じゃあ、なんで魔法のホウキが背中じゃなくて、肩についているんだ?」

 

「それもわしの趣味じゃ」

 

「……無理!!絶対無理!!他なんかないのか!!もっと安全そうなの!!」

 

「なんじゃ、お主、早く着きたいと言ったではないか?これだと多分30~40分で日本に着くぞい」

 

「……もうこれでいいです」

横島はヘルメットの中で涙を流し了承する。

 

「横島さん、かっこいい!」

雫はそんな横島を目をキラキラさせて見ていた。

 

「横島さん・頑張って・下さい・失敗しても・記憶喪失に・なるぐらいです」

励ましているのか脅しているのかイマイチわからないような不吉な事を言うマリア。

 

「うううう、じゃあ、じーさんやってくれ」

 

「音声ガイダンスが入っておる。音声入力で操作可能じゃ……ふむ、小僧。達者でな。いつでもこのカオスを頼れ」

 

「ああ、じーさんありがとな。マリアもありがとう。雫ちゃんをよろしく頼む」

 

 

カオスとマリア、雫に黒沢さんが見守る中。発射の掛け声と共に大気圏突破型OO(ダブルオー)カオスライザーX2を着こんだ横島は凄まじいスピードで一直線に上空へとぶっ飛び、横島の絶叫と共に空のかなたへと消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

一方、

リーナは学校に行ったのだが、一昨日勝負で負けた相手であるクラスメイトの深雪とは顔を合わせにくかった。しかも、自分がUSNA軍スターズのアンジー・シリウスであることもバレたのだ。

しかし、深雪はリーナに普段と同じように挨拶をかわした……のだが。

 

「あらリーナ、おはよう。もう学校に来ても大丈夫なの?どこか体調でも悪かったの?何処か怪我でも?」

深雪は一見普通の挨拶の様だが、自分で倒した相手に対し皮肉一杯である。

 

「いえ、ちょっとした用事があったので、休んでいただけよ深雪」

リーナは引きつった笑顔で、こう言い返すのが手いっぱいだった。

 

深雪はスッとリーナの耳元まで口を寄せ

「次に、お兄様に無礼を働くようであれば容赦は致しません」

顔は笑顔だが、寒気がするような低い声色で脅していた。

 

「くっ……」

(このブラコン冷血女!)

リーナは言い返すことも出来ない。

司波兄妹には一昨日、完膚なきまでにやられたのだから。

 

そして、リーナの学校生活は始まるのだが……

(そう言えば、ミアがこの学校に来るって言っていたわね。挨拶に行った方がいいかしら?)

ミアこと、ミカエラ・ホンゴウは、リーナと同じくUSNAの諜報員なのだが、スターズではなく優秀な魔法研究員でその経歴を活かし、今は外資系会社のエンジニアリングとして日本に潜入していたのだ。

今日は、その外資系会社から第一高校へ、魔法関連の測定器を納入にエンジニアリングスタッフとして同行。特に任務とは関係は無い仕事なのだが、会社の命令で来ることになっている。

 

 

 

 

一方、横島と連絡を終えた美月は横島の警告をみんなに伝えるべく、皆が集まっているだろう食堂に戻ろうとした時の事である。美月は異様な霊気、良くない霊気を学校近隣に現れた事を感知したのだ。

美月は足早に、皆が居るだろう食堂に戻るがそこには、何時ものメンバーは居なかった。

深雪、ほのかは生徒会室で食事をしている事が多いため元々いない。達也もそちらに行っている事が多い。

レオは今、入院中でいないが、エリカと幹比古は食堂に居るはずなのだが……

 

 

エリカと幹比古は、達也から連絡があり、急いでCAD事務室の預かり所に向かい、CADの返却をしてもらいに行っていた。十文字克人も同様の用件でにここに駆けつけていた。

CADは通常の生徒は登校時にここに預け、下校時に返却されるのだ。授業内容によってはCADはその授業の間返却される。よほどのことが無い限り、構内でCADを携帯出来ない様にしているのだ。

 

達也からの連絡とは吸血鬼(パラサイト)が校内に侵入したとの事だったのだ。

達也は取り逃がした吸血鬼に発信機となる魔法式を打ち込み。それを元にこの数日吸血鬼を探していた。

さらに、吸血鬼が魔法師を狙っている事から、学校にも来る可能性を考慮して、学校には無断で、校内警備、防衛を行っている術式に発信機に反応するように細工を施していたのだ。

 

そして、今、その発信機の反応が校内で現れたのだ。この事は真由美から十文字克人と達也に、達也から、深雪、エリカ、幹比古に伝わる。

そして、CADの携行が許されていないエリカ、幹比古、十文字は急いでCADを取りに行ったのだ。

 

 

 

その頃、リーナは実験棟の入口まで行き、機材を運ぶスタッフの後ろに静々とついて行くミアに声を掛け、簡単な挨拶をしていた。

「ミア、学校で会うのもなんだか変な感じですね」

 

「そうですね。少佐」

 

「ここではリーナで」

 

「あっ、すみませんリーナ」

 

リーナは突如と戦闘の気配を感じ身構える。そこには猛スピードで此方に刀を構え突進してくるエリカが眼前にせまる。体術でさばこうとしたのだが、その鋭い剣撃の突きはそのままミアの胸元に深く突き刺さったのだ。

 

「エリカ何を!!」

 

「ふん、白々しい」

エリカはミアに突き刺さった刀を抜き去り、今度はリーナに突きつける。ミアは声も出せずそのまま後ろに倒れる。

真由美が校内の監視カメラと発信機の反応からが誰からなのかを確認し、幹比古が精霊魔法を使い、吸血鬼だと最終判断を下す。

その判断を行ったと同時にエリカは飛び出しミアを襲撃したのだ。

エリカはそのミアと話していたリーナを吸血鬼の一味と判断し、今こうして対峙している。

 

そこに深雪が駆けつけ

「エリカ!リーナは吸血鬼と関係ないわ!!」

エリカにそう叫ぶ。

 

その時である。致命傷を負ったはずのミアが倒れたままの格好でスッと立った状態に戻り、胸元の深い傷が見る見るうちに、ふさがって行くのだ。

 

「ミ…ミア?」

 

「リーナ、そいつは吸血鬼だ」

達也もその場に駆けつけ、リーナにそう言った。

その後には十文字克人が続く。

 

校内放送では、真由美の声で、実験棟に近づかない様にと警告の放送が流れている。

 

リーナはミアに振り向きながら、後ろに飛び離れ、

「ミア、なんで」

悲しみと驚きを無い混ぜたような表情をする。

 

そのミアの瞳は金色に輝き、手を前に突き出そうとした時。

ミアの全身は凍結し氷漬けになった。

 

深雪が凍結魔法を放ったのだ。

 

そこに真由美が遅れて現場に到着する。

「みんな、怪我はない?」

 

全員が戦闘態勢を解く。

 

「じゃあこの吸血鬼は私達が詳しく調査しますね。達也くんいいですね」

真由美は早速そんな事を言い出す。

 

「ちょっとまちなさいよ!これは私が最初に致命傷を与えたのよ!私たちで引き取るわ」

それにエリカがかみつく。この二人のいがみ合いが始まるのだった。

 

達也はこの時ばかりは幹比古に先日は悪い事をしたと心の中で謝るのだった。

 

その間リーナは小声で、シルヴィアに通信していた。

「ミアが吸血鬼だった。今、達也達に囲まれてます。此方に戦力を回してください。少々荒い脱出劇になりますが……」

この場からの脱出の算段をしていた。氷漬けにされたミアの回収も含めて。

 

 

 

 

 

 

幹比古はその間、ミアの所属していた会社が乗り付けたトレーラーを認識阻害魔法で姿を消し、中のスタッフを全員無傷で無力化させ、実験棟周囲に結界を張っていた。

派手な裏で、ミアの仲間の可能性があるスタッフの確保と、生徒達がこれ以上近づかないようにするための結界を張っていたのだ。地味にいい働きをする幹比古がそこに居た。

 

 

美月は実験棟に急いでいた。校内放送の先に異様な霊気が膨れ上がるのを感じ、現場に皆がいる事も霊気で感じていたからだ。

そして、丁度、スタッフたちを無力化させた幹比古と出会い。

「柴田さん、なんでこんなところに……今、皆が吸血鬼を捕えた所だよ。司波さんが無効化したみたいだね。吸血鬼の所有権をめぐって、また、あの二人が言い争っているから、近づかない方がいいよ」

 

「幹比古くん!まだ!あの吸血鬼から異様な霊気がどんどん膨れ上がっているの!!」

美月は不安そうな顔を幹比古に向け一生懸命に訴える。

 

「え?……そう言えば、あの氷漬けの吸血鬼から霊気が見えるような……」

幹比古は目を凝らし、霊気を感じ、再び、札を放ち精密に調べようとする。

しかし、調べるまでもなく幹比古の目をしても、霊気が明らかに膨れ上がるのが見て取れたのだ。

 

「皆!!まだだ!!」

幹比古は実験棟のエントランスに居る皆に向かって叫ぶ!!

 

 

氷漬けのミアから異様な霊気が漏れる。

そしてミアの額から瞼が現れ黄金の目が開かれ、同時に凍結した体から、氷の礫が多数放たれたのだ。

 

全員、幹比古の声で防御態勢がとることが出来、魔法による物理障障壁が間に合う。

 

ミアは俯いているが、額の瞳だけがギョロリと動き、周囲に居る達也達を見渡していた。

「なっ!!」

「なんだ!!」

皆それぞれ、驚きと恐怖の声を上げる。

 

 

ミアの異変はそれだけではなかった。

美月と幹比古だけには、ミアの後ろ上空に3mは有ろうかという人の上半身をかたどった様なドス黒い影が見えていた。




魔法科高校原作とはここから大分変っちゃいます。

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