繋ぎみたいな感じです。
「この頃、達也の奴、兄妹揃って昼こねーな」
レオはそう愚痴る。
「どうせ、昼休みも生徒会長と風紀委員長に呼ばれてるのよ」
エリカは少々とげのある言い方で返答する。
今は昼休みの食堂で食事中だ。
ここでは、レオ、エリカ、美月、横島に、今はほのかと雫が同席している。
「で、あんたはどうなのよ、横島。あんたも一応風紀委員でしょ?…プッ、見習いだけど」
エリカはそう横島に聞くが最後は自ら笑いをこらえていた。
「フン、風紀委員?ただの雑用係じゃ!!あの鬼委員長め、ちょっとスカートの中覗こうとしただけで、ぶん殴るわ、延々と説教されるわ、スタイルがいいからって、ちくしょーーー!!」
この横島と言う男、どこに行っても、変わらない。本能の赴くまま動いている様だ。
席にいる全員呆れた顔で横島を見る。
「よく、警察に突き出されませんね」
美月が正論を言う。
「まあ、横島だからな」
レオがそう笑って締めくくる。
「そう言えば、達也さん。放課後カフェで2年生の女子生徒と一緒にいるのを何回か見ました」
美月が次の話題を切り出す。
「私も、見た見た!あれ、剣道部の壬生先輩!!結構美人!!」
エリカも美月に同調する。
「え?」
ほのかはそれを聞いて、項垂れていた。
ほのかはどうやら達也に気があるようだ。
剣道部副主将の2年生壬生紗耶香、2科生である。剣術部主将の2年生桐原武明と武道場の使用をめぐってトラブルになり、達也に助けられたのである。それがきっかけで何やら達也に相談するようになったのだ。
「なんだー。達也の奴、風紀委員の仕事をさぼって、デートか?はぁ羨ましい限りだぜ」
レオはここにいない達也に向かって愚痴をこぼす。
「達也くんモテそうだもんね。あんたと違って。……深雪が怒ってなければいいんだけど」
エリカはそんなレオに向かって意地悪い言い方をする。そして、ここにいない深雪に対し、憂いていた。
「横島さん、どうなの?」
雫は同じ風紀委員に出入りしている横島に問う。
「ああ?うーん。あれはどっちかと言うと、壬生先輩から達也に迫っている感じだな。くそーーー、剣術小町かーーーいいなーーー、一度手合わせ願いたい!!」
何の手合わせだとツッコミたい所だが、周りは横島の言動の趣旨を理解しているためここはスルーだ。
「横島、私が相手してあげてもいいわよ、ボコボコにしてあげるけど」
エリカは半目で不敵な笑みを浮かべ、横島を挑発するような言い方をした。
「えーーーーエリカはいいよ。なんか汗臭そうだし」
横島はウンザリした表情をして、ろくでもない事を言う。
「なっ!!汗臭くないわよ!!」
エリカは顔を真っ赤にしながら激怒し横島に右のストレートを顔面に喰らわす。
「ぐぼべ」
横島はそのままテーブルの上に撃沈
全く持って、デリカシーのかけらも持ち合わせていない奴である。
「今のは横島さんが悪い」
雫が眠たそうな目でそう言って締めくくった。
その頃生徒会室では、真由美、摩利、あずさ、そして、達也に深雪が昼食を摂っていた。
最初は、壬生紗耶香と達也の噂話に花を咲かせていたが。
達也は風紀委員の仕事の話をし始める。
「風紀委員は点数稼ぎのために、取り締まっているとの見解があります」
「それは、勘違いだ。風紀委員会はまったくの名誉職だ。成績や内申には影響されない」
摩利は反論する。
「ただ、風紀委員は学内での影響力は非常に高い役職ではあるわ。少なからず反感は出るのは仕方がない事よ」
真由美は風紀委員の立場についてからの見解を言う。
「何者かが印象操作を行っている可能性があります」
達也はそこで、本来言いたかった趣旨を言う。
「そうね。それは以前から探っているのだけど、その人物が分かれば解決が出来ると思うの」
真由美は生徒会でも達也の指摘について、既に行動を起こしている事を話す。
「いえ、それを裏で操っている組織を壊滅しない限りは無理でしょう」
「それはそうなんだけど……」
真由美はその意見に対し、言いにくそうに答える。
「例えば、反魔法活動政治結社ブランシュ」
達也はこういった。
「なぜそれを」
「それは情報規制されてるのになんで」
摩利と真由美は達也がブランシュを知っている事に驚く。
反魔法活動政治結社ブランシュ
表向きは、【魔法による差別の撤廃】をスローガンに市民活動を行っている組織だ。
しかし、裏では、魔法による利権や特許を盾に利益を得ている。反魔法主義を掲げながら、魔法自体を食い物にしているのだ。その為にはテロも辞さない典型的なテロ組織だ。
しかも、この組織を利用し、さらに大きな利益をもたらそうとしている者も存在する。
どこの時代にも、こういう組織は生まれるのだ。
「ブランシュの下部組織、エガリテが学校で暗躍している可能性があると推測します」
達也はきっぱりとそう言いきった。
真由美、摩利は達也の言動に対し、驚きを隠せない様相だ。しばし、口を開けることができないでいた。