ドキドキ Experience!!   作:トップハムハット卿

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今回は蘭ちゃんの回想です!


第6話

中学の頃、私は巴と大喧嘩をしたことがある。

その時は2週間くらい巴と口聞かなかったっけ

 

原因は凄く些細(ささい)な言い合いからヒートアップしてしまったこと。

 

 

どっちが悪かったとかじゃなくて、その時は私も巴も"謝ったら負け"みたいな変なプライドをお互い持ってたから…

 

 

つぐ、モカ、ひまりは謝って仲直りするように私らに勧めてくれてたんだけど、やっぱつまらない意地を張ってたせいで謝れなかった

 

 

 

口を聞かなくなってから、2週間くらい経った時、拓弥と一緒に公園で話していたら聞かれたの

 

 

「なんで巴と仲直りしないんだ?」

「それは………」

 

 

 

すぐには答えられなかった

だって、"謝ったら負けた気がするから"なんて子どもみたいじゃん

 

 

 

「まぁ、仲直りしなくてもいいんじゃね?」

「……え?」

 

 

拓弥の言ったことが信じられなかった

 

 

「こんなくだらねぇ喧嘩で仲直りできないんだったら、今後も一緒にいるなんて無理だろ」

「そ、それは!!」

 

「バンドなんて以ての外だ。お前らみたいな薄っぺらい信頼関係のやつらが上手く行くわけないじゃん」

「……」

 

悔しいけど、言い返す言葉が見つからない

 

 

「良かったな。楽器買う前にバンド結成の話が無くなって」

 

 

 

──やめて……………

拓弥まで私の敵にならないでよ……

 

 

 

「今日で仲良し幼馴染みも解散ってわけだな。おい、黙ってないで何とか言えよ」

「……に…が……わか……」

 

「聞こえねぇよ」

「あんたに何がわかるのよ!!!」

 

バキィ!

 

 

──殴ってしまった。

しかも、思いっきり顔面を。

 

 

 

そして、殴られた衝撃で地面に仰向けになった拓弥の上に跨った

 

 

「痛ってぇな!何すんだよ!!」

「あんたに私の気持ちの何が分かるのよ!」

 

バキィ!バキィ!

 

 

 

「分かんねえよ!人には自分の気持ちを隠して、いつも1人で悩みやがって!そんなやつの気持ちなんか分かるわけねぇだろ!」

 

 

「私だって、謝らなきゃって思ってた。でも!今さら素直に謝るなんて!!」

「だから、謝らなくてもいいって言ってるだろ!巴のこと嫌いなんだろ!?」

 

 

「そんなわけないじゃん!!」

 

バキィ!バキィ!バキィ!

 

 

 

 

「大好きだよ!

巴もモカもひまりもつぐみも!みんなを嫌いになったことなんて一度も無い!…………でも、私は素直に言うのが苦手だから………"謝らなきゃいけない"ってことだって分かってるし、"仲直りしたい"ってずっと思ってたよ!」

 

 

 

「だったら、今言ったことをそのまま伝えて、謝ればいいじゃねぇか。今から謝ったって遅くない。お前らの関係はこんなことで崩れたりするようなものじゃないだろ?

蘭が素直になれないことなんて、みんな分かってるさ。きっと巴だって分かってるはずだ。

どっちが悪いかなんて知らねぇよ。まぁ、2人とも謝るんだろうけどな。

だからさ、蘭も巴も、いつまでもつまんねぇ意地張ってんじゃねぇよ」

 

 

 

 

拓弥の言葉を聞いてたら、自然と涙が流れるのが止められなかった

 

 

 

──私、バカだ。

拓弥に言われるまで何で気づかなかったんだろ…

 

 

私らの関係がこんな喧嘩で崩れたりするわけない。

 

"ごめん"の一言がお互いに言えていれば、また"いつも通り"の私たちに戻れていたのに。

 

 

そんなこと分かってたつもりなのに………

 

ごめんね、みんな。

ごめんね、巴。

 

そして、ごめん拓弥……

 

 

 

 

「……ごめん、ほんとごめん」

「謝るのは俺じゃなくて、側で俺よりも辛い思いをして見守ってくれてた、つぐとモカとひまりにだろ?」

 

「そうだけど………こんなに殴っちゃったし」

 

 

何回殴ったかなんて覚えてないけど、拓弥の顔は酷いことになっていた。

目元は腫れ、唇は切れ、鼻血も流れていた。

 

 

「気にすんなって。唾つけとけば治る」

「治るわけないじゃん!今から一緒に病院行こ?」

 

 

「1人で行けるから、心配すんな」

「でも………」

「でもじゃない。ほら、帰るぞ」

 

 

拓弥が歩き出した瞬間………

 

 

 

 

 

 

バタッ

 

 

 

「拓弥!しっかりして!拓弥!!」

 

 

 

 

 

 

──拓弥は倒れ、意識を失った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

急いで救急車を呼び、拓弥は搬送された

 

 

 

 

 

 

 

 

拓弥が目を覚ましたのは、搬送されてから2日後のことだった。

そして、その次の日には面会が許可され、私は真っ先に面会に行った

 

 

「拓弥!!」

「よぉ蘭」

 

 

「ほんとにごめん!"ごめん"で許されることじゃないのは分かってる………」

「泣くなって。怒ってもないし、お前を責めたりなんかしねぇ。

お前が罪悪感を持つ必要は無いさ」

 

「でも!」

「でもじゃない」

 

 

「それより、仲直りはできたのか?」

「うん。あの後、次の日にみんなで集まって、私と巴がみんなに謝って仲直りしたよ」

 

「そっか、それは良かった。入院までするハメになった甲斐(かい)があったってもんだな」

「どれくらい入院しないといけないの?」

 

 

「"俺はすぐ治るからいい"って言ったのに、医者が"1週間は入院して絶対安静でいてもらう"だとさ」

「そっか………。ごめん」

 

 

 

「だから、謝るなって。

まぁ、見ての通り元気だから、心配すんなよ」

「そっか……ありがとね」

 

「顔が赤いぞ?」

 

「う、うるさいな!ばか拓弥!」

 

 

 

 

この時の拓弥の行動のおかげで今の私たちがあるんだと思う。

 

「バンドに集中したいから」って別れたけど………

 

 

 

やっぱり好き…………

 

 

どうすればいいんだろ………

 




今後の更新はかなり遅れると思います!

読んでいただきありがとうございました



お気に入りも気づけば50を超えて!


初評価をコープさんから頂きました!
☆9も付けて頂き、ほんとにありがとうございます!


みなさん、これからもよろしくお願いします

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