ドキドキ Experience!!   作:トップハムハット卿

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第4話

「そんじゃ、いってきまーす」

「いってきまーす」

 

「拓弥、沙綾、忘れ物は無い?」

「弁当も持ったし、大丈夫だと思う」

「私は確認済み」

 

「それじゃあ、気をつけてね」

 

 

これが山吹家の朝の光景だ。

 

 

それにしても、学校が遠いと不便だなぁ

毎朝、電車で通学するのめんどくさいよ…

 

 

「─きゃっ!」

 

 

「す、すみません!全然前見てなくて」

 

よそ見しながら歩くもんじゃないな、正面を歩いて来た人とぶつかってしまうなん─あれ?この猫耳ヘアーどっかで見たことあるような……

 

 

「こちらこそ、ちゃんと前見てなく─あれ?やまぶきベーカリーの…」

「やぁ、山崎拓弥です。香澄さんだったっけ?」

 

「はい!戸山(とやま)香澄(かすみ)です!」

「改めて、ごめんね」

 

「こちらこそ、ごめんなさい。あと、香澄って呼び捨てでいいですよ!」

「りょーかい。よろしく香澄」

 

「うん!えーっと、」

「好きなように呼んでよ」

 

「たくみん、たっくん、たくちゃん………」

 

"好きに呼んで"って言われて真っ先にあだ名を考える子、初めて見た……。

 

「やっぱ、拓弥で!」

「呼び捨てかい。おっけおっけ」

 

「それじゃぁ、私行くね」

「おう。お互い遅刻しないためにもね」

 

 

「バイバイ!拓弥!」

「おう!沙綾をよろしくね」

「はーい!」

 

 

エネルギッシュな子だったな……

 

 

 

☆☆☆

 

「ただいま~」

「おかえり、拓弥」

 

「店番代わるよ、母さん」

「ありがとうね、それじゃぁお願いするわ」

 

 

さてさて、楽しい店番タイムが来ましたね♪

 

 

ピコン♪

 

LI●Eだ

 

送ってきた相手は………

 

 

 

 

 

──"美竹 蘭"。

 

 

 

 

 

ま・じ?

 

 

『今暇?』

 

 

ほんと、こいつは何の脈略も無く送ってきやがる…

 

昨日の俺のLINEは無視したくせに

 

 

 

 

『店番中』

『店番終わったら連絡して』

 

 

リアルでもメッセージでも愛想の無いやつだな…。

 

普通、『店番中にごめんね♡ 終わったら連絡してね♡』とか付けるだろ!

 

──あれ?違う?

 

まぁ、蘭が何も無しにこんな事を言ってくるわけが無い。

何か訳があるんだろうな。

 

 

『わかった。でも、なんで?』

『相談したいことがあるの』

『了解』

 

 

相談ねぇ?

 

ま、後から考えよう。

 

 

 

「こんにちはー」

「いらっしゃいませー。って、つぐじゃん」

 

「やっほー。みんなの話聞いてたらパン食べたくなっちゃった」

「そうかそうか」

 

 

"つぐ"こと彼女は 羽沢(はざわ)つぐみ

Afterglowのキーボード担当。

両親が喫茶店"羽沢珈琲店"を営んでいる。

中学の時はテスト期間になると、お店の机でAfterglowのメンバーと勉強やらなんやらをしながらワイワイと過ごしてたっけ

 

 

 

「そういえば、昨日は蘭ちゃんが来たらしいね」

「なんでそんなにニヤニヤしながら言うんだよ」

「いやぁ、何か話したりしたのかなぁって思ってね」

 

「たいしたこと話してねぇよ」

「へぇ~、何もなかったの?」

 

「ん~、LI●Eを交換したくらいかな」

「蘭ちゃんとLINE交換したの!?」

 

 

 

え……しちゃダメだったのかな?

 

 

 

 

「蘭ちゃんのLINE持ってるの、私たちだけだったんだよね……」

「あいつ、相変わらずだな…」

 

昔から人付き合いが下手だとは思ってたけど、女子高に入って1人も新しい友達を作ってないとは………

 

 

「それでね、昨日の練習は珍しく蘭ちゃんがご機嫌だったの」

「そ、そいつは良かったな」

 

 

上機嫌のくせに既読無視とは、どんな神経しとんじゃ!!

 

 

「俺は一言目に送ったメッセージを既読スルーされたんだけどな…」

「蘭ちゃんらしいね……あはは」

「確かにな」

 

 

 

「拓弥、また家においでよ。お父さんが「たくは高校生になってコーヒーが嫌いになったんかぁ…?」って悲しんでたよ」

 

「おう、今度おじゃまするわ。羽沢珈琲店のコーヒーは絶品だもんな」

 

 

中学の時に初めて飲んだけど、コーヒーの善し悪しが分からない俺でも"美味しい"と分かるくらいの絶品コーヒーだった。

それからはコーヒーにハマって毎日のように通ってた。

 

そのおかげで、おじゃまする度に「うちに婿に来れば、毎日でもコーヒーが飲み放題だぞ!はっはっは!」とつぐのお父さんに言われるようになった…

 

 

 

 

「それじゃ、パンありがとね」

「おう、こちらこそ」

 

「また来るね」

「ありがとうございましたー」

 

 

 

 

この流れだと、明日は………ひまりが来そうだな

 

 

 

さて、お客さんもいないし、ちょいとここらで一休みしようk──

 

 

「こんにちはー!」

 

考えが甘かった

 

「ただいま~」

 

「いらっしゃいませー。おっ、香澄じゃん。今朝ぶりだね

そして、おかえり沙綾」

「ただいま。店番代わるね」

「いいのか?香澄が遊びに来たのに?」

 

 

さすがに、友達が遊びに来てるのに店番をさせるのは気が引けるんだが…

 

 

「今日はパンを買いに来たの!」

「あ、そうなのね」

「今日の拓弥のオススメのパンは!?」

 

オススメ?そんなの決まってるだろう!!

 

「全部だな」

 

俺は、やまぶきベーカリーのパン全てを愛している!!

 

そう、言うなれば──

 

 

 

 

 

 

 

空前絶後のぉぉぉぉ!!!!

超絶怒涛のパン好き高校生!!!!

 

パンを愛し、パンに愛された男ー!!!!

クロワッサン、フランスパン、フライパン

全てのパンの生みの親ー!!!!

 

サンシャ●ーン!!!!

や・ま ボコォ ざ・き!!!!

 

 

いぇぇえええええええい!!!!

 

 

(そこ!今はもう息してないネタとか言うな!)

 

なんてことはやらないけど、どのパンもそのくらい好きだ。

 

 

「えぇー!?沙綾は?」

「ん~、チョココロネとかかな」

 

 

 

沙綾も俺と同じで全部好きなんだけど、最近はコロネがお気に入りらしい

 

 

「じゃぁ沙綾、店番頼んだ」

「はーい」

 

 

 




ヒロインを誰にするのか、完全に迷ってます!!

良ければコメント頂けると嬉しいです!

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