ドキドキ Experience!!   作:トップハムハット卿

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最近は割といい頻度で投稿出来てる気がする…。



26話です


26話

「今日は何を買うんだ?」

「んー、特に買いたいものがあるわけじゃないんだよなぁ」

「なるほど、見るだけか」

「そうそう。昨日が新商品の入荷日だったはずだから、ちょっと気になってな」

 

気持ちは分かる。

自分が演奏するわけではないが、新しい楽器や道具、機器が入荷されたらついつい足を運んでしまうのだ。

 

 

 

 

楽器店に着くと品揃えの良さは相変わらずで、俺も巴もテンションが上がる。

 

「なぁ拓弥!この電子ドラム凄くないか!?」

 

目をキラキラさせてはしゃぐ巴。

普段は大人びた感じの巴だが、こういうところを見るとやっぱり俺たちと同い年なんだなぁと感じる。

 

「拓弥!こっちのギターもすげぇ!」

 

そう言って巴が指しているのは、某有名バンドの〇見沢さんがライブで弾いていそうな奇抜なギターだ。

 

「なんか、すげぇ派手だ」

「だろ!?拓弥に似合いそうだな!」

「いや、さすがに無理だろ。翼生えてるし」

「そんなことねぇって!絶対おもしろい!」

 

あ、コイツおもしろいって言った!

仮にこのギターで俺が弾いたとしたら、巴は曲に集中できなさそうなので絶対にやらない。

 

その姿を想像したのか、笑いながら俺の背中をバシバシと叩いてくる。

 

これからも、ぜっってぇ派手なギターは弾かないことにしよ…。

 

 

「それはそうとさ、拓弥はバンドとか組まないのか?」

「んー、組むつもりは今のところ無いね」

「ギターあんなに上手いのにもったいねぇなー。同じ高校にバンドやりたいやつとかは?」

「俺の知り合いにはいないかな」

「そうか。アタシらはいつでも歓迎だぜ?」

 

いや、ガールズバンドに男はいらんだろ。

 

「俺が入ると華が無くなるから辞めとく」

「そんなことみんな気にしないって。それに、拓弥がギターやってくれたら蘭は歌うことに集中できるだろ?」

「そうかもしれんけど、俺は巴たち5人のバンド(Afterglow)が好きなんだよ。だから入らない」

「なかなか頑固なやつだなー。まぁ分かったよ。でも諦めないからな?」

「何度聞いても答えは同じだって」

 

 

 

 

その後もいろいろと楽器や機器を見た。

そして音楽雑誌だけ買って、俺たちは店を出た。

 

 

「いやー、やっぱ楽器みるのは楽しいな」

「そうだな。いろいろ見たことないのあったしな」

「あのギターは「弾かない」……そんなに嫌がらなくてもいいだろー。ギターが可哀想に思えてくる」

 

いや、誰のせいだ誰の。

 

巴への文句を心の中で垂らしていると、巴が俺の右手を握ってきた。

 

「い、嫌だったか?」

 

さっきまでの巴はどこへ行ったのか、俺の顔色を伺うように上目遣いで聞いてくる。

普段はこういうことしないくせに、たまにこういう仕草をするからドキッとしてしまう。

これもギャップ萌えってやつなんだろうかね。

 

「別に、嫌じゃないよ。突然だったから驚いただけ」

「なら良かった。小さい頃は、アタシらよく手を繋いでたよな」

 

昔を懐かしむ巴。

 

だけど、しばらくして少しソワソワし始めた。

 

「あ、あのさ拓弥!」

「ん?」

 

握っている手を、さらにギュッと巴は握る。

 

「この後、アタシんちに来ないか?」

「……え?」

 

「そ、そういう意味じゃないぞ!?あ、あこも久しぶりに拓弥に会いたがってたし、アタシも拓弥ともっといろいろ話したいし……と、とにかく!そういうのじゃないからな!!?」

 

顔を真っ赤にして訴えてくる巴を見て、つい笑いが零れてしまう。

 

「分かってるって。じゃあ、久しぶりに宇田川家にお邪魔しようかな」

 

でも、たしかにさっきの巴の言い方は、彼女を初めて家に誘う彼氏みたいなセリフだったな。

思い出しただけでも笑ってしまう。

 

 

 

そのまま手を繋いで、巴の家まで向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「お邪魔しまーす」

 

家に入ると、リビングであこが宿題をしている。

 

「おかえりお姉ちゃーん…と、たっくん!?」

 

俺を見てポカンとしている。

まぁ、久しぶりだから無理もないか。

 

「よっ。久しぶりだな。あこ」

 

そう声をかけると、あこはゆっくりと立ち上がって……

 

「久しぶりー!!たっくーん!!!」

 

歓喜しながらタックルをしてきた。

 

「こらあこ。拓弥が苦しそうだから離れてやれって」

「やだ!もう少しこのままがいい!」

 

そう言って抱きしめる力をさらに強め、胸に顔を擦りつけてくる。

世の中の妹は、みんなこんな感じなんだろうな。

紗南もいつもこんな感じだし。

 

 

満足したのか、あこは俺から離れた。

 

「ねぇねぇ!ゲームしよ!たっくん!お姉ちゃん!」

「お?いいぞ。だよな?巴」

「あぁ。久しぶりに3人でやるか!」

 

 

 

 

 

やるのは、先週発売されたゲームだ。

いろいろなゲームのキャラクターを使って戦い合うゲームで、その最新作らしい。

 

 

 

何度かやったが、結果は毎回同じ。

あこが圧倒的な強さで1位。

俺と巴が低レベルな最下位争いを繰り広げる…。という感じだった。

 

 

「ん~!楽しかった~!」

「だな。久しぶりに3人でゲームできて俺も楽しかった」

「相変わらず、アタシと拓弥は最下位争いだったけどな」

 

ゲーム歴があこと俺たちじゃあ全然違うから、まぁそれは仕方ない。

 

「それじゃあ、あこは宿題の続きやるね」

「分かった。拓弥はアタシの部屋に行っててくれ。アタシも飲み物持ってすぐ行くから」

「あいよ」

 

 

 

 

ガチャリ

「失礼しまーす」

 

巴の部屋は昔とあまり変わっていなかった。

 

女の子らしくないと言ったら失礼だけど、必要最低限な家具くらいしか置いてないのだ。

Afterglowのメンバーの中だと、ひまりは巴とは対称的に部屋にぬいぐるみやらなんやらがゴチャゴチャと置いてある。

 

別にどっちが良いとか悪いとかではないけど、部屋の中ってその人の性格が出るんだなぁと改めて感じる。

 

 

そんな中、勉強机の上に写真立てを見つけた。

 

「これは……中学の体育祭の時の写真?」

 

写っている俺も巴も体操服を着ているので、おそらくそうだろう。

写真の中で、俺と巴が肩を組んで嬉しそうにピースをしている。

 

「あ、思い出した。二人三脚のリレーの時か」

 

たしか、中3の時の体育祭だ。

クラスの中で二人三脚リレーのアンカーを誰がやるのかという話し合いをした時、互いに運動神経が良く身長差も他のペアより少ないという理由で俺と巴がアンカーに抜擢されたのだ。

 

 

3位でバトンを貰ったけど、前の2組を抜いて逆転優勝した。

付き合いの長さもあってか、俺と巴の速さは他のペアと比べて別次元だつた。

 

 

「懐かしいなぁ……。あれ?これ裏に写真がもう1枚ある」

 

もう1枚を見ようと写真立てに手をかけようと手を伸ばす。

 

「すまんすまん。待たせちまったなー……って、あー!拓弥!それに触るなー!」

 

いきなり大声をあげる巴。

 

「え!?あ、すまん。つい気になって」

「もしかして、写真見たか!?」

「お、おう。あれ二人三脚の時のやつだろ?」

「そうそう。あれ?それしか見てない?」

「うん。裏にもう1枚あってそれも気になって見ようとしてた」

「それは見たらダメだ!!」

 

なんでだよ。恥ずかしい写真とか……?

いや、それなら写真立てにわざわざ入れんくてもいいだろうに。

 

「分かった分かった。とりあえずそのお盆を置けって」

「すまん。拓弥には見られたくない写真だったから」

「左様ですか。まぁ、巴がそう言うなら見ない」

 

そんなこと言われたら、どんな写真か気になるけどな!

 

 

それから俺たちは、巴が持ち出した中学の卒業アルバムを見ながら懐かしい話に花を咲かせた。

数ヶ月前までは中学生だったのに、すげぇ懐かしくて感じるのはなんでだろうな。

 

 

 

 

 

 

「今日はありがとな!気をつけて帰れよー」

「おう。こちらこそありがとな」

「またね!たっくん!また来てね!」

「あこもこう言ってることだし、また来てくれよ」

「わかった。それじゃあ二人とも、またな」

 

 

あこと巴に見送られ、家へと帰る。

 

まぁ、近いんだけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

迎えた週末。

 

 

 

体の上に何かが乗っていると感じて、目が覚めた。

 

「ん……、重た。誰だー?」

「重たい!?も、モカちゃんは重くないよー?」

 

なんだモカか………って、モカ!?

意識が覚醒し、目を開くとモカが俺の上に乗っていた。

 

「何してんだ?」

「迎えに来たのに起きてこないから、起こしに来た」

「は?」

 

そんなに寝てしまったのかと時計を見る…。

時計は7時15分を指していた。

 

「いや、アホか!まだ7時だろ!そして俺の上からどけ」

 

今日の集合時間とかはモカから何も聞かされてなかったから、とりあえず8時くらいに起きようと思ってたけど、まさか7時に凸ってくるとはな…。

それなら先に言わんかい。

 

 

「えぇ~、もうしばらくこのままがいいな~」

 

そう言ってモカは俺に抱きついてくる。

 

「やっぱり、たっくんにこうするのは落ち着くねぇ」

「そんなの知らん!とりあえず降りろ!動けん!」

 

引き剥がそうとするが、全然動かない。

か弱そうなのに、どこにこんな力があるんだよ。

 

「はぁ…頼むからどいてくれ、モカ」

「……」

「モカ?おい、モカ!?」

 

コイツ、このまま寝やがった!

 

「ちょっ!起きろ!あ~~誰か助けて~!」




何やら可愛い巴ちゃん。
そして始まるモカとの大波乱のデート!

次回はモカとのデート回です。


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