ドキドキ Experience!!   作:トップハムハット卿

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今回は少し短めです!


第20話

「蘭、おかゆ出来たぞー」

 

風邪の時は"おかゆ"一択ですよね(偏見)

 

金欠気味で大した食材は買えなかったけど、おかゆに最低限必要な食材は買えたので問題は無い

蘭の家の冷蔵庫から卵を貰って作ったのは"たまごがゆ"

食後にはリンゴをすりおろして食べさせるつもりだ

 

「お腹減ってない」

「そう言わず、少しでも食べといた方がいいと思うぞ?」

 

食欲が無いとしても、体調が悪い時は少しだけでも食事はした方がいい

そんなことを保健の先生が言ってたような……

てことで食べてもらおうか!

 

「もしかして、"アーン"して欲しいのか?」

「はぁ?」

 

ゴミを見るような目で睨まれた

ごめんなさい、冗談です。はい

 

「それは冗談だとして、不味くはなかったから味は大丈夫だと思う。不味かったら残していいよ」

 

「味を心配してたわけじゃないし。いただきます……」

 

スプーンでおかゆを掬い、フゥーと冷ましてから口へ運ぶ

 

パクリ

 

「……美味しい」

「そうかそうか!」

 

お口に合ったようでなによりだ

 

「もっと食べるか?」

「うん」

 

食欲が出てきたらしく、しっかりと食べてくれた

 

「ごちそうさま」

「おう、お粗末様。リンゴすりおろしてくるから待っててな」

 

この後、すりおろしたリンゴもちゃんと食べてくれた

 

「美味しかったよ。ありがとね」

「これくらい、いつでも作るさ」

「……………勉強会だったのに、ごめん」

 

「気にすんな。本当はさ、みんなもお見舞い来たがってたんだ。でも、テスト前ってこともあって俺に任せてもらったんだ」

「そうだったんだ。拓弥は大丈夫だったの?」

「なんとかなるさ」

 

珍しく俺の心配もしてくれるなんて……

今日の蘭はいつもより素直な気がする

風邪の影響かな?

 

「俺のことより、蘭の方は勉強大丈夫なのか?」

「………」

「聞いてるか?」

「眠くなってきた。寝るね、おやすみ」

 

そう言って、布団を被ってしまった

 

都合が悪くなると、すぐこうなるんだから〜

 

 

 

 

少しすると、蘭の寝息が聞こえてきた

 

「あら、ホントに寝ちゃったか」

 

蘭が寝たとなると、めちゃくちゃ暇だな……

 

「勉強でもやるか」

 

蘭の机を借りてテスト勉強をすることにした

 

 

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 

ふと目が覚めた

気分は悪くないし、もう熱も下がってるっぽい

治った……のかな?

まさか風邪を引くなんて思ってもなかった…

 

そういえば、拓弥はどこに行ったんだろう?

 

部屋を見渡してみると

「あ…」

 

何故か私の勉強机で突っ伏せて寝ていた

「拓弥?」

 

呼びかけても反応が無い…

マジで寝てるし

 

寝てばっかりも疲れるので、ベットから起きて拓弥の方へ歩いてみる

 

「ぐっすりじゃん……」

 

疲れていたのか、ぐっすり眠ってる

 

「拓弥……今日はありがとね。

拓弥には助けられてばっかり、いつも迷惑かけてごめんね」

 

拓弥が起きてたら"迷惑なんかじゃない"って言いそうだね

起きてたらこんなこと絶対言わないけど……

 

「もしさ…私が………。私が"また付き合いたい"って言ったら、拓弥はどう答えるのかな……」

 

でも、私はそんなこと言えない

なぜか?

それは素直じゃないから

素直じゃないのは自分でも自覚してるんだけど、直るものでもないってことも自覚してる…

 

そんな私だけど、"一緒にいて楽しそうで、私も一緒にいて楽しい"そう思えるのが拓弥なんだ。

だから好きになったんだと思う。

 

直接伝えては無いと思うけど、たぶんモカやひまり、巴とつぐみも拓弥のことが好きなんじゃないかな?

私たち、みんな拓弥に助けられて、その優しさに触れてきたから。

 

 

でも、バンドのためとは言え、自分のワガママで拓弥をフッたわけだし"また付き合いたい"なんてやっぱり言えないよ……。

 

 

「はぁ………。あれ?そう言えば、今何時?」

時計を見ると、夜の8時を指していた

 

「8時!?ちょ、拓弥!起きて!」

「……ん?どうした?」

 

「どうした?じゃない!もう夜の8時だよ!」

「え!?マジ?」

 

こんな時間まで帰ってこないと山吹さんも心配するだろうし…

 

「そんなに寝てたのか……すまん、帰るわ!」

 

慌てて拓弥は帰宅の準備をする

 

「じゃあな蘭。ちゃんと安静にして寝てるんだぞ?」

「わかってるって」

 

「それじゃあ、また!お大事にな」

「うん………。た、拓弥!」

「ん?」

「今日は、ホントにありがとね!///」

「いえいえ。少しは良くなったみたいでよかったよ」

 

珍しい、いつもみたいに"蘭が素直にお礼を言うなんて珍しいな?"って言うかと思ってたのに……

 

「珍しいね、素直にお礼を受け取るなんて」

「まぁ、そういう気分なんだ。それとも、"お礼を言うなんて珍しい"つて言って欲しかったか?」

「そ、そんなことないし!早く帰ればーか!」

「はいはい、そんじゃ、またね蘭」

「うん、またね」

 

私は、拓弥の背中が見えなくなるまで見送った

 

 

☆☆☆

 

 

すっかり遅くなっちゃったなぁ…

母さんも父さんも心配してるだろうな……

 

「ハックション!………。まさか、風邪感染(うつ)ってないよな?」

 

 




看病回でした!

人間、風邪だと素直になれるんですね…(※これは個人の感想です)



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