「そういえば、学校でおもしろい子と友達になったんだ~」
楽しそうにそう話しているのは俺の幼馴染み─
ただいま、山吹家で一緒に晩御飯を食べている真っ最中なのだ。
「へぇ、どんな子なんだ?」
「中等部にはいなかったから、高等部からの入学だと思うんだけど、
入学式の日の
「なるほど………"キラキラドキドキ"か。……なんか凄そうだな」
「昔の
「そうかな?」
昔の俺はキラキラドキドキしたがっていたのか………
いや、そんなことはない!(と思う)
「拓弥の方は高校どうなの?」
「まぁ、普通かな。同中がほとんどいないから、少し寂しいんだけどな」
「頑張って友達たくさん作んなきゃだね」
「おう。100人作って富士山頂でおにぎり食べるつもりだからな」
「なら、山岳部にでも入らなきゃだね。みんな高山病になっちゃうよ」
「うち、山岳部無いから、山岳部作るとこからか………。道は遠い」
「ふふっ、バカじゃん」
「うるせ」
「「ごちそうさまでした」」
俺らの食卓はいつもこんな感じである。
「沙綾、拓弥、あとはお風呂あなたたちだけだからね~」
「「はーい」」
「沙綾、先いいぞ」
「ありがと、それじゃお先に」
え?沙綾のお風呂を覗きに行かないのかだって?
R-15のタグすら付けてないのに、そんなこと出来るわけないだろう!!
作者の嘆きは置いておいて…。
こんな感じで俺らの1日は終わる。
☆☆☆
・・・翌日・・・
「50円のお釣りです。ありがとうございました」
昨日のように、俺は学校が終わって今日も店番をしている。
「こんにちはー」
「こんにちは~」
「いらっしゃいませー。って、巴とモカじゃん。巴は昨日に続きだな、2人ともおっす」
「昨日、あの後帰ってからパンを食べてたら、あこが『あこも食べたい!』って聞かなくてさ…、それで今日はあこの分を買いに来たってわけさ」
「あこらしいな………」
「モカちゃんは~、お腹減ったから買いに来た~」
「モカもいつも通りだな…」
高校1年生。俺や沙綾と同じで、この商店街に住んでいる。
一つ下に"宇田川あこ"という妹がいる。
バンドを組んでいて、ドラム担当。
高校1年生。同じく、この商店街に住んでいる。
巴と同じバンドに所属しており、ギター担当。
「拓弥、暇な時にでもまたあこを構ってやってくれ。『たっくんとバンド組みたい!』って未だに言っててな…」
バンド組むって、あこは既に
「おう。"お前もたまには顔だせ"って伝えといてくれ」
「わかった。ありがとな」
「いつもパンありがと、またな」
「またね~。たっく~ん」
ここだけの話、モカや巴、それに沙綾とは同じ商店街に住んでいるから同じ小学校に通っていた。
高校は別々になってしまったけど、今でも結構仲良しである。
「こんにちはー!」
「いらっしゃいませー」
あの制服……、沙綾のと同じだ。
てことは花女の子かぁ。
ん?なんか頭にネコ耳みたいなの付いてる?
いや、そういう髪型なのか…
「わぁ~、どれも美味しそう。クロワッサンにチョココロネ、それにドーナツまで!あぁ~、どーしよー!全然決められないよー!!」
客はご乱心である。
「店員さん!おすすめは!?」
そこで俺にふるか!?
「ん~、全部」
「あ"ぁ"~~!!」
客はご乱心である。(2度目)
「あ………、そういえば! 沙綾はいますか?」
「あ、うん。呼んでこようか?」
「お願いします!!」
面白そうなお客さんだけど、沙綾の友達ならば、後は沙綾に任せよう。
「沙綾~。友達来てるぞ~。」
「はーい、今行くね。拓弥、ついでに店番代わるよ」
「それはすまんな、さんきゅ」
店番を交代した直後……
「え、香澄!?」
沙綾の声によってあの子が昨日言ってた、"香澄"って子なのだと知ったのはまた別の話。
ところで、俺とあの子の似てる部分が思いつかないんだが……