ドキドキ Experience!!   作:トップハムハット卿

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前回の衝撃の告白の続きです……どうぞ


第18話

「つ、付き合ってください!」

 

瞬時には何を言われたのか分からなかった

 

え!?え!!??

今、何て………

 

付き合ってください!?

 

突然のこと過ぎて頭の中はパニックだ

 

「ちょ、ちょっと整理させてくれ」

「うん………」

 

何から考えていいのか分からない…

 

 

「つぐみ、いつからなんだ……?」

「えっとね……保育園の頃からだよ。泣き虫でいつも泣いてた私に拓弥は『つぐちゃんだいじょうぶ?なんで泣いてるの?』っていつも心配してくれたよね。

小学校に入ってからも同じでさ、私が6年生に泣かされた時だって、まだ1年生なのに『つぐちゃんを泣かせるやつは許さない!』って言って6年生にやり返しに行ってくれたよね」

 

「まぁ、やり返す前にボッコボコにされたんだけどな」

「保育園の頃に"好き"って思い始めて、拓弥のそういう優しさに触れる度にどんどん好きになってたんだ……」

 

「そうだったのか……」

 

俺は自分のことを鈍感では無いと思ってる

自慢じゃないが、クラスの女子に告白されたことが何回かある

 

ところで、"自慢じゃないけど"から始まる時はだいたいが自慢だったりするよね…

 

まぁそれは置いておいて、

 

クラスの女子に告白される時は、告白される前から薄々は勘付いてたりもする

 

でも、つぐみの好意には気付けなかった…

 

他の男子よりは仲がいい、いや、男子の中では俺が1番つぐみと仲がいいと自負してる

でもそれは幼馴染みだからであって、俺のことをつぐみが家族や兄妹みたいに思ってくれてるからだと思っていた

 

もちろん俺はつぐみが嫌いじゃない

むしろ大好きだ

 

でもそれは、さっきも言ったように彼氏彼女の間で言われる"好き"じゃなくて、家族間で言うような"好き"だ

 

つぐみを恋愛対象として見れない……そういうわけではない

恋愛対象として見たことが今までに無かった

 

たしかに、つぐみは可愛い

いや、めちゃくちゃ可愛い!

それに加えて優しいし、ドジなところもある

何事にも一生懸命だ

 

こんな素敵な女の子はなかなかいないと思う

でも、だからと言って今ここでOKが出せるわけではない

 

大切な幼馴染みだからこそ、家族のように大好きだからこそ、しっかりと向き合いたい

 

「今すぐには返事は出せそうにない……。もう少し考える時間をくれないか?」

 

俺の言葉につぐみは…

 

「うん。私、待ってるから!……1年でも2年でも、10年だって待つから!/////」

 

にっこり笑ってそう言ってくれた

 

やっぱお前はめちゃくちゃ可愛いよ……

 

10年以上も片想いさせたんだから、そんなに待たせるわけにもいかないよな…

 

 

「それじゃあ、またね。ばいばい」

「あぁ、またな」

 

 

さて、家で1人で考えるか……

 

ん?待てよ

 

これって次会う時とかめっちゃ気まずいんじゃ………?

 

いやいや、俺が気まずくならないようにしなきゃだな

 

 

 

 

 

 

 

家に帰ってからスマホを見ると、

『みんなには今日のことは内緒だよ!?』

つぐみから可愛いスタンプと一緒にそうメッセージが送られてきていた

 

 

もちろん誰にも言うつもりはないけど、周りに悟られないためにも余計にいつも通りを意識しないとな

 

 

 

 

 

 

 

「拓弥ー、朝よー!」

 

千紘さんの声が聞こえ「グフッ!!」

 

……聞こえたと思ったら、腹部にめり込みパンチ並の威力の何かが打ち込まれた

 

犯人は…

 

「おきてー!!おにーちゃん!」

 

紗南だった……

寝ている人のお腹にいきなり飛び乗るのは反則だぜ………バタリ

 

「さ、紗南。お兄ちゃん起きたからお腹の上からどいてくれ………」

「おにーちゃん、だっこ!」

 

「だっこしてあげるから、お腹の上から……」

「うん!」

 

素直にどいてくれた……

 

紗南は無邪気で可愛いけど、朝からこの元気の良さにはついていけない……

 

 

 

まぁ、今朝のことはこれくらいにして、つぐみの告白からすこし経つが俺はまだ返事ができずにいた

 

つぐに告られて保留とは何事じゃ!さっさと付き合わんかいボケェ!とか、そんな声あるかもしれないけど………待ってくれぇ(涙)

 

 

 

さて、この時期と言えば、そう、みんな大好き中間テストだ

 

うちの高校は授業の進行が早い割に、テストは簡単なので俺は特に問題ない

沙綾も普段からコツコツと勉強をするタイプだから問題ない

山吹家はテストは大丈夫……

 

問題があるのはAfter glowのメンバーだ

 

意外なことにモカはなぜか頭がいい

つぐみは日頃から勉強を少しずつやるタイプだから問題ない

巴もどちらかと言えば、つぐみと同じタイプだ。だからこちらも問題ない

 

あとの2人はなかなかヤバい

ひまりは直前までやらない一夜漬け型だ。

中学の時の夏休みの宿題も、最後の3日間で徹夜で終わらせる派だ。

でも、終わらせるだけマシというかなんと言うか…

 

蘭は特にヤバい。勉強が嫌いな上に宿題もやらない、そして授業もちゃんと聞いてない…

夏休みの宿題だって、俺が言わなかったらやらないつもりだったとか…

おかげで3年連続で夏休み最終日は蘭の家に泊まり込みで宿題を手伝った………

 

え?女の子の家に泊まって何もしなかったのかだって!?

 

できるわけがない…

夏休み最終日なのに手をつけてない、名前すら書いて無い宿題の山を前にして、そんな余裕は無かったんだ!

 

おかげで二学期の始業式は二人揃って遅刻した……

はい、そうです。3回も…

 

 

そんな経験もあって、中学ではテスト期間中だけ勉強会をつぐみの家で開いていた

 

「あいつら、ちゃんと勉強してんのかな…?」

 

 

『高校のテストは大丈夫そうか?』

 

こんなこと蘭には聞けない…

聞いたところで間違いなく返信しないだろうし

都合が悪いものは基本的に無視するのが蘭だ

 

聞くんだったら、つぐみが妥当だな

 

メッセージを送ったらすぐに返ってきた

 

『私は何とかなりそうだけど…蘭ちゃんとひまりちゃんが……』

 

 

やっぱり……

 

『もし拓弥が都合が良ければ、中学の時みたいに勉強会を開いてほしいな……。ダメかな?』

 

こうなる予想はついてた

 

『全然大丈夫だ。俺としては土日ならいつでも』

 

『わかった!みんなと相談してみるね』

 

 

 

 

さっそく、次の土日に勉強会を開催することになった

 

 

 

 

 

 

カランカラン♪

 

 

「いらっしゃーい、おっ!たく!久しぶりだなぁ」

「おっちゃん久しぶり。今日はお店借してもらってありがとうございます」

 

勉強会は毎回恒例、羽沢珈琲店で客卓を借りて開いている

 

「気にすんな!毎日来てくれても良いくらいだ!ハッハッハ!」

 

いや、それはそれで問題な気がする

つぐみのお父さんは元気が良い、良すぎる

そして事あるごとに「うちに婿入りしろ!」と言ってくる…

この人、それが口癖なんじゃないか?と思うほどに

 

 

「おはよう拓ちゃん、元気だった?」

「おばちゃんおはよう、今日はお世話になります」

 

つぐみのお母さんだ

いつも優しくて、俺たちが勉強会をする時もいろいろと良くしてくれる

 

 

「お、おはよう拓弥」

「おはよう。つぐ」

 

「………」

「………」

 

やべぇ、気まずい

 

「み、みんなはまだか?」

「うん、もう少ししたら来るってさ」

 

「どうしたどうした?お前ら2人いつもと何か違うぞ?何かあったのか?」

 

おっちゃん、無駄に鋭いな……

 

「べ、べつに何もないよ!ねぇ?拓弥!」

「お、おう!」

 

やっぱ、ぎこちなくなってしまう……

いや、俺がいつも通りにしてなくてどうする!

 

 

 

カランカラン♪

 

良かった、誰か来てくれた

 

「おはようございまーす」

 

「「巴(ちゃん)!」」

「お、おはよう。拓弥、つぐ」

 

同時に呼んだせいで、巴も少し驚いている

 

「巴1人か?」

「あぁ、ひまりもまだか?」

 

「うん、もう少しで来るってメッセージが来てたからそろそろ来ると思うんだけど…」

 

俺らの共通認識としては、モカと蘭は遅れてくる

むしろ、この2人が時間通りに来る方が珍しい

 

つぐみと巴はきっちりしてるから集合時間より10分以上前から来ることが多い。もちろん俺もね

 

ひまりは何とも言えない

張り切ってる時は早いけど、そうじゃない時は割とギリギリに来る

遅刻することはあんまり無いだけ、あの2人よりマシだけど

 

「5人の中で真面目に授業を聞いてる2人だから聞くんだけど、テスト範囲はどんな感じなんだ?」

 

巴がノートを見せてくれる

 

「こんな感じだ。拓弥のとこではもう習ってるのか?」

「あぁ、一応ね」

 

各教科、つぐみと巴のノートを見せてもらって、テスト範囲をだいたい把握できた

 

「さらっと見た感じだと、うちの高校では全部習ってる。何とか教えれそうかな」

「ほんとか!?助かるぜ!」

「高校1年の1学期中間テストは点は取れるけど、理解できてないと後々影響が出てくるからな…。2人は今のとこ大丈夫そうか?」

 

「あぁ、私は今のところは大丈夫だ」

「私もついてはいけてるよ」

 

この2人がついていけなくなったら、問題児2人組はどうなるんだよ……

想像しただけで怖い……

 

 

「あとの3人来ないな…」

 

集合時間は9:30

ただいま時刻は9:25

 

まぁ、あと5分あるし、少なくともひまりは来るだろう

 

「おっはよーございまーす!」

 

ほら来た

 

「「「おはようひまり(ちゃん)」」」

 

「ごめんごめん、ギリギリになっちゃった」

「遅れてないだけマシだな」

 

「それじゃぁ、あとの2人はそのうち来るだろうし、俺らで先に始めるか」

 

 

こうして、Afterglow withタクミ の勉強会が幕を開いた




18話でした!
前半は"つぐみ回!!"って感じでしたね!
作者ながら、主人公が羨ましくてたまらんぜぇ~(涙)


蘭やひまりは、この物語上の設定では問題児なだけですので、「こんなの蘭じゃない!」「蘭は勉強できる!遅刻もしない!」みたいな指摘は勘弁いただきたい……





感想などいただけるととても嬉しいです!


新たに高評価いただきました!
☆9 抹茶味アイスさん、ブリザードさん、tylerさん
☆8 水蒼さん

ありがとうございます!!!

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