13話です!
どうぞ!
アーア カーミサーマオネガイー イチドーダーケーノー♪
「こんな時間に電話か」
時計を見ると夜の11時を既に回っている
スマホを手に取り、画面を見ると………
"美竹 蘭さんからの着信です"
ほんと、相変わらずなやつだな
「もしもし」
『も、もしもし』
なんか、柄にもなく緊張してる……のか?
「どうしたんだ?蘭」
『べ、べつにどうもしてないけど』
あら、そうなのね
「なら切るぞ?」
『待って!……明日ってさ、拓弥は予定ないよね?』
俺が"暇人"ってことを前提に話されると、なんかムカつくんだが…
事実、暇人なんだけどね
「特に無いけど、強いて言うなら店番するくらいかな」
『それなら、久しぶりにギター教えてほしい』
「いいよ。てか、それならLINEでも言えただろ…」
『文字打つのがめんどくさい』
「ほんと相変わらずだな。時間はどーする?」
『10時くらいに、いつものスタジオに来て。私は先に中に入ってるから』
「あいよ。そんじゃ、おやすみ」
『うん、おやすみ』
蘭にギター教えるなんて、かなり久しぶりだな
今の時点でけっこう上手いし、教える必要無いと思うんだけど……
☆☆☆
「いってきまーす」
「こんな時間に出るなんて珍しいわね?まだ朝の9時半よ?」
「蘭にギターを教えに行くんだ。そういえば、沙綾は?」
「沙綾なら、香澄ちゃんと遊びに行ったわ♪」
香澄が沙綾を連れ出してくれたのか………
沙綾は、"あの時"以来、全然遊びに行かなくなって、少し心配ではあったんだよな
香澄のおかげで沙綾も少し変わってくれると良いんだけど……
「そっかそっか。じゃぁ、俺も行ってきます」
「はぁい。いってらっしゃい。気をつけてね」
俺が蘭にギターを教える時のスタジオは、俺の家から徒歩15分くらいのところにある。
それに、いつも蘭たち"After glow"が練習で使っている場所でもある。
歩いてすぐ着く場所なので中学の時は、そこのスタジオを借りてよくみんなで練習をしていた
ちなみに、俺の今日の所持品は…
ギター、財布、やまぶきベーカリーのパン(5個)
以上。
なぜパンを持っているのかって?
それは俺のお昼ご飯(4個)+蘭への差し入れ(1個)だ
「それにしても、暑いな」
それもそのはず。
夏の足音もそろそろ聞こえてくる6月なのだから
梅雨入り発表したとはいえ、まだ6月なのに日中の気温が25℃を超えるなんて勘弁してほしい…
そんなことを考えているうちに、スタジオに到着
「こんにちは~」
「いらっしゃい。あら、久しぶりね拓弥くん」
「お久しぶりです」
「今日は蘭ちゃんたちと練習?」
「まぁ、そんな感じですね」
「そうなの。頑張ってね♪
いつもの2番スタジオだからね」
「いつもありがとうございます」
今のは、俺たちが練習する時に使わせて貰ってるスタジオ"circle"のオーナーさん。
中学の時に初めてここに来たけど、その時、楽器に慣れてもいない蘭たちに「気の済むまで練習していきなさい♪」と歓迎してくれた、とても優しい人だ。
ちょっと待てよ。
オーナーさんは蘭"たち"とって言わなかったか?
"たち"って、今日は蘭1人だけのはずじゃ……?
疑問に思いながらもスタジオのドアを開ける
「あ~。たっくんやっと来た~」
「あれ?今日って蘭だけじゃなかったのか?」
「え~?たっくん、聞いてないの~?」
「今日は、拓弥が私たちの新曲を聞いて意見を言ってくれるって蘭ちゃんから聞いたんだけど……」
「いや、俺は蘭に"ギターを教えてほしい"って呼ばれたんだけどな…」
「どっちでも同じじゃん」
「だめだよ!蘭ちゃん!蘭ちゃんが"拓弥に新曲の感想を聞きたい"って言ったから、たっくんを呼ぶことにしたのに!」
つぐの言う通りだ!!
俺はギターを教えるために、わざわざギターを持ってきたのに!!
「拓弥が来たから結果オーライでしょ」
「はははっ!蘭らしいな!」
「巴ちゃんまでそんなことを!何とか言ってよー!ひーちゃん!」
「ん~~、拓弥、ドンマイ!」
うわ、こいつ殴りてぇ………
「それよりさ~、たっくんの持ってる袋の中身ってパンだよね~?」
「よく分かったな」
「そりゃぁ、袋に"やまぶきベーカリー"って書いてあるからね~。
それってさ、私たちへの差し入れ~?」
「いy」
いつの間にか、俺の手にあった袋は……
「まじかよ!ありがとな!拓弥!」
「さっすが拓弥!気が利く~!」
………巴たちの手に渡っていた
巴もひまりも、そんなにキラキラした目で俺を見ないでくれ……
今さら「いや、そんなつもりじゃなくて、それは俺の昼飯なんだ」なんて言えないじゃないか……
「待って、巴ちゃんもひーちゃんもモカちゃんも!」
「なんで~?」
「だって、拓弥は"蘭ちゃんと2人で練習する"つもりで来たのに、私たちへの差し入れがあるなんて変じゃない?」
「そ、そんなことないぞ!蘭が来るなら、つぐみたちも来るんじゃないかと思って、5人分持ってきたんだ!」
俺の昼飯が…
「ほらな!さすが拓弥!つぐは心配しすぎなんだよ~」
「巴の言う通り!つぐは昔から心配性なんだから~」
「拓弥、ほんとに良いの?」
「みんなも言うように、つぐは心配しすぎだぞ。遠慮なく食べてくれ」
「それじゃぁ、お言葉に甘えて……」
「「「「いただきまーす」」」」
「めっちゃ美味しい~♪」
「やっぱ、やまぶきベーカリーのパンは最高だな!」
「だよね~。何回食べても飽きないよね~♪」
「うん!ほんと美味しい!」
美味しそうに食べる君たちを見てると、あれ?なんでだろう?目から汗が出てきた……
別に、「俺のお昼ご飯がぁぁあ!!!」とか思って泣いてる訳じゃないからね?
「蘭は食べないのか?」
「だってそれ……」
「遠慮すんなって。これを食べて蘭たちが良い演奏できるようにって持ってきたんだからさ」
「そ、それじゃぁいただきます……」
「おう」
まぁ、蘭にはマジで差し入れのつもりだったから、遠慮する必要は無い
「はっふ~ん(たっく~ん)」
「どうしたモカ?飲み込んでからでいいぞ」
「モグモグ ゴクリ はぁ~。たっくん、せっかくだし後からギターの練習付き合ってよ~」
「まぁ、せっかくギター持って来た訳だしな。いいぞ」
それでこそ、俺の労力も報われるってもんだ
「やったぁ~~」
「それなら、私のベースの練習も付き合ってくれない?」
「わかった。モカの後でいいなら」
「それじゃぁ、その後はドラムの練習にも付き合ってくれ!」
「巴ちゃんの後で、私のキーボードもお願いできないかな?」
「わかった」
こんな感じでバンド結成当初から俺はしばしば、5人の練習に付き合っている
俺はギターしか弾けないけど、ベースやドラム、キーボードなどは楽譜を見ればそのパートの雰囲気がだいたい掴める
いわゆる"絶対音感"ってやつだ
だから、"練習に付き合う"と言っても、ギター以外は、それぞれの楽器の演奏するパートの楽譜を見て、絶対音感を頼りにミスなどがあればアドバイスをするだけなのだ。
でも、たかがアドバイス。然れどアドバイス。アドバイスがあるのと無いのでは全然違うのだと思う。
それに、少しでも力になれるならなってやりたいし
大切な幼馴染みだもんな
「よし!パンも食い終わったし、拓弥に新曲をお披露目といきますか!」
「うん!頑張ろうね!」
「パンのおかげで元気100倍~」
5人とも自分の立ち位置について、楽器の調整をはじめる
なんか、聴く側なのに緊張するな…
準備ができたのか、蘭がマイクのスイッチをONにする
「準備は良い?それじゃぁいくよ!
"True color"」
13話どうだったでしょうか!?
いろいろ迷ったのですが、Afterglowをメインにやっていくことを決めました!
でも、香澄や沙綾も諦めきれるわけではないので、一段落したら"別ルート"という感じでやっていこうと思っています(現段階では)
ですので、今後もお楽しみいただけたら嬉しいです!
感想もたくさんお待ちしております!!
☆☆☆
更新が止まっていたにも関わらず、感想やたくさんのお気に入り登録、そして高評価ありがとうございました!!
これを励みにこれからも頑張ります(涙)
感謝を込めて、高評価を頂いた方々のお名前を再度掲載させていただきます
☆10 邪竜さん、悪魔っぽい堕天使さん、イチゴ侍さん、落花狼藉さん、ダスキンさん
☆9 ke-iさん、EsiRさん、ペンケースさん、コープさん、あるぶふさん、山の子さん、S_nobleさん、椿姫さん
☆8 ノリピーさん、ねむネコさん
☆7 ルカンさん
本当にありがとうございます!