比企谷隊の非日常   作:アラベスク

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太刀川さんと出水くんは戦うときはいつでも全力投球!!


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太刀川慶は今日も今日とて戦うことで頭が一杯であった。太刀川にとって戦いとは己の欲求を満たすものであり、全てだ。無類の戦闘狂で、現ボーダー攻撃手No.1の実力の持ち主である太刀川の普段はとても残念な物で、特に一番有名なのは「danger」を「ダンガー」と読むと言う聞いたこっちが恥ずかしくなるようなことを平気で行うほどだ。

 

 

 

それはさておき、鼻唄を歌いながら愉快に個人ランク戦が行われているブースに足を運ぶと何やらいつもよりも人だかりが多く、何やら盛り上がっているではないか。珍しい光景に興味がそそられ向かってみればどうやらこれまた珍しい二人組が個人戦を行っていた。

 

「珍しいなぁ、比企谷の奴がランク戦なんかやってるなんて」

 

「太刀川さん?」

 

人だかりするの仲にチームメイトの出水がいたので太刀川は隣に来て観戦することにした。

 

「そうなんすよ。あの引きこもりで有名な比企谷が折本とランク戦してるなんて」

 

「まぁ、あいつら一応師弟だからな。ただ鍛練じゃなくランク戦とは何かあいつを焚き付ける事でもあったのか?」

 

「知らないんすか?今度やつらのA級昇格試合の相手ウチと東さんのとこなんすよ」

 

「何っ!!それを早く言えよ!!うぉーたぎってきた、東さんとことヤれるんか!!」

 

いや注目するのはそっちじゃないだろと出水は心の中で突っ込んだが、最早この人にとってはこの反応が平常運行だったと思い知らされた。

 

「しっかし比企谷隊も運ねーな」

 

「ちょうど防衛任務が重なって調整できないからこんな組み合わせになったらしいっすよ。比企谷の奴すげぇ嫌そうな顔してましたもん」

 

「まぁ普通の反応だろうな。大事な一戦の相手がまさかボーダーA級1位と2位じゃ並大抵な奴じゃない限りは逃げたいに決まってる。まっ俺はそれぐらいキツい方がワクワクしてしょうがないけどな」

 

太刀川の不適な笑い声が周りの人を苦笑させる。

 

「まぁ比企谷にはわりーが全力で当たらしてもらうぜ。お前も手なんか抜くなよ出水?」

 

「あったりまえっすよ」

 

何だかんだで太刀川隊の面子は戦闘狂だった。太刀川は勿論、シューターである出水は「弾バカ」と呼ばれるほどの使い手であり、その天才的センスと圧倒的なトリオン能力による弾幕攻撃で他の追随を許さない太刀川同様NO.1の座に居座る強者だ。

 

 

 

それに対して、比企谷隊にも出水と同じくシューターがいる。本牧牧人、彼はボーダーが公に活動を初めて間もなくボーダーに入隊した古参の一人で、出水よりもシューター歴は長い。

 

しかし、出水の台頭を皮切りにシューターとしての実力差が徐々に引き離されていき今では中堅くらいの位置にいる。しかし、別にそんな序列などに興味はない彼は非常にマイペース且つ自分がやりたいようにやるタイプなので他人がどうとかはまるで気にならないし、出水から教えを請うことさえある。先輩としてのプライドより自らの探求心には逆らえない、何でも吸収していく。

 

 

そんな彼の自称師匠とも言うべき人物に会いに、ボーダーの玉狛支部へ足を運んでいた。

 

 

「こんにちわ」

 

「やぁやぁまっきーではないか」

 

出迎えてくれたのは玉狛支部のお子さま林藤陽太郎3歳児であった。愛犬?のカピバラ雷神丸をお供に今日も元気一杯のようで何よりである。

 

「陽太郎、レイジさんいる?」

 

「レイジならいまでかけたとこだぞ」

 

「そうか、入れ違いになったか」

 

どうやらレイジは留守、しかも先程出たばかりのようだった。このままレイジを待ってもいいが、午後一から防衛任務が入ってるのであまり時間はない。仕方なくまたに改めてうかがうことにしようと陽太郎に別れのあいさつをしようとしたら二階から呼び声がする。

 

「よぉ本牧、いらっしゃい。あげ煎食う?」

 

「迅さん、こんにちわ」

 

現れたのは玉狛支部所属の隊員、自称実力派エリートの迅悠一だ。彼はかつての旧ボーダーと呼ばれるときよりのレイジと同様に古株である。胡散臭さとトレードマークのサングラスが特徴の謎を秘めた人物だと本牧は記憶している。先輩隊員の仲でも比較的仲は良好な方だろうが、あまり信用はしていない。

 

「あげ煎はまた今度にします。レイジさんにまた来るって伝えてもらえますか?」

 

「構わないけど、まぁ……何でもない。帰りは気を付けろよ」

 

 

間の開いた返事に何か視られたようだと本牧は心の内に留めて玉狛支部を出た。

 

 

 

「本牧、お前が来るのはしばらく先になりそうだぜ。俺のサイドエフェクトがそう言っている」

 

視てしまった未来に何を思うのか、迅は屋上から本牧の帰っていく背中をただ見つめるしか出来なかっ

 

 

 

 

 

 

東春秋はここ最近自分の変調を感じていた。いつもよりトリオンの調子がおかしい。それは微かなもので、任務に支障をきたすほどではなく、ただの気のせいなのかもしれないと東自信が言い聞かせていた。隊の長として下の隊員に心配されては隊長として面目が立たないのだから。

 

 

 

ただの違和感に過ぎない。と思っていた変調が後に大きな決断へと迫られることになろうとはこのときの東が知るよしもなかった。

 

 

 

そうして、比企谷隊のA級昇格戦の当日を迎えた。

 

 

 

 




次回!!比企谷隊の命運は、そして東春秋の決断や如何に






おまけ


国近「太刀川さん~ヒゲ延びてるよ、不潔~」

太刀川「これはだな国近、『ヒゲありの方が頭よさそう』って言われたから伸ばしているのだ!!」ドヤ

出水「誰に言われたんすか?」

太刀川「月見」

国近「」

出水「」



それでいいのかダンガーさんよぉ……

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