超次元ゲイムネプテューヌ Origins Interlude   作:シモツキ

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第二十六話 夏だ!海だ!ゲイムバカンスだ!(お着替え編)

夏。気温が高くなり、湿度も高くなり、日光は強くなり、汗の量が凄い事になる季節。…とこう表現すると嫌な時期っぽいけど…木々は生い茂るし、インドア派の人がテンション上がるアレも含めて色んなお祭りがあり、かき氷や冷やし中華等冷たい食べ物が一層美味しく感じられ……そして何より、夏休みがある季節!

……でも、女神に夏休みなんてありません。教会職員は勿論、何なら教祖だって夏休み取得出来るのに、女神に夏休みはないんです。だって仕事日も休みも不定期…というか勝手に決めていい訳ですからね。

だけど、それはあんまりです。女神だって夏休みを満喫したいのです。と、いう訳で……

 

「女神の皆とコンパとアイエフとでバカンスに来たよーーーーっ!!」

 

 

 

 

((今回のイリゼ(さん・ちゃん)、テンション高っ……))

 

 

 

 

「青い空に白い砂浜、うーんこれぞ夏の海だね!」

 

日の光を受けてキラキラ光る夏の海を見て、わたしの目もキラキラと光る。更に言えば、ネプギア達妹組とイリゼの目もキラキラしてる。夏の海はキラキラだねっ!

 

「そうね、雪国が本拠地のわたしにとっては些かキツい環境ではあるけど…気分が高揚するのは分かるわ」

「海水浴にスイカ割りにビーチバレー、夏の海はワクワクしますわ」

「しかしこんな良い環境があるなんてね…いや、良い環境って言うには無理があるか…」

 

比較的落ち着いているノワール達の見せる、三者三様の反応。特にノワールの言葉は印象的で、わたし達四人は苦笑を浮かべる。

四ヶ国のどこにも属していない、無人の離れ小島。いーすんに探してもらった中では最高クラスの環境を持つ場所だったけど…悲しいかな、モンスターの巣窟になっていた。

 

「ねぇねぷ子、ここって本当に大丈夫なの?」

「わたし、ちょっと不安ですぅ…」

「大丈夫だって。んー…あ、丁度一体出てきたし見せてあげるよ」

「グルルゥ……」

「どーどー、ちょっと良いかな?」

「グガァ……ッ!」

「そっか、うんうん分かったよ。まぁそれはともかく…」

 

タイミングよく砂浜近くの林から顔を見せた、一体のモンスター。それを発見したわたしは小走りでモンスターの方まで行って、顔を近付ける。

基本的に人や文明の害となるモンスター。でも人の生活圏外の環境はモンスターも含めてのものだし、危険生物だからって人に近付く事も襲う事もしてないモンスターを『近くでバカンスしたいから』って理由だけで全滅させるのは……力ある者の身勝手でしかない。だから、わたし達守護女神四人は数日前に来て、島中を駆け巡って……

 

「邪魔、しないでくれるかなっ♪」

「……ーーッ!?」

『も、モンスターが逃げてった(です)……』

 

--------わたし達の強さを、教えてあげたんだよね♪…うん?それもあんまり宜しくない?いやいや、ちょーっとわたし達は実力を見せてあげただけだよ?傷なんて一つも付けてないし、何なら笑顔だって見せてあげたんだよ?平和的解決そのものだもん、モンスターも美少女達のキャッキャウフフを見れてwin-winだよね。

 

「ま、一先ずは水着に着替えましょうよ。このまま至って暑いだけだし」

「そーだね、えーと更衣室は…」

「あそこの即席感満載のプレハブ小屋じゃない?」

「あそこ?じゃあロムちゃん行こー!」

「うん…っ!」

 

たたたーっ、と小屋へと駆けていくロムちゃんとラムちゃんに、心なしかいつもよりいそいそと移動するイリゼ。それを追う形で残りの面子も小屋へと向かう。

さて、水着に着替えたらバカンス開始だよ!

 

 

 

 

更衣室用に準備してもらったプレハブ小屋。そこに入ったわたし達は、早速服を脱ぎ始めた。

 

「これってろくな日数もかけずに建てたものなんですわよね?…凄いものですわ……」

「その分耐震性も快適性もろくにない、ほんとにただの小屋らしいですけどね」

「って言うかさ、この島にはわたし達しかいないんだからわざわざ更衣室用意する必要あったのかな?」

「じゃ、ネプテューヌは外で着替えしたらいいんじゃない?」

「う……それは嫌だね、更衣室用意してもらってよかった…」

 

ごそごそ、するする、ぬぎぬぎ。小屋同様簡単な作りのロッカーにそれまで着ていた服を入れて、代わりに水着を身に付ける。…えーはい、今かつてない程肌色成分多めになっております。

 

『……はぁ…』

 

若干名周りを見回した後、自分の胸元を見てテンション下がってる人もいるけど…それは最早様式美。わたしは…気にしないでおこう。気にしなきゃダメージ入らないもん。

 

「これ今回の為に新調したのよね、どうかしら?」

「中々良いセンスだと思いますわ。…もしや、ユニちゃんのもノワールが選んだのでして?」

「あ…はい、お姉ちゃんが選んでくれました」

「よく分かったわね、ベール」

「え、えぇまぁ…(姉妹でカラーリングがほぼ同じなら誰だってそう思いますわ…)」

 

…っとそうだ、ここで一回皆の水着描写入れておこっか。えーと…じゃあまずはベール!ベールの非の打ち所がない…わたし達残念サイドからは嫉妬と羨望を受けまくる身体を包むのは薄い緑のマイクロビキニ!ないすばでーに布地の少ないマイクロビキニ選ぶなんて、ベールは男の子を殺しにかかってるね!

続いてノワールとユニちゃん!ノワールもユニちゃんも上は三角ビキニでノワールは下もビキニタイプ、ユニちゃんはホットパンツタイプ!そして色は二人共黒が下地の白水玉!優等生スタイルのノワールは可愛さと綺麗さをハイレベルで両立してるし、ユニちゃんはユニちゃんで控えめ(わたしやブランよりは好スタイルだけど)ながらも可愛くて期待が持てる格好だね!

 

「おきがえかんりょー!」

「かんりょー…!」

「ほら、砂浜は熱くなってるんだからサンダルも履かなきゃ駄目よ」

『はーい』

 

渡されたビーサンを履いて駆けていくロムちゃんとラムちゃん。二人の水着はロムちゃんが水色、ラムちゃんがピンクのお揃いワンピース!二人仲良く駆けてる事もあって、小さい子特有の可愛さを全面に押し出してるね!

そして二人の保護者宜しく後ろから着いていくブランは白のチューブトップビキニ!確かに肉感的な良さは無いけど…クールで普段無表情なブランの特徴と噛み合う事で、ある種の美しさと背徳的な魅力が醸し出されてるよ!

 

「そういえば、海に来るのは久し振りだわ…」

「わたしもプールはほぼ毎年行ってるですけど、海は久し振りです」

 

脱いだ服を丁寧に畳んでいるのと、日焼け止めクリームか何かを探してるのか荷物をごそごそやっているのはこんぱとあいちゃん。こんぱが着てるのはオレンジのフレアビキニ!前面を覆うタイプのフレアはわたしやブランが着ると何も見えなくなるけど、ここではベールに次ぐバストのこんぱは別!これは最早有り余ってると言っても過言じゃないね!

対するあいちゃんの水着は青のスポーツビキニ!シャープなデザインのスポーツビキニは貧乳、と言うよりスレンダーと表現した方が適切なあいちゃんの身体と合う事で、カッコ可愛いあいちゃんの魅力を最大限発揮してるよ!

それでそれで次は……っと、

 

「ネプギア、ちゃんと着られた?」

「うん。…わ、わたしでも水着位一人で着られるよ…」

「あ、それもそうだね」

 

わたし!…の前にネプギアの水着!ネプギアの水着はピンクと白のストライプホルタービキニ!何気にイリゼに次ぐ…要は二つに分けるならおっきい方に属する事もあって、ノワールと同じ優等生系の…でもノワールにはない初々しさと年下らしさによる可愛さが溢れてる!我が妹ながら憎いね!

そしてそして、わたしは水色と白のタンニキことタンクトップビキニ!敢えてちょっと露出度を落とした事で、わたしの抑えきれぬあどけない可愛さを残しつつ同時にどこかえっちぃ感じも出せる、正にハイレベルの着こなし!これはもう犯罪を誘発しちゃってるかもしれないね!

いやー、解説したよ解説。解説しまくっちゃったよ。あー……

 

 

 

 

……何やってんだろ、わたし…。

 

「…ネプテューヌ、大丈夫?」

「う、うん一応…あ、イリゼごめんね」

「え?…えと、何が?」

「あーうん、こっちの事だから気にしないで」

「そ、そう…体調悪いなら休まなきゃ駄目だからね?」

 

発情したレズビアンみたいな思考をしていた事に落ち込むわたし。そんなわたしをイリゼが心配してくれたところで…まだイリゼの水着紹介をしていなかった事に気付く。一旦冷静になったところでまたあのテンションになるのはキツいけど…イリゼだけ仲間外れにする訳にはいかないもんね!よーし!

イリゼが身に纏うのはクリーム色の紐ビキニことタイサイドビキニ!色合いといいデザインといいイリゼのスタイルといい、どうしてこうもこの子は清純な子が背伸びしてる的可愛さを持ってるのかな!普段は可愛いがメインのそれも水着となればドキドキさせる魅力も倍増だよ!主人公として及第点どころか満点間違い…な、し……って、あれ…?

 

 

…………。

 

「……ノワスタイル…?」

「……!?」

「うわわっ!?の、ノワール!?」

「な、何いきなり私の恥ずい原作ネタぶち込んでるのよ!?」

 

ぼそり、とわたしがその単語を言った瞬間、ノワールが物凄い勢いでわたしの元に駆け寄ってきて肩を引っ掴む。こ、小声で言ったのに反応した…!?

 

「じ、地獄耳だねノワール…」

「自分の事はそれ以外の事より聞こえやすいものよ!後やってないわよ!私の水着のどこが逆なのよ!」

「わ、分かってる分かってる!分かってるからノワール落ち着いて…!」

 

結構な力でわたしの肩を掴むノワールにテンパりながらも、なんとか落ち着けようと試みるわたし。…あ、因みにわたしもノワールも小声だよ?わたしはともかく、ノワールは大声出したらむしろノワスタイルについて皆に知られちゃう可能性あるもんね。

 

「ノワールの事じゃない!ノワールの着こなしは何も間違ってない!むしろ完璧過ぎて同じ女の子として嫉妬しちゃうよ!」

「え、そ…そう?…ふぅん、そうなの…なによ、そう思ってたのなら最初からそう言えばいいのに」

「あ、あはは…」

 

まくし立てる様な言葉と後半の褒めによって、一先ずノワールはちゃんと話を聞いてくれる状態になる。…その結果今度はノワールがドヤ顔浮かべ始めたけど…非常事態だもん、我慢我慢。

 

「…で、じゃあなにに対してノワス…こほん、あんな事言ったのよ?」

「えーっとだね、それは…」

「……もしかして、誰かがその状態になってるの?」

「……そういう事…」

 

わたしの言葉を受けて、更衣室の中を見回すノワール。鬼気迫るもの、ドヤ顔と変化してきたノワールの顔だったけど…見回した後は、『やっちゃったよこの子…』って感じの顔をしていた。…うん、やっちゃってるよね……。

 

「き、気付いてないって言うの…?」

「ノワールだってわたしに言われるまでそうだったじゃん」

「私もさっきまでそうだったみたいに言うんじゃないわよ!…それで、どうする気よ?」

「どうって…そりゃ何とかしてあるべき姿に戻す--------」

「さてと、それじゃ私もそろそろ外出よっかな」

『わあぁぁぁぁああああっ!?』

『はい!?』

 

わたし達の懸念をなにも知らないイリゼ。そんなイリゼがそのまま外に出ていっちゃいかけたもんだからわたしとノワールは大慌て。慌てて止めた結果周りから変な目で見られてしまった。

 

「ね、ねぷねぷ止めたノワールさん…どうかしたですか…?」

「な、なんでもないのよ?うん」

「そうそうなんでもないなんでもない。だから皆外へゴー!」

「変なの…だったら今度こそ海へ…」

『イリゼは駄目!』

「なんで!?」

 

がびーん!と擬音が出そうな位ショックを受けてるイリゼを放置しつつ、精一杯の女神(営業)スマイルで他の皆を更衣室から送り出すわたしとノワール。イリゼは「訳が分からないんですけど!?」みたいな反応してたし、他の皆には「まーたしょうもない事を考えてるな…」みたいに見られたけど、何とかノワスタイルがバレる事なくイリゼ以外を外へ送り出す事に成功した。…もうこの時点でわたし達一苦労だよ…。

 

「うぅ、コンパやアイエフ達ならともかく、ユニにまで変な目で見られた…」

「絶対良からぬ事企んでるって思われたね…」

「実際変な事してるでしょ…良からぬ事考えてるでしょ…」

『……はぁ?』

「え…え?な、なんで私メンチ切られてるの…?」

『さぁ?なんででしょうねぇ?』

 

わざわざ負わなくてもいい不信感を負ってまでイリゼの痴態を隠そうとしているにも関わらず、当のイリゼが非難側に回ったものだから、ついわたしとノワールはメンチを切ってしまう。ノワスタイルについてはイリゼ自身が気付いてない訳だから一応仕方ないと言えば仕方ないんだけど…ねぇ?

 

「いや、あの…何故私は行っちゃいけないんでしょうか…?」

「それは説明出来ないかな」

「つまり、黙ってここに残ってろと…?」

「そうなるわね」

「……え、これ私虐められてない?ねぇこれ場合によっては虐めだよね?」

 

なにやらイリゼがごちゃごちゃ言いだしたけど…それよりわたしとノワールはアイコンタクトで作戦会議をしなくちゃいけない。むしろ騒いでる間は外行きそうに無いし好都合好都合。

 

(引き止めた以上、やっぱり無しはもう効かないわね。それだとイリゼが変に思って気付きかねないわ)

(とはいえ普通に言ったらイリゼ相当ダメージ受けると思うからなぁ…)

(…その方が良いかもしれないわよ?下手に誤魔化したり小細工したりすると返ってショックが大きくなる可能性あるし、ストレートに言った方が傷は浅いと思うわよ?)

(かもしれないけど…出来ればわたしは、イリゼに気付かれずに解決させたいかな…)

(また無茶を…でもどうしてよ?それがベストなのは分かるけど、賭けとしては分が悪過ぎる事位分かるでしょ?)

「あのー、聞いてますー?無茶苦茶な事言った後突然無視を始めるとか、私ほんとに虐め疑うよ?」

 

ノワールの言う事は分かる。と言うかこれがイリゼ以外だったら、ノワールの案に乗っていたかもしれない。けど、イリゼの場合…今回のイリゼの場合はそうはいかない。出来るならば、そういう方法は取りたくない。……あ、アイコンタクトで完全な会話出来るとか何者だよ、的な突っ込みは無しでお願いね?わたし達それどころじゃないから。

 

(…ノワールさ、今回イリゼが普段よりちょっとテンション高めなの気付いてる?)

(え?そりゃ、まぁ気付いてたけど…それがどうかした?)

(うん。多分なんだけど、このテンションは『自分が気になってたものを初めて体験出来る』っていう喜びからくるものなんだ。本人に聞いた訳じゃないけど、前にわたし達が初めてルウィーに来て雪遊びした時も同じ感じだったからさ)

(そうなの…でも初めてって……あ…)

(そう。イリゼは意識を持ってから今に至るまでの期間がわたし達に比べて、ずっと短いんだよね。わたしも記憶的には海来るの初めてだけど…体感的には前にも来たんだろうなぁって思えるんだ。…でも、イリゼは違う)

(…こういう事に関しては、ほんとはユニ達妹組と同じ心境…って訳なのね)

「……いいよ、分かったよ…黙って待ってるよ…」

『分かれば宜しい』

「やっぱり聞こえてるじゃん!虐めなんだね!これ虐めだったんだね!?」

 

もし、ここで真実を伝えてしまったら、イリゼは初めての海、初めての皆とのバカンスという大切な思い出の中に、『水着を裏表逆に着てしまい、しかもそれに暫く気付かなかった&何人かにバレてしまった』という、忘れたくなる出来事が残ってしまう。過去の記憶がない分今ある記憶を、これからの記憶を人一倍大切にしてるイリゼに、嫌な記憶は出来る限り持ってほしくない。嫌な記憶を持たずに済む手があるのなら、友達として全力でなんとかしたいと思うのがわたしだった。

 

(……ネプテューヌ、貴女の言いたい事は分かったし、私もそれに賛成よ。だけど、どうするつもりよ?気付かれず解決するなんて、現実的な手段だと殴って気絶させるとかしか思い付かないわよ?そうする気?)

(まさか、イリゼじゃ一撃で気絶させるのは楽じゃないし、怪我させちゃったら不味いもん。……だから、正攻法な手段は使わないよ)

(…なにも案がない、って訳じゃないのね)

(一応は、ね。ちょっとノワール、耳貸してくれない?)

 

これを目で伝えるのはアレ…具体的には目の色がヤバくなりかねないから、わたしはアイコンタクトで耳打ちを要求する。するとノワールは顔を近付け、こちらに耳を向ける。

一瞬躊躇ってから、意を決して耳打ちするわたし。それを聞いたノワールは、予想通り目を白黒させていた。

 

(ちょ、ちょっとネプテューヌ!?貴女本気!?本気でそんな事考えてるの!?)

(本気だよ。これならイリゼには一切気付かれないだろうし、ぱぱっと終わらせる事が出来る。今思い付く中じゃこれが最大最高だよ)

(…貴女は、それでいいの?)

 

ノワールの目からは、心配の色が感じ取られた。そう、わたしが今考えているのは、正気を疑われても仕方のない様な事。どう考えても常軌を逸してるし、普通の状況ならむしろ最低最悪の評価をされるであろう事だから、ノワールの心配も分かる。だけど……

 

(…それでイリゼが失態に気付かずに済むなら、今日一日楽しめるなら、わたしは喜んでやるよ)

(ネプテューヌ…)

(ノワールは無理にやらなくたっていいよ。わたしが口滑らせなきゃノワールは巻き込まれず済んだ訳だし、普段真面目な分わたしより評価悪くなるかもしれないもん。これはわたしが何とかするから、ノワールももう外行っても…)

 

…わたしは、アイコンタクトを最後まで伝える事が出来なかった。だって、わたしが全て伝えきる前に、ノワールが首を横に振ったから。そして、再びわたしと目を合わせたノワールは、澄んだ瞳をしていた。

 

(…いいえ、私もやるわ)

(…リスク、大きいんだよ?)

(そんな事は百も承知よ。っていうかそもそもの話、イリゼは上下両方逆なのよ?それを本人に察せられる前に終わらせられるのかしら?)

(うっ、それは……)

(乗りかかった船を降りる私じゃないし、ここまで話しておいて後はもう知らない…なんてするつもりは毛頭ないわ。それに、ネプテューヌとイリゼが友達である様に、私もイリゼと…あ、貴女とも友達よ。だから…)

(…分かったよ.ノワール…二人で、このミッションを達成させよう!)

(えぇ、絶対成功させてやるわよ!)

 

この時、私とノワールの心は一つだった。同じ目的を目指す仲間として、友達を助けたいという友達同士として、わたし達の思いには1㎜の差もなかった。今なら、ノワールとならなんだって出来る気がする…!

 

「いくよ、ノワール」

「いくわよ、ネプテューヌ」

『……イリゼっ!』

「は、はい…!こ、今度はなに!?」

「…………」

「…………」

「…………」

『……ーー!』

 

わたしとノワールは目を閉じる。そして、二人同時に目を開き…すっ、と交差しながら、流れる様な動きでイリゼの横へと滑り込む。

種割れをしているかの様な、一切の無駄のない動きで…一心同体そのものの、一糸乱れぬ連携で…わたし達は--------

 

 

 

 

 

 

 

 

----------------イリゼの水着の紐を解いて、水着を奪い取る。

 

「…………へ…っ?」

 

わたし達の見立て通り、イリゼのビキニの紐は飾りではなくほんとに水着を止めてるもの。故に、紐を解いてしまえば、簡単に水着を剥ぐ事が出来る。

ふわり、とわたしの手に収まるイリゼの水着(下)。当然その行為は同性であろうと異常な程の背徳的刺激を受けるんだけど…わたしも、水着(上)を剥いだノワールも欠片も邪念を持たずに、何がなんだか分からず固まっているイリゼに水着を着け直す。勿論、裏表をきっちり直した確認した上で。

時間にすれば、たった数秒。たった数秒で行動開始から結び直しまで遺憾無く完遂させたわたし達は、イリゼから離れ…無言でハイタッチを交わした後、更衣室の出口へと向かう。

 

 

--------完璧だった。ノワスタイルをイリゼに気付かれる事なく、水着をあるべき形へ着直させる事に成功したんだから、これを完璧と言わずしてなんというのだろうか。

そんな思いを胸に抱きながら、安心と充足感を感じながら、わたしとノワールはスマートにその場を去るのだっ--------

 

 

 

 

「何……すんのよ変態ぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいっ!!」

 

べちーん!どかーん!

わたしとノワール、顔を真っ赤にしたイリゼに蹴り飛ばされて壁に直撃!カエルみたいに一瞬壁に張り付いた後、べたりと落下!わたし達、完全に獲物に反撃を受けた馬鹿二人組だった!

 

『……まぁ、こうなる(わ)よねぇ…』

 

--------ちゃん、ちゃん。




今回のパロディ解説

・ノワスタイル
原作シリーズの一つ、超次元ゲイムネプテューヌmk2中のネタの一つの事。今回やっちゃったのはノワールではなくイリゼなので、ノワスタイルならぬイリスタイルですね。

・種割れ
機動戦士ガンダムSEEDシリーズに登場する、要素の一つの事。種割れ状態が如き無心さでイリゼの水着を剥ぐネプテューヌとノワール…なんかもう、最高です。

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