超次元ゲイムネプテューヌ Origins Interlude   作:シモツキ

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今回の話(第七話)は、創滅の迷宮・蒼の魔導書編の最終話以降の話です。今後は時折(あまりストーリー状況重要にはならない形で)蒼の魔導書編の出来事関連の言葉が出てくる事がありますので、先にそちらを読んでおくとよいかもしれません。但し、読まなくてもそこまで大きな問題は発生しません。


第七話 ルウィー、料理大会編

「んー!美味し〜♪」

 

しっとりとした食感に、しつこ過ぎない程度に濃い甘さ。そして何より気温で冷やされた身体に丁度いいほかほか具合につい声を上げてしまう私。

散歩を始めて数十分。ふと目に付いたたい焼き屋さんに寄った私は、絶賛買い食い中だった。

 

「うんうん、やっぱ色んな味、色んな種類の食べ物を食べてこその『食』だよねぇ」

 

ぱくぱくとたい焼きを口に運んでは咀嚼する私。私が寄ったたい焼き屋さんは別に有名店だとかルウィー限定の味を発売中だとかではないけど……暫く保存食やそれに準じるものしか食べてなかった私にとっては、普通の食べ物でも普段の倍以上に美味しく感じられた。

 

「…でも、ちょっと喉乾くのが玉に瑕かなぁ」

 

あっという間に(自分で言う事なのか謎だけど)食べ終わった私は店先のベンチを立って、今度は飲み物を探しに歩き出す。一応複数フレーバーがあるものもあった保存食と違って、水分はほぼ水しか口にしてない(砂糖水は微妙だったねぇ)私の喉は、ある意味お腹以上に美味しいものを欲していた。

 

「……とはいえ、ふぅむ…」

 

ルウィーの街中を闊歩しながら、私は少し考える。事案の内容は勿論何を飲むか。何か困るって、飲み物は「奮発して高いの買っちゃうぞー」というのがいまいち通用しない事。監査官以前からそれなりに良い仕事に就いてた上、クエストを行う時も比較的高難度のものを選んでいた私の懐は、こうして買い食いする程度なら痛まない。だから高めの飲み物を買ってみたいところだけど…割と飲み物は高いものが少ない。大きいボトルに入ってるのなら多少は高いけど…ちょっと喉を潤したいだけなのにそんな大きいのを買うのは、ねぇ……。

 

「アルコール類は見た目の問題あるし、健康に良さそうな飲み物は美味しい物飲みたい気持ちと反するし…」

 

ここは一つ、喫茶店にでも入ってそこで飲もうかなぁ…と、暫定的ながら決めた私は目に付いた喫茶店に入る。そして店員さんに促されるまま席へと移動して……

 

 

「……あれ、イリゼさん?」

「え?

 

移動する途中、横から聞き覚えのある声をかけられて振り向く私。するとそこに座っていたのはそこはかとなく冒険者っぽい姿をした少女と見るからに魔術師っぽい姿をした少女。その二人を見て、私は目を丸くする。

 

「…ファルコムに、MAGES.…?」

「ふっ、久しいなイリゼよ」

「凄い、こんな偶然ってあるんだね」

 

それぞれの理由で旅に出ていた別次元組の内の二人に、長期間いる訳ではないルウィーの、偶々入った喫茶店で出会うなんて事は、確かに凄い偶然だ。

店員さんに一言言い、二人と同じテーブルにつく私。年単位ではないものの、それなりに久し振りだった私達は自然と会話を始める。……まぁ、ガールズトークと呼べる様な華のあるものじゃないけどね。

 

「ルウィーに来ていたのは仕事関係か…教会職員にも出張はあるのだな」

「出張っていうか…いや、出張でいいのかな…?」

「さぁ…女神が出張、ってのは変な感じがするけどね」

「私は立場が特殊だからね…あ、ブレンドティー一つお願いします」

 

他愛ない話をしながら私はメニューに目を通し、興味を惹かれた紅茶を店員さんに注文する。割といい感じのお茶あって良かったなぁ。

 

「二人はどんな旅を?」

「あたしは旅、っていうか冒険の準備かな。長期的な冒険する場合は準備も入念にしないといけないし」

「私は我のインスピレーションを刺激するものの探索、と言ったところだ。屋内に籠っていては刺激も減ってしまう」

「…うーん、全くもって私の予想を外れてない…二人も変わらないねぇ…」

「そりゃ、そんな何年も離れてた訳じゃないしね」

 

肩を竦めるファルコムを見て、それもそっかと苦笑する私。騒がしい仲間との日々から騒がしくない…事もないけど、プラネテューヌを中心とした生活へと移行したから結構時間が経った様に感じてたけど、実際にはそこまで経っていないんだから、むしろ大きな変化をしていた方が変なんだよね。

…と、そこで一つ疑問が浮かぶ私。

 

「…あれ?二人は別々で旅してたんだよね?」

「あぁ。私とファルコムが会ったのも偶然という奴だ」

「会った時に偶々共通の目的が出来てね、ここ数日一緒にいるんだ」

「共通の目的?」

 

更に質問を口にする私。二人はそれに答えようとして…そこで、顔を見合わせた。

 

「…これって、ナイスタイミングって奴かな?」

「降って湧いた幸運、と言って差し支えない事は事実だな。問題は技術の方だが…」

「そこは…大丈夫じゃない?あのクイズ番組の時に経験してる筈だしさ」

「えーと……な、何の話…?」

 

どう考えても私が関係するっぽいにも関わらず、私が分からない内に話が進行してしまっている。…説明を、誰か説明をっ!

 

「…そうだな。何より人数が足りなければ技術以前の話な以上、訊くだけ訊いてみるとしよう」

「そうだよ、知らない人と組むよりはずっとこっちも楽だし」

「いや、あの、だから二人は何の話をして--------」

『イリゼ(さん)、(あたし・私)達と一緒に料理をしてほしい!』

「……料理…?」

 

本日二度目の丸目をしてしまう私。丁度そのタイミングでブレンドティーが来たものだから、一先ず一口運んでみる。……うん、香りも味も良いかも。

 

「はふぅ……」

「落ち着いたか、イリゼよ。では説明を…」

「いや別に冷静さ失ってた訳じゃないんだけど…まぁいいや、説明お願い」

「実はあたし達はある大会に出ようと思っててね。ほらこれ」

「…『即興料理王は誰だ?三人共同料理バトル』…?」

 

渡されたチラシにはでかでかとそんなタイトルが書かれてあった。ふむふむ、参加条件に三人一組っていうのがあるから私を誘った訳だね。……でも…

 

「どうしてこの大会に?二人共料理好きだっけ?」

「ううん、単に優勝賞金目当てだよ」

「私は研究費用、ファルコムは冒険準備としてそれぞれ資金が必要だからな。勿論優勝した際には三分割してイリゼにも渡そう」

「あぁ、そういう…でも二人ならクエストでも稼げるよね?」

「こっちの方が費用対効果が良いんだよ。ここでいう費用は時間や苦労だけど」

 

確かにそれなりの距離を移動してモンスターを倒すなりダンジョンを調査するなりするよりは、街中で料理をした方が速いし安全に違いない。…まぁ、二人が料理してる姿はあんまり想像出来ないけど…。

 

「…さて、では改めて問おう。イリゼ、私達に協力してくれないか?」

「無理なら無理だって言ってくれて良いからね?」

「んー……あんまり私料理のレパートリーないけど、いい?」

『勿論!』

「なら…一緒に、優勝を目指そうか二人共」

 

にっ、と笑みを浮かべる私。二人は私のその反応を待ってましたと言わんばかりに顔をほころばせ、一緒に頑張ろう、と紅茶に伸ばしかけていた私の手を握ってくる。そんな二人に私は「これじゃ飲めないよ…」と苦笑い混じりの言葉を……

 

「…ってこれ、よく見たら受付期間終わってるじゃん!?何この肩透かし展開!」

「あ、それなら大丈夫。もうエントリーしてあるから」

「そっかぁ、なら安心……一人足りてないのにエントリーしたの!?よくそんな事したね!?」

「ふっ、なぁに…分の悪い賭けは嫌いじゃないのさ」

「ここぞとばかりに前作で言えなかったパロディしたね!でもこういうのは分の悪い賭けじゃなくてただの無策って言うんだからね!?」

 

スポーツ物なんかで試合が決まってから足りないメンバー集めする展開は偶に見るけど…料理大会で見るなんて思いもよらなかった。見られたところで何にも嬉しくないし、むしろこの二人への不安が生まれただけだったけど。

 

「まぁ、いいや…えぇと、開催日は……」

『明日だ(よ・ぞ)』

「ギリギリ過ぎる!?」

 

かくして、戦闘紛いの雪合戦をしたり、魔導書によって次元を超えた絆を紡いだりした日の翌日に私は料理大会に出場する事になった。……あれ?なんか平和になる前より日常が騒がしくなってない?

 

 

 

 

「さぁ、制限時間も残り半分を切った!紳士淑女の諸君が作る料理は一体どんなものになるでしょうか!」

 

料理台が幾つも用意された特設ステージと観客席に響く司会者の声。その声を耳にしながら私は…自分の担当である、デザートに熱を入れる。

 

「ここで改めてルールの説明をしましょう!これは三人一組のチーム勝負!全チーム共通の材料と調味料を使い、主食担当主菜担当デザート担当でそれぞれ作っていくのが鉄則!副菜はどうしたとか汁物も欲しいなぁとかそんな事は言いっこなしだ!」

 

妙にテンション高い司会の説明に観客席は勿論、私達参加者からも笑いが漏れる。…っていうか、そこ突いていいんだ…暗黙の了解で触れずにいるべきだと結構な人(私含む)が思ってただろうに…。

 

「続いて三人の判定員の紹介です!まずは、言わずと知れた名料理人、トンデモシェフさん!」

「…………」

「…と、トンデモシェフさん…?」

「…………」

「……あ、ありがとうございます!噂通りの無口っぷりに、私も皆さんもびっくりです!」

((ほんとにびっくりだよ……))

 

割とどうでもいいところでその場にいた全員の心がシンクロする。…よくこんな無口な人を判定員に選んだなぁ…。

 

「二人目はこの方!仮面を被り豚としての人生を歩むある種の新人類の一人、らんらんさん!」

「んほー!らんらん豚だからよく分からないけど頑張るー」

「よく分からないのに判定員に慣れた事に驚きだぜ!そして三人目!名前の時点で既に美味しそう!我らがホワイトハート様の侍女ことフィナンシェさん!」

「あ、えと、宜しくお願いします!」

「経歴の割には前二人よりよっぽどまともそうで助かります!以上の三人が判定員だ!技術で狙うも良し、三人の好みを上手く突くのも良し、参加者の皆さんの判断力も試されるところですね!」

「…まさかフィナンシェさんが判定員の一人とは…」

「どういう技術で選んでるんだろうね」

「下手に美食家が判定員になるよりは気楽じゃないか」

 

色々と突っ込みたいところはあるけど…MAGES.の言う通りだった。幸い他の参加者も決してプロの様じゃないけど…こちらもアマチュアである以上、判定員が高級料理に慣れている人でないのはありがたい。……まぁ、トンデモな人だったり豚仮面だったり女神の言動に着いてこれる人だったりだからイマイチ安心は出来ないけど。

 

「…ふむ、私の方は揚がり次第完成だ」

「あたしも後は盛り付けかな」

「…さてと、まずは食材を洗って……」

『今!?今更!?』

「…というのは数十分前の話。今はオーブン待ちだよ」

「わ、悪い冗談は止めてくれ…」

 

私達は、ファルコムが主食、MAGES.が主菜、私がデザート担当としていた。二人共一人旅の経験があるからか以外と料理が上手で、ぱっと見この中じゃ一番料理出来そうな私が実のところ一番料理が下手だった。…あ、あくまで比較的だよ!?少しなら私だって料理出来るんだからね!

 

「でもまぁ、これなら制限時間内に完成しないという事はなさそうだね」

「あぁ、では私は判定員に幻惑魔法をかけておくとしよう」

「OK、あたしも冒険で培った……いや駄目だよ!?不正はいけないよ!」

「といいつつ乗りかけていたなファルコムよ…」

「あはは、冗談だよ冗談……」

 

私がオーブンを開ける最中、二人はそんな会話をしていた。……大丈夫だよね?実はもう何か仕込み済みとかないよね?

それから十数分後。最後の味見をしたり、盛り付けたりして私達は料理の最終準備を済ませた。流石にこの段階となると他のチームを次々と完成させる為、特設ステージは様々な料理の匂いで賑やかになっていく。……え、料理風景の描写?またまたぁ、料理メインの作品ならともかく、バトルとラブコメがメインの作品で料理風景なんて滅多にないでしょ?もー、期待し過ぎだよ?

そして……

 

「ファイブ!フォー!スリー!ツー!ワーン!制限時間内終了っ!もう完成していようがしてまいが調理は終了!ルール違反はその時点で失格です!」

 

司会者のアナウンスと同時に運営委員がそれぞれの料理台へ料理を回収しに来る。会場全体が一体どこが高得点を取るのかな、まさかこんな場でルール違反するチームなんかないよね…という雰囲気になる中、その報告は上がった。

 

「…えー、残念ながら一チーム、ルール違反がありました」

「あら…自前の食材持って来ちゃったとかかな?」

「もしかしたら、完成品を持って来てたとかだったりして…」

「主食主菜デザートの三品のルールに反し、お弁当を三つ作ってしまったチームがありました。誠に残念です」

『何故にお弁当!?』

 

私達三人は勿論、会場の各所から突っ込みが飛ぶ。なんでお弁当なんか…制限時間中も説明あったじゃん…お弁当ならそれぞれの中身寄せ集めて取り敢えず三品でっち上げる事も出来たじゃん……何だろう、三人で料理で競い合いって事でチーム天音が混じっちゃったのかな…。

 

「こほん。では気を取り直し、判定タイムといきましょうか!まずはエントリーナンバー1番、イクメンズ!料理はカレーにハンバーグにフルーチェ!イクメンズの名前通り、子供の喜びそうなラインナップですねぇ!」

 

料理が三人の判定員の所に運ばれると同時に、父親らしき三人が並ぶ。カレーとハンバーグが同時に出たら子供の胃には辛いんじゃないかとかフルーチェは料理と呼べるのかとか色々思うところはあったけど、トップバッターとして中々良さそうだった。

 

「…………」

「思ってたより肉が柔らかいの〜」

「フルーチェって美味しいですよね。しかし何故フルーチェまで食材のラインナップの中に…」

 

三者三様の反応を見せながら料理を食す判定員。ただ、悲しいかな。三人共食レポ経験もバラエティ経験も殆どないからか食事中の絵面は…地味だった。

 

「お次はエントリーナンバー2番、ファーストフード同好会!料理はハンバーガーに骨つきチキンにシェイク!1番から引き続き、なにか妙に肉が多い!カレーにも肉が入っていたのでデザート以外全部お肉入ってます!」

 

いやそんなの知らんがな…みたいな顔してならぶ同好会の方々。判定員の三人も『あれ、これまさか今後も結構な割合で肉来るんじゃ…?』と不安そうにしている(トンデモさんはよく分からないし、豚仮面さんは仮面だからそもそも表情見えないけど)。

 

「…………」

「まさか雪国の屋外でアイス系を食すとは思わなかった…」

「ハンバーガーも中々良いですね、ちょっと好きかもしれません」

 

またも三者三様の反応を見せる判定員。元々トークも殆どないからか、観客の興味は次第にらんらんさんが仮面を着けたままどう食べるか(何故かよく見えない)と、ちょっと愛らしいフィナンシェさんの食べ方に移っていく。…これ、色々と制作サイド詰めが甘くない……?

そして約十分後、ついに私達の番になる。2番以降の人達は…いいよね、別に。

 

「ここで遂に大物の登場!エントリーナンバー6番、G・F・I!皆さんご存知の英雄の内の三人!」

「わ、こんな紹介されるなんて…」

「私はちょっと慣れてたり……うん?G・F・『I』?チーム名って……」

 

名前自体は分かる。三人の名前の頭文字を使うという定番のパターンだという事に疑問はないけれど……

 

「……チーム名って、エントリーの時に伝えるんだよね?じゃあこれってまさか…」

「予知能力だ」

「嘘ぉ!?」

「あ、これはほんとに偶然だよ?」

「だ、だよね…いや偶然でも凄い!むしろ偶然なら尚更凄いんだけど!?」

「あ、あのー…」

「あ、すいません……」

 

まだ私達の番だったという事を思い出し、黙って所定の位置に並ぶ私達。司会者さんの言葉もそこで再開される。

 

「ごほん、料理はパスタ--------」

「パスタはパスタでも、一本気パスタだよ!」

「あ、はい…一本気パスタに唐揚げ、そして何とフィナンシェです!主食と主菜は何か知ってる人にはあぁ、と思える品、デザートに至っては判定員の一人の名前と同じものというギャンブル選択!これは色々と楽しみです!」

「…………」

「もぐもぐ…元ネタと違って普通に美味しいの」

「ふっ、わたしがいると分かってのフィナンシェですか……わたし、誰か一人はやってくれる筈って楽しみにしてたんです!」

(フィナンシェさんならそういうと思ったっ!)

 

ぐっ、と小さくガッツポーズを取る私。ファルコムはそのままネタを、MAGES.も元ネタによる前振りで不安にさせておいて実は美味しいという策を労した事で判定員からの評価は高い様だった。…色々とメタい気もするけど…いいよね、うん。

そこからまた十数分後。エントリーした全チームの実食が終わり。判定員三人による審議が開始される。…と、言っても……

 

「…………」

「らんらんもうお腹一杯よ〜」

「こ、この二人とどう話し合えと……?」

 

審議はずっとこんな調子だった。これにはもう、全員が「えぇー……」である。

ただそれでもぐたぐだエンドは不味いと分かっているのか、何とか決める三人。それを代表であるトンデモシェフさんが司会者に伝え(は、話したのかな?)、満を持してステージの中央に立つ。

 

「どちらかというと悪い意味でぐだっていた本大会も遂に決着!優勝チームの発表です!」

『…………!』

「…チームイクメンズ!」

『……!?』

「…は努力賞です!」

『努力賞!?』

 

ずだーん、と一気に数十人がコケる。まさかのとんだ引っ掛けだった。特にショックを受けていたのがイクメンズの方々で、見るからに落ち込んでいる。…こんな酷い持ち上げと落っことしが日常にあるのだろうか……。

 

「はい、続いてやや優秀賞!チームJK!」

『やや!?』

「更に頑張ったで賞はチーム老人会!」

『どんどん賞が適当になっている!?』

「それとおまけに最優秀賞はチームG・F・I!」

『ここにきて真面目!……うん?』

「ついでに惜しいで賞はチームファーストフード同好会!」

『だから適当過ぎる!』

「……っていやいやいや!最優秀賞の扱い軽くない!?ちょっ、どんな状況になってるのこれ!?」

 

次々と賞と言う名のボケが飛び、それなりに突っ込みの素養のある人達による迎撃的突っ込みが応戦するというとんでもない状況になってしまった。もう既に料理大会ではない。……あ、因みに最後の突っ込みは私だよ。

 

「さぁ?ではまた来てほしいで賞--------」

「だからどんな状況!?ぐだりにも程があるんですけど!?」

「…だって、判定員さん達の総意が出来れば全チームに賞をあげたいってものだったんですよ。だから私が即興で色々考えて……」

『司会者さん凄い良い人だった!?なんかごめんなさい!』

 

遂にその場にいる過半数による突っ込みと化した。何だっけこれ、お笑い大会だっけ?

とまぁなんだか本当によく分からなくなってしまった料理大会だけど、各チームの『賞はいいから、気持ちだけで十分だからちゃんと優勝チームを表彰してあげてほしい』という意見によりなんとか収束し、私達が表彰を迎えるに至った。そう、微妙に波乱の料理大会は、私達の優勝で幕を閉じたのである!

 

「…イリゼさん、ちょっと地の文に熱入ってるね」

「ほ、ほら…終わりだけでもぴしっと終わらせたくて…」

「終始ぐたぐだだったが…皆と旅をしていた時の様で中々面白かったじゃないか」

「あ、それはあたしも思ったかな。優勝も出来たし万々歳だよ」

「……それは、まぁ…私も思ったけどね」

 

緩くて、ぐたぐだで、締まりがない。確かにそれは、皆との冒険中によくある事だった。それが良い事かどうかはさておき…楽しい時間だった事は、間違いない…と思う。

そんな思いを胸に抱きながら、ついでに臨時収入も抱きながら、私はルウィーを離れる前にもう一度位は会おうと約束した後に、ファルコムとMAGES.と別れてルウィーの教会へと戻るのだった。

 

 

……何か良い話風にまとめてるけど、料理大会が凄まじくしょうもない感じだった事は…否定出来ないよね…。




今回のパロディ解説

・分の悪い賭けは嫌いじゃない
スーパーロボット大戦シリーズの主人公の一人、キョウスケ・ナンブの名台詞の一つのパロディ。これは元々OAにてカットされた、MAGES.のパロディ発言だったりします。

・魔導書によって次元を超えた絆を紡いだ〜〜
グリモワールofネプテューヌ主人公、ディール視点のとある地の文のパロディ。二次創作のパロディをしたって良いじゃない。…い、良いんですよね…?

・チーム天音
アンジュヴィエルジュのアニメ版及びアプリ版に登場する六人チームの名前。さて、作中の三人は地球人と吸血鬼とアンドロイドだったのでしょうか…?

・一本気パスタ
空の軌跡シリーズに登場する料理の一つ。原作では回復アイテムとして使えるので、もしかしたら判定員の三人は食べながらHPが回復してたかもしれませんね。

・元ネタによる前振りで不安にさせておいて〜〜
STEINS;GATEにおける料理関連のネタのパロディ。元ネタの作品のヒロインの内の二人が料理下手だからと言って、MAGES.も料理下手とは限りません。……多分。

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