超次元ゲイムネプテューヌ Origins Interlude   作:シモツキ

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第九話 違和感の先の光明

改めて暗号を読み解く。そこに体力を大きく消費する要素なんてないし(頭脳労働だから疲れるには疲れるけど)、本を取ってきて開くだけなんだから読み解き開始なんて一分もかからない。

そう、その筈。その筈なのに……

 

「ぜぇ…ぜぇ…あ、暗号…見てみようか……」

「そ、そうです…ね…はぁ…はぁ…」

 

私もディールちゃんもぐったりしていた。持久走でもやったんだったかな?と思っちゃう位のぐったり具合だった。……おかしいよね、これ明らかにおかしいよね?

 

「何で、こうなったんだっけ…?」

「イリゼさんの、悪ふざけのせいでしょう……」

「いや、私の責任は否定しないけど…ディールちゃんにも責任の一端があるよね…?」

「それは…まぁ、そうですね…」

「じゃあ、今回もお互い様という事で…」

 

互いに『何やってるんだろう(私・わたし)』みたいな表情を浮かべながら、私達はいつの間にか床に放置していた本の元へと移動する。…読み解く対象の載ってる本を忘れてる時点でもう読み解くも何もないよね……。

 

「…さて、どこのページだったかな……」

「これ、複数人で読むにはちょっと小さいですね。読めない事は無いですが」

「じゃ、私の膝の上に座る?いやむしろ、お姉ちゃんの膝の上----」

「グリモワールスマッシュ!」

「名無し本リフレクト!」

「何をふざけた事言ってるんですか!後前半のネーミングセンス最悪です!」

「だからっていきなり殴る事ないじゃん!後わざわざ本で殴る必要ある!?」

 

叩き込まれるグリモワールと掲げられる名無し本。それはさながら激突する騎士の剣と盾…なんて素敵なものではなく、せいぜい叩いて被ってじゃんけんぽんのワンシーンだった。……私はともかく、ディールちゃんは明らかに誰かさんに毒され始めている。

 

「…真面目な話、わたしが膝座ったら座ったで気まずくなるのは目に見えているでしょう?」

「ですよねー…ごめん、冗談だし本はディールちゃんが持って良いよ。元々もう一度見たいって言ったのはディールちゃんだし」

「別にそんな気を使わなくても……いや、お言葉に甘えさせてもらいますね」

 

ディールちゃんは一度否定しようとするものの、途中で『否定したら遠慮合戦に発展しちゃうかも』と思ったのか言い直して私から本を受け取る。私は察しが良くて助かるなぁ…なんて思いながら本を開くディールちゃんの隣に移動した。

 

「ええと…あ、ここですね。……こほん、『元の場所へと戻るは二つに一つ。加えられし者、排除されし者。求めし先に、戦場はあれり。ここは、創滅の迷宮』」

「…何故音読を?」

「こうして一度表現しておけば、わざわざ第六話を見直さなくて良いかと…」

「うん、やっぱディールちゃん毒され始めてるよ。元から素養があったのかもしれないけど、どう考えてもこっち来てからその方向性で暴走しちゃってるよ」

 

配慮としては百点満点だったけど、キャラ的にはアウトもいいところだった。……もう下手に触れない様にしよう、薮蛇で怒られるのも嫌だし。

 

「…真面目な話しても良いですか?」

「おおぅ、真面目な話するのに区切りが必要だと思われてる……うん、大丈夫」

「では…まず、ここが気になるんです」

 

そう言ってディールちゃんは一行目、『元の場所へと戻るは二つに一つ』の部分を指差す。そこは私が不穏な可能性を浮かべた部分だったからまさか…と少し不安になったけど、表情から察するにどうやら私と同じ様な事を思い浮かべていた訳ではない様だった。

 

「…何か、分かったの?」

「いえ、そうではなくて…ここ変だと思うんです」

「ここって…『二つに一つ』に変も何も無くない?」

「まぁそれはそうなんですけど…二つに一つ、っておかしな表現だと思いませんか?最初に読んだ時は全部理解しようとして気付きませんでしたが…これ、この行以降の文章とは上手く合わない様に思えるんです」

「そうかなぁ……」

 

イマイチディールちゃんの言う事がピンとこない私。確かに『求めし〜』から先にはちゃんと合わない様な感じはあるけど、それ以前に前半二行と後半二行は別の事を指してる風の書かれ方だし、二行目は一行目とそこまで合わない様には思えない。…何か視点が違うのかな?

 

「じゃあ……イリゼさんは、この二つに一つ、とは何を指してると思いますか?」

「……っ…それは…」

「…あ、別に具体的に言えという意味じゃないですよ?そこは問題じゃないので」

「…じゃあ…人、とか?」

「ですよね?わたしもそう思いました。……ならば、何故『○○つ』という表現をしているのでしょう?それともこれは人以外を指してるという事でしょうか」

「…確かに、なんでだろう……」

 

ディールちゃんに言われて、やっと私も違和感を抱き始めた。『○○つ』という数え方はかなり汎用性が高いからこそ気付かなかったけど、本来ならばこれは人を数える為のものではない筈。なのにこの数え方をしているという事は、何か特別な理由があるとしか思えなかった。

 

「…これを書いた人は、『二つ』に該当する対象を物扱いしてるとか…?」

「それならば、二行目以降ももっと悪意的な表現をしている筈では?」

「じゃあ……物と者を間違えたとか?二行目に者、ってあるし…」

「こんな大掛かりな事する人が、そんなミスすると思いますか…?」

「……なら、やっぱり…人以外を対象にしてるのかな…」

 

特別な理由がある気がするけれど、その特別な理由が何なのかは分からない。人以外を対象にしている可能性もまだあるから、これは人を指していると安易に結論付けて話を進めるべきでもない。

そんな考えをディールちゃんに伝えると、それはディールちゃんもだったのか私の話にうんうんと頷いてくれた。……どうしよう、もう行き詰まっちゃったよ。

 

「…一旦一行目は保留にします?」

「そうだね…と、言っても二行目も三行目もイマイチ読み解けそうにない気がするけど」

「四行目は…読み解くも何もなさそうですね」

「創滅の迷宮…迷宮は分かるけど、創滅って一体……」

 

創滅。『創』るに『滅』びるで創滅なのであろう事は私でも分かるけど…何を指して『創滅』なのかはさっぱり分からない。

 

「…反意語、ですよね。これって」

「うーん…細かく言えばちょっと違うだろうけど、まぁ十分反意語の範囲内だと思うよ」

「……イリゼさん、今に至るまでで創滅を感じた事ありますか?」

「…無いかなぁ……」

 

小首を傾げ、頬を掻きながら返答する私。この迷宮には何も無い…とまでは言わないけど、最大限好意的に解釈しても『創滅』なんてアイエフやMAGES.辺りの琴線に触れそうな二文字が似合う場所とは思えない。…正直、名前負けしてる感あるし……。

 

「…こ、これも保留にします?」

「そうすると…何の進展もないまま二回目の読み解きも終わっちゃうよ?」

「それはそうですが…他に取っ付き易そうな所と言えば、この『戦場』って部分位ですよ?」

「ここ?何か思い当たる節あるの?」

「思い当たる節というか…わたし達にとって、戦場なんてあそこしか無いでしょう?」

「あそこ…あぁ、あそこね」

 

一拍置いて私はディールちゃんの指す『あそこ』というものを理解する。確かに私達にとって戦場なんてあそこしか……あの大広間しか無い。私やディールちゃんにとってあそこが求めし先なのかどうかは怪しいけど、大広間が戦場であった事は間違いなかった。

 

「…じゃ、行ってみる?」

「大広間に、ですか?」

「この流れで新たに現れた通路とかディールちゃんが爆破した壁のある通路とかに行くと思う?」

「ですよね…でも、本回収しに行った時は何もありませんでしたよ?」

「でも、今さっき言った通路の例もあるし…行って損って事は無いと思うよ?こんな状況だしさ」

「…それもそうですね。行ってみましょうか」

 

と、いう訳でまたまた大広間へと向かう事となった私達。……え、通路と拠点と大広間にしか行ってない?…びょっ、描写されてないだけだもんねっ!

 

 

 

 

「何というか…ここを通るのも慣れてきましたね」

 

ぽてぽてと歩く道すがら、ふと思った事を口にするわたし。そう何度も何度も往来した訳ではないけれど、拠点と大広間の間の道は通る度何かと刺激があったから自然と慣れてしまっていた。

そしてそれは隣を歩くイリゼさんも同じだったらしく、苦笑しながら頷いてくれる。

 

「最初は私達険悪そのものだったのに、今じゃ少々頭のおかしい雑談が出来る位の仲になったもので…環境って凄いものだね」

「……わたしはまだ貴女に不信感を持っているんですが…」

「えぇ!?まだ私信用されてなかったの!?」

「冗談です。『それなりに』は頼りにしてますよ」

「…ほんとに頼りにしてくれてるんだよね?それなりに、を強調したのは悪い意味でじゃないよね…?」

 

不安そうにわたしを見つめてくるイリゼさんに特に何も返さず、先に進んでしまうわたし。…いや、だってほら…イリゼさんの方向いたら隠しきれない笑い顔を見られるし…。

 

「うぅ…そのうち見返してやる……」

「いや別に馬鹿にしてる訳じゃないんですけどね、こう…某超微妙能力者さん的弄り易さがあるんですよ。イリゼさんは」

「うっ……確かに言われてみるとそんな気がしないでもない…」

「なまじ性格が良いのが逆に弄りを加速させるんですよ。…まぁ、良いんじゃないですか?わたしより集団の中心に位置し易いと思いますし」

 

きっと、彼女は元いた次元でも同じ様に弄られながらも愛され、パーティーメンバーの中心に居たんじゃないかと思う。だって、半ば巻き込まれる形だったとはいえ悪意も敵意もない人に勝手な都合で戦闘を仕掛けたり、悪意があったとはいえ赤の他人を過剰に煽ったりする様なわたしですら、こうして気を許して話す事が出来るんだから人の輪の内側に居ない筈が……

 

「…それを言うなら、ディールちゃんの方がわたしより集団の中では重要な位置に居ると思うけどね」

「……へ?」

 

突然思ってもみない事を言われて目を丸くするわたし。…きゅ、急…ではないか、わたしの言葉受けてだし…に何を……?

 

「だってさ、ディールちゃんって基本ブレずにクールを貫けるでしょ?私の居るパーティーとディールちゃんの居るパーティーが共通点多い以上、そういうキャラは重宝されてる筈だよ?」

「それは…わたし以外にもクール系の人は居ますし…」

「厨二感が否めなかったり高飛車ツンデレキャラを持ち合わせてたり周りからキレ芸扱いされてたりする面子が真にクール系と呼べると思う?」

「……改めて考えると、相当ぶっ飛んだパーティーですよね、わたし達が所属してるのって…」

 

皆には悪いけど、正直クール系はおろかまともと呼べる人達が殆ど居なかった。…わたしもまともかと訊かれたら素直に頷く事は出来ないし……。

 

「でしょ?だからディールちゃんみたいな子は必要なんだよ。後突っ込みキャラでもあるし」

「そう、ですかね……え、突っ込み?」

「うん突っ込み。…分かるでしょ、ボケキャラばっかりの所にいる少数の突っ込みキャラの苦悩は……」

「し、心中お察しします…」

 

それを言うイリゼさんからは哀愁の様なものが漂っていた。…わ、わたしも皆と一緒にいたらその内こんな哀愁が漂う位疲弊するのかな……。

と、わたしが未来に一抹の不安を感じ始めた辺りでわたし達は大広間の前に到着した。例の如く床に血痕が残っているし、扉と対面する位置にある壁はボロボロになっているから間違いない。

 

「…もし大広間じゃなくて異次元に繋がってたらどうする?」

「…イリゼさん、任せます」

「えぇー…異次元に繋がってません様に……」

 

自分で言ったくせにちょっと嫌そうにしながら扉を開くイリゼさん。しかし当然異次元に繋がってる訳などなく(一応絶対ないとは言えないけどね)、開いた先には大広間。因みにイリゼさんは開いた後「ま、そうですよね〜」みたいな表情をしていた。

 

「相変わらず殺風景な大広間ですね」

「…創滅とは対極にありそうだね」

「どうでしょう?元々はここで色んなものを創り出していたけど、何かの事情で全て消滅してしまったとかかもしれませんよ?」

「…それを言いだしたらキリなくない?」

「まぁ、そうですね」

 

確かに今の発想はこの大広間だけでなく、どの部屋どの通路でも成立する様な気がする。この迷宮においては常識だとか普通だとかに囚われるのはいけない事だけど…だからと言って何でもかんでも考えれば良い訳ではない。…というか、出来ない。

 

「……で、何か気付きました?」

「…ごめん、広いなぁ…位しか思い付く事ないや…」

 

ちょっと申し訳なさそうに言うイリゼさん。拠点を出る前にもその可能性はあるかもと指摘したし、指摘した上でわたしは納得したのだから別に何も無くても仕方ないとしか思わなかったけど…それでもイリゼさんは悪い事したなぁ、みたいな感じだった。

……じゃあ…。

 

「…壁や床、調べてみます?」

「え…ここの壁や床全部?」

「えぇ、色々置いてある拠点も変な所ですが、何も無いというのもそれはそれで変だと思いませんか?」

「…そうだね、何も無いならなんでここ作ったんだって話になるし…」

 

すまない、と思っているならこちらから何か提案すればいい。それで何か見つかればここへ行こうというイリゼさんの提案は間違ってなかったという事になるし、何も無ければわたしも間違った提案をしてしまったというおあいこの状態になる。変に気を遣って言葉をかけたりするよりは、こういう事をした方が相手も気が楽になり易いという事をわたしは人付き合いの中で何となく理解していて、今はその理解が正しいものだったと思える瞬間だった。

 

「では、イリゼさんは壁調べてもらって良いですか?…わたしの手が届く範囲なんてたかが知れてるので…」

「あ…う、うん…任せて」

 

いそいそと壁を調べ始めるイリゼさん。…肉を切らせて骨を断つとはこういう事……べ、別にもう少し背が高かったら良いなぁって思ってる訳じゃないけどね?…あれ、このシリーズの閲覧者さんってこうやって言えば信じてくれるんだっけ…。

……こ、こほん。

 

「ディールちゃん、私とディールちゃんとの戦闘で傷付いた部分も調べた方が良いと思う?」

「しても駄目じゃないですが…強い衝撃を受けても何も起こらない様な仕掛けなら、その上で触ったところで何も作動しないと思いますよ?」

「だよね…ふむ……」

 

触ったり、ちょっと叩いてみたりして調べ始める私達。華もなければ面白味もない、完全に地味な作業だったけど…トレジャーサーチもラプラス・アイもないからこうやっていちいち調べるしかない。……楽じゃないよ、これ。

 

「…………」

「…ここ、壁触るんじゃなくて壁沿いに一周したら何か起きたりして……」

「この迷宮がホウエン地方に位置してるならそうかもですね…」

「…………」

「…………」

「…………」

「……自分で言っておいてなんですが…これ結構時間かかりそうですね」

「…………」

「調べた場所忘れない様にしなきゃですし……イリゼさん?」

 

イリゼさんのジョークに突っ込みつつも、無言で調べ続けるのは些か苦痛だからと今度はわたしから話しかけてみる。……が、返答はない。

普段のイリゼさんなら多少反応が遅れる様な事はあっても、意味もなくわたしの言葉を無視したりはしない。だから何かあったのか…或いはわたしが気付かずにイリゼさんを不機嫌にさせていたのかと気になって顔を上げてみたら……イリゼさんの姿は、どこにもなかった。

 

「イリゼ、さん…?…イリゼさん!?」

 

立ち上がり、大広間を見回す。だけど、やはりイリゼさんの姿はない。…そんな、馬鹿な……。

 

「大広間の外に出た…気配は無いし、ここに別室なんて無いよね…まさか、罠…!?」

 

嫌な予感が脳裏をよぎる。もしイリゼさんが居ないのは罠のせいで、その罠というのが人一人を瞬時に消滅させる程の凶悪なものだったとしら……。

冷や汗が背中を伝う。段々と心拍数が上がってくる。気を許した相手が、ここにおけるわたし以外の唯一の人が、わたしの事を信頼してくれた人が居なくなるのは…しかも、その最後を目にする事も出来ないのは……そんなのは嫌だ。そんなの、認められる訳がない。

そして、わたしは遂に見つける。イリゼさんが居なくなった、その可能性を。

 

「これは…落とし、穴……?」

 

部屋の端で見つけたのは正方形の穴。立った人一人位なら引っかかる事なく落ちてしまいそうな穴。底が見えない程、声が届きそうにない程深い穴。

 

「こんなベタ過ぎる罠に何引っかかってるんですかイリゼさん…!」

 

しゃがみ込んで覗いてみるけれど、やっぱり底は見えない。だとすればここで大声を出したとしても反応は望めないし、女神化出来ないらしいイリゼさんが戻って来れる筈もない。だから…わたしが、行くしかない。

 

「…少し、待ってて下さいイリゼさん」

 

女神化するわたし。落とし穴の先に何があるかは分からないけれど、だからと言ってイリゼさんを見限るなんてあり得ないし、何か不味いものがあるのなら女神化も出来ないイリゼさんを一人にする訳にはいかない。

意を決し、浮かび上がるわたし。いざ落とし穴の先に行かん、としようとした瞬間……妙な声が聞こえてくる。

 

「……ぁぁぁぁぁぁああ痛っ!?」

「……え…?」

 

聞き覚えのある声。ドサッ、という物の落っこちた音。振り向いた先にいたのは--------イリゼさんだった。

 

「…イリゼさん……?」

「痛たた…あ、ディールちゃん…」

 

尻餅をついた形で座り込んでいるイリゼさん。わたしは…イリゼさんを見たわたしは……ちょっと何が起こってるのかさっぱり分からなかった。

 

「…あ、あの…えと、これは……」

「……?…あ、えーっと…私はそこから落ちて、ここから出てきました」

 

そう言いながらイリゼさんは二箇所を順に指差す。最初はついさっきわたしが覗き込んでいた穴。そしてもう一箇所は…床と同じ様な穴の開いた天井だった。

 

「……いやそんな訳がないでしょう!?」

「だって実際そうなんだもん!私だってよく分かんないよ!」

 

イリゼさんは下から上へと落ちたと言う。うん、さっぱり分からない。更に言えば落ちてから出てくる時間も異様に長過ぎる。本当に意味が分からない。

 

「もしかしてふざけているんですか…?もしそうなら、わたし本気で怒りますよ…?」

「だから違うって!…ここでの罠が奇想天外なのは分かってるでしょ…?」

「分かってますけど…はぁ……」

 

深い深い溜め息を漏らすわたし。イリゼさんが無事だった(あの時間落ち続けてたのに尻餅だけで済むというのもかなりおかしいけど)のは、正直言って安心したけど…こうもふざけただけの様な展開では、素直に安心出来ない。無事だっただけに、余計救出しようとしたエネルギーのやり場に困ってしまう。

するとイリゼさんはそんなわたしの心境を察したのか、ごめんね…とわたしに謝った後、でも…と続ける。

 

「…私、分かったよ。偶然にではあるけれど」

「分かった…?」

「うん、確証は無いからまだあくまで推測の域だけど…」

「いえ、だから分かったというのは何がですか?」

「あ…そっか、フライングしちゃってごめんね。……こほん」

 

またまた謝るイリゼさん。そしてイリゼさんは立ち、真剣な様子で……それを、口にする。

 

 

 

 

「--------暗号の謎だよ。私が、分かったのは」




今回のパロディ解説

・某超微妙能力者
生徒会の一存 碧陽学園生徒会黙示録シリーズのメインキャラの一人、宇宙守の事。何となくイリゼと守は似ている気が…する様なしない様な、正直私も微妙です。

・トレジャーサーチ、ラプラス・アイ
原作シリーズに登場する、隠し宝箱を発見する技及びマップに隠し宝箱を表示させる仕様の事。原作キャラクターはもしかしてこの技、普通に持ってるのでしょうか…?

・壁沿いに一周、ホウエン地方
ポケットモンスターシリーズにおける、あるギミックを作動させる為の手段及び作中の地方の事。特に前者はダンジョンや洞窟ネタでパロディとして使い易い気がします。

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