一枚だけスペルカードが登場します。
それではどうぞ。
ここは…? 照陽 side
〜泰忠side
いつものように床を掃除し、机を拭く。
この店には誰も来ないが、日課として取り組んでいる。窓を開けて日光を取り入れる。
夏の陽射しが心地良い。
「いい天気ですね…。」
気が付いたらコーヒー豆を焙煎していた。
少し苦めのコーヒーにするために、じっくりと行う。偶にはテラスで頂こう。 そう思い、コーヒーを外に運ぶ。
コーヒーをテーブルの上に置き、椅子に腰掛ける。まずは香りを楽しもう、とした時だった。
「……。⁉︎近くに人の気配がしますね。おかしい、ここは妖怪の山。生身の人間が行ける場所ではない筈です。1人のようですね。…いつ妖怪に襲われてもおかしくない。…早く見つけなければ!」
立ち上がり、紙でできた鶴を10枚取り出す。この鶴は聴覚、視覚、位置情報を共有出来る特製の式神だ。
それを空に投げつけ言う。
「行け。」
鶴はあちこち飛んで行った。
すぐにその人物が見つかった。木にもたれかけた状態でピクリとも動かない。目立った外傷は無さそうだ。
「気絶している。…この家から少し離れていますね。…瞬符『法則遊泳』。」
場所が分かれば瞬間移動でその人物の元へ行ける。幸いにも周りには誰もいない。
急いで彼の元へ行って戻り、ソファーに寝かせて彼が起きるのを待った。
〜???side
う・ん・・んっ?
おかしい、僕は神社の石段から落ちたはず。仰向けなら、空か木の葉が見えるはずだが…?何故屋根が見える?
そして、なぜ 僕しかいない?
色々考えていると、奥から人がやって来た。
「目が覚めましたか?」
髪が長く、整った顔の女性が現れた。
陰陽服で左目に紙が貼ってある。
…イタイ人なのか?
「? どうかしましたか?」
「いや、あの…。ここは…どこですか?」
「あぁ、そうですね。
ここは 妖怪の山の近くの喫茶店『風楽』です。」
えっと…。
「妖怪の山って○○山の事ですか?」
彼女がきょとんとした顔をした。
「いいえ、そんな所はここにありませんよ。…もしかして、貴方は外来人ですか?」
外来人…ってなんだ?
「貴方は、きっと『幻想郷』についても知りませんね?」
その後簡単に説明してもらえた。
日本の人里離れたとある山奥に存在する博麗神社の結界に隔離された土地で、外界(僕たちが暮らしている世界)と地続きではあるが、通常は幻想郷と外の世界は互いに認識・行き来することはできないらしい。
俄かに信じがたい。
「これを裏付けれるものはありますか?」
僕は聞いた。
彼女は、少し考えてから
「ならこれならどうですか?」
そう言って、腕をそっと上げると、
「っ⁉︎えっ?えぇっ⁉︎」
僕の身体がふわりと浮く。彼はただ腕を上げただけだ。慌ててジタバタしても、揺れもせずただ浮いている。
流石に気味が悪い。
「わかりましたっ!わかりましたから下ろして下さい!お願いします!」
彼は頷くとゆっくり腕を下ろした。
少しずつ浮遊感が消えていく。
「信じていただけましたか?」
流石に信じるよ。 浮遊って怖いな、ジェットコースターが子供騙しに感じるよ。
「…でもどうして僕だけがここに?」
話を聞いてからずっと気になっていた。
「それは、私にもわかりません。ですが生きている可能性は有ります。生きていれば必ず『博麗神社』の事を知り、集まるでしょう。」
それを聞いて、少し安心した。
「それで、これからどうしますか?」
彼女が問う。
…そんなの決まっている。
「まず友達を探します。その後、この世界の管理人に家に返してもらういます。」
彼女は微笑み、僕に言った。
「そうですか。それなら私も微力ながら力を貸しましょう。貴方…じゃ失礼ですね。
お名前を伺ってもよろしいですか?」
「東 照陽です。よろしく。」
すると彼女は、何か思い出したようだ。
「あぁ、すいません。名乗っていませんでした。この店『風楽』の店主
江之太夫 泰忠(えのたゆう やすただ)です。お見知り置きを。」
アレ?泰忠という名前、もしかして…。
「……男…ですか?」
「はい。そうですよ。 どうしましたか?」
なんてこったい。
「もしかして、女だと思っていましたか?」
クスリと笑われた。
大分恥ずかしい。すると泰忠さんが、
「良かったら、食事でも如何ですか?この世界の事について話しておきたい事がありますから。」…何ッ!
丁度お昼時だ。お団子一つ食べただけなので正直にいただく。タラコとチーズのトーストと、食後にコーヒーか紅茶かを聞かれたので、コーヒーをいただいた。
「美味しいっ!」思わず叫んでしまった。
満足感があるトーストと、味わい深くそれでも飲みやすいコーヒーが全身に染み渡る。
「あぁ、幸せ…」(= ̄ ρ ̄=) …
急にまた、眠くなってくる。
…少し寝よう。そう思って机に伏して寝てしまった。
〜1時間後
「それでは本題に入ります。」
ん?あぁ、そういえばそんなこと言っていたな。なんだろう?
「照陽さんの能力について調べたいと思います。手を出して、力を入れてください。」
そう言って手に触れた。僕は手に力を入れる。
「東か、照でいいですよ、それより能力ってどういう意味ですか?泰忠さん。」
「能力とは、個性でもあり、才能です。この幻想郷に来れたという事は、能力が何かしら有ると言えます。照の能力を調べたいと思います。」
「…泰忠さんの能力は何ですか?」
「私の能力は、
『事象・過程・要因・結果を超越する程度の能力』
です。」
えっと…ごめんなさい。理解できません。
「例えば、《食べる》という行動で表すと、
食べようとする〈事象〉→食べる為の〈過程〉→そのために必要な動作〈要因〉→食べるという〈結果〉
という感じで、いわゆる、一種の運命操作みたいなものです。おや?もう照の能力がわかりましたよ。手の力を抜いてください。」
ニコリと笑って泰忠さんがいう。
僕は手の力を抜いた。 少し手が痺れてしまった。
そんな無茶苦茶な能力があるとは…。
唖然したままの僕に、泰忠さんがいう。
「照の能力は、
『時間帯によって能力が変わる程度の能力』
です。」
・・・
・・・・・
・・・・・・・はい?
意味がわからない。
「午前1時から昼の12時までが、
戦闘特化《炎》属性特化
午後1時から夜の12時までが、
魔法特化《水》属性特化
それと、午前と午後で1回ずつ一時間だけ
両方特化した状態が使えます。」
あー、つまり午前中は運動特化で午後は勉強特化な奴ってことなのか。
「勿論、特化なだけであって、使えない訳ではありません。」淡々と説明していく江之太夫さん。
大体理解はできた。
「では『弾幕ごっこ』について説明します。『弾幕ごっこ』とは、スペルカードという自分の得意技を用いて人間も妖怪も気軽に戦えるように出来た遊びです。スペルカードを相手に全て攻略されるか、宣言した回数分弾幕に被弾すると負けです。
カードを5枚用意しました。
早速作ってみましょう。」
和かに笑って言った。この人は基本笑顔だ。
どうやって作るのかわからない。(・・;)
「あの…どうやって作ればいいですか?」
「自分の能力を使うイメージを心の中で描けばできます。イマジネーションが大きく反映されます。」
僕の能力か…。これならどうだろう?
午前の能力、炎のイメージを描く。
すると、白紙のカードが赤色の光を放ち、イメージ通りの絵と名前が刻まれていく。
スペルカードが2枚完成した。
「....これが...スペルカード...!」初めてのものには期待を覚える。
実戦で使う時を楽しみにしている。
その後午後の能力で、また2枚作成した。
その後、使い方と弾幕の撃ち方を教わった。
ヘトヘトになって、ソファーに眠らせてもらった。
『事象・過程・要因・結果を超越する程度の能力』
事象とは物事
過程とは結果に至るまでの手順
要因とは結果になる為のキーカード
結果とは物事の結末
この4つを自在に操ることが出来る。
スペルカード
瞬符「法則遊泳」
説明–
一時的に、発動者はこの世の法則を無視することができるスペルカード。泰忠は瞬間移動、弾幕回避などに使う。
発動時間は2分
その間は、泰忠自ら段幕は使わない。
森のナムルです。泰忠のスペルカードを一枚登場させました。少しチート過ぎましたか?
それではまた、
ありがとうございました。