東方喫茶店『風楽』   作:森のナムル

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どうも皆さん。 森のナムルです。

今回は前回の続きと、鈴の過去のエピソードを書きました。

それではどうぞ。


幻想入りする前 ②

〜照陽 side

その日の夜、いつものように夕食を作っていた。

献立は、雑穀米に、下ろし柚子ポン酢とレタスのサラダ、ほうれん草のおひたし、豚汁、生姜焼き、

生姜焼きは、権道家で最も好きな料理だ。

 

権道家は体育会系が多く、ご飯の量が恐ろしく多い。僕を含め5人で6合のご飯を炊くのが恒例なのだ。

「ハッハッハッ!しかし、照の作る生姜焼きは美味いっ!

お代わりっ!キャベツ多めで!」

権道家の大黒柱 権道 敬一 さん、豪快で漢らしい。

家に道場を設け、体術や道具を使った技を教えている。

しかしこの人、生姜焼きの肉12枚以上食べてもまだお代わりを求める、前々から思っていたが胃が20個有るのではないか?お代わりを作りながら考える。

「父さんは食いすぎです。もう少し食べる量を考えて下さい。あっ、僕もお代わり。」

長男の権道 頑太郎さん。文武両道で思いやりがあるのだが、スキンヘッドなのが少し残念な人だ。

スキンヘッドの理由を聞いたら、

中途半端に伸ばすくらいなら、全て切ってしまったほうがいい、らしい。

そんな彼も、生姜焼き8枚目を突破した。

「ありがとね〜、今日はリクエスト聞いてもらって、久々に食べたくなったの〜♪」

やんわりと笑いながら箸を進める権道家の母

権道 菊さん。

この人も、生姜焼き8枚をペロリと食べた。

…凄いな、この家族。

「東も食えよ。いつも通り美味いぜ? (モグモグ)」

同級生の、権道 銀平が言う。

「生姜焼き(モグモグ)食わねぇなら(モグモグ)オレが(モグモグ)貰うぜ。(ゴクン)いいだろ?」

全く、食うのか話すのかどっちかにしてくれ。

「食ってもいいけど、もし食べたらみんなの皿洗い代理よろしく♪」

「(モグモグ)⁉︎(モグモグ ゴクン)はぁ⁉︎もう食っちまったじゃねぇか!チクショー‼︎」

食ったんかい。

 

その後、風呂に入る。

先に頑太郎さんと銀が風呂に入り、僕と敬一さんが体を洗う。

銀が僕が体を洗っている時に水鉄砲を放って遊ぶから、シャワーで応戦するという、なんとも子供じみたことをした。るん

頑太郎さんは目を細めて様子を見て、敬一さんは、愉快そうに笑っている。その後、ぎんはゴーグルを取り出し、洗面器でお湯をかけてきた。

反則だろ。( ̄O ̄;)

こちらも奥の手を使おう。

「今降伏したら攻撃をしない。武器(洗面器)を捨てろ!」

何言っているんだという顔をする銀。

「もう一度言う。武器(洗面器)を捨てろ!」

どうやら、応答するつもりはないようだ。

ならこれを喰らえ!

シャワーの水を相手に振りまく。

銀が悶える。

「ちょっ!冷たい⁉︎ズルいぞ!うわっやめてくれっ!!」

シャワーの温度を低くした。

卑怯とか言うなよ?降伏勧告したからな。

その後、銀から降伏を受け、水合戦は終了した。

 

寝室は、銀と同じ部屋だ。

寝る前にポケットの中の『御守り』を握る。

昔からの癖でもあり、習慣でもある。

これをしないと、何故か不安になってしまう。

この御守りは昔、両親が亡くなる直前に貰ってきたらしい。文字はボロボロで見えない。

 

両親は僕が5歳の時に、交通事故で亡くなったと聞かされている。両親の顔や声を全く覚えていない。

 

いろいろと考えていたら、電気が消された。

また今度考えよう。そう思い、眠りについた。

 

〜 銀side

 

布団を敷いて、その上で大の字になる。

今日の昼に鈴の言った『博麗神社』について、考えようとする。が、本来頭が良くないのと、考えると眠くなってしまう性格で、もう寝ようと思った。

 

電気のスイッチを消そうと起き上がり、向かう。

東がいつものように、御守りを握っていた。

何故握っているのかは知らないが、いつもの事だからあまり、気にしない。

電気を消し横になる。

明日、また何か面白いことが起きる気がした。

そして眠りについた。

 

 

〜鈴 side

私は、基本親とは話さない。

家に帰ると逃げる様に二階の自分の部屋へ入る。そして自分の趣味の時間に費やす。

なぜ親から遠ざかろうとするか?

と思うかも知れない。

物心ついた時から、両親は私を男の子の様に育てた。その育て方は『ボーイッシュ』とは大分かけ離れたものだつた。女物は一切触れさせて貰えず、やがて周りからも『男』というレッテルを貼られた。毎日の様に「お前が男だったら良かったのに」と言われた。

自分が何なのか解らなくなった。

そんな自分も嫌で嫌で堪らなくなった。

高校に上がっても孤立し、噂される。

そんな高1のある日の事、学校で席替えを行った。

隣には、東 照陽 がきた。

周りの男女はから、

「お前も残念だったな、ボッチの『男』鈴の隣だなんてさ、クジ運ないね〜。」

「だよね〜。」

「お前、本人の前で言うなし(笑)」

みんなそういう風におもってたんだ…。

「何言ってるんだ?それは、個人の事だからお前らがどうこういう問題じゃない。つかさ、寄ってたかって女子いじめるお前らが、女々しく見えるぜ。」

⁉︎ …えっ?

「チッ。ああそうか、確かお前の両親死んじゃったっけ。

それで正義ヅラか 、うぜぇんだよ。」

男子の1人が東の胸倉を掴む。

「お前さ、マジウザいからさしn(バキッ ブグッ」

胸倉を掴んだ男子が殴り飛ばされる。

机に激突し、床に倒れる。

横を見ると鬼の形相をした権道 銀平がいた。

「テメェら!俺の友人になにしてんだ!ああ⁉︎ゴラァ‼︎東の前で謝れクソが‼︎」

銀が怒鳴って言うが、男子はピクリとも動かない。

多分気絶しているのだろう。

「あぁ⁉︎ゴラ テメェ 無視してんのか⁉︎いい度胸じゃねぇかクソッタレ!」

男子の胸倉を掴む。

慌てて周りが止めに入る。

「やめろ!あいつ完全に気絶してんだよ!」

「この野郎!なに勝手に気絶してんだ!ボケが面出せ!ぶん殴ってやんぞ ゴラァ‼︎」

いや、気絶させたのは銀だろ⁉︎ 全員思った。

清々しい逆ギレだった。

その後先生達が止めに入って、指導室に連れてかれた。東も、参考人として呼び出された。

その後、帰ってきた時にお礼を言った。

「庇ってくれてありがとう。でもなんで、なんで私を庇ったの?何でそこまで言ってくれたの?」

ついでに、心の中の疑問も伝えた。

「自分がしたかったからだ。『女の子』が虐められているのにこのままでいるのがなんか嫌だったから。…じゃだめかな?」

東は、顔を少し赤らめて言ってくれた。

簡単な理由だった。 それでも嬉しかった。

「うん…。ありがと…うっ。」

気が付いたら少し泣いていた。

女性として見てくれていた。

嬉しかった…。

 

その後も孤立はしたけど、東が昼食を誘ってくれたりした。銀が話しかけてくれた。

 

それだけで充分過ぎるのに…。

 

「この気持ちは、贅沢…なのかな?」

 

 

恋をしてしまった。 東に、

 

東 照陽に。

 

 

もし、神社に行ったら、つたえられるかな?

 

あと、…3日後…。

 

そう思いながら、眠ってしまった。

 

 




少しベタ過ぎましたか?

次回は、博麗神社に行きます。

それでは、また
ありがとうございました。

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