ごめんなさい。
わけわからないですよね。
なのでもっかいはじめから読み直してね!!
深夜のバイトは割りがいい。
高校生、という事実を隠せばの話。
とはいえあらかたばれているのだが。
??「やぁ、五羅くん久しぶり。」
五羅「あ、ネムさん久し振りです。」
??「んー。何度も言ってるけどその呼び名好きじゃないんだよなぁ。私の名前、合歓木 雲雀(ネムノキ ヒバリ)ならやっぱり合歓木より雲雀をピックアップしてほしいんだよ。」
五羅「例えば?」
バイト先に着いて早々雑談に花を咲かしているが
着実に準備、まぁ簡単な着替えを進めている。
着替えの時間からが確か勤務が始まりとかなんとか国の法律で決まっているらしい。
つまり着替えの時間を勤務時間として見なしてないところは黒いところだ。
ここはそこのところ確りとしててとても居心地がいい。
合歓木「そーだなぁ。雲雀だからひーちゃんとか?」
五羅「なるほど。ネムさん的にはひーちゃんなんですね。俺的にはまだバリちゃんの方がいいと思いますよ。」
合歓木「バリちゃん!?ダサッ!ちょーダサッ!」
五羅「ははは。それでネムさんはこれからバイトです?それともあがりです?」
合歓木「しかも呼んでくれないし!バイトはこれからだよぅ。」
五羅「今日はネムさんと夜勤か。まぁバリバリ頑張りましょうねバリちゃん。」
合歓木「バリバリうっさい!」
◆◆◆
AM0時50分
俺のバイト先は近場にあるコンビニである。
変に遠いところより近場の方が移動時間が少なくて働いてる時間が長くなるから多少時給が低くてもそっちの方が稼げる。
合歓木「まぁ私もその口なんだよね。」
五羅「ネムさん今いくつでしたっけ?」
合歓木「おっと。それ女性に聞いちゃうのかい?いっくんよ。」
五羅「いいから早く答えて下さい。バリちゃん。」
合歓木「この子怯まねぇなぁ!19だよ!」
五羅「独り暮らしですか?」
合歓木「そうだけど。」
五羅「俺は3人暮らしなんで俺よりは大変じゃなさそうですが大変そうですね。」
合歓木「嫌味凄いなこの子。年下の癖に。」
五羅「最近の若いやつは生意気なやつ多いですよね。」
合歓木「うん。それをまさに今君に向けたんだよ。」
五羅「俺が?まさか。意気地なしの間違いじゃ?」
合歓木「五羅くんがそれでいいならそれでもいいけど…。」
五羅「誰が意気地なしだとぉ!?」
合歓木「良くないんかいっ!」
五羅「話が脱線して隣のレールに移ったのでもっかい脱線させて戻しましょう。」
合歓木「器用なことするね。」
五羅「独り暮らし大変じゃないです?親から仕送りとかは?」
合歓木「あるよ。家賃とか最低限の生活費くらいだけど。」
五羅「因みに俺達は一切ないですが。」
合歓木「一々嫌味凄いな。」
五羅「大変ですね。育ち盛り遊び盛りのこの年齢で。声優目指してるんでしたっけ?」
合歓木「そうだよぅ。」
五羅「あのアニメ好きのコア層に可愛いと短期間だけちやほやされるあの職業?」
合歓木「君は声優が嫌いなのか?」
五羅「中途半端な夢を見るやつが嫌いなんです。」
合歓木「なるほどね。」
五羅「でも確かにネムさんの声特徴的ですよね。」
合歓木「なにその誉める時に誉めるところがないときに使う常套句は。」
五羅「誉めてますよ?ネムさん声優目指してるんですよね?なら'いい声'よりも'特徴的な声'の方が遥かに誉め言葉だと思うんですけど。」
合歓木「そうかもしれないけどさ。」
五羅「良い声のやつなんてそこら中にごまんといますしね。わんさかわちゃわちゃもぞもぞと。」
合歓木「虫みたいに言わないでくれるかな?」
五羅「さぁ、ここで一曲。曲は『赤トンボ』。」
合歓木「唐突で動揺だし童謡だし虫引っ張られてるし。」
五羅「はい、せーの。」
合歓木「え、ほんとに、えっ?」
~合歓木赤トンボ熱唱タイム~
五羅「上手いですねネムさん。」
合歓木「いや、君のボイスパーカッションも驚くほど上手かったよ。まさかこんな曲でするとは思わなかったけど。」
五羅「これくらいなら吝かでもないですよ。」
合歓木「ちょっとイラッとしたよ。」
五羅「まぁ、今の歌で恐れたのかお客様が一人入ってきたかと思ったら入り口その場で後退りしながら出ていきましたけどね。」
合歓木「お客様ぁぁぁぁぁ!?!?」
ネムさんがものすごい勢いでコンビニを出て
追っかけていってしまった。
が、その数秒後。
合歓木「容姿が分からない!」
そう叫んで戻ってきた。
五羅「そりゃ、ネムさん目を閉じて歌唱してましたもんね。見えてるわけがないと思いましたよ。」
合歓木「あぁ、これでここのコンビニの変な噂がまた広まっていく…。」
五羅「それの根源は基本ネムさんですけどね。愉快。」
合歓木「不愉快だよ!」
そう言いがっくりと項垂れていく声優志望の希望の卵がそこにあった。
◆◆◆
合歓木「私ってポンコツに見える?」
五羅「急に何ですかバリちゃん。」
合歓木「この子の初志貫徹さが希に見る度の過ぎてる足るや。」
夜勤時に搬入される大量の商品を棚に二人で手分けしながら陳列していると沈黙を切り割いてバリちゃんことネムさんがポンコツなことを言い始めた。
五羅「確かにポンコツさんはポンコツかもしれないですね。」
合歓木「こら。さらっと私のこと改名に改名を重ねてポンコツさんと言ったな?」
五羅「気のせいかと、ポコさん。」
合歓木「しかも略したよ。そして君から頂いた名前が本日をもって10個を越えたよ。」
五羅「そんなに命名してましたっけ?」
合歓木「ネムさん、ムーミン、お地蔵さん、山びこさん、炭酸お姉さん、失敗作さん、超紙一重人間、働きアリ、雛鳥、バリちゃん、ポンコツさん。」
五羅「ネムさんとバリちゃんは本名派生なのに分けてカウントするんです?」
合歓木「…い、いいじゃん!そんな細かいこと!」
五羅「それなら他の派生命名もありにしていただかないと。例えば雛鳥派生のひなちゃんとか。」
合歓木「君はめんどくさいね。」
五羅「よく言われます、がネムさんの大雑把さは如何なものかと。」
合歓木「別にそこはいいでしょ。」
五羅「ズボラな女の人は結婚出来ませんよ。」
合歓木「一言多いね。」
五羅「なんなら恋人も出来ないですよ。」
合歓木「なんで追い討ちしてきたこの子。」
五羅「ポンコツなのによく気付きましたね。」
合歓木「心に今ざっくりと重い一撃を喰らったからね。」
五羅「本望。」
合歓木「この子には幸せになってほしくないな。」
五羅「そういうやつに限ってさらっと幸せになってますよね。世の中は平等で不平等ですね。」
合歓木「そういった世界の真理的なことは聞きたくなかった。」
五羅「大それたこともいいですが今はポンコツかどうかという小さい話をしてるんですよ。」
合歓木「なんか棘がある。」
五羅「基本、根本、根幹からポコさんはポンコツのガラクタの粗大ゴミですよね。」
合歓木「ちょっとどころかかなり過言!そこまで?!」
五羅「なわけないでしょう?せめてガラクタまでですよ。」
合歓木「ガラクタは入るのか…。」
五羅「細かくどんなところがポンコツのガラクタか教えましょうか?」
合歓木「いい。君が言うとなんか聞いてもないことまで言いそうだからいい。」
五羅「えっとですね、まず始めに人間じゃないことですね。」
合歓木「ほら、聞いてもないないことを言う。更に人外発言の過言加減。」
五羅「僕の持ち味です。切れ味抜群でしょう?」
合歓木「切れすぎて味あわさられたこちら側としたらキレそうだけどね!!」
五羅「しかし俺の彼女は遥かに上回る殺傷能力を持つ言の葉で切りかかって切り返して来るのでポコさん死にますね。」
合歓木「君の彼女怖いな!!」
五羅「会ってみますか?」
合歓木「嫌だよ!死ぬんでしょ!?やだよ!!」
五羅「実際には死にませんよ。ただ心に抉りとられるような深い傷を与えられ引きこもり気味になり社会的に死ぬだけです。」
合歓木「それはもう実質死んでるよね!?」
五羅「生きてる限り希望はありますよ。」
合歓木「そんな終わりよければ全てよしみたいな感じで締めてもここまでの行い悪すぎてダメだからね?」
五羅「良い感じだったのに。こういうところですよ、ポコさんがポンコツ足る所以は。」
合歓木「一周回って私のポンコツの話に戻ってきた!!」
五羅「話の根源は忘れちゃいけませんよ。」
合歓木「そうだ、話振ったの私だった!!その私が忘れてた!!」
五羅「はいポンコツ。」
合歓木「…っうぐ、言い返せない屈辱…!」
五羅「そして話逸らしてるのが俺だと気付けないポンコツ。」
合歓木「…?そうだっけ?」
五羅「…言われても気付けてないポンコツはほんとガラクタ以外の何者でもない…。」
合歓木「ひどいな!!」
五羅「結論、ポンコツさんはガラクタ。」
合歓木「ポンコツかどうかの話じゃなかったけ!?」
ポンコツ=ガラクタという謎の式が成り立ったところで
惣菜コーナーと弁当スペースをお互いに陳列しているその間を割って入るかのように、
??「仲良いのは良いことだけどちゃんと手を動かしてね。」
合歓木&五羅「あ、店長。」
店長は「やぁ。」と答えると惣菜コーナーで商品を規則正しく並べているポンコツさんの方を向いた。
店長「特に合歓木さんは。」
合歓木「既に私ポンコツとして認識されてる!?」
五羅「まぁ、店長と張るくらい仕事手際おっそいですしね。」
店長「さらっと私もポンコツ仲間として入れないでくれるかい?」
五羅「え?店長仕事そんなテキパキと出来ないじゃないですか。」
店長「いや。まぁ、出来ない、けどさ。」
五羅「何なら俺の方が仕事知ってるレベルですよ?」
店長「…。毒が止まらないね新藤君。泣くよ?」
五羅「やめてください、見たくないです。」
店長「君は本当にとどめまで刺してくるよね!?」
合歓木「ですよね!いっくん攻撃してきたら息の根までやってきますよね!」
店長「ほんとだよ!」
五羅「二人して徒党を組んで俺を攻めないで下さいよ。そんなんじゃかすり傷すら付きませんよ。」
店長&合歓木「そっちの問題!?」
五羅「自分を攻めるなら俺の彼女レベルを5人くらい集めて出直して来てください。」
合歓木「それはその前に私たちが死ぬ!!」
五羅「本望。」
店長「新藤君…。」
五羅「でも、店長には感謝してるんですよ。こうやって高校生と分かってもなお俺の身の上を知って年齢偽ってた頃と変わらない待遇で働かせてもらってることは。本当にありがとうございます。」
そう言うと少しだけ作業から手を離し深々と頭を下げた。
店長「新藤君…!」
五羅「まぁ店長、あんまりこういう嘘を信じてたらいつか詐欺に遭いますよ。」
店長「嘘なの!?」
ハハハ、と乾いた笑いをして場を濁しつつ作業に戻ると
隣から「私は!?私への感謝は!?」などと
よくわからないことをねだられたので
とりあえず
五羅「うるさい。」
そう短く言い捨てた。
そんな閑静で騒がしい夜がいつも通り過ぎていった。
いつも通りの普段通りの日々こそ実は特別だったりしたり。
どうでもいいけど野菜ジュースうめぇ。