ポケモン終わっても三日程疲れすぎて一切書かなかった日がありました。すみません。
二日は鹿の厳選に費やしました。5Vktkrと思ってセーブしたら最速じゃ無かったです。
どうやって使いましょう。ジオコン捨てて補助主体の変態型にしようかしら。
はい、本編どうぞです。
追記:10/22 20:38
セラフ、セレフについてご指摘がありましたので此処に明記をば。
SE.RA.PH=serial phantasm。霊子虚構世界。セラフ。
SE.RE.PH=segmented real philosophix。ペナルティとしてムーンセルから送られる敵性プログラム。セレフ。
似ていますが別物ですのでご注意を。
槍の戦場。幾多の串刺死体を飾り征服者をも恐怖させた血の平原。
奇人を連れて聖杯戦争を戦った、歪んだ黒い槍兵。
串刺公と呼ばれた男の宝具の景色が再び目に映ることはないと思っていた。
「メルト、防げる?」
「大した事はないわ。大丈夫よ」
確かにオリジナルの一撃もメルトは防ぐことができていた。
あれは威力を完全にコピーはできない。今のメルトなら簡単に防げるだろう。
だが、問題は今の戦場の状況だ。
しかしそれは相手も同じなようで、
「ハク、今の内にコードで強化をお願い。アルブレヒトで防ぐわ」
「分かった」
魔力と耐久を強化させるコードを紡ぐ。血の姉妹の影響で魔力の流れが悪くなっているが、それでも規模からして此方の方が速度では勝る。
完成したコードを発動させ、メルトを強化する。
同時にメルトが『さよならアルブレヒト』を使い、体を構成する魔力の性質を変化させる。
今まで戦ってきたエネミーたちの数はかなりのものだ。それらから少しずつだがドレインしてきた力は、ある程度過度に使っても問題ないくらいには溜まっている。
ふと、セレフを見ると平原の展開に時間を掛けているようだった。
「……?」
その姿に感じる、妙な違和感。
まるで全ての力を展開だけに使用しているような。
……少し、試してみるか。
「
無防備に見えるセレフに弾丸を撃ち込み、すぐに辺りに展開される平原の魔力構成を確認する。
弾丸は当たる前に張られた防壁に防がれるも、確信できた。
セレフが一度に行える行動は一つだけだ。
防壁を張っている間は能力の展開は進行しない。血の姉妹による地球環境化は恐らく既にアリーナの概念として確立しているからだろう。
つまりはこのまま防壁を発生させ続ける限り、相手は攻撃が出来ない。
その隙に一旦校舎に撤退することも出来――いや、無理か。どうやら出入りどちらも出来ないようにジャマーが掛けられている。
しかしこの法則が分かった以上、対処も不可能ではないはずだ。
恐らくセレフはその役割上、自己防衛を第一に考えるだろう。マスターを排除する為に、それを可能とする自身の存在を最優先として処理し、その上で処罰を決行する。
だが、逆に大技を使っている間、それを中止して防壁に切り替えることは出来ないのではないか。
戦場が完全に投影され、空に星の如く槍が浮かぶ。
「メルト――お願い!」
断罪と裁きの槍が射出され、それをメルトが受け止めた瞬間、セレフに向かって弾丸を撃ち込む。
読みは当たった。防壁は展開されること無くセレフはその体で弾丸を受ける。
動きが止まり、その隙にコードを紡ぎ上げる。
六回戦で零の月想海に立ち入った際に手に入れた礼装。それに込められていたコードキャストの内の一つ。
その効果は協力ながらも凛との戦いでは使い道が無かったものだが、この場でなら作用するかもしれない。
「
コードはやはり防がれることなくセレフに吸い込まれていく。
唸るような低い音が響き渡り、瞬間動きが軽くなった。
これも、読み通り。今のコードは基本的には相手に掛かった強化を解除するためのものだ。
しかし零の月想海で手に入れた礼装に込められた、そのコード群のトップに位置するこれは“対象を寄り代にしていれば”スキルクラスになっても発動するものだ。
固有結界など宝具のランクであれば恐らく効きはしないだろうが、それ程の神秘性を持っていない、外見は宝具であってもセレフの力によって投影されたスキルクラスにまで格下げされたものであれば十分に作用する。
結果として辺りを支配していた地球重力の元、
「メルト!」
「分かったわ!」
依然として動きを止めたままのセレフに、速度を取り戻したメルトの連撃が叩き込まれる。
メルトの攻撃スキルの中でも、単体としての威力は最大級を誇る『王子を誘う魔のオディール』。全方向から隙無く襲い掛かる、メルトの加虐体質が最も強く現れた
「――フィニッシュよ!」
最後の踵落としに死の宣告を乗せ、それは紛れも無くセレフの脳天を割った。
メルトが戻ってくるのと、セレフがその場に崩れるのはほぼ同時。
「……倒した、のか?」
「……どうやらまだみたいね。せっかく防壁破ってもまだ生きてるなんて、どんな耐久してんのかしら」
セレフはどうにも動く気配がない。
アリーナを見渡しても何かが変化している様子は無く、本当に動きを止めているようだった。
しかし、目を携帯端末に映したとき、手遅れと知る。
『宝具情報、
――物語は永久に続く。一頁目へ。二巻目へ。
か弱く儚い二人の少女の夢さえも、ムーンセルは利用した。
メルトと僕から力を削り取り、セレフはその傷を癒していく。起き上がった頃には、端末には更なるテキストが映されていた。
『
たったそれだけ。宝具名でも無ければ、セレフの意思らしきものでもない。
コードキャスト、というよりはムーンセルからの行動指示のように思える。
この言葉がどういった意図のものなのかは不明だが、何やら起き上がったセレフの様子がおかしい――
「ハク、下がって!」
「っ!」
メルトが叫び、咄嗟に動いた瞬間、金属のぶつかりあう音が響き渡る。
一瞬で移動してきたセレフ。その拳をメルトが受け止めていたのだ。
それで終わりではない。間髪入れず拳は鋭い槍の如くメルトを突き刺そうと攻め立てる。
今までの防壁を展開しながら宝具やコードキャストによって攻める戦い方から一転し、ただひたすらメルトが反撃できない程の連撃を積み重ねる“だけ”。
言葉にすればたったそれだけの単調な戦法に切り替わっただけなのに、その単調さこそがセレフの最大の武器と化している。
メルトは何とか捌き切れているが、このままでは危険だ。
しかし、あの状態ならば弾丸での補助も可能だろうか。
激しく動き回る相手だとは言え、ひたすらメルトを攻めるだけの標的を狙い撃つのはさほど難しいことではない。
「――
それでも外れたときのためにある程度魔力を抑えて放ったものは、防がれずにそのままセレフに直撃する。
その僅かな隙を逃さずメルトが一撃。タイミングは完璧だが、どうにも違和感は拭えない。
確かに真正面の相手のみを攻めるのが今のセレフだろうが、今の見え透きすぎた弾丸を躱さずに受けたというのはいくらなんでも不自然だ。
弾丸の発動を知っていたというのは前提。だとすれば、当たった隙から受けるダメージを加味しても、避けない事にそれに足るメリットがあるとでもいうのだろうか。
例えば、ダメージを受けたことに対するカウンター攻撃の様な――
『add_counter(256)』
受けた傷から、鋭い魔力が迸る。
閃光の様に走ったそれは、メルトと僕の体を傷つける事無く貫いていく。
体中から響く痛み。今までに見たことの無い、相手の攻撃に対して反応するタイプのコードキャスト。
「っ……、メルト、大丈夫?」
「えぇ……受けた攻撃のダメージに反応するみたいだから、一撃で倒そうとしなかったのが幸いだったみたいね」
とは言え、不意打ちの攻撃を防いだだけに過ぎない。
セレフが回復してから与えたのは今の一撃だけ。『王子を誘う魔のオディール』の連撃を受けてさえ倒れなかった以上、先の一撃で相手に重大な損傷を与えられたということはないだろう。
カウンターの一撃を終えたセレフは再び構えを変え、その手に何やら槍らしきものを持つ。
またしても、新たな戦闘形態。というより、これこそが
数多の英雄やマスターの戦法の模倣。それによって可能となる、無数の戦闘方法の任意変動。
それぞれの戦い方には弱点があっても、それらを自由に使い変える事でその弱点を補い且つより高い戦闘能力を獲得する。
当然普通の英霊はおろか、メルトのような人工英霊でさえも持ち得ない、ムーンセル直属のプログラムのみが行使できる絶対的な能力。
手詰まり――そんな言葉が浮かぶ。
まさか、決勝、レオと戦う前に。メルトに思いを告げた直後にこんな事が起こるなんて。
どうにも、目の前の最強のプログラムを倒す手立ては見つからなかった。
+
0.1秒。
その時間を引き延ばす事が、自分に対しても可能だと知ったのは、まったくの僥倖でした。
とは言っても、消滅までの僅かな時間。シンジさんやユリウスさんに与えたような、旧校舎での仮生存なんて夢のまた夢。
出来て数分の間を利益のない思考で埋めるのが精一杯でした。
まぁ、何の未練も無いのだから無様に足掻く必要なんて無いのですが。
それでも――やっておきたい事がある筈でした。
そうですね……並行した幾つもの運命。
そこに送ったあの子達は、一体どうなったのでしょう。最期にそれを、確認しておきたかったのです。
ムーンセルへの干渉。最早それは僅かなりとも適うものではなく、手を伸ばせばそれこそ一瞬にして罰せられるでしょう。
それでも良いと判断できるのは、センパイに毒されたに違いありません。
支配の錫杖、十の王冠、そして
「――あぁ」
まぁ大体、予想通りと言ったところでしょうか。
あの子達がぶつかり合った時、どちらが勝つことになるかなんて始める前から分かっていたことでした。
やはり、別の運命に飛ばした方が良かった気もしますが、どうやらリップは、幸せの中で逝くことが出来たようです。
それに何故か、酷く安心を覚えました。
しかし、気になるのはメルトの側。マスターさんとの相性は良いようですが、どうにも苦難が多いようで。
何とも可愛らしい、どこかセンパイに似たマスターさん。
そんな貴方に待ち受ける、どうにもならない運命。それを私がどうにかすることは出来ません。
まったく、本当に焼きが回ったのでしょうね。見たことも、話したことも、会ったことすらない人に手を貸すなんて。
貴方を助けるのは私ではなく、あくまでメルトです。
力を与えましょう。貴方ではなく、貴方を守り、貴方が肯定したサーヴァントに。
それは貴方を助けるに足る力。メルトに与えたそれに、メルト自身が気付くかどうか。
“五回戦以降のどこか”で待つ貴方の死。それを切り抜けられるかは、全て貴方とメルト次第。
期待していますよ、コーハイさん。その結果を私は知る事が出来ませんが、精々メルトを幸せにしてあげてください。
幸多かれ、愛する娘。
声は幽かに――私の毒は、未来を照らす。
ぼくのかんがえたさいきょうのSE.RE.PH
聖杯戦争に呼ばれた128体のサーヴァント、その内脱落したものの情報を検索。技術経験値、宝具を扱う事が出来ます。
終盤になればなるほど強くなるプログラム。謀反の可能性は終盤ほど高いという観測結果から導き出した最適な権能だそうです。
……うん、なんだろうこの酷いこじ付け。
BBちゃんが与えた力はこれまでにも登場してるんですよ。
もう少し先で説明したいなぁ。