Fate/Meltout   作:けっぺん

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章末茶番後編。
勢いに任せて書いたものなので支離滅裂等あったりするかも分かりません。


chapter-2/ground.

 

『If/Meltout Girl's Side ~もしもザビ子だったら~・証明編』

 

「……」

「……」

 言いたいことは分かるけども、二人ともそんなに異常なものを見るような目をしないでほしい。

 此方とて不本意なのだ。というかそもそも、何が起きたかすら良く分からない。

「……まさか、本当に成功するなんて」

 メルトの驚きの声も当然だ。いつぞやにセイバー、キャスターとの口論で出任せを言っていたらしく、証明せんとして実験を行ったまではまぁ納得できる。

 だが、その対象が()だったのは納得がいかない。あぁほら、何か無意識に一人称がおかしくなってる。

「えっと……」

 声が高くなっている。白羽さんに近いか。

「あの……モードレット、アンデルセン。できれば、その……その目、やめてくれると」

「いや、無理だろ。このムーンセルの全能性に感服っつうか、寧ろ他にどんな目で見ろってんだ」

「そうだな。それで、何故俺はまた意味もなく喚ばれているんだ」

「ノリよ」

 開拓を見守るムーンセルの中枢。全ての機能を自由に操れるメルトによって、サーヴァントの召喚も容易いものになっている。

 特に理由なく召喚されるのは迷惑極まりないようで、アンデルセンは良く喚ばれるもののそのたびに愚痴を吐いている。

 基本的にサーヴァントは消滅後、記憶はなくなるようだがその記憶が残っているのはメルトの操作によるものらしい。

 両者とも見覚えはなかったが、何度か召喚される頃には割と話せる仲になっていた。

 片方――軽い服装の少女はモードレット。かの騎士王アーサーの息子……の筈なのだが見た通りの少女だ(性別については禁句らしい)。

 そしてもう片方はアンデルセン。……此方は本編で説明はなされているだろうし割愛。

「……にしても、やはり地味だな。胸も控えめ。特筆すべき特徴もない。ここまでそのまま女にしなくても良いだろうに」

 元来私が女であれば、“狂おしいほどに大きなお世話”とか思っているだろう。

 だがそんな感情は沸いてこない。寧ろ逆にホッとした。

 特に気にしているわけではないが、女である方が印象が強いとなると傷つくものがある。

 あぁ、ここまでで気付いている人が殆どかもしれない。というかサブタイトルにある通り、私、紫藤 白斗は現在性別が女になっている。

 ――「は?」と思われても困る。前述の通り、メルトの仕業だ。

 理由なくアバターどころか精神情報まで若干書き換えられているという状況への同情ならば絶賛募集中である。

「あー……まぁ、なんだ。良いんじゃねえの? 様になってるぜ? 普段が大して男らしくないんだし」

「……」

「ハクの悪口なら死を以て遇するわよ?」

「元凶が言うな。コイツがこの感想を持ったのはお前が原因だろう」

 最早二人は呆れ顔だった。

「っていうか、戻してくれない?」

「駄目」

「なんでさ」

「面白いから」

「……」

 もう嫌な予感しかしない。

 確かにメルトは好きだ。だがこの奔放ぶりは少々困りものだった。

「ところでカルナはどうした? コトミネ呼びに行ったきり帰ってこねえけど」

「あぁ、そういえばそうね。何してるのかしら……あら?」

「どうしたの、メルト?」

「校舎前の霊子に綻びがあったわ。触れた者が問答無用で消滅するレベルの。メンテナンスの穴ね」

「ちょっと待て。コトミネがいるのって学校ン中の教会だろ。そこに向かったって事は……」

「ご愁傷様ね。ま、やろうと思えばすぐに生き返らせられるし」

 ――命とはここまで軽いものなのか、とつくづく痛感する。

 何度こんな事があってもメルトは召喚するし、カルナもそれに応じる辺り良く分からない。施しとは違う気がするが……

「ま、神父が来ないならいいわ。行きましょ、ハク」

「え、どこに……?」

「家よ。せっかく女の子になったんだもの……楽しまなきゃ、ね?」

「――」

 獲物を見つけた肉食獣の目に震えながら無言で二人に助けを求める。

「頑張れ。オレは帰るぞ」

「キマシという奴か。良いぞ、筆が乗りそうだ」

「……」

 背も小さくなり、力も弱くなっている。メルトに引っぱられ抵抗することもできない。

 こうなれば、早く過ぎ去るのを待つしかない。思考を真っ白にしながらそう思った。

 

 

 

『KYO-NO WAKAME』

 

言峰

「このコーナーはタイトルの通り、ワカメの様子を実況するものだ。

 今日のワカメは、ムーンセルの裏側、旧校舎の間桐 慎二君。

 まぁワカメなんてこの少年くらいしかいないのだがな。それで、私は何故ナレーションを務めているのだ?」

カレン

「慣れてるでしょう。『選べ』とか言ってたじゃないですか。

 いいからさっさと始めてくださいダニ神父。巻きで、とありますので」

言峰

「シスターもいるというのが実に気に食わないのだが……まあいい。

 今回は慎二少年の一日に密着した。御覧いただこう

 残念ながら今回は司会の一人、アンデルセンが不在だ。ご容赦を」

 

ラニ『では、脱ぐのです』

ワカメ『なんでだよ!? 唐突過ぎるだろお前!』

 

言峰

「早速露出狂の餌食になっているな。

 それはともかくシスター。このホムンクルスとは気が合うのではないかね?」

カレン

「わたしのはファッションです。

 下らない話をしていないで、早く進めてください」

言峰

「というか……何故あのホムンクルスは既に旧校舎にいるのだ……?」

 

メルト『シンジ、ちょっと良いかしら』

ワカメ『何だよ。僕は色々と忙し』

メルト『これ、私とハクが迷宮行ってる間に組み立てといて』

ワカメ『なんで僕がおたくのガレキ組み立てなきゃいけない訳!?』

メルト『何もしてないんだし良いじゃない。生徒会室ピーピングするより有意義よ』

ワカメ『なっ……!』

ライダー『あっははははは! やっぱりバレてるじゃないかシンジ! 諦めるこった!』

ワカメ『う、うるさいぞライダー! 第一、どこでガレキなんか』

メルト『貴方は暇な癖に購買の品揃えも見てないの? 神父に頼んだら簡単に仕入れてくれたわよ』

ワカメ『あの毒舌神父ソン何者だよ!』

メルト『じゃ、よろしく。何か欲しいものあったら神父に頼んでみたらどうかしら?』

 

言峰

「ちなみに頭にワカメを乗せた少年からの要望は承っておりません。悪しからず」

カレン

「本当に酷いですねこの麻婆神父。

 ……おや? アンデルセンが近づいていきますね」

 

先生『度し難い暇人だな。友人が迷宮に行ってる中でお前はガレキ作りか』

ワカメ『いや、その迷宮行ってる紫藤のサーヴァントに押し付けられたんだけど』

先生『その割には楽しんでいるようだがな。そんなに花嫁姿の皇帝が気に入ったか』

ワカメ『そんな事一言も言ってないだろ! やるなら徹底しようとしてるだけで』

先生『人のモノだというのにご苦労な事だ。まぁ嘗めて作ったら文字通り刺されるんだろうが』

ワカメ『ひっ!? こ、恐い事言うなよ! くそ、完璧に作るしかなくなるじゃないか!』

ライダー『……我がマスターながら……本っ当にヘタレだねぇ』

 

言峰

「居るじゃないか。

 何故実況席ではなくVTRに映りこんでいるのだか」

カレン

「毎日こんな生活を送っているのですかね。

 早くデレないと立場はどんどん狭くなっていくというのに」

言峰

「その通りだ。だがそうなればより面白い。

 期待しているぞ少年。これからの道のりをな――今日のワカメでした」

カレン

「あら、短いわね」

言峰

「二章では例の露出狂(アレ)くらいしかネタの材料がないからな。

 これから先――特に原作五章が今から愉しみでならない」

カレン

「そもそも五章がそのまま使われるかも分からない状況だというのに。

 過ぎた期待はしない方が良いですよ、神父」

言峰

「お前もだろう。口元の笑みを無くしてからそういう言葉は吐くものだ。

 では、今度こそ終わらせてもらおう。今後とも旧校舎購買をご贔屓に」

カレン

「最後に宣伝ですか。ガメついわね、守銭奴神父」

 

 

 

『教えて! アンデル先生! 月海原投書箱』

 

先生「そんな訳でここに、購買前に一日置いておいた投書箱がある」

メルト「何その通販番組の実験経過みたいな前置き」

先生「気にするな。このコーナーではこれの中身の質問意見悩みその他諸々に答えていこうと思う」

ハク「まず一つ目……これだね」

『CCCのメインヒロインとしてご存知の私ですが、

 この作品だとカレンの登場もあって出番や台詞が削られています。

 どうすればいいでしょうか。

    PN.元教師ブロッサム』

メルト「当たり前じゃない。メインヒロイン私だもの」

先生「心理すぎるな。まぁ黒くなってみろ。ヒロイン以上のインパクトが待っているぞ」

ハク「それってラスボスじゃ……」

『EXTRA原作やstay nightではヒロインとしてご存知の私ですが、

 この作品だと原作以上にうっかりが露呈して残念系が進行しています。

 どうすればいいでしょうか。

    PN.諸葛RIN』

先生「なんか同じような質問だな。お前はどうしようもないが」

ハク「ぶっちゃけすぎじゃないか?」

先生「補佐役として頑張っていくしかないという事だ。本作が凛ルートに動く可能性はゼロだからな」

メルト「アレのアタックは全力で防ぐわよ」

江苦州虎(EXTRA)編でも椎々々(CCC)編でも大して活躍がないで候。

 再登場を所望。今生の主を混沌の渦中に置き逝くのはあまりに忍びない。

 最後に宝具の全形態を使用し敗れるという見せ場も諸事情により剥奪(カット)された。

 不遇極まりない。苦言を呈す。このままでは俺のような不幸者が増えるばかりで御座候。

    PN.G』

メルト「……なんで旧校舎にある投書箱に?」

先生「まぁ茶番時空だからな。こんな事もあるんだろう」

ハク「しかも没案を置いてったし」

先生「ノートが防御に使った盾の性質上没にせざるを得なくなってな。これはヒントとでも思ってくれ」

メルト「「(これ)」は割と打つのが面倒なのよ。状況に応じて数や「(これ)」とのバランスも考えなきゃいけないし」

ハク「すっごいメタな理由だった!?」

『めるとばかりずる

メルト「次」

ハク「え?」

メルト「次。あの腕でペン持てた事だけは褒めたげるわ」

『此方はようやくタマモナイン編を全クリしたのですが、其方はどうでしょうか。

 今度お会いする時にはお土産も持って行きますので、相応の歓迎をしてくださいまし。

 ご主人様も一緒に参りますので――舐めた真似などしませんよう。

    PN.幸せ四畳半の良妻狐』

メルト「これ間違い投書よ。EXTRA編終了後の時空へ送っといて」

先生「こんなものまで流れ着くのか」

ハク「これ……誰からの投書?」

メルト「気にしなくても良いわ。これが最後ね」

『茶番で死ぬのは勘弁して欲しい。

    PN.みんなの兄貴』

先生「いよいよもっておざなりにになってきたな」

メルト「本編で出番の無い貴方はノリで死ぬのが仕事よ。運命だと思って諦めなさい」

ハク「い、一応もう一人のランサーにも呪いが分散してるから……」

先生「なんのフォローにもなってないな。どこまでランサーは不幸が多いんだ」

メルト「ほぼ作者の悪乗りなんだけどね」

兄貴「待て待て待て! お悩み解決じゃねえのか!?」

ハク「観客席から青タイツが!」

メルト「お初にお目にかかるわね。でも出てきて良いのかしら?」

兄貴「出てこずにいられるか! ちゃんと解決してくれよ!」

先生「まぁ……無理だろうな。という訳で出てきたツケは払ってもらおうか」パチン

ノート「おや……こんな僻地に呼び出して、どういうご用件?」

ハク「なんか出た!?」

先生「あぁノート。お前の目に適う宝具を持った英霊がそこにいる。殺してでも奪い取れ」

兄貴「なぁッ!?」

ノート「あらあら、素晴らしい槍ですね。是非、殺しあいません事?(要約:ウホッ、良い槍。殺らないか)」

兄貴「っ、やってられっか! オレは帰らせてもらうぞ!」

メルト「えいっ」

ハク「メルト、それ何のボタン?」

メルト「樽型トラップよ。対ランサー用に用意しておいたわ」

兄貴「のわあっ!? おい、なんだこの樽! くそ、嵌って……出られ……!」

ノート「ナイスですわ。では、蹂躙を始めましょう――■■■■■■(ネタバレ防止の為伏字ですわ)」

ハク「バーサーカーを倒した武器の雨が――」

兄貴「ちょっと待て――何だこのデジャヴぅぁああああああああ!!」

メルト「ランサーが死んだ!」

ハク「この人でなし!」

先生「分かっているかとは思うが、串刺しになった上樽から飛び出し照明に激突している。これは即死だな」

ノート「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)、確かに頂戴いたしました。ちなみに本編では使用は避けますのでご理解を」

メルト「結局ランサーは“これ”以外の道はないって事ね」

先生「良い(オチ)がついたところでここまでだ」

 

 

 

先生「今回も終わったな。増量しすぎだ。語るこっちの身にもなれ」

ハク「その割には楽しそうだけど……」

先生「ふん……そう思うなら思っておけ。さあ、締めるぞ」

ハク「それじゃあ、三章章末でまた」

メルト「グッバイアルブレヒト。お付き合いいただき感謝するわ」

先生「ご苦労だったな。これからの季節は暑くなる。汗水垂らした上での努力は結構だが、水分補給を怠るんじゃないぞ」




最初の奴が台本形式じゃなかったのはスピード感を必要としないネタだったからです。
掛け合いではなく心情の描写があった方が面白いと判断しました。

そんな訳で、なんかすいませんでした。
暴走しすぎました。茶番や短編は書いてて楽しいです。
本編に詰まった時に進めているEXTRA編終了後の世界を書いた短編が増えてきています。
此方の茶番は前書き後書きか章末にしか置かないのでUPは出来ませんが、色々自分が病気だなぁと自覚します。
あ、それとカルナごめん。幸運実値Dでも茶番時空では足りないんだ。

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