Fate/Meltout   作:けっぺん

113 / 277
某ドラマの続編が始まったり、プリヤが二期だったり、snが再発したりhollow移植だったり。
めっちゃ楽しそうなのに何でよりによって今年こんなに忙しいんだよ畜生。
そんな愚痴を吐きつつも今日も更新です。


Bandit Zero Over.-1

 

「サクラ、あのランサーのマスターはまだ回復しないのですか?」

 明くる日のブリーフィングは、レオの質問から始まった。

「はい……精神面でも肉体面でも回復方向に向いてるんですけれど……」

「そうですか……あれほどのサーヴァントに万全な魔力供給が出来ている辺り、平均以上の実力は持ってそうですし、是非とも力を貸して欲しかったのですが……」

「……? 何か作戦が?」

「はい――今回、最後の階と思われる六階ですが、今までと違いBBからの妨害が考えられます」

「そこで、私たちもサーヴァントを迷宮に送ろうって事になったのよ」

 安全策……効率よくラニのSGを取得すると共に妨害への対処も行うという事か。

「ハクトさん、メルトさんに加え、リップさん、ランサー、アーチャー、アサシンの六人での迷宮攻略をお願いします」

 良く言えば安全策。悪く言えば強行突破。

 それでSGが取得できるのかとも思うが、かといって僕とメルトだけでBBの妨害に対処できるとも思えない。

 これはありがたいと見るべきだろう。戦力の増強は大きな援助だ。

「それでハクトさん、昨日のサーヴァントはどうしました?」

「あぁ……フランは……どこだろう?」

「フラン?」

「うん。真名……フランケンシュタインって呼んでくれって言ってた……らしい」

 とりあえず、皆に説明する。

 バーサーカーのサーヴァント、真名はフランケンシュタイン。

 そして宝具とステータスについてを。

「ふむ……まぁ、ラニの本来のサーヴァントのクラスもありますし、彼女の呼称はフランで良いでしょう。それで、今どこにいるんです?」

「校庭にいるみたいですよ。花壇のところに反応があります」

「おや、何故そんなところに……では迷宮に行くときに寄ってください。彼女の助力も得られれば心強い」

 つまり、サーヴァントは実質メルト、リップ、ランサー、アサシン、アーチャー、そして承諾してくれればフランの六人となる訳か。

 フランは宝具と固有スキルの効果により、マスターからの魔力供給を得ずとも十分な魔力を補給できる。

 それが戦闘面にまで生かせるかは分からないが、連れて行って損にはならないだろう。

 他の皆は、生徒会室にマスターがいれば問題の無い魔力供給が可能らしい。

 指示はこの場でするとの事。僕はメルト一人の指示に徹すればいいそうだ。

「メルトさんには申し訳ありません。ですが今回限り、共闘という形を取って欲しい」

「……まぁ、この間のはリップを突っぱねるだけの口実だったし」

 リップに関わると喧嘩せずにはいられないのか、メルトは着火剤を投下した。

「……私だって……ホントはメルトとなんか……」

「あら、だったら来なくていいわよ。その場合、シラハの信頼が落ちることになるけど」

「え、何それメルトちゃん。ちょ、リップ! お願いだからね!? 私の立場無くなっちゃうから!」

「……」

 メルトとリップは、どうしてこうも仲が悪いのだろう。

 リップに泣き付く(嘘泣きのようにも見えるが多分必死だ)白羽さんとそれを宥めながらも逡巡しているリップ、それを見て呆れ顔のメルト。

「……役割を考えると、後衛が務まるのはアーチャー一人か」

「問題は少ないだろう。気を惹くことさえ出来れば、アサシンが終わらせる」

 ダンさんとユリウスは作戦会議。どちらも戦闘のエキスパートらしく、それぞれの意見を出している。

「ランサー、名誉挽回よ。誰よりも功績を建てなさい」

「リンの汚名が気にならなくなる程度の戦果を挙げれば良い訳か。了解した、マスター」

「……」

 味方になってくれた今、凛とランサーの二人は途轍もなく大きく頼りになる存在だ。

 レオ、ガウェイン、桜、ガトーは多人数に対する補助について話しているようだ。

 マスターが迷宮に向かわないのは、多人数を観測する術を此方が持ち合わせていないからだ。

 生徒会室のリソースを使っても難しいらしい。メモリが足りないようだ。

 ガトーが真面目だという状況。勿論ありがたいのだが、妙な気分になる。

「……という事です。分かりましたか、ガトー団長」

「うむ、うむ。小生ではどうにもならんという事が重々理解できた。指南書(グリモワール)があれば、三日で覚えてくるが――」

「せめてファイアウォールの展開くらいしてください」

 ……そこまで期待できなさそうだ。

「さて――では、始めましょう。全員、気を引き締めて事に当たってください」

 レオの号令で立ち上がる。

 最後の階。それでも僕はやることは変わらない。

 ラニの心の秘密を見つけ、取得すればいいだけだ。

 サーヴァント一同で向かう迷宮。警戒しての作戦――とはいえ何もなければいいのだが。

 生徒会室を出て、外――花壇に向かう。

 サーヴァント達を引き連れているのを見て慎二がギョッとしていた。どうやらライダーの力は貸してくれないらしい。

「フラン」

 フランは花壇の前に座り込んでいた。

「?」

 後ろのサーヴァント達と僕を交互に見て、首を傾げるフラン。

 警戒はしていないらしい。

「何をしてたんだ?」

「……ゥ……」

 フランは花に軽く手を添える。

 ただ花を見ていただけ――本当にバーサーカーなのかと疑問を持つほどに、フランは理性を残している。

「ゥア?」

「あぁ、えっと。これから迷宮に行くんだけど、フランも一緒に来てくれないかな?」

「……ゥ」

 特に躊躇せず、フランは頷いた。

 これで六人。戦力としては十分すぎるレベルだ。

 花から手を離し、右手に武器である戦鎚を握り締め、歩み寄ってくる。

「ハク……なんでこの子、こんなに懐いてるの?」

「……そう言われても」

 助けたことに恩義を感じている――そうだったら良いのだが。

 

 

 迷宮の六階。如何な構造をしているかと考えつつ、気を引き締めて足を踏み入れる。

 だが、予想外の構造に目を見開いた。凛の迷宮では最後に待ち受けていたレリーフ。ラニのそれは、六階に入ってすぐに目に入ってきたのだ。

「これは……罠、かな」

「そうか? そのSG……? ってのが表面化されてるって可能性もあるんじゃねーの?」

「表面化?」

 どういう事だろうか。アーチャーはどうやら、既にSGを薄々察知しているらしいが……

「ん、いやさ。さっきの露出癖(アレ)みたいなパターンもあるんだろ? 女ってのはめんどくせえからな。張りたい見栄ってのが隠れちまうのさ」

 良く分からないが、張りたい見栄が秘密になる……これはSGに繋がるだろうか。

「む。どうやら、迎え撃つ算段のようだな」

 アサシンが言う通り、ラニは此方を迎え撃つようにレリーフの前に立っていた。

 アサシンは相変わらず、姿が見えないまま。これは霊体になっている訳ではなく、彼固有の能力らしい。

 不可視の姿からの攻撃。なるほど、これはアサシンに相応しく、聖杯戦争においてこれ以上ない脅威といえよう。

「……ラニ」

 前に立つと、ラニは軽く頭を下げた。

「やっと来ましたね。随分と兵を引き連れて……ですが、ここで行き止まりです。もう私には秘密はありません」

『さっきも同じような事言ってたッスね』

 通信で此方の様子を確認しているらしいジナコ。

 確かに、五階でも秘密はない、という発言をしていた。

 だが、この配置はSGに気付いていないラニの自信という事もありえる。

 だとすれば厄介だ。自覚していないSGは、見つけるすら難しいだろう。

「上のフロアの私については想定外でした……まさか、あんな余分なルーチンを持っていたなんて。ですがその余分さも品切れです。今度こそ私には、一点の隙もない。この迷宮は、その証です」

「道はまだ続いているようだけど?」

「隙を見つけたいのでしたら、どうぞご自由に探索してください。レリーフは開けられませんが、六階の探索は許可します」

 ラニの指した先、レリーフとは別の方向に道がある。

 その先ならば探索しても構わないが、SGは見つからないと言っているのだろう。

「私にもう秘密はない。したがってSGもない。SGが無ければ、先へは進めない」

「つまり……ここで行き止まりと?」

「そういう事です、ランサー。貴方の力を以てしても、ここから進む事はできません」

『……敵意のないラニらしい戦法ですね』

『本人が前に出ることで露呈を防ぐ……この状況においては厄介極まりないな』

 ラニは自分自身にSGがないと思っている。

 つまりいくらラニを揺さぶっても露呈する事はないだろう。

 とりあえず、今はこの迷宮内を探索し、SGの手掛かりを見つけるしかないか。

『くっ……ハクト君、何とかしてラニを辱めるのよ! 秘密のない女の子なんていないんだから!』

『台詞が悪役だよ、凛ちゃん』

 外野は置いておくとして、手掛かりを探しに行った方がいいか。

「あの先か……」

「言っておきますが、その先にもSGの手掛かりはありませんよ」

 そうは言っていても、何かしらある可能性は高い。

「よし……とにかく、行ってみよう」

 レリーフが前面にあるだけで、それ以外は何ら今までの階と変わらない。

 ラニが指した道を歩き始める。

 どうやら基本的構造自体は今までとそう変化はないようだ。

「……?」

 だが、見慣れない異物があった。

 床に設置された、電気を放つ術式。

 ここを通すまいと隙間無く敷き詰められたそれは、明らかに罠だ。

「……」

『これは……生徒会室からの解除は難しそうですね』

 どうするか。

 このまま進むのは、少し無理があるが……

「……潰しちゃえば」

「多分……無理じゃないかな?」

 リップが伸ばしかけた腕を止める。多分破壊する前に罠が発動してしまうだろう。

「は……ナンセンスだな。どんだけの素人だっつの」

 前に出たアーチャー。仕掛けられた罠を鼻で嗤い、弓に手を掛ける。

「アーチャー? 何か策が?」

「策も何も。こんなモン――」

 そして、軽く矢を射る。矢は罠に突き刺さり、その電気を一身に受けた。

「無機物に反応、そんでもって使い捨て。だったらこれで解決だ」

 ……驚いた。

 アーチャーは一目見ただけで罠の性質を把握し、対処したのだ。

「存在価値あったわね。お手柄よアーチャー」

「はいはい。そりゃどーも。適材適所って奴? お前に無くてオレにあるモノっつったらこれくらいだからな」

 自虐的に言うアーチャーだが、この場で彼がいなければどれだけ足止めされていたか分からない。

「ありがとう、アーチャー」

「ま、罠の扱いならオレ以上はそういねえよ。任せときな」

「ふ……影で戦を制す者、という事か」

「そんな大それたモンじゃねえっての。オレはアンタみたいに槍が使えねえし炎も出せねえ。罠とか毒とか、チマチマした戦いしか出来ないだけさ」

「だが、オレはそれに誉れを感じる。恥ずべき人生ではなかったとな」

「……どうだろうな。正直、アンタに言われても嫌味にしか聞こえねえけど」

 アーチャーとランサーは割と相性が良いようだ。

 互いが互いに実力を認めているからか、互いの極致を敬っているような気がする。

「……ゥゥ」

「ん……? どうかした、フラン?」

 フランはこの罠に何か覚えがあるようで、警戒するような唸りを上げている。

「ふむ……どうやら、どこかにサーヴァントが潜伏しているようだが」

「サーヴァントが……」

 ラニのバーサーカーだろうか。

 だが、だとすればこの罠を設置したのは一体誰なのか。

 ラニはこの階を自由に探索してもいいと言っていた。そう考えればラニが罠を仕掛けたとは考えにくい。

 ならばサーヴァントだろうが、バーサーカーは理性を失っている以上そう器用な真似はできないだろう。

 ディーバ……は性格からして自分から罠を仕掛けるようなサーヴァントではない。

 つまり……それら以外のサーヴァントが関与している可能性があるか。

「分かった。皆、注意を――」

 カチッ。

「あぇ……?」

「ちょ――」

 罠の解除された床だというのに、何かを踏んだ感触があった。

『えー、テステス。どんくさい筈のセンパイが予想外の快進撃を続ける上にどこかの征服王さんの軍勢よろしく英霊を侍らせているのでBBちゃんはBBちゃんは焦りを覚えているのでした!』

 どこからか音声が流れてくる。

「まさか……」

『そんなワケで! BBちゃんは読書を中止。お約束の混沌放送、始めますよ!』

 

 

 

 

 Now hacking…

 

 

 

 

 OK!

 

 

 

 

『この放送は、ムーンセル特設スタジオ、サクラガーデンからお送りいたします』

 

『ぴんぽんぱんぽーん! おはようございます、深夜の秘密放送の時間です』

 またか!?

 張りぼてのスタジオに立つBBは頭を下げ、BBチャンネルの開始を宣言した。

『司会はご存知、月海原の影の生徒会長、ムーンセルの女王(クイーン)ことBBちゃんがお送りします!』

「……もう良いわよ、このパターン」

「メルト……何度目?」

「貴女の知らないところで一回あったわね」

 メルトとリップの呟きを意にも介さず、BBは進行する。

『それでは、始めにゲストに登場していただきましょう!』

「ゲスト……?」

『マスターを失って不遇と思いきや、運良く私に拾われたスーパーラック・サーヴァント!』

 BBの拍手と共に、その隣に煙が発生し人影が現れた。

 姿を視認することはできないようにエフェクトが掛けられているが、見たところ――獣の耳と尻尾のようなものが確認できる。

『全国の獣好き(ケモナー)大歓喜! 投影だとか宝具乱射だとか、罠に毒とか、何でもできる大賢者、果ては弓で近接戦闘をしちゃう雷神の子。イロモノばかりだったアーチャー枠に華々しく咲く一輪の花、PN(ペンネーム)・赤リンゴさんです!』

『……BBよ、けもなーとは何なのだ?』

『一種の嗜好性ですよ。気にしなくていいです』

 現れたのは――声からすれば女性。

 BBの紹介によればサーヴァントでクラスはアーチャーか。

『さて、赤リンゴさん。最近の風紀の乱れについてどう思います? 仲良く生徒会室で青春トークとか新キャラに対して最初から好感度MAXとか、きっとマイルームでもイチャイチャしているに違いないです』

『それを……吾々がどうこう言う理由はないと思うが』

『私は許せないんです。ですので、新しい校則を提案します!』

 横暴、かつ自分勝手なBBの言葉に、嫌な予感しか感じない。

 赤リンゴなる人物もそれに対して呆れているが、自分の言う事こそ絶対だと言わんばかりにBBは提案を切り出した。

『題して、『私語をしてはならない』です!』

「は……?」

 言って、教鞭を振るう。

 何やら星だのハートだのといった派手なエフェクトが飛び交う。

 私語をしてはならない――つまり、喋ってはならないと?

「……っ!?」

 ――、声が出ない。

 発声という機能そのものが喪失してしまったかのように、声が出せなくなっている!?

『そういうワケです、センパイ。これからは私語禁止。アイコンタクトだけで頑張ってください。スキンシップは始めから禁止しているので悪しからず』

 まさか、こんな事が罷り通るなんて――

『それと、邪魔なサーヴァントの皆さんはセンパイと離れさせておきました。早く行かないと、殺されちゃうかもしれませんよ?』

「ッ……!」

 メルトは、いる。

 まさか、他の皆に強制転移が掛けられたというのか。

『迷宮の奥には私の手駒がいます。今から赤リンゴさんも向かわせるので、急いでくださいね?』

 早く行かないと――行ったところでどうにかできるとは思えないが、皆が心配だ。

 いくら一騎当千の英霊が複数といっても、BBの手駒なる存在が気がかりだ。

『では、これをきっかけにサーヴァントと不仲になってください。夜のハチミツ放送でした!』

 

 

 視界が戻る。

 だが相変わらず、声は出ない。

「……、……!」

 メルトもどうやら同じらしく、口をパクパクさせているが声は聞こえない。

 どうするか。BBの言った事は本当のようだ。サーヴァントの皆はおらず、僕とメルトの二人になっている。

 生徒会室に連絡を入れようにも、声が出せないのではどうにも――

『落ち着いてください。今の放送は此方にも伝わっています』

 レオの声。どうやら、状況の把握は出来ているらしい。

『そこから暫く行った先にサーヴァントの皆さんは転移しています。特定できない反応は一つ。それがBBの手駒でしょう』

『赤リンゴってのが来ない内に合流して。変なジャミングがかけられてるけど、皆纏めて一回くらいなら校舎へ転移できるから!』

「……!」

 了解、と出ない声で返し、メルトと視線を交わす。

 メルトは頷き、先導するように走り出した。サーヴァントの気配は僕では掴めない。この状況では、メルトに頼るしかない。

 アーチャーがいない以上、罠は躱していくしかない。ゆえに遠回りになり、時間は刻一刻と過ぎていく。

 焦りが脳を焼く。間に合うか――そんな心配を察知したように、メルトが立ち止まった。

 どうやら辿り着いたらしい。リップ、ランサー、アサシン、アーチャー、フラン。五人揃っている。

 そして、その前に佇む圧倒的な気配。サーヴァント、それも、かなり上級のものだ。

「マスター、それにサーヴァントが一人……六対一か。まぁ、俺は一向に構わんが」

 威風堂々。そう称するに相応しい青年。

 胸元を開いた特徴的な全身鎧に身を包み、右手に握るは柄に青い宝玉を埋め込んだ大剣。

 無駄に装飾を加えない、だからこそより鮮明で鋭く強靭な雰囲気を放つ剣士は威圧と共に眼差しを向けてくる。

「BBの命の下、お前たちを斬る」

 銀灰色の長髪が、まるで風にでも吹かれたように軽く靡く。紛れも無くそれは、彼自身が放つ魔力によるもの。

「……お前程の剣士が、あの女に従うか。魔性に憑かれた訳でもあるまい」

「当然だ。女の魔性など既に懲りている。だが悪く思うな。今のマスターは彼女ゆえ、外敵は倒さねばならん」

 BBが……“今”のマスター。つまり、本来のマスターから移り変わったということか。

 一体、どういう事情があって……だがそれを考えるまでもなく、彼は敵らしい。

『強制転移……くっ、二分ですか。皆さん、暫く持ちこたえてください』

 二分。きっとそれはこの剣士を相手取るにおいて、長すぎる時間だ。

 だが此方には、様々なクラスのサーヴァントがいる。それこそ対処しきれないほどの、併せれば無限の戦法を可能とするサーヴァント達が。

「――悩む必要はあるまいて。一撃で終わらせれば良いだけの話よ」

 言葉を全て紡ぎ終える前に、空気が悲鳴を上げた。

 鈍い音と同時、剣士は目を見開く。不可視の攻撃に対する驚愕を隠し切れないと。

 アサシンだ。姿の見えないアサシンの凶悪無比な一撃が叩き込まれたのだ。

「――――」

 見開いた目が、僅かに細められる。

 瞬間、

「ッ!」

 神速の斬撃が空気を切り裂く。

 大剣の切っ先は何かを捉え、その何かから赤黒い血を奪った。

「――凄まじい一撃だった。だが見えざる英霊よ、慢心は油断を生む。我が剣が吸った血がその証だ」

 見えないアサシンを斬った。

 納得できず、理解もできないが、眼前の剣士は必殺の一撃を耐え反撃したのだ。

「……貴様」

「七対一だったか。生憎だが、俺を傷つけるにはそれでは足りん。相手が悪かったな」

 耐えた、というレベルではない。あの様子からして、剣士は無傷だ。

 一切のダメージを負わず、攻撃してきたアサシンのみにダメージを与えた。

 特殊な体質によるものか――剣を僕たちに向け、剣士は告げる。

剣士(セイバー)の相手に相応しい戦を所望する――ついてこれるか」

 今までに無い強敵との戦い。

 多対一だというのに剣士――セイバーの闘志は、圧倒的なように思えた。




レオ「シャーウッドの森でバル○ン焚いたらどうなるんですか?」
アンデルセン「緑茶が死ぬな」
メルト「緑茶が死ぬわね」
リップ「緑茶さんが……死にます」
レオ「ですよね」
緑茶「結論至っちまったよ! ループしねえのかよ!」

セイバー、赤リンゴ(仮)登場。外典勢はこれで全部です。
なんつーか驚いたのが、感想欄でこの三人をピタリと当てた人がいるということ。お見事にございます。返信では誤魔化してましたが結構動揺してました。
フランは完全に「自分の趣味」なのですが、セイバー赤リンゴ(仮)を抜擢したのは不遇以外に理由があるんですよね。
リップ及びメルトに関わりのあるサーヴァント、という事です。
・リップの宝具が標的無視して自動的にセイバーに飛んでく
・アーチャーの宝具がそもそも発動できない
・もしくは放った矢が「アルテミス様ー!」みたいな感じでメルトに飛んでく
こんな自体は多分起こりません。悪しからず。

↓諸事情あって次回は明後日更新しちゃいますよ予告↓
「……ほう。それも良し。して、吾が前に立ったという事は、撃ち合う気があると?」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。