明日四月一日と言う事で、投稿を一日遅らせてエイプリルフール茶番でもやろうと考えてました。
構想的にはハクがメルトに冗談で「契約切ろう」とか言って本気でメルトが落ち込んじゃう話でした。
しかし本能の赴くままに構想してたら茶番で収まるレベルじゃ無くなったのでやめました。
一章章末の茶番でやっとけば良かったと今更ながら後悔してます。
とりあえず、エイプリルフールは型月に任せる事にします。
――女の話をしよう。
着替えた時から、女は衆目を集めていた。
虫も殺せない可憐さで、女は男を管理する。
節度のある生活を! なるほどそいつは聞こえがいい。
無駄のない人生を! いかにもそいつは素晴らしい。
持っているのは計算監獄。無垢なるものこそ残酷だ。
眉目秀麗、品行方正。なのにどうしてこうなった?
+
BBによる強制転移。それによって凛と共に旧校舎に戻された僕たちは、レオの指示の下、生徒会に戻ってきていた。
恐らく状況整理と説明のためだろう。生徒会室には慎二にキアラさん、ありすとアリスも来ていた。
「あ! お兄ちゃん来た!」
「おかえりなさい、お兄ちゃん!」
「う、うん、ただいま……あれ……? ガトーは?」
部屋を見渡し、この状況に置かれてもいの一番に騒ぎ立てそうなガトーがこの場には欠けていた。何かあったのだろうか。
『おっさんなら居ないッスよ。カメラに映らない校舎裏辺りで修行でもしてるんじゃないッスか?』
「うわ!? 誰だよ今の通信!? オタク、どこの三流キャラ!?」
用具室に居るらしいジナコからの通信。
どうやらジナコは校舎一通りを監視する手段でも持っているらしい。
そんな通信に慎二が食って掛かる。慎二とジナコは初対面なのか。
『シンジさんクンは相変わらずッスね。初対面でも見下す癖、直した方がいいッスよー』
「いや、だから誰だっての!」
『初めましてッスねシンジさんクン。僭越ながらトータルチャンプ、じな子さんッス』
「じな子……!? じな子って、FAプレイ時間6000越えの、あの!?」
『にゃはは、褒めるな褒めるな。プレイ時間イコール勝ち組の証。これゲーマーの常識ッス』
「ただの廃人プレイヤーじゃないか! 一日平均プレイ時間18時間って、何年生だよお前!」
『その通りですジナコ。貴女は少し、「パソコン」と向き合う時間を減らした方が良いかと』
『ちょ、アルジュナさんは黙っててくださいッス! せっかくシンジさんクン相手に無双してるってのに――』
「ミス・カリギリ。早急に整理したいので、そろそろ自重してください」
アルジュナまで含んだ不毛な舌戦にまで発展しかけたが、レオの一言でジナコは黙り込んだ。
慎二も納得してないようだが自分を落ち着けるように一つ大きな息を吐くと椅子に座りなおす。
「では、全員揃ったようなので始めます。と、その前に……ミス遠坂。月の裏側から表への脱出戦線に――生徒会に力を貸してくれますか?」
レオの言葉で、全員が凛を見る。
既に凛は、敵ではない。月の裏側から脱出する者たちを妨害する理由もなくなり、ランサーとも再契約した。
凛も一人のマスター。聖杯戦争に戻るためにするべき決断は、一つだけだ。
「断る理由はないわよ。でも……入る前に謝らせてもらうわ……ごめんなさい色々私が悪かったですだから全部忘れてください」
まったく心のこもってない棒読みの謝罪と共に頭を下げると凛は椅子に座る。
それは紛れも無い、生徒会参加の意思表明だ。
「気にする必要はありません。レオは始めから貴女を信じていました」
レオの言葉を分かっているといわんばかりに、ガウェインは凛に微笑む。
それに対して頷くレオを見て、凛は申し訳無さそうに眉を潜めた。
「レオ……ごめん。私、貴方の事誤解してたわ。選民思想に凝り固まった基本最悪なヤロウだと思ってたのに……」
「はい。始めからミス遠坂は噛ませだと信じていました。この酷い結果はマジ予想通りです」
「そこ、信じるところが違うわよね!? くっ、ちょっとでも感動した私がバカだった。やっぱりアンタは敵よ!」
「おや、それは勿体無いことをしました。ミス遠坂に感動されるなんて、聖杯戦争に勝ち抜くより難しそうなのに」
「レオ君、早急な整理は?」
「おっと、失礼しました。ではミス遠坂。これからもお願いしますね。生徒会副会長として、力を振るってください」
あぁ――ようやく四役が埋まったらしい。
確かに凛ならば、
「えぇ。それじゃ、改めて自己紹介させてもらうわ。私は遠坂 凛、聖杯戦争に参加したもののBBに捕まったマスターよ。ランサー、貴方も」
凛は世界的に有名な魔術師。特に自己紹介の必要はないと思うがこれも体裁だろう。
呼ばれて現れたランサーは軽く頭を下げてから口を開く。
「ランサーだ。リンのサーヴァントを務めている。暫くの間世話になろう」
「いえ、貴方ほどの大英雄ならば歓迎します。よろしくお願いしますね、ランサー」
「さ、これで良いわね。私たちは本戦でどこまで戦ったかは覚えてないわ。気がついたらBBに捕まって、あんな風になってたの」
「では我々と同じですね……間違いなく、あのBBとやらが元凶でしょうが……サクラ、あれは一体、何なのですか?」
レオの目が桜に向けられる。BBの容姿は桜に酷似――いや、瓜二つ。
それの存在を知っているのなら彼女だ、と判断したのだろう。対して桜は答え辛そうに俯いていたが、意を決したように頷くと口を開いた。
「あれは……私の同型機です」
「同型……ムーンセルに情報を送る、管理タイプのAIという事ですか?」
肯定する桜。桜の同型機……なるほど、ならば容姿が似ているのも納得できる。
「やっぱりね……管理タイプのAIなら、ムーンセルへのフリーパスコードを持ってる。その気になれば、セラフをそっくりハックできてもおかしくないわね」
「ふむ。それが今回の事件の仕組みか。管理AIが暴走し、権限を悪用し聖杯戦争を狂わせたのだな」
「はい。否定材料はありません。原因は分かりませんが、状況は決定的です」
凛、そしてダンさんの推測。
桜の同型機が暴走して、管理AIとしての権限を暴走した方向に行使し、マスター達を月の裏側に落とした。
となれば、今あのAI――BBの目的はなんなのか。
「ですが、申し訳ないんですけど、私には……彼女を止める力も権限もありません」
「仕方ないだろう。あれは
「……あのさ、そのAIだけど、暴走してるとかなんで断定できるワケ? 元からそういうAIだったって可能性は? 不正があった時に駆けつける警察みたいなさ」
「それはあり得ません。ムーンセルはルール違反を咎めることはあってもルール自体を破壊しようとはしません。そもそも、そんな権限を持ったAIをムーンセルは作りません。BBは、在ってはならない存在です」
ムーンセルが許容する以上の力を持った暴走AI。
あれは僕たちでは及びもつかない位置にある容量と権限を持っている。
ムーンセルは管理の怪物と揶揄される事がある。それは真実かつ絶対的。飼犬に手を噛まれるような状況を、ムーンセルは自ら作ったりしないだろう。
何らかの偶発的なバグによりムーンセルの管理の目から抜けた。そう仮定するのが妥当といえる。
「BBは、理由なく自己拡張を繰り返すだけ。このままでは、いずれ聖杯戦争の崩壊にも繋がりかねません。そうなる前に止めないと……」
「ムーンセルは、この異常を感知していないのか?」
「そうだと思います。ムーンセルは月の裏側の存在さえ観測していないでしょう。ですから――」
「……ムーンセル側の救助はないと思って良い、という事ですね」
状況は考えていた以上に深刻だ。
一刻も早くBBを止めないと、聖杯戦争、ひいてはムーンセル自体の危機にも陥りかねない。
「ですが……BBを止めるのは現状非常に難しいです」
「は? 何でだよ。僕たちにはサーヴァントが居るんだぜ? 暴走してようとAIだろ。だったら――」
慎二の弁に、しかし賛同する者はいない。
確かに月の裏側に落ちたマスターは、ガトー以外は全員サーヴァントを連れている。
これだけの戦力ならば、AI程度ならば簡単に倒せる。それが常識的な見解だろう。
「無理よ。BBは……128体のサーヴァント殆どを喰らった怪物なんだから」
「は……喰ら……った?」
絶句する慎二。そう。サクラ迷宮でBBを前にして感じた圧倒的な威圧感。
あれはただのAIのものよりも、サーヴァントのものよりも遥かに上だった。
或いは、サーヴァント十……数十……否、百を超える力を持っているのではないかと思わせるくらいに。
「それらの力を吸収して、手のつけられなくなったギガストラクチャ。それがアイツなのよ」
BBに捕えられていたからこそ、凛はBBの一端を垣間見たのかもしれない。
「おま……なんだよそれ。そんなの――」
『そう、その通り。私に挑もうなんて、無理無茶無謀ってものです』
「――!!」
慎二が凛に食い掛かろうとした、その瞬間だった。
「レオ、外部との回線は!?」
「防壁まで抜かりなく……ですが」
『はい。月の裏側でも、ここはセラフ。クラウドコンピュータ型の世界です。ネットワークに依存している以上、こんな事も出来ちゃいますよ!』
聞こえてくるのは、間違いない。BBの声だ。
『拍手の準備はいいですか? いい子もわるい子もみんな纏めてラッピング、
そんな、おどけた声だが少しも気を和らげる訳にはいかない。
何をしでかすか分からない――
『BBチャンネル、スタートです!』
Now hacking…
OK!
『この放送は、ムーンセル特設スタジオ、サクラガーデンからお送りいたします』
『モニターの前の皆さん、こんばんは。ムーンセル閲覧数一位の人気コンテンツ、BBチャンネルの時間です』
な、なんだこれ!?
急に視界が切り替わったと思ったら……目の前にはBBが立っている。
『司会は皆の小悪魔BBちゃん。視聴者は、旧校舎に引きこもっている哀れな羊の皆さんです』
即席のスタジオのような空間。辺りには誰もいない――というより、視界を動かせない。
瞬きすら出来ず、まるで観客というより自分がカメラになってしまったような感覚。
『あぁ、暴れても無駄ですよ、えっと……髪がワカメっぽい人』
ドッとスタジオ中が湧き上がる。観客でも居るのだろうか。
『この番組は、皆さんの視覚聴覚をまるごとハッキングしてお送りしています。発言権があるのはセンパイだけなので、レオさんや凛さんは黙っていてくださいね? ありすさんとアリスさんは、ちょっと静かにしてください』
恐らく、全員同じようにスタジオを観るだけの目となっているのだろう。
しかしそれらの声は聞こえない。聴覚のハッキングを受けている以上、このスタジオで起きた事以外を感じ取れないようだ。
『さて、今回は基本ルールの説明です。どうやったら脱出できるのか、皆さん知りたいですよね?』
脱出方法――それを説明していいのかとも思うが、すぐに気付く。
挑発の様なものだろう。この月の裏側を支配し得る存在が仕組んだルールだ。
出来るものならやってみろ。そんな意味を込めたものなのだろう。
「まったく……知ってるつもりだったけど、面倒な性格してるわね」
「ほんと……ばかみたい」
「……え?」
視界の外からBBに突っ込みを入れたのは、メルトとリップだった。
それに反応できたことからして、僕に発言権があるのは確からしいがメルトとリップは何故……?
『今のは……メルトにリップですか? あぁ、貴女たちなら発言権が自動獲得できても不思議じゃないですね。良いですよ、進行を邪魔しない限り、ある程度の発言は許可します』
発言権を……自動獲得?
それ程の権限を、一サーヴァントであるメルトとリップが持てるのか?
いや……或いはそれが可能なほどに、二人が特殊なサーヴァントなのだとしたら……
『さて、月の裏側からの脱出方法ですが、皆さんの推察するようにサクラ迷宮を突破していただけるだけで構いません』
今考えていても仕方ない。BBの説明を聞いておくのが先決だ。
レオが導き出した推察、そして今までやってきたことが無駄では無かった事は分かった。
しかし、だとすれば言い分からしてあのサクラ迷宮を突破できた訳ではなく、攻略してきた三階までと仕組みが同じなのだとしたら――
『でもそれだけだと面白味に欠けますよね。だからBBちゃんは特別な術式を用意しました。センパイ、分かります?』
「……あのウォール、か?」
『はい。正解です。女の子を迷宮の核にした画期的なファイアーウォール。どうでした? 突破は難関だったでしょう?』
確かに、凛の秘密を探し、凛と戦う。これだけでもかなり困難だった。
一階一階を攻略するのに考えをリセットし、何が主となった秘密なのか考えなければならない難解な仕掛け。
『でも欠点はあるんですよ? 迷宮の核に出来る綿密な擬似霊子を持った女の子なんてそういません。私も見つけられたのは二人だけですから』
「――」
だとすると、あと一人は――
『という訳で! 登場していただきましょう。サクラ迷宮二階層のセンチメンタルな
ポン、という演出のような煙が上がる。
そして現れた一人の少女。
「……ラニ」
『大正解! 今度のボスはエキゾチック&アカデミック。知的な白衣と眼鏡とおでこが光る、絶壁ツルツルのスレンダービューティ! アトラス最後のホムンクルス、ラニ=Ⅷさんです!』
まさか、彼女まで捕まってしまっていたなんて。
ラニも聖杯戦争の最中で知り合い、色々と手を貸してくれたマスター。
否……“色々と”で済ませられるものだったか? 彼女がいなければ敗北していた……そんな状況に、幾度も陥っていたような……
しかし、そんなラニが今度は敵として立ちはだかる。凛に匹敵する、強力なセンチネルとして。
『カーディガンの下はどうなっているのか、アトラス院に羞恥の概念はないのか? 考えると私もドキドキしちゃいます!』
『…………』
『あれ? ラニさんは凛さんとは違い無口ですね。発言していいんですよ? これから貴女の迷宮に乗り込んでくる方々に辛辣なコメントをどうぞ!』
『BB、私は過剰演出は好みません。彼らが迷宮に入ってくるのなら、一外敵として処理するまでです』
その言葉を聞き――決して小さくはない痛みが走った。
僕も、恐らくラニも、聖杯戦争の記憶を失くしている。
そこでの詳細な関係は思い出せないが、ラニはこんな無情な言葉を発するようなことはなかった筈だ。
『はい。頼もしいコメントありがとうございます!』
BBが教鞭を振ると、再び煙が上がりラニは消えた。
『そんな訳で、表側に戻りたいのなら難攻不落のラニさんを突破してください。どれだけ時間を掛けても構いませんよ? 七日間でトリガーを入手しなければ敗北する――そんなルールは、ここでは適応されませんから』
つまり、時間の制限はない。そう言いたいのだろう。
だがそれはあくまで月の裏側での話。表に戻った時どうなるか分からないのだ。
『でも、気をつけて下さいね。迷宮に乗り込んでくる命知らずは注意しないと――食べられちゃいますよ?』
そんな言葉を最後に――
視界が唐突に、元に戻った。
「視界ジャックですか……皆さん、大事はありませんね?」
見たところ、何かしらダメージを受けている様子はない。
強制的に見せられるだけで、特に被害はないだけなのか。
「すごいわ
「でも、舞台には上がれなかったわ。つまんないの」
「やっぱり絵本の方が良いわ。図書室に戻りましょう!」
「うん!」
ありすとアリスは何だかんだで楽しかったらしい。
きゃっきゃとはしゃぎながら生徒会室を出て行く二人を見送った後、レオが切り出した。
「外部からの通信は途切れていますね。BBはあの程度しか旧校舎に干渉できないのでしょうか」
「そうだと思う。出来て今みたいな、視界のジャックくらいね」
だから出てきた者たちへの対処として迷宮に罠を仕掛けたりするのだろう。
「ならば良いでしょう。目的も明確になりました。サクラ迷宮の突破を最優先事項に。ハクトさん、お願いできますか?」
「……うん」
きっとこれから、僕はラニと戦うことになる。
だが、そうでなければ聖杯戦争に戻ることはできない。
それに、ラニを正気に戻す意味も含めてそれは必須事項。やるしかない。
レオは当然。ユリウスも静かに賛同し、ダンさんも頷いた。白羽さんも相変わらず呑気ながら、優し気な笑顔で決意を新たに。
そして凛も生徒会の新たなメンバーとして、戦いに参加してくれると宣言する。
「はっ、やってられないね。自ら死場に行くなんてバカじゃないの? 勝手にやってろよ」
しかし、慎二は違った。くだらないと言わんばかりにレオの決定を一蹴して立ち上がり、生徒会室を出て行く。
『ボクも慎二さんクンに同意ー。校舎にいる内はBBさんも何もしないって言うし』
「そうですか……気が変わったらいつでも門戸を叩いてください」
用具室のジナコも、協力はしないと再度告げ、通信を切った。
「では、キアラさんは? 状況は一変しました。それでも、参加は出来ませんか?」
「はい……残念ながら。元より、私はBBに見逃されここにいるのです」
「なっ……!?」
申し訳無さそうに言ったキアラさんに、驚愕せずには居られない。
既にキアラさんはBBと会っていた。そして、見逃されていた。
「私はBBに、敵対しないことを条件にこの旧校舎に逃げ延びました。皆様の活動の協力は出来ますが、生徒会への直接的な参加は出来ません」
キアラさんは生徒会に誘った際、“自分達をここに引き込んだ存在には慈悲がある”と言った。
それは、元凶に出会ったからこそ公言できたことなのか。
「その条約? 破ったらどうなるの?」
「どうにもなりません。ただ条約が無かったことになるだけです」
とは言え――キアラさんも命を捨てるようなことはしまい。
だからこの生徒会には参加せず、ただ様子を見守ると言っているのだ。
だが、それでも良いと思う。協力はしてくれるのだから、そう文句も言っていられない。
「ですから、その分協力は積極的にさせていただきます。何かありましたら、いつでもお声を掛けてくださいね」
一礼し、キアラさんも部屋を出て行った。
「では……今日はこれでお開きにしましょうか。ハクトさんもお疲れさまでした。暫く休んでください」
「うん、そうするよ」
凛との戦いで随分と疲労している。しっかりと休んでおかなければ。
「私もそろそろ休んでいい? 肉体的にも精神的にも限界で……桜、部屋のキーくれる?」
「はい。分かりました」
「ありがと。……言っとくけどハクト君、絶対に入ってこないでよね。入ってきたらビームよ、ビーム」
「あ、あぁ……」
それぞれ個別の個室に入る手段がそもそもないのだが。リップの荒業くらいか。
しかし、あれだけの秘密を晒して尚、凛は会議に出てくれたのだ。
それに感謝しつつ、僕も休もうと席を立つと――
「む……?」
ダンさんが小さく声を漏らした。
「どうしました? サー・ダン」
「迷宮から通信が入っている。今回線を開こう」
迷宮からの通信……まさか、ラニ!?
『レオ会長――――ッ! 我が麗しの神にちょっと似た感じのレオ会長――――ッ!』
「オフにしてください。皆さんもお疲れ様でした。今日の活動は終了とします」
『あぁ待たれい待たれい! 小生現在眼鏡の殺人鬼に追われているのである! 今すぐ助けに来られたし!』
「……は?」
と、誰の声か。
通信の主は姿を見せないガトーだった。
突拍子も無い宣言だが、状況的にどうやら本当のようだ。
『ぬおぉ、あの氷のジト目は魔眼の如し! モノを殺すという事を教えられる! ゴッド・セーブ・ミー!』
レオが頭を抱えている。その気持ちは良く分かる。
『……とか何とか言ってる間に撒いたようだ……あれ、此処は
「本当にすみませんハクトさん。喧しいんで連れて帰ってきてください」
「あぁ……うん」
殺しても死ななさそうだが、仲間である事に変わりはない。
そもそも何故迷宮にいるのかなど疑問は尽きないが、とにかくガトー救出のため迷宮に向かう事にした。
ハク「恋人といる時の雪って
特別な気分に浸れて僕は好きです」
メルト「///」
エイプリルフールネタを没にしたモヤモヤを発散してたらこんなん出来ました。
メルトデレってこういうことでしょうか??
ガトーが魔眼がどうとか言ってますけど別にヤバイ人に追われてる訳じゃありませんよ?
まぁラニも別方面でヤバイんですけどね。
↓この選択肢を選ばずして何が主人公か予告↓
「――つけてないって本当なのか、ラニ!?」