カランと氷がコップにあたり音が鳴った。
「あの時は生きたくてな、沢山の人を殺してしまったな。」
卯国が水を飲みながら言う。
「俺たちは正当化した人殺しだ。その人の許可なしにその人の人生を終わらせたのだ。その罪は重い。」
タカヒロがコップを拭きながら言う。
「このことは後世に伝えていかなくてはならない、だが、俺も仕事柄偉そうには言えんのだよ。」
天々座が飲みながら言う。
「あの日俺達が犯した罪に報いなければ・・・」
窓から外を見ると少しづつ明るくなっていた。
「朝まで話していたのか、」
「まるで変わってないな。」
「だな。」
「世話になった。また、近くに来たら寄ってやるよ。」
卯国が身支度をしながら言う。
「あぁ、またいつでも来い、待っている。」
タカヒロが言う。
「寂しくなるな、また会おう。」
天々座が言う。
ドタドタ、階段を降りてくる音がする。
「うちの娘が起きてしまったようだ。」
タカヒロが笑いながらドアを開けた。
「お父さん、この人は?誰です?」
青い髪の少女が聞く。
「この人はお父さんの大切な昔の仲間だ。」
「卯国といいます。お母さんに似て可愛らしくなったね。お父さんを宜しくな。」
はい、と返事をした声を聴いてラビットハウスから出た。
俺が出た瞬間からラビットハウスは賑やかになっていってる。
もう1人女の子が降りてきて俺に手を振ってくれたのだ。
顔を知らない子から顔を知らないであろう人が手を振り返した。
旅は続いてく、どこまでも終わることは無い。この世には「一期一会」という素敵な言葉がある。一度あったら忘れることはない。この街に来たのも、アノ娘にあったのも何かの縁。またこの街に戻ってくると何故か思ってしまったのだ。
この素敵な街からもそろそろ出なくてはならなくなってしまった。
それでは、また会おう、同士諸君。
その後俺は何度も何度もこの街を訪れ、ラビットハウスを訪問した。
この店のコーヒーも飲んだ。かわいらしい店員のおかげでよりうまく感じた。
タカヒロの娘が少し特別に見えたのだ。
他の娘とは何か違う、不思議なものが見える。
そうか、俺はこの娘、チノちゃんに惚れていたのだ。今まで人しか殺してこなかった人生においてこれが俺の初恋となった。
チノちゃんに会いたくてこの店を訪れていたのかもしれない。
その途端に顔が赤くなったのを感じた。
また、旅に出る今度は戻ってこれるかわからない。また戻ってこれたら、この街に帰ってこれたらこの思い、伝えよう。
この10年後に俺とチノちゃんが結婚することになるのはまた別のお話で・・・
謎エンド