ご注文は戦友ですか?   作:天城 渚

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更新は2日に1回のペースでしていきたいですな。


2羽 時の流れを感じるそうめん

コップを置く。横をふと見る。ある一つの写真を見つけた。

「このかわいらしい女の子3人は誰だ?」

 

その写真を手に持ちながらタカヒロに問う。

 

「あぁ、その子達か。俺の娘と、天々座のとこの娘と、今年下宿しに来た子だよ。」

 

「真ん中の子がタカヒロの娘で、右にいるツインテールの子が天々座の娘で、ショートの子が下宿の子かい?」

 

と、俺は指を指しながら聞いた。

 

「あぁそうだぜ!俺の娘可愛いだろ〜?お前も昔会ったことがあるリゼだぜ。今年で高2だ。」

 

この子がリゼちゃんか。俺が最後に見た時はまだあんなに小さかったのに、もう高校2年生なのか。

 

「チノちゃんだっけか?その子は今何歳なんだ?」

 

と、タカヒロに聞く。

 

「チノは今年で中学3年生なんだ。」

こんな話を聞くとほんとに時の流れを感じてしまう。

 

「2人とも父親に似なくて良かったな。」

 

と、俺は笑って言った。

それもそうだな。と、2人も笑った。

 

「で、タカヒロ。奥さんは元気にしてるか?」

 

その瞬間、辺りが凍りついたかのように静かになった。

 

「妻は病気で亡くなったよ。」

 

そうタカヒロの口から聞こえたとき俺はようやく理解した。

「スマン、タカヒロ。俺何も知らなかったからさ。」

と、両手を合わせて謝る。

 

「いや、いいんだ。お前は何も知らなかった。当たり前のことだ。」

そう言ってコップを磨き出す。ウサギが溜め息を吐く。

なんでウサギなのに溜め息吐いてんだよ。なんなんだこいつ。

写真をもう1回見てみる。

「なぁ、この下宿してる子ってどんな子なんだい?」

 

「その子の名前はココアという子なんだ。いつもチノと遊んでもらっているよ。なんせ男手一つで育ててきたからね、チノも顔にこそ出さないが、すごく喜んでいるよ。」

 

と、口元を緩めながら話しているタカヒロを見て自分もニヤついてしまう。

「そうか。チノちゃんにもいい友達ができたのか。」

 

と、言うとタカヒロが

 

「友達ではないよ、本当の姉妹みたいな感じなんだ。昼間のこの店に来たら分かるよ。」

そう言って、コップを磨く。

 

「天々座のほうはどうなんだ?一人娘だろ?」

 

そう聞くと天々座は笑いながら

 

「知らん。全ての事はメイドに任している。ハッハッハッハー!」

 

そう言って酒を飲んだ。

メイドか。そういえばこいつ金持ちだったな。で、まだ軍人だったっけな。

タカヒロはバーテンダーになり、天々座は、軍人なのに、俺は元軍人で無職。時の流れを感じてしまう。

 

コップに入っていた酒を全部飲み干してしまった。

 

「タカヒロ、ワインを頼む。」

 

「わかったよ。」

そう言ってワインの瓶を取り出しコップの中に注ぐ。

赤ワインを見るとどうしても思い出していまうものがある。

それは「血」だ。

戦場での流血。相手を殺した時の返り血。仲間の死体から滲み出る血。いろんな血を見てきた。

 

「なぁ、天々座、タカヒロ。あの時に比べたら今は平和になったな。」

 

そう無意識に口から言葉が出てた。

 

「今も俺は戦場に行くことがあるが、あそこはほんとに地獄だ。殺される者も、生き残る者も。」

そう言って天々座がワインを飲む。

 

「今自分たちには未来を託せる子供がいる。あんな悲劇二度と起こしてはならない。」

と、言うタカヒロ。

みんなそう思ってる。俺も思っている。あれは俺らの中に悪魔がいた時代だ。二度と訪れてはいけない時代だ。

あの頃は何もかも本当にめちゃくちゃだった。

「あの頃の俺達は生き残ることしか考えてなかったな。」

と、タカヒロが言う。

「そうだな。生きてなんぼだからな。」

 

そう俺が答える。

 

「娘がいる今、あんな時代。二度とごめんだね。」

と、かなり酔っている天々座。

 

あの時代の話を……

 

 

 




なんか、設定とかなんやろーなーと考えてしまうバウ

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