恋姫†無双~大陸に降り立つ者~ 作:新名択捉守
―孫呉に降り立つ者―典韋&諸葛亮&鳳統√(+呂覇&鳳凰)
三顧の礼・・・ならぬ一顧の礼で、孔明と士元・・・いや、真名を預かったから朱里と雛里をオレ達一行に加えられたのは、鳳兄妹の相互溺愛ぶりと朱那の説得があってのことだろう。・・・それに関しては、まぁまた今度、朱衣にきちんと事情聴取をしなければならないが・・・
そしてしばらくの間、孫呉からは距離を取り義勇軍を立ち上げ活動をすると、水鏡先生に言うと、水鏡公認の義勇軍として活動しても良いとのお達しをもらえた。オレは、それとこの間、賊討伐の時に得た金銀財宝の山を武器に、これもこの間助けた村を拠点に“孫龗義勇軍”を旗揚げしていた・・・
朱里
「はわわ・・・す、すごいです。」
と、目を真ん丸にして目を見開いている。
龍蓮
「ん?何人集まったんだ?」
雛里
「あわわ・・・昨日の集計時点で2000を超えちゃったのでし。」
具体的な数字は隣にいた雛里が答えてくれた。・・・ふむ。これだけの短時間で、義勇兵が2000も集まるということは、それだけ生活が困窮していて尚且つ賊の存在が大きくなってきているということなんだな。
龍蓮
「2000か・・・(思ったよりも結構集まったな)・・・よし、とりあえずはこの辺でやめておこう。資金だって今はあるとはいえ、有限だしね。」
朱里
「はい。それが良いかと。」
即答で同意の意を表明してくれる朱里。
龍蓮
「それじゃ・・・雛里。それぞれの将に隊として割り振ってもらえるか?」
雛里
「はい。」
基本的には、軍事的な事は雛里の方が得意だから、雛里に任せることが多い。朱里は内政の方が長けているように思えるから、主にそちらを重点に置いてもらっている。まぁ、2人ともすごいから大体の事はどちらがやっても問題はないけどね。
それから暫くは、調練や周辺の村の警備が主な活動となっていた。それから100人規模くらいの比較的少数な賊には大体500くらいの隊をローテーションで行かせ経験値を稼がせるなどのこともしていたが、そうすると超絶馬鹿共も少しは頭を働かせたのか、次々と小規模の賊軍が次第に集まりだして最近では、敵軍勢力が500とかも多く見かけるようになってきた。
そんな時に、ある一方がもたらされる。
忍者
「報告します!龍蓮様!」
仮面を着けた人間がひとり、何処からともなく龍蓮の隣に現れる。正しく『忍』と呼ぶのに相応しい。ということで、彼女には真名をあずけているし、他の斥候などとは区別するためにも敢えて『忍者』と表示しておく。
龍蓮
「おぅ。」
忍者
「この地に向かって砂塵を巻き上げながら進軍してくる賊軍が!」
こういう事になることは、大体予想済みだったが、こうも早くなるとは・・・
龍蓮
「続けて?」
忍者
「はっ。その数、目測で5000!それにほぼ全ての者がどこかしらに黄巾を身に付けております!」
黄巾の乱の始まりか・・・
忍者
「恐らくは、我らが蹴散らした賊軍の残党やまだ潜んでいる賊軍の大連合軍かと・・・」
龍蓮
「分かった。引き続き賊の大軍に目を光らせておいてくれ。」
忍者
「はっ。」
その声と共に、その者の姿は消えていた。そして、それから直ぐに義勇軍の主要メンバーが集められた。
続報として賊の大連合軍は3,4日後にはこちらに着くだろうとの報告が入っていた。そして現在は緊急会議中だ。
龍蓮
「それで雛里。周辺の協力関係にある村々で兵を補充するとしたら、あとどれくらいの増員を見込める?」
雛里
「はい・・・多く見積もっても1000人程かと。」
雛里は手元に持っている近隣の村の人口情報が書かれた竹簡を確認しながら言った。
朱里
「兵法としては邪道ですが、ここは策を講じて乗り切るしかないかと・・・」
援護射撃を行うかのような連携で、上手く朱里が雛里の少々足りなかった言葉を付け足す。
龍蓮
「よし・・・誰かある!近隣の村連合に伝令。内容は“念の為、簡易防柵を拵えるように”と。まぁ、敵は真っ直ぐここに来ると思うけどね。」
その言葉に、朱里も雛里も同意を示した。
龍蓮
「次は、この村の防衛だけど・・・朱里、何かあるか?」
朱里
「・・・はい。まずは南門を完全に封鎖しましょう。そして分かりやすい堀や柵なども作っておきましょう。」
龍蓮
「うん、それで?」
オレはその先を促す。
朱里
「はい。そして反対側の北門には深めな落とし穴を数多く作って足止めを掛けます。その間に東門と西門に龍蓮様と嵐さんを置き各個撃破し、そのまま挟み込むようにして北門に留まっている敵賊軍を挟撃しましょう。」
龍蓮
「大筋は大体良いと思うけど・・・紅龍は?」
紅龍
「えっ僕?僕は軍師ではないし、う~ん雛は?」
雛里
「私も朱里ちゃんの策で良いと思いましゅ!」
うんうんと残りの面子も首を縦に振る。
龍蓮
「じゃあ1つ。試してみたい事があるんだけど・・・」
それから3日間。兵のみならず村人をも総動員して、賊の大連合軍を迎え撃つ準備をしていた。それは順調に進み、南門は完全に封鎖され、北門周辺は見えにくい罠の大密集地域となっていた。
流琉
「龍蓮様。本当に南門には兵を配置しなくて良いんでしょうか?」
龍蓮
「大丈夫だよ。あそこは賊軍の進路から一番遠いし、何より障害物が他のところよりかなり多くしてある。態々そんなところには飛び込まないだろうさ。」
そこに斥候からの一方が入る。どうやら賊軍が目視できるらしい。
龍蓮
「よし流琉!全軍集合だ!」
流琉
「はい!」
そして、義勇軍3000の総大将として号令をかける・・・
龍蓮
「皆の知っている通り今、村には賊の大集団が迫ってきている!!
だがしかし!敵は所詮、烏合の衆!我々のように日々の訓練をしているわけでも無し!
命を賭けても守りたい者がいるわけでも無し!!
そんな輩に義勇軍最強と謳われる我ら“孫龗義勇軍”が負けることなど万に一つも有りはせぬ!!
天に向かって叫べ!!全身全霊で持って賊共に天罰を与えよ!!!」
義勇兵
「「「「「応ッ!!!!!!!!!!」」」」」
東門。ここには大将である龍蓮と補佐として朱里が陣頭指揮をとっていた。
西門。ここには嵐と紅龍が指揮をとっていた。
南門。ここは全くの無人。しかし代わりに防柵や堀などがかなり作られている。
北門。ここは流琉と雛里が指揮をとっている。そして一番苛烈な戦闘を繰り広げていた・・・
流琉
「敵は今、人口沼にハマって動きが鈍っています!」
雛里
「弓隊!火矢を放ってくださいでし!!」
そうして放たれた火矢は綺麗な放物線を描いて人口沼で立ち往生している賊どもの足元に降り注がれる。そして、その足元からは明らかに不自然な炎が燃え広がる。それは人口沼全域に瞬く間に広がる。
それにより、賊軍の本隊は大混乱だ。そんな戦果を見て雛里は満足気な表情を浮かべている。
雛里
「やっぱり人口沼にお酒を使ったのは正解でしたね・・・それにしても凄いでし・・・・・・」
轟々と燃える炎を見て、そう呟く。そして体に燃え移った火を消そうと火が回っていない別の人口沼に飛び込む賊兵達。しかしそこも、お酒の人口沼であった。(※【図1】)
その炎が空に高く舞い昇り、上昇気流を起こす。それにより囲まれるようにあった賊連合軍本隊4000が火炎旋風に巻き込まれ成す術もなく飲み込まれていく。その光景は地獄なんていうレベルの問題ではなかった。
それからすぐに、西門と東門を攻撃していた各500の賊が敗走を始める。それに対し、それぞれ嵐と朱里に追撃を任せ、紅龍はただちに北西に向かった。そして・・・
紅龍
「皆さん!一斉に土嚢を破壊してください!!行きますよ!・・・3!2!1!」
との号令により、それほど多くはない水量だった川を塞き止めていた土嚢を破壊し、一気に人口沼を押し流していった。後に雨も降り、火炎旋風によって村に被害が出るということもなかった。
龍蓮
「皆の者!勝ち鬨を挙げよ!!我ら“孫龗義勇軍”の大勝利だぁ!!!」
義勇兵
「「「「「オォォォォォ!!!!!!!!!!」」」」」
それから瞬く間に、この大勝は大陸全土へと響きわたった。
それもそうだろう。この時期に賊軍5000という数字はかなり大きいし、それに対して義勇軍は3000という寡兵でこのような戦果を挙げたのだから。しかも正規軍ではない義勇軍で。しかも何か?死亡者数は賊軍の約5000に対して、義勇軍0とな。
今回の一件で荊州の賊の数はガクッと減り、諸侯も一気に無視できない存在へとなるのであった・・・
【図1】
∴∴∴
∴∴∴∴∴ ←防柵などの妨害工作済みの地点
__南__
| ∴ |
東| |西
| |
 ̄ ̄北 ̄ ̄
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■■ 凸凸 ■■ ←人口沼の範囲・敵本隊 →川がある
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