恋姫†無双~大陸に降り立つ者~   作:新名択捉守

2 / 20
2

 

 

―孫呉に降り立つ者―諸葛瑾&張勲&紀霊√

 

 

 

 

 

 

 

 

オレが袁術・・・いや、美羽と義兄妹の契りを交わして間も無く、どんなに甘く見てもコイツは駄目だろ。という文官を次々と全財産没収した後に排除、その代わりに新人の文官を登用した。もちろん、美羽名義で。そこからは、トントン拍子に進み御世話係兼人質という身分であるにも関わらず、内政の政策などの会議では口出しを認められるまでになっていた。そして、内政に深く関わるにつれてどんどんと美羽の太守としての真相が暴かれていくのであった。

 

 

 

龍蓮

 

「これは・・・酷いな。」

 

 

朱衣

 

「・・・あれは少々強引でしたが、今回ばかりはもう少し踏み切っても良かったかもしれないでしゅね。(たわわ・・・最後の最後で噛んじゃった)」

 

 

 

今、会話していた内容というのは、収められた税金が誰の手に渡っていたか?というものである。それの結果が、5割が文官の懐に行き、3割が朝廷へ、2割がこの城へとなっていた。そして、蜂蜜大好き美羽太郎が自由に使えた額は税金の中の5厘にも満たなかった。

 

 

 

龍蓮

 

「とりあえず、今月から半年間は今までの税収を3割にまで落とそう。そして、それからは5割にまで引き上げて、税収の安定を図ろう。」

 

 

朱衣

 

「で、でしゅが、その間の足りない分のお金はどうしゅるんでしゅか?///」

 

 

 

あ、カミカミで顔が真っ赤になってる。一応年上なんだけど・・・ギザカワユス。

 

 

 

七乃

 

「そうですよ~そんなことしたら、行き倒れもいいところですよ?・・・あぁ、でもヨレヨレになって私に泣き付いてくるお嬢様もいいですね♪」

 

 

龍蓮

 

「そこは大丈夫。この間の文官駆逐作戦の時に分捕った財産が余るほどあるから、それで半年間の赤字を補う。それでも、まだ大分余る計算になってるから、その残った分は新政策の為の資金に7割。緊急時の為に残しておくのに3割。これで万事解決じゃないかな。・・・ね、朱衣?」

 

 

朱衣

 

「ひゃ、ひゃい!そういうことでしゅたら、今のところ問題はないかと・・・」

 

 

 

そう言ったその時だった。バタン!!と扉を打ち破ったかのような轟音と共にオレの背中に衝撃が走ったのは。

 

 

 

未那

 

「賊が出たそうなんですけど、リュウ君どうしますぅ?」

 

 

龍蓮

 

「いやいや、軍事担当は未那だろ。」

 

 

未那

 

「あ、そうだ!今、イイこと思いつきました♪」

 

 

龍蓮

 

「思いつかないでください。」

 

 

 

どうせ、碌でもないことに決まってる。

 

 

 

未那

 

「賊はどうやら50人程度らしいんですけど、それに軍を投入するのもメンドーじゃないですか?ですからここは、私とリュウ君の2人で行ったら良いと思うんですよ♪」

 

 

龍蓮

 

「何が狙いだ。」

 

 

未那

 

「私とリュウ君が背中合わせで戦っている中、周りは敵だらけ。そんな中、私は運悪く敵の内の1人に捕まり私の必死の抵抗も虚しく服を乱暴に破り捨てられる。私は恐怖のどん底の中、声も出せず心の中でこう叫ぶ。『・・・リュウ君!助けて!!』と。すると、なんということでしょう!私の胸を乱暴に弄っていた賊の男の首が無くなっていたではありませんか。そして、辺りを見渡すと他の賊も既に息絶えていてその場に残るのは私とリュウ君の2人。マジで恋する5秒前!!そして、2人はひとつになt」

 

 

 

オレは、まだまだ深みに嵌っていきそうな妄想話を打ち切った。

 

 

 

龍蓮

 

「ちょっと待ったぁ!!・・・朱衣が鮮明に想像しちゃったのか意識をどっかに飛ばしてるし、第一!オレはまだ(精神年齢はともかく)子供だ。未那はショタコンなのか?そうなのか!?」

 

 

未那

 

「違いますよ。私は、正太郎コンプレックスなんかじゃありません♪龍蓮君コンプレックスなんです♪」

 

 

 

なんなんだぁー!!この人ぉ!?

 

 

 

七乃

 

「あの~正太郎って誰ですか?」

 

 

 

そして、疑問をもったのはそこなのか!?

 

 

 

未那

 

「あーその人ですか?それは、鉄j」

 

 

龍蓮

 

「わーった!分かったから。賊50人を倒せばいいんだろ!?よーし行こう!スグ行こう!」

 

 

 

これ以上、この人に話をさせていては不味いと思ったオレは、未那の手を掴んで会議室を後にした、そして引っ張っていっている道中にも『リュウ君、大胆♪』などという戯言も聞こえてきたが全てを右から左に流し目的地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―孫呉に降り立つ者―紀霊√

 

 

 

 

 

 

 

 

ザシュ!

 

 

 

ザシュ!!

 

 

 

ザシュ!!!

 

 

 

龍蓮

 

「任務名、賊70~80規模を殲滅せよ。完了だな。」

 

 

未那

 

「今回も呆気なかったですね~。私としては、もう少し粘ってくれたほうがリュウ君と背中合わせでいれた時間が延びたので嬉しかったかなぁと。」

 

 

龍蓮

 

「はぁ何をおしゃいますか・・・重いんだけど。・・・・・・後は死体を燃やして帰るよ。」

 

 

未那

 

「毎回思うんですけど、何で賊の死体なんか燃やしてあげるんですか?」

 

 

 

と、背中から降りながら(とは言っても、オレの方が身長が低いから地面には足が着いてる状態なんだけれども)聞いてくる。

 

 

 

龍蓮

 

「死体が腐ると、虫が寄ってくる。その虫たちは汚い。そしてその虫たちがオレ達の生活圏に入ってくる。汚いからオレ達は具合が悪くなる。というのを防ぐのと、死体があちこちにあると心情的に悪くなって治安が悪くなる悪循環をなるべく断ち切るためかな?」

 

 

 

ここ最近は、100に満たない規模での賊がちょこちょこと出てきている。それの討伐には、毎回毎回オレと未那とで出撃している。理由としては、兵を犠牲にしたくないというのとそのほうが行軍速度が短く民にも被害が少なく済むというのが表面上のもので、本当は袁術軍の経験値を稼ぐ機会をなくして例え将来的に孫呉と戦うにしても事を楽に進めるための策だ。この提案をした時は、最初こそは渋られたが未那が賛成すると、この案が通った。まぁ、その後に『リュウ君は、なんやかんや言いながらも私と一緒に居たいんですよね♪』と閨まで引っ張り込まれそうになったのは、あまり思い出したくはない思い出だ。

 

 

 

未那

 

「へぇ~相変わらずリュウ君は物知りですね。ですが、賊を火葬したとなると不満に思う人々もいるんじゃないですか?」

 

 

龍蓮

 

「そういう人には、『呪われて病にならないように燃やすことにより霊をこの世から完全に排除した。気持ちはわかるけど、今を生きる人たちの命には代えられないから。』・・・とでも言っておけば、多分納得してくれる。」

 

 

未那

 

「うわ~もしかして、七乃ちゃんよりも腹黒だったんですか?惚れちゃいますねぇ♪」

 

 

 

確かに、人心掌握の面から見て多少の嘘っぽいことは言ったけど、何で惚れるに直結する?怖いもの見たさで一回だけ脳内を観察してみたいよ。

 

 

 

その後、馬の2人乗りで帰還している間は、未那はずっとご機嫌だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―孫呉に降り立つ者―袁術&張勲√

 

 

 

 

 

 

 

 

とある陽気がポカポカと暖かい日。オレと美羽そして七乃さんの3人は、城下町に出ていた。そのはずなのだが・・・

 

 

 

美羽

 

「お義兄様~七乃~何処じゃ~」

 

 

 

1人迷子になっている美羽。その時のオレは、七乃さんと2人で美羽を探していた。

 

 

 

龍蓮

 

「美羽~どこ行った~」

 

 

七乃

 

「美羽様~美羽様~」

 

 

龍蓮

 

「・・・いないな。」

 

 

 

かれこれ30分以上は、2人で探し回っているとは思うんだが・・・

 

 

 

七乃

 

「どうしましょう。美羽様は馬鹿ですから、知らないオジサンにも飴玉をもらってしまうとホイホイついて行かれてしまうかも・・・」

 

 

 

あー確かに。御世話係として色々と教えてきたけど、そういう基本中の基本は流石に教えてなかったからな。ありえる。大いにありえる。

 

 

 

龍蓮

 

「う~ん・・・(こんなことで、警邏隊を出動させるのは袁家の名誉的な意味で不味いと思うし、ましてや兵なんかも絶対ダメだ。・・・そうなると、事態を把握させずに動かせるのは・・・)・・・些か大袈裟な気もするけど、七乃さん!今すぐに動ける細作の数は?」

 

 

七乃

 

「そんなに多くは無いと思いますけど・・・わかりました。任せてください!必ずや、お嬢様を見つけ出してみせます!龍蓮様。」

 

 

 

そう言うと、電光石火の勢いで視界から消え去っていった。七乃さんは、オレが美羽の義兄貴になってからは律儀にも“様”を付けて呼ぶようになった。オレも最初は『何もそこまで・・・』と思ったんだが、彼女が決して譲らなかったので好きなように呼ばせている。

 

 

 

龍蓮

 

「さてと。何もしないよりは探したほうがいい。・・・もう一度探しに行くか。」

 

 

 

そして、美羽が行きそうな場所を虱潰しに回っていった。しかし、いくら探せども見つからない。それに細作からの連絡が逐一来てはいるが、有力な情報が入ってこない。もしや、完全に外に出たか?と捜索範囲を広げようかと考えていると、ふと美羽の声が聞こえたような気がした。慌てて、後ろを振り返ってみてもやはりいない。・・・幻聴だったか。と落胆していると、宿屋の2階から金髪のクルクル頭が一瞬見えた。

 

 

 

龍蓮

 

「あの馬鹿。本当に知らない人について行ってたのか・・・」

 

 

 

オレは、そう一言だけ呟いて駆け出した。

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。