恋姫†無双~大陸に降り立つ者~   作:新名択捉守

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―曹魏に降り立つ者―曹操&夏侯惇&夏侯淵√

 

 

 

 

 

 

 

 

??

 

「あら」

 

 

 

目が覚めると、そこには金髪クルクル美少女がいた。

 

 

 

 

「え・・・君は一体・・・・・・」

 

 

 

テンプレ的な台詞を吐く隆。これが意識的だったにしろ、無意識的だったにしろ、そこは大した重要な点ではないので保留としておく。

 

 

 

曹操

 

「私の名は曹操。陳留の刺史をしている者よ。」

 

 

 

「え、あ・・・うん。君が曹操なんだね。(うわ~本当に女性化してる・・・って言うか、小さっ!)」

 

 

 

などと、意外と何事にも動じていない隆であった。

 

 

 

曹操

 

「えぇ。それで?貴方は何者なのかしら。」

 

 

 

「あ、ごめん。オレは大友隆。さっき会った人の話によると、“天の御使い”っていう奴らしい。」

 

 

曹操

 

「さっき?それは、黄巾を身に付けている賊のことかしら。」

 

 

 

そう聞く曹操の目は自然と強くなる。

 

 

 

 

「違う違う。確か・・・孫仲然とか名乗ってたな。」

 

 

曹操

 

「!!・・・そう。それで?その男を見て、貴方はどう思った?」

 

 

 

「どうって・・・ドッペルゲンガーかと、」

 

 

曹操

 

「どっぺる喧嘩ぁ?」

 

 

 

あ、ドイツ語は通じないのか・・・

 

 

 

 

「えーっと、自分と全く同じ顔の人。だった、という意味で捉えてもらって構わないよ。」

 

 

曹操

 

「あの孫龗が貴方と同じ顔ね・・・まぁ良いわ。信じましょう。春蘭!秋蘭!入りなさい。」

 

 

 

すると、部屋の外から「はっ」と、声の揃った返事と共に2人の女性が入ってきた。

 

 

 

曹操

 

「ところで、自称・天の御使い。貴方の隣に倒れていた賊は、貴方が倒したのかしら?それとも孫龗の方かしら?」

 

 

 

「それはオレだけど。」

 

 

曹操

 

「そう。なら、武の心得は多少なりともあるわけね。他に何かできることはあるかしら?」

 

 

 

「刑法や犯罪心理学とか、民法や訴訟法、あと教育学とかも少しなら。」

 

 

曹操

 

「それはどんな役に立つものなのかしら?」

 

 

 

そう問う曹操の目付きは、試しているようにも感じられる目付きだった。

 

 

 

 

「刑法や民法は生活の秩序を守らせるためのルールとその罰則方法と考えてくれていい。訴訟法は、この時代にはあまり関係ないかな?犯罪心理学は、例えば犯罪の起こりやすい状況とか場所とかを割り出せたりもする。教育学は、主に中学校の社会科を教えれるように・・・って言っても通じないか。んーっと、この時代に合わせた教育方法の1つとして挙げられる例があるとすれば、愛国心教育かな。(あまり好きなやり方ではないだろうけど・・・)いずれ、曹操は魏を建国して、強い国づくりをするならば、教育は大きな武器になる。それはオレの国の先人達が証明済みだ。(暴走した部分もあるけどね。)」

 

 

 

後半の言葉に驚愕する曹操。えーっと・・・『曹操は魏を建国して~』あたりだろうか。

 

 

 

曹操

 

「貴方は、私が“魏”を建国するとどこで知ったのかしら?やはり、天の国かしら。」

 

 

 

「天の国ね・・・まぁ、あながち間違いではないかもしれないけど。ん~今から約1800年後の徐福が行ったとされている場所から来た。とでも言えば良いか?」

 

 

??

 

「徐福・・・?あぁ、あの東方に不死の薬を求めに行ったと言われる・・・」

 

 

 

と、髪の色が水色の方が、口を開く。黒髪の方は全くと言っていいほどに会話についていけていない様に見受けられる。

 

 

 

曹操

 

「紹介が遅れたわね。彼女は夏侯淵。そして、もう1人は夏侯惇。」

 

 

 

「大方そうじゃないかなぁと思ってたよ。曹操の言う“天の国”の知識とやらで。夏侯妙才と夏侯元譲。2人ともすごく有名でね、定軍山の戦いで夏侯e!?ッつ・・・」

 

 

 

急に激しい頭痛と吐き気に襲われ、視界が一気に歪んだ。そして、腰掛けていた寝台に倒れる。その様子に慌て気味になる曹操と夏侯淵。そしてその慌てた様子を見て慌てる夏侯惇。衛生兵を呼ぼうとする夏侯惇を止めながらもう一度、寝台に腰をかけ直した。

 

 

 

 

「どうやら、無闇矢鱈と、未来の規定事項を、話すと、リバウンド、自分自身に、負荷が、掛かるみたいだね。・・・・・・・・・ふぅ。ま、君が覇道を歩む曹操なのであれば、そんな未来を知るという反則じみた手を使うことはないだろうから、大して問題にはならないだろうけど。」

 

 

曹操

 

「そうね、その通りよ。よく分かっているじゃない。それで?貴方はこれからどうしたいのかしら?」

 

 

 

「どう、ねぇ・・・」

 

 

 

よく言ったものだ。大方バレバレなはずだ。オレがこの後、どのような話を持ち出すかなんてことは・・・

 

 

 

 

「“天の御使い”が、陳留の刺史・曹孟徳の元に現れた。それだけ言えば十分だろ?」

 

 

 

その問いにフッと微笑を浮かべ、

 

 

 

曹操

 

「そうね、十分よ。でも、私のもとに降るというからには、ただ飯は許さないわよ。働かざる者食うべからずだわ。」

 

 

 

「分かってる。武の心得も多少なりともあるし・・・まぁ、夏侯惇とかと比べられたら厳しいだろうけど、武将としてもそこそこ出来ると自負している。それに武経七書の内、孫子、呉子、六韜、司馬法なら少々齧ってる。それに“天の知識”を加えれば、一介の軍師も出来るだろう。」

 

 

夏侯淵

 

「ほぅ。意外に芸達者なのだな。」

 

 

 

と、会話に参加し始める夏侯淵。う~ん、作者の考えだと部屋に入ってから一番騒ぎそうな奴が一番静かにしているのは気のせいか・・・

 

 

 

 

「まぁね。家の家系が元武士や大名でね、戦国時代とか兵書とかに興味があったから、小さい頃に良く読んだりしてたんだよ・・・・・・あ、そういえば君達とは自己紹介をしていなかったね。オレは、大友隆。大友でも、隆でも好きなように呼んで。」

 

 

夏侯淵

 

「ん?姓が大。名が友。字が隆か。・・・珍しい名だな。それは天では普通なのか?」

 

 

 

「いや、姓が大友。名が隆だよ。オレの国では、基本的にそういう構成だ。」

 

 

 

そう言うと、納得したような顔をして、

 

 

 

夏侯淵

 

「ふむ、そうだったか。私の名は夏侯淵、字は妙才という。真名は・・・まぁ追々な。よろしく頼む。」

 

 

 

という。だが、しかし、but・・・っていう感じの人物をお忘れではないだろうか。

 

 

 

夏侯惇

 

「貴様などに私の名を預ける義理はなーい!!!」

 

 

 

おぉっ!?初対面の相手に対する第一声がそれかい!っていや、ちょい待て待て。その手にしている物騒なものは一体何だ?・・・いや、モチロン知らないわけではないが、一応な?一応の確認だ。

 

 

 

夏侯惇

 

「私の大剣だが?(殺すw)」

 

 

 

何だ?何だ?何なんだ!?いや待て、この状況は何だ。何でオレが夏侯惇に大剣を突き付けられねばならんのか?待て待て夏侯惇は何て言った。オレを『殺す』・・・Why?何故?

 

 

 

 

「冗談はやめろ!マジ危ないって!!それが本物じゃなかったとしてもビビるって!」

 

 

夏侯惇

 

「表へ出ろ!!」

 

 

 

うむ。ジョークタイムはここまでのようだ。付き合ってくれた皆の衆よ、すまなかったな。こんな“一度やってみたかった”というだけの思い付きに付き合わせてしまって。

 

 

 

夏侯惇

 

「今すぐ叩ききってやる~!!」

 

 

 

「表に出てからじゃなかったのか!?」

 

 

 

などと、悠長にツッコミを入れている暇はない。

 

 

 

 

「夏侯淵!」

 

 

 

そう叫んだだけで、理解したらしく、部屋の外に出されてあった『雷切』と『圧切』が、手渡された。そして、それとほぼ時を同じくして、夏侯惇の振りかざした大剣がオレの脳天に目掛けて降りてくる。

 

 

 

 

「ッつ!?」

 

 

 

危機一髪という言葉で足りるか分からないが、まさにそういう状況だった。しかしまぁ何とか、剣筋を逸らすことは出来たのだが、それもあと2回が限度だろう。

 

そんなことを思っていると、鶴の一声があった。

 

 

 

曹操

 

「春蘭やめなさい!」

 

 

 

「曹操!」

 

 

 

オレは、これほど人間が放つ一言にありがた味を感じたことはなかったね。おかげで、夏侯惇の攻撃もパタリと止まってるし・・・

 

 

 

曹操

 

「やるなら外でなさい。私も見に行くわ。そして勝った方には、何かささやかな褒美も取らせましょう。」

 

 

夏侯惇

 

「はっ!華琳様!!」

 

 

 

と、目をキラキラと輝かせて返事をした。

 

前言撤回。ダメだこりゃ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、勝負の結果は目に見えていた。

 

その様子をダイジェスト風にお送りしても、精神的にも字数的にも何ら問題はないのだが、う~ん何だ。気が向かないというか、まぁ別段面白くもないので、飛ばしたほうが賢明だろう。少なくともオレはそう思う。でも、試合の感想くらいは入れてやってもいい気がする。

 

 

 

 

「死ぬがと思っだぁ~」

 

 

 

以上だ。こらそこ、笑うなよ。魏武さんとマジで殺りあって(※誤字にあらず)生き残っただけでもすごいと思うぞ。いや冗談ではない。何なら一回やってみるか?マジで昇天する5秒前だぞ。

 

 

 

夏侯惇

 

「ふん!口ほどにもない!!・・・・・・華琳様ぁ~わた(以下省略」

 

 

 

などと言っているが、自分の武に自信があるなどとは一切言っていない。それに武力40以上の差があってここまで粘ったことを逆に褒めて貰いたいくらいだ。・・・あ、だからと言って別に褒めてほしいなぁなんてこれっぽっちも思ってなんかないんだが。

 

 

 

 

「1つ思ったことを呟く。」

 

 

夏侯淵

 

「何だ?」

 

 

 

「ここはもしかして、百合百合な雰囲気がムンムンと立ち込めている気がするのだが・・・」

 

 

夏侯淵

 

「ふむ・・・あながち間違いではないな。」

 

 

 

「やっぱりか。」

 

 

 

オレは落ちてくる場所を間違えただろうか?本気で一瞬そう考えた。

 

 

 

夏侯淵

 

「私はこの世界でしか過ごしたことがないから、大したことは言えんが・・・」

 

 

 

そこで、一旦言葉を切る。えーっと、何とかっていう効果を使おうとしているのだろうか?

 

 

 

夏侯淵

 

「・・・慣れれば良いところになるさ。」

 

 

 

「そっか。」

 

 

 

とりあえず、今のオレにはそれ以上の言葉は必要と感じていなかった。正直に言うと、いきなり平行世界だか異世界とやらに飛ばされたのはぶったまげてしまったし、現実世界(※ここでは隆のいた世界のことを指す)に未練がないということもないのだが、まぁなんだ。ようやくこの世界で一生懸命生きていこうか・・・という気分になってきたというだけのことだ。そんなに深い意味はない。

 

 

 

兵士A

 

「曹操様!御寛ぎのところ申し訳ありません!只今、陳留より東にある邑にて義勇軍と黄巾軍が衝突している模様!」

 

 

曹操

 

「そう・・・分かったわ。春蘭!貴方は先遣隊としてすぐに向いなさい。食料は最小限で良いわ。それに隆も副官としてついて行きなさい。私と秋蘭は本陣として準備を整え次第すぐに追いかけるわ。」

 

 

夏侯惇&夏侯淵

 

「「はっ!」」

 

 

 

「りょーかい。」

 

 

 

どうやら、慌ただしい道のりになりそうだ。オレの本心としては、もうちょっと雲を眺めるのが日課・・・みたいな日々の方が好きなんだけどなぁ。

 

 

などと感傷に浸っていると、夏侯惇隊は騎乗し全速力で駆け抜けていた・・・・・・・・・って、おい!

 

 

 

 


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