恋姫†無双~大陸に降り立つ者~ 作:新名択捉守
プロローグ―曹魏に降り立つ者―
とある世界の西暦20XX年。その時空から1人の人間がこの地に舞い降りた。
そんな人物の名は、大友隆(おおともりゅう)。至って普通の日本人だ。
少々、歴史に名を刻んだ英雄達の末裔であることを除いてだ。でもまぁしかし、そんなことは珍しいことでもないから、やはりなんの変哲もない、ただの大学生。という紹介で間違いはないのだろう。
そして、これは一介の大学生である大友隆が、魏の曹操と共に天下を目指す物語・・・
―曹魏に降り立つ者―No√(+孫龗)
隆の現実世界最後の日は、こんな感じだった。
8:00起床→9:00~13:00バイト→15:00~19:00講義→21:00~23:00合コン→23:30~二次会
うむ、大変そうだな。だが、安心せぃ!そんな毎日は今日限りになる。
何故なら・・・何故なら、次に起きたときには荒野が見渡す限りに広がっているのだから・・・・・・
隆
「・・・う?」
今、何か言われたような気が・・・って、気のせいか。流石のオレもあの量のアルコールは厳しかったんだな。明日(今日とも言う)は休みだし、ちょっとくらい朝寝坊しても平気だろ・・・・・・
??
「おっアニキ!何か人が倒れてやすぜ!」
アニキ
「ん?何か珍しい格好に珍しいモン持ってるじゃねーか。」
・・・気配が近づいてくる。オレは今、一人暮らしだ。そして勝手に部屋に入ってくるような常識を知らない友達はいないはずだから・・・
隆は本能的にそう感じ取った。そして何故か実家に置いてあるはずの物が手元にあるという疑問には気づかずに目を瞑ったまま、敵(仮)との距離を感じ取り、寝た状態からも飛び込める間合いに入った瞬間!
??
「グハッ!?」
峰打ちによって、ちっこいのが倒れた。・・・って、え!?
隆
「なんじゃこりゃーーーーーーーーーー」
あ、デブも大地を揺らしながら倒れた。それは良いとして、何で荒野なんだ?
アニキ
「クソッ!おいテメェら起きろ!!」
そう言って思いっきり横腹に蹴りを入れられて起きるチビとデブ。
隆
「えーっと、ここは何処だ?そして、お前達は何者だ?」
チビ
「コイツ完全に頭イってやすぜ。」
シャキン!!
隆
「さっきの会話から考えて、時代遅れの追い剥ぎか何かと思うけど、強盗は刑法236条で5年以上の懲役だ。でもまぁ未遂だから243条が適用されるか?」
そうブツブツと呟きながら雷切の方をデブに向ける。しかし・・・
チビ
「ダメだアニキ。救いようのねぇアホだ。」
アニキ
「問題はねぇ。3人がかりでやっちまえ!!」
青竜刀を振りかざし、隆に襲いかかる3人。そして尚、ブツブツと今の状況を解説しながら自分の立たされている状況を把握しようとしている隆。
シャインッ!!
上手く刃を受け流す。
隆
「その刀も本物か。銃刀法違反・・・正式には銃砲刀剣類所持等取締法違反だけど。」
何故か刀を持った3人組に襲われているのにも関わらず、冷静な隆。・・・お前の持っている日本刀はどうなるんだよ!?と、ツッコミを入れたい。
このままでは、マズイと思ったのか3人の攻撃が勢いを増す。その間にも「ここは何処だ?」とか「今は西暦何年?」とか矢継ぎ早に質問を投げかけてはいるが、会話にはなっていなかった。
少々時間が巻き戻って、別視点
??
「龍蓮様、星が!流星が!!」
そう指さされた空に、望遠鏡を向ける。
龍蓮
「いや・・・・・・・・・ありゃ、人だ。」
??
「ほぅ。そう言えば・・・確か管輅とか言う占い師が『黒天を 切り裂き、天より飛来する一筋の流星。その流星は天の御遣いを乗せ、乱世を鎮静す』という予言が巷で出回っているとか・・・」
龍蓮
「そうなのか?」
??
「はい。」
??
「そうなのですよー」
意外と世間話に疎いことを晒せてしまっている気もするが、そこには触れないであげて!!
龍蓮
「それじゃ、星はオレと来て。流琉は風と奉孝をここで守ってあげて。」
星
「承知した。」
流琉
「了解です!」
郭嘉
「はい。」
宝譿
「おぅおぅ兄ちゃん!俺達は置いてきぼりかよ!」
風
「こらこら宝譿。そんな言葉遣いは駄目なのですよー」
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??
「流れ星?不吉ね・・・」
そう1人の者が呟く。
??
「華琳様!出立の準備が整いました!」
??
「華琳様?どうかなさいましたか?」
左右から人が出てくる。それに対して、
華琳
「今、流星が見えたのよ。」
??
「流れ星、ですか?こんな昼間に。」
??
「あまり吉兆とは思えませんね。出立を伸ばしましょうか?」
そんな提案も、
華琳
「吉と取るか凶と取るかは己次第でしょう。予定通り出立するわ。」
??
「承知いたしました。」
??
「総員、騎乗!騎乗っ!」
華琳
「無知な悪党どもに奪われた貴重な遺産、何としても取り戻すわよ!・・・・・・出撃!」
そして出逢ってしまった。天子と覇王が交差するとき、物語は始まる!
隆
「話通じてる?」
アニキ&チビ&デブ
「「「ハァハァハァ・・・」」」
隆
「ダメだこりゃ。死兵になられても困るから、とりあえずは気絶しといてもらうしかないか・・・」
血って恐ろしいね。実践は初めてなのに、こうも動じずに気を失わせるとか・・・怖いわ~
とか何とか、作者が思っていると、隆を挟み込むようにして左右から砂塵が近づいてきた。
隆
「右からは・・・2人。左からは騎馬隊に[曹][夏侯][夏侯]の牙旗か。・・・・・・もの凄いスケールのハリウッド映画でもない限り、これはどう見ても、オレが見ている夢か、若しくは過去にタイムスリップをして迷い込んだか・・・だな。」
しかし無情にも、さっき峰打ちで打った感触は本物だったし、ベタに頬っぺたを引っ張ってみても痛かった。
隆
「[曹]は、恐らく人材マニアで有名な曹孟徳だろ?だから自分が有能だということを示せれば殺されることはないはず・・・・・・となると残りの2つの[夏侯]は夏侯惇と夏侯淵が有力か・・・。そして、2人の方は謎だけど・・・まぁ、賊程度の相手なら負けはしないか。」
残念ながら、その謎の2人の方はどちらも超一流の武人です。
??
「お~い!そこの御人!無事か!?」
すると謎の2人組の方の1人が遠くから大声で声をかけてきた。それに対して、左に持っていた圧切を振って無事の意を示した。
??
「龍蓮様。天の御使いらしき御人は大丈夫そうです。」
龍蓮
「御使いの後方には官軍がいる。星は一旦、流琉達のところまで戻って待機。御使いはオレが見てくる。」
龍蓮は望遠鏡を覗きながら指示を出す。
星
「御意。」
そして、星が居なくなったときを見計らって・・・
龍蓮
「・・・面倒なことになったな。」
と、ひとり小言を漏らした。
隆
「あれ・・・1人帰っていったぞ?もう1人の方は歩くスピード上げてきてるし・・・って、え!?」
龍蓮
「まず、時間がないから疑問に思っていることを全部説明するから、整理は後でやってくれよ?」
まるで隆の表情は、自分のドッペルゲンガーでも見たような表情になっている。作者に絵の才能があったら、龍蓮の視点から見える隆のおもしろ表情を描いてみたいところだが、残念ながら絵の才能は皆無なので今回は勘弁してもらいたい。
龍蓮
「オレとお前は、平行世界の同一人物だ。こっちの言葉で説明させてもらうと、“異世界同位体”っていうやつだ。で、今のオレは“孫家の長男・孫仲然”。そしてお前は“天の御使い・大友隆”だ。とりあえず簡単にこの世界のことを教えておくと、有名な武将達の殆どは女性化している。そして、今こちらに騎馬隊を率いて近づいてきている曹操も勿論のことながら、女性化している。それから、この世界で重要な文化は、“真名”と呼ばれる習慣だ。“真名”とは、本人が心を許した証として呼ぶことを許した名前であり、本人の許可無く“真名”で呼びかけることは、問答無用で斬られても文句は言えないほどの失礼に当たるものだから、注意するように。・・・おっと、これ以上は曹操に見つかるかもしれないな。
(心覚(※後に説明)。最初の『オレとお前は、平行世界の同一人物だ。こっちの言葉で説明させてもらうと、“異世界同位体”っていうやつだ。』っていう部分の記憶を消去させて置いてくれ。ついでに気絶もさせておいてくれると、今後の展開が書きやすいから更にグッドだ。・・・正直あれを話した意味って、読者様に向けてだったからさ。)
・・・という訳で、またいつか。」
そう言って、来た方向に急いで帰っていった。それと行き違いになる形で、曹操がやってきた。その時には、隆は既に気絶している。(・・・っていうか龍蓮。頼むから作者の都合はバラさないで><)
夏侯淵
「此奴でしょうか?着ている服も持っている得物も大陸のものではありません。」
曹操
「恐らくは・・・まぁ良いわ。春蘭!コイツを縄で縛って馬に乗せなさい。連れて帰るわよ。その者の話は起きてからじっくりと話を聞きましょう。あと、近くに倒れている黄巾賊も連行しなさい。」