イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

96 / 157
第90話 混沌の邪龍

 

 

八幡side

 

 

 

八幡「·······さて、俺もやるか」

 

 

邪龍、『大罪の暴龍(クライム・フォース・ドラゴン)』グレンデルを前にして、亜空間からエクスカリバーを取り出し、『塵外刀(じんがいとう)真打(しんうち)』の型式を『揚羽(あげは)』に変えた。

 

グレンデル「あ? 聖剣か?······いいぜぇ。そうこなくっちゃ面白くねぇ。もう一本の方も形と色が変わりやがった。いいぜ······面白そうじゃねえかっ!!」

 

悪意に満ちたオーラを垂れ流しながらグレンデルが叫ぶ。面倒な奴だ。クロウから聞いたことはあったな、戦闘狂のイカれた野郎だとか。その時は、戦闘好きなあいつが言うんだから相当な奴だとは思ったが俺の予想を上回っているようだ。

 

·······しかも、それで聖杯で強化されていると来た。こっちとしては早くギャスパー達の方に向かいたいが、こいつ確実に邪魔するだろ。ギャスパーと黒歌なら、一対一でも流石に倒せるとは思うが、状況が状況だからな。

 

ここで消し飛ばす······いや、復活されても面倒なだけだから封印するか。邪龍を封印するのは二度目だが······殺すと封印出来ないからなぁ······

 

 

八幡「······『黒丸(こくがん)』」

 

俺の周囲に、鉄粉で形成された漆黒の球体が現れる。数は30だ。俺の意思で動かすことも出来るし、自動で動くことも出来る。

 

八幡「行け······!!」

 

俺の周囲に浮遊している『黒丸』は高速でグレンデルに向かっていく。

俺も数拍遅れて突っ込む。

 

グレンデル「マジかよっ!! 黒いのが勝手に動くのかよっ!! いいぜこいやぁっ!!」

 

グレンデルは拳を握り締めて突っ込んでくる。

 

こいつは直接的な攻撃力と防御力に特化していると聞く。()()()()()ダメージが通らないだろう。

 

『黒丸』の形状を円錐形に変化させ、グレンデルの腕に突き刺す。が、突き刺さったものの貫通はしなかった。

 

グレンデル「いってぇなっ!!」

 

グレンデルは突き刺さった黒丸を強引に振り払うと、黒丸を殴りつけた。威力に耐え切れなくなり、黒丸の一つが形状を維持出来なくなって鉄粉に戻って地面に落ちた。

 

······ここまで強化されてるとはな。前回邪龍を封印した時は、そいつが黒丸殴っても逆に殴った奴がダメージ食らったぐらいの頑丈さを誇ったんだが······

 

グレンデルが繰り出してきた拳を軽く躱して、『塵外刀真打』で斬りつける。

 

グレンデル「ぐあっ······!! いいなっ!! それ中々の斬れ味じゃねえかっ!! やっぱこうでねえとなっ!!」

 

腕を深く斬りつけることは出来たが、切り落とせは出来なかった。手加減しているとはいえ、中々の硬さだ。

 

八幡「こっちとしては切り落とすつもりだったんだがな」

 

エクスカリバーを『擬態(ミミック)』の能力で鞭に変化させ、振り上げる。

 

 

 

······腕は軽々切り落とせたが、マジで硬いな。純粋な防御力ならティアくらいあるんじゃないか? 攻撃力ならティアの圧勝だが。

 

グレンデル「グハハハハハッ!! マジ痛えなっ!!」

 

肩口から切り落としたため、そこからは青い血と煙が大量に出続けてんだが、それでも笑ってられんのか。

 

 

·······型式『揚羽』を解除し、塵外刀真打を亜空間に仕舞う。エクスカリバー一本の方が楽だと判断した。

 

グレンデル「······なんだぁ? そのおもしれぇ剣は使わねえのかよ」

 

左手に持っていたエクスカリバーを右手に持ち替えて言う。

 

八幡「······まぁな。お前相手ならこれ一本の方が楽なんだよ」

 

手元でエクスカリバーを遊ばせながら言う。

 

 

その時、この空間に繋がる階段から複数の人物が下りて来た。

 

八幡「······なんだアザゼル達か。今忙しいんだから後にしろ」

 

階段から下りて来たのは、アザゼルとギャスパー以外のオカ研部員だった。

 

······てか、この状況下で歩いて階段下りてくるとか嘗めてんのか。俺達は壁も走ったぐらいなんだが。

 

アザゼル「······そんなこと言ってる場合か!?······いや、それよりアイツは······グレンデルかっ······!!」

 

なんだ、アザゼルはこの邪龍(トカゲ)······邪龍(じゃりゅう)に会ったことがあるのか。まぁアザゼル単騎じゃグレンデルを倒すのは無理だな。他は言わずもがな。いてもいなくても変わらんな。

 

八幡「······まぁそんなことはいい。ギャスパーと黒歌は先行させた。何かする気あんならお前ギャスパーに聖杯の知識貸してくれないか?」

 

ここにいるよりはマシだろうし······お袋の封印の解除で得た情報が全てとも限らんからな。神器(セイクリッド・ギア)の方の聖杯は殆どいじったことないし。

 

アザゼル「ああ、それぐらいならもちろん構わんが······」

 

アザゼルはグレンデルを見ながら言う。

 

八幡「んなら頼むわ」

 

 

アザゼル「ああ、分かった······お前達、この場は八幡に任せて先に急ぐぞ」

 

アザゼルがオカ研の部員を見ながら言う。が、何人かが反論した。

 

小猫「······でも、比企谷先輩一人で邪龍を相手にするなんて······」

 

まず塔城が。次にイッセーが。

 

イッセー「そうっすよ!! アイツ見るからにヤバそうじゃないすか!!」

 

えぇ·······早く先行ってくれよ·······いたら庇いながら戦う必要が出て来るじゃねえか······

 

アザゼル「いや何言ってんだイッセー。俺から見たらグレンデルより八幡の方が遥かにヤバいぞ」

 

八幡「それはどういう意味だ」

 

こんな戦闘狂よりヤバいわけないだろ·······ないよね?

 

アザゼル「強さ的な意味だよ。おいイッセー、八幡は俺達とは別次元の強さだぞ。仮に俺やお前が加わったって邪魔になるだけだ」

 

リアス「ちょっとアザゼル!! その言い方は───」

 

リアス・グレモリーが何か言おうとしたが遮りつつ言う。

 

八幡「そういうわけだ。邪魔だからとっとと行け」

 

下りてきた階段とは逆側にある、更に下の空間に続く階段を指差す。

 

グレンデル「·······んで、話し合いは終わったのかよ『堕天魔』」

 

未だに右肩口から煙を上げ続けているグレンデルが訊いてくる。

 

八幡「·······まぁな。じゃあやろうか······と、言いたいところだがそうも言えなくてな······おいアザゼル、早く行け。邪魔だ」

 

人の視線に敏感な俺が恥ずかしいことに今頃気付いたのだが······()()()()()()()()()。こいつをじわじわ弱らせながら封印するのは無理そうだ。俺封印得意ではないんだが······

 

アザゼル「·······あぁ、分かった。行くぞお前達」

 

アザゼルが他を連れて先に向かった。どの道、アザゼル達に残られても邪魔になるし、アザゼル達に任せるとグレンデルを討伐も出来ずに逃がすか全滅かのどちらかだからな。結局こうなるんだが。

 

 

グレンデルは俺達の横を通り過ぎて行くアザゼル達に興味を持たなかったのか、一切見もしなかった。まぁ自分より弱い奴に興味持ちそうにないからなこいつ。

 

グレンデル「グハハハハハッ!! 邪魔が入ったが続けられんだろ? とっとと始めようぜっ!!」

 

そう言いながらグレンデルは突っ込んでくる。そして残った左腕を引いてパンチのモーションを取る。そして突き出した。

 

八幡「悪いが、ここまでだ」

 

エクスカリバーのオーラを放出させて振り下ろす。放たれた聖なるオーラは突き出されたグレンデルの左腕を軽く消し飛ばし、グレンデルの体を焦がしていく。

 

グレンデル「ガ····グ、グアァァァァアアアッ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

俺がエクスカリバーから聖なるオーラを発し終えると、そこには見るも無惨(やったの俺だが)に倒れ付したグレンデルがいた。

 

グレンデル「······ガ·······ァ·······」

 

よし、生きてるな。

 

 

俺は亜空間からなんの変哲もない一振りの日本刀を取り出す。これは半年くらい前まで使っていた奴で、俺の力に耐えれなくてすぐにボロボロになっていたが、夏に冥界に戻った時に鍛え直したのだ。

 

それ以降は使う機会がなかったのだが、他に封印に使う物を用意出来なかったので、グレンデルはこれに封印する。

 

 

俺は日本刀を転がっているグレンデルの体に突き刺した。

 

八幡「·······滅びし魂よ。常闇(とこやみ)閃耀(せんよう)の狭間に眠れ」

 

俺が呪文を唱えた刹那······グレンデルの体が刀に吸い込まれていく。

 

グレンデル「······てめぇ······いった、い···何、を······」

 

 

最後にグレンデルが何か言った気がするが、声が小さくすぎて聞こえなかった。

 

 

八幡「······ふぅ、封印完了」

 

やっぱ結構精神的にくるものがあるな·······封印術は。

 

グレンデルが封印された刀は、グレンデルのオーラの影響か、刃紋から刃の部分が深い緑色に変化し、刃紋から峰側が黒く染まった。

 

······『鬼呪装備(きじゅそうび)』みたいだな。あれはもっと綺麗な色をしているが。

 

取り敢えず、グレンデルを封印した刀に『魔の鎖(グレイプニル)』を巻き付けて、亜空間に仕舞っておいた。本格的な処理は後でいいだろう。

 

 

八幡「······さて、そろそろ出て来い」

 

俺は上の階に繋がる階段側を横目で見ながら言う。先程から妙な視線を感じていたが、こちらに若干の敵意を抱いていた。普段ならそれぐらいは別に気にしないが、ここはテロリストがトップに立っている国だ。何があるか分からんからな。

 

 

俺が言った直後、黒い祭服を着た褐色の肌の青年が階段から下りてきた。

 

「······どうやら、グレンデルは敗北したのだな」

 

八幡「······誰だ」

 

褐色の肌の青年は先程までグレンデルが倒れ付していた所を見つめながら言う。

 

 

 

·······こいつやばいな。グレンデルなんか比較出来ない程に。感じ取れるオーラは静かなものだが、ドラゴンのものだ。それも邪龍のオーラ。

こいつも『クリフォト』の協力者ではあるんだろうが······俺が生まれる前に滅ぼされたのか?

 

 

 

 

「······そうだった。貴公には自己紹介をしていなかった。私はアポプス」

 

八幡「何っ······!!?」

 

あ、アポプスだと······!!!!?

 

クロウに並ぶ邪龍筆頭格がテロリストに降ったのか······!!!!?

 

アポプス「『原初なる晦冥龍(エクリプス・ドラゴン)』アポプスだ。お見知り置きを、『堕天魔』」

 

 

 

八幡sideout

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。