イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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ホムンクルスベビー足りねぇ······


最近中々書けない。時間足りないし寝落ちするし寝落ちするし寝落ちするし······作者寝過ぎだわ。

連休中にもう一話出したかった······頑張って木曜までにもう一話書きます。(投稿出来るとは言ってない)




第88話 踏みにじられた想い

 

 

 

 

八幡「よ、ギャスパー」

 

ギャスパー「あ、お父様とお母様も呼ばれてたんですね」

 

ヴァレリーから呼ばれて、この城に来てから最初に訪れた部屋に入ると、お父様とお母様がいた。2人もどうやら呼ばれていたらしい。

 

 

クルル「2人とも呼ばれてたわね」

 

お父様とお母様はヴァレリーと話していたようで、お茶会のような雰囲気でお兄様やお母様も穏やかな雰囲気だ。

 

ギャスパー「はい」

 

と、お父様とお兄様が何やら温かい目で僕を見ていることに気付いた。

 

この目は······黒歌さんと出掛ける時に必ず向けられる視線だ。むず痒い······というか、穏やかな雰囲気じゃなくてこの視線を勘違いしただけか······

 

クルル「悪いわねギャスパー。話が盛り上がって喋ってしまったわ」

 

ギャスパー「何をですか?」

 

喋った? 2人とも口は硬いから大事なことは話さないと思うけど······

 

そこで、ヴァレリーが手を合わせて、笑顔で言った。

 

ヴァレリー「あ、そうそう、聞いたわギャスパー。そこの方······黒歌さんでしたっけ? とお付き合いされているとか」

 

ギャスパー「はい!?」

 

黒歌「!?」

 

何故それを!?······って、これを喋ったのか。だから温かい目で見てたのか······一番恥ずかしいんですけどお父様お母様······

 

ヴァレリー「昔は泣き虫だったギャスパーが立派になって······私も嬉しいわ」

 

ギャスパー「う、うん、ありがとうヴァレリー······」

 

姉的存在のヴァレリーにそんなことを屈託のない笑顔で言われると、恥ずかしい······黒歌さんは笑顔で抱き着いてくるから尚更恥ずかしいし······悪い気はしないけど。寧ろ嬉しい。

 

黒歌「ギャスパーが泣き虫······想像出来ないにゃ」

 

黒歌さんは難しい顔をして言っている。別に想像出来なくても······

 

八幡「ま、黒歌が来たのはギャスパーが来てから更に一年経ってからだからな。無理もない」

 

うんうん頷いているお父様。ま、まぁ、引き取られたばかりの時は偶に泣きはしたと思うけど······

 

クルル「······懐かしいわねぇ」

 

カップに軽く口を付けてお母様は言う。

 

 

 

会話が弾んで少し経ってから、ヴァレリーがふと言った。

 

ヴァレリー「······でも良かったわ。あの時一緒に行けなくて、ギャスパーのことはずっと心配していたの。今はいい人達に恵まれたのね」

 

ヴァレリーは僕の頬をそっと撫でた。懐かしい感覚に思わず目を細めた。

 

ギャスパー「ヴァレリー······うん。お父様もお母様も優しいし、お兄様は勉強教えてくれるし、黒歌さんはいつも一緒にいてくれるし······これ以上ないくらい僕は今、恵まれてるよ。ヴァレリーも日本に来れたら······」

 

そこで言葉がつかえた。言うことは簡単だけど、成すことは簡単ではない。もし僕が失敗したら······いや、今まで力を付けてきたんだ。絶対に成功させる。

 

そこで、ヴァレリーは再び手を合わせて笑顔になった。

 

ヴァレリー「そうですわ。お兄様が仰っておられたのですけど······私、どうやら日本に行けるらしいんですよ!!」

 

「「「「!!?」」」」

 

僕達は目を見開いて驚いた。

 

ギャスパー「本当!?」

 

ヴァレリーが日本に来れる······!!

 

 

 

だが、ここで気付いた。

 

······でも、何で突然そんなことになった······? ヴァレリーの要求が通った? いや、ヴァレリーは女王だ。例え傀儡政権だとしても、この早さでトップを退任させたりする筈がない。

 

僕達の要求を呑んだ? いや、僕達はあくまで客分で、ヴァレリーは女王だ。すんなり呑む必要はない筈。

 

そもそも、何で僕達はすんなりここに通されたんだ······? 自分達の敵が接触した相手を客として招き入れるなんて危険極まりないだろう。まさか、テロリスト側と裏で繋がっている『クリフォト』は、僕達を一網打尽にする気なのか······!?

 

それ以前に、『幽世の聖杯(セフィロト・グラール)』の所有者でありヴァレリーを手の届かない所に行くのを何故許可する······? まさかヴァレリーの聖杯を······!!?

 

 

ヴァレリー「······ギャスパー!! 私、日本に行ったら、皆さんと一緒にピクニックに行きたいわ。お日様の下でピクニックなんて夢みたい」

 

ヴァレリーはこちらの変化に気付かなかったのか、楽しそうに語る。

 

ギャスパー「そうだね······僕が何処にでも連れてってあげるから······」

 

ヴァレリー「本当!? それに、お買い物もしてみたいし、美味しい物もいっぱい食べてみたいわ。あ、ルーマニアの料理が美味しくないってわけじゃないのよ? ただ、日本には美味しい物がいっぱいあるって聞いたから」

 

ヴァレリーは笑顔で、更に続ける。それは、とても聖杯に精神を侵されている者とは思えないほどに綺麗な笑顔だ。

 

これだけ見ていたら、世間に疎い女の子にしか見えない。

 

ギャスパー「うん······日本にはここよりも美味しい物がたくさんあるよ」

 

何とか言葉に出して続ける。

 

ヴァレリー「夢みたいだわ······」

 

夢······城から出たことのなかったヴァレリーにとっては確かにそうなのかもしれない。

 

だが、ヴァレリーにとっては最悪なことが、ヴァレリー本人の口から語られた。

 

ヴァレリー「······それもこれも、お兄様が『解放』してくれると約束してくれといただいたお陰ね」

 

「「「「······ッ!!」」」」

 

僕達は再び目を見開いた。

 

 

 

 

······『解放』? ヴァレリーを? いや、あの男がそう簡単に聖杯を手放す訳がない。

 

 

やはりヴァレリーの聖杯を抜き取る気か······!!

 

ギャスパー「······ヴァレリー。それ本当?」

自分の憤りが限界を超えたことを感じた。

 

ヴァレリー「ええ······ギャスパー? どうかしたの?」

 

ヴァレリーが不安そうに見つめてくる。

 

ギャスパー「······あ、うん、何でもないよ。良かったねヴァレリー」

 

限界を超えた憤りを堪えながら返した。

 

 

 

······奴は絶対に殺す。後悔する間もなく、絶望と恐怖の底に叩き落として殺す。

 

自分の心が何処までも冷えていくのを感じた。

 

 

 

そして、その状態のままお茶会は終了する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クルル「······ギャスパー、大丈夫かしら?」

 

退室して、廊下を歩いているとお母様が訊いてくる。これ昨日黒歌さんにも言われた······

 

ギャスパー「······何とか。怒りが3周回って今冷静ですから」

 

どこをどう巡った結果かは自分でも分かっているか怪しいが、今は冷静だった。

 

クルル「······そう」

 

お母様は目を細めただけで口を閉じた。

 

その後、お母様は黒歌さんに何か耳元で囁いていた。また、お父様は自分用の亜空間に手を突っ込んで、何か作業しているようだった。

 

黒歌さんはお母様から何か囁かれた後、頷いた。

 

八幡「······ギャスパー。動けるようにしとけよ」

 

お父様が僕の頭に手を置きながら言う。僕が分かってます、と言うとそのままワシャワシャしながら続ける。

 

八幡「ならいい。時間がない以上─────ッ!!」

 

お父様が話していた時、突如目を開けていられないほど強い光が窓から射し込んだ。

 

僕達は慌てて窓から外の様子を伺った。

 

クルル「これは······!!」

 

お母様が息を呑んだのが分かった。城を覆うように、超巨大な光の壁が発生していた。

 

これは······神器(セイグリッド・ギア)摘出の術式!! 堕天使が使っている物にかなり手が加えられているようだが、間違いない!!

 

八幡「······悪いギャスパー、訂正する。今すぐ動くぞ」

 

ギャスパー「······はい!!」

 

八幡「黒歌はこのまま俺とギャスパーと一緒に行くぞ」

 

黒歌「了解にゃ」

 

八幡「クルルは潜伏中のヴァーリ達に連絡を取ってくれ。その後は俺達と合流」

 

クルル「分かったわ」

 

お母様はすぐに連絡用の魔法陣を展開して、外にいるお兄様やクロウさん達に連絡を取り始めた。

八幡「ギャスパー、正念場だ。覚悟を決めとけよ」

 

ギャスパー「分かってますよお父様······覚悟なら最初から決まってます」

 

 

······最初から覚悟は出来ている。もちろん、命を賭ける覚悟ではない。それではヴァレリーを助けられたとしても、ヴァレリーが一人になってしまう。それは本末転倒でしかない。

 

ヴァレリーを無事助けて全員無事に帰る覚悟だ。それ以外の覚悟は、無謀、或いは蛮勇でしかない。

 

 

 

 

八幡「······ならよし。行くぞ」

 

僕とお父様と黒歌さんは、地下の最下層にある祭儀場に全速で向かった。

 

 

 

ギャスパーsideout

 

 


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