イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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昨日の倍の時間掛かってこれかよ······と思わざるを得ない酷い出来になってしまいました。お気を付け下さい。



第85話 夜明け前の決意

 

 

 

 

 

 

 

 

裕斗side

 

 

 

イッセー「······っはぁ!! な、なんだったんだ······?」

 

イッセー君がそう言ったことで、やっと全員がギャスパー君と小猫ちゃんの姉の黒歌さんの殺気から解放された。

 

······あの殺気は誰でも分かるほど強烈なものだった。恥ずかしながら、僕は殺気に怯えて解放されるのを待つことしか出来なかった。ギャスパー君達の会話は朧気にしか覚えていない。あのローブを纏った2人組は結局誰だったんだろうか。

 

リアス「······ギャスパーに何があったのかしら······?」

 

小猫「······今気付きましたが、私達ギャー君のこと殆ど知りませんでした」

 

部長と小猫ちゃんが言って、初めて僕達は彼のことを殆ど知らないことに気付いた。僕達は実際に言われるまでは、ギャスパー君の家族を一人も知らなかった。彼の両親がそうさせていた可能性もなくはないが······

 

イッセー「先生はあの2人組が誰か知ってますか?」

 

壁に寄りかかるアザゼル先生にイッセー君が尋ねる。先生は、最後に2人組の片方に何やら話し掛けていたが······

 

アザゼル「······あぁ、知ってる。

 

───────『リゼウィム』。若いリアスでも親からこの名を聞いたことはあるだろう? グレモリーであれば知らなければならんだろう」

リゼウィム······? あの2人組のどちらかの名前だろう。そう言えば、以前八幡君がそのような名前を言っていたような気もするが······

 

リアス「······ッ!?······ウソ······でしょう?」

 

名前を聞いた瞬間、部長の声が震え出す。それほどの人物であるということなのだろうか······?

 

アザゼル「······アイツのクソみたいな顔は忘れたくても無理だな。奴はリゼウィム・リヴァン・ルシファー。前ルシファーと『リリス』の間に生まれた息子。聖書に『リリン』と記載された男だ」

 

ルシファーだって······!? いや、ルシファーと名乗っていたのはサーゼクス様と白龍皇ヴァーリだ。サーゼクス様は役職として名乗っているから、おそらくヴァーリの関係者なのだろう。

 

ただ、ギャスパー君と黒歌さんは何故あそこまで激しい殺意をもっていたのだろうか······?

 

アザゼル「そして、歴代最強の白龍皇とすら称されるヴァーリの実の祖父だ」

 

ヴァーリの実の祖父······!! では、八幡君はどうなるんだ? ヴァーリは八幡君を父さんと呼んでいたが、彼は堕天使ルシフェルの息子の筈······

 

裕斗「なら、ヴァーリは何故八幡君とクルルさんを······? 今の話が本当なら、ヴァーリは少なくとも八幡君とは血の繋がりがないことになります」

 

アザゼル「······そうだ。最近になって聞いた話だが、ヴァーリは八幡とクルルの養子らしい。ヴァーリだけでなく、ギャスパーもだ」

 

養子······ギャスパー君もか······ならば納得出来る。

 

ロスヴァイセ「ですが、何故2人が養子になる必要があるのですか? 言い方は悪いかもしれませんが、ルシファーとヴラディなら両方とも名家ですし養子になるようなことは······」

 

今度はロスヴァイセさんが訊く。

 

アザゼル「ギャスパーについては詳しくは知らんが······奴は自分の息子、つまりヴァーリの父親に、『ヴァーリを迫害しろ』と命じたんだよ」

 

「「「「「「······!!?」」」」」」

 

先生の言ったことに、全員が驚く。

 

ローブの男性は、ヴァーリ······つまり自分の孫を虐げるように言ったということか·······?

 

アザゼル「······その後、白龍皇の目覚めを察知した八幡が保護して養子に迎えたらしい」

リアス「そんなッ······!?」

 

 

 

マリウス・ツェペシュ。リゼウィム・リヴァン・ルシファー。

 

僕達の知らない所で、敵は動いていた。

 

 

 

裕斗sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡side

 

 

カーミラとの謁見を終えた俺とクルルは、カーミラが用意した車でツェペシュの城に向かっていた。

 

クルル「······カーミラ側は思ったよりは真面な対応だったわね」

 

八幡「······そうだな。これで後はヴァレリーを連れ帰れればいいんだが······」

 

その時、ツェペシュの城から強烈な殺気を感じ取った。

 

この殺気は······ギャスパーとギャスパーには劣るが黒歌のものか。

 

クルル「······そうはいかないわよね」

 

八幡「······急ぐぞ」

 

 

俺は車のギアを変え、ツェペシュの城に車を走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八幡「そうか······リゼウィム(あのゴミ屑)は既にこの国に根付いてやがったか······」

 

ツェペシュの城に着くと、何故かギャスパーと黒歌が城の玄関に寄りかかっていたため、話を聞いた。

 

クルル「マズイわね······奴が既にこの国にいるとなると、ヴァレリーの身が危ないわ。『幽世の聖杯』に目を付けていないわけがない。あまり時間がないわね······」

 

ギャスパー「分かってます。でも·······」

 

そこまで言うと、ギャスパーは口を噤んだ。何かあったのか?

 

ギャスパー「······ヴァレリーはもう壊れてました。きっと、聖杯を使いすぎたんです」

 

··················!! マジでヤバいな······聖杯の乱用は、到底普通の奴が耐えられるものなどではない。何に使っているのか分からんが、早いとこ止めさせて聖杯に凍結処理を施さないと本当に間に合わなくなる。

 

 

 

···········なにせ、聖杯の乱用の先に待つのは魂の崩壊だからな······

 

 

 

ギャスパー「······お父様はヴァレリーを元に戻すことは出来ますか? 神器(セイクリッド・ギア)ならお父様が······」

 

ギャスパーが怒りを堪えながら聞いてくる。それはヴァレリーを利用してきた者達への怒りであり、今まで何もしてこなかった自分への怒りでもある。

 

八幡「······保証は出来ない。俺にとってもこの『権能』は謎が多い。ヴァーリの『白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)』に調整をするくらいなら何とでもなるが、所有者の精神療養は専門外だ。すまん」

お袋が掛けた封印が解けたことによって扱えるようになった神器に干渉する『権能』。お袋が生前神から与えられていたものであり、生後間もない俺に移植して封印していたものだ。

 

だが、元々は神の権能だったために無闇矢鱈に使うわけにもいかず、お袋が必要最低限のことしか言わないため、扱いに四苦八苦している。神器の調整やら封印くらいなら何とかなるんだが······寧ろ封印前より扱いにくさが増したほどだ。

 

 

ギャスパー「謝らないで下さいお父様······僕が今まで何もしてこなかったのが悪いんですから······」

 

ギャスパーが目を伏せる。これはギャスパーから話を聞かなかった俺のせいか······? もっと強硬手段に出ていれば、ここまで酷い事態にはならなかった筈だ······

 

黒歌「それは違うにゃ。ギャスパーが何もしてこなかったんじゃない、精一杯やって来たにゃ。だから、ここでしっかりヴァレリーを救うの」

 

ギャスパー「そう、だね······ありがとう黒歌さん」

 

黒歌のお陰でギャスパーは決心がついたらしい。黒歌がいてくれて良かったな······おそらく、これからのギャスパーに最も必要なのは黒歌だろう。

 

 

 

クルル「······未だ行方不明のフェリアのことも気掛かりだわ」

 

クルルが溢す。

 

 

フェリア······フェリア・ダンタリオン。こちらを裏切ったディオドラの『女王(クイーン)』であり婚約者。婚約自体は両家の親同士が決めたものらしいが、2人の仲はかなり良好だった。

 

ギャスパー曰く、ディオドラの様子はかなりおかしかったらしいが······ギャスパーに攻撃した時涙を流して謝り続けたらしい。ギャスパーに攻撃したことは許すつもりはないが、2人に何かあったことは明らかだ。

 

 

黒歌「······例え何かがあったとしても、ディオドラは許せないにゃ」

 

黒歌の目が強い光を発しているように感じる。まぁそれだけの想いでギャスパーの側にいるということだ。

 

八幡「······まぁそれでいい。詳しい調査は曲がり形にも『(キング)』やってる俺の仕事だ」

 

クルル「······『王』の仕事かしらそれ」

 

八幡「······多分な」

 

多分そうだ。眷属にしたのが俺なんだから俺が最後まで面倒見るつもりだ。それに、黒歌は既に俺よりギャスパーを理解している。俺は露払いをして邪魔する奴を潰してやるさ。

 

 

 

黒歌「ねえクルル······四鎌童子(しかまどうじ)は······」

 

黒歌がクルルに尋ねる。俺達はあのゴミ屑だけでなく四鎌童子······クルルの義兄、アシェラやその仲間達を葬り去った女を探さなければならない。

 

クルルはどうするつもりだ······? 無論、危害を加えるようであれば殺すが、どうするかは基本クルルに任せる。クルルが一番憎んでいる筈だからな。

クルル「······決まっているわ。これ以上家族に手を出すつもりなら······問答無用で消し飛ばす」

 

クルルの瞳には地獄すら灰に帰すような炎が宿っているように感じた。

 

 

 

八幡sideout

 

 


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