イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第74話 封印(生存)の代償

クルルside

 

 

クルル「······これでッ!!」

 

手元に展開した魔法陣を操作する。魔法陣は私の手元から離れて、目の前で弾ける。

 

八幡「······やっと終わった······後はこの人が目覚めてくれればいいんだが······」

 

私と八幡は、『サングィネム』の屋敷にある秘匿空間にいた。

 

目の前には私の母親である『黙示録の皇獣(アポカリプティック・ビースト)

666(トライヘキサ)がベッドの上で眠り続けている。

 

たった今、『聖書の神』に掛けられていた封印の術式を全て解除したところだ。8割くらいは2、3日で簡単に解除出来た。が、残りの2割が想像以上に複雑で、残りの2割だけで2週間近く掛かってしまった。

 

クルル「······700年も眠り続けているなんて前列がないから······」

 

八幡「ああ······後は目覚めてくれればいいんだがな。体には何処にも異常がなかったから封印を解除すれば目覚めると思ったんだが······」

 

母にも母が眠っていた柩にも『四鎌童子(しかまどうじ)』が何かした痕跡がなかったから、大丈夫だと思ってたんだけど······そう上手い話なわけがないわね······

 

クルル「オーフィス、まだ何かあったら教えてくれない?」

 

一緒に来ていたオーフィスに訊いてみる。

 

オーフィス「······もう、ない。我から見ても、外部からの干渉を与える物は、全て八幡とクルルが解除した。目覚めないのは、魂の疲弊のせい」

 

魂の疲弊······? 魂にもあるのだろうか?

 

八幡「魂にも疲弊があるのか?」

 

オーフィス「ある。生物の魂は、常に一定以上のエネルギーがないと存在出来ない。これは、我も同じ。666は魂が我よりも強い。故に、魂が疲弊していても存在を維持出来る。でも、エネルギーが戻るにはまだ時間が掛かる。それまでは目覚めない」

 

オーフィスに時間が掛かると言わしめるほど······下手したら、私や八幡が生きている間には目覚めることはないかもしれない。

 

クルル「私達からエネルギーを供給することは?」

 

オーフィス「それは可能。クルルと八幡のエネルギーを使えば、かなりの時間短縮は出来る」

 

ならやらない手はないわね······それでも、相当時間が掛かることは確かだろうけど······

 

八幡「ならやるか。オーラを同調させれば暴発することはないだろ」

 

クルル「そうね」

 

私と八幡は、母さんに手を翳す。そして、仙術で自分達のオーラを母さんのオーラに同調させ、母さんにエネルギーを送り込む。

 

 

 

 

 

 

クルル「······かなり供給したと思うけど、まだ目覚めないわね······」

 

私と八幡がエネルギーを供給し始めて既に一時間が経った。

 

八幡「封印された時に、戦闘で相当エネルギー使ったんだろうな······お袋も666さんと神が戦闘してたっつってたからな」

 

既に汗まみれの私達だが、仙術で常にオーラを同調させ続ける必要があるので、精神的な疲労が並ではない。

 

オーフィス「それ以上供給すると、八幡とクルルの魂に影響が出る。それ以上は、回復するのを待つべき」

 

尚も続けようとするも、オーフィスから制止がかかる。

 

毎回これぐらい供給してれば、近いうちに目覚めてくれるだろうか。いや、『禍の団(カオス・ブリゲード)』が活動しているうちは下手にエネルギーへ供給 めたらすると、いざという時に行動に支障が出るかしら······

 

八幡「······今日はここまでにするにするか。オーフィスの言う通り、俺達は供給するのにエネルギーを使いすぎたからな。休むか」

 

クルル「ええ」

 

八幡が出した手を握って、そのまま抱き着く。

 

今日はそのまま人間界の家に帰って、シャワーを浴びた後、寝てしまった。危うく、夕飯の準備が間に合わなくなるところだった······

 

兎にも角にも、母さんの封印が解けて母さんと話せるあと一歩のところまで来た。

 

 

クルルsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャスパーside

 

 

 

授業を受け、オカ研の部活もそこそこに帰宅すると、お客さんがいた。

 

ギャスパー「······あ、ラヴィニアさん。こんにちは」

 

ラヴィニア・レーニさん。『灰色の魔術師(グラウ・ツァオペラー)』所属の最上級魔法使い。神滅具(ロンギヌス)の『永遠の氷姫(アブソリュート・ディマイズ)』を所有しており、現在は『神の子を見張る者(グリゴリ)』の『(スラッシュ)(・ドッグ)』チームに出向している。

又、お兄様が契約している魔法使いでもある。

 

ラヴィニア「こんにちはなのですギャー君。お邪魔しているのです」

 

ギャスパー「いえ、お構いなく」

 

ラヴィニアさんはお兄様の淹れた紅茶を飲んでいる。ラヴィニアさん未だに告白してないからなぁ······

 

ヴァーリ「帰ってたのかギャスパー。父さんと母さんなら、汗だくで帰って来たかと思えば、シャワー浴びてすぐ寝てしまったから暫く起きないだろう。封印が完全解除出来たらしいからな。何があったかは聞いてないが、相当疲れたんだろうな」

 

お父様とお母様を疲弊させるって、相当なことがあったんだ······封印にカウンタートラップでも仕込まれてたのだろうか。『聖書の神』って生前は何を考えていたのだろう。

 

ギャスパー「分かりました······黒歌さんはどうしてます?」

 

ヴァーリ「黒歌なら兵藤一誠の家に行った。妹に修行をつけて欲しいと頼まれたと言っていた」

 

一昨日の一件以来、小猫ちゃんは黒歌さんとのわだかまりが消えて、普通の姉妹のような関係に戻った。前に、小猫ちゃんは自分がグレモリー眷属で役立たずだ、ってこぼしてたから、高練度の仙術の使い手である黒歌さんに頼み込んだのだろう。

 

ギャスパー「そうですか。なら、僕もイッセー先輩の家に行ってきますね。折角なら、僕も一緒に修行したいですし」

 

2人の時間を邪魔するのも悪いし、僕は早々に退散しよう。

 

ヴァーリ「そうか」

 

お兄様は紅茶に口を付けながら言う。

 

ラヴィニア「え? 今帰って来たばかりなのにですか······?」

 

ラヴィニアさんが若干慌てた感じで言う。

 

······この2人早く結ばれないかなぁ。お兄様いい加減気付きましょう? 下手したら逃げられちゃいますよ。ラヴィニアさんに限ってならないと思いますけど。

 

ギャスパー「はい。そうですよ?」

 

その後、パパッと学校の道具を片付けて、イッセー先輩の家に行った。

 

 

正直なことを言うと、お兄様とラヴィニアさんは付き合ってもいないのに、恋人同士である僕や黒歌さんに砂糖を吐かせるほどなので、一緒にいたくないというのは秘密である。

 

 

 

ラヴィニアさんが帰ってから、それもなくお兄様に聞いたところ、ラヴィニアさんはまたしても告白出来なかったらしい。

 

定期的に連絡を取っている僕とメフィストさんは、進展しなさすぎて溜息を付いた。

 

 

 

ギャスパーsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

 

 

「······誰だ」

 

「『クリフォト』の─────と申します。単刀直入ですが、提案があって参りました」

 

「『クリフォト』······確か『禍の団(カオス・ブリゲード)』の一派だったな。それで何の用だ?」

 

「我々は打倒『堕天魔』を目標としています。貴方にもそれに加わっていただきたいのです。神である貴方が加わるとなれば、我々も心強い」

 

「『堕天魔』······!! いいだろう。他勢力、それも聖書の者は気に食わないが、我も貴様らに加わるとしよう。

 

─────覚悟しろ『堕天魔』。貴様を殺して今度こそ黄昏を······!!!」

 

 

 

sideout

 

 

 


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