イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第71話 力を求めた

 

 

 

 

ギャスパーside

 

 

 

試合が終了し、魔法陣でグレモリー側の陣地に戻って来る。

 

『ブリューナク』は、転送されている間に鎖に戻してまた心臓に巻き付けておいた。

こうしておかないと、さっきまでの試合の反動で、力が暴発する可能性はあるのだ。消耗が酷くて、制御がかなり雑になっている。いったい、何のために仙術を身に付けたのか······自分の力を制御出来ないなんて、嫌になりそうだ。

 

ギャスパー「······ただいま戻りましたー」

 

転移用魔法陣は、陣地より一段上にあるので、階段を降りる必要があるのだが、降りてみると、僕を見る目が不思議だった。ポカンとしている人と、ギョッと驚いている人に分かれていた。

 

···········?

 

ギャスパー「皆さんどうかしましたか?」

 

声を掛けると、やっと戻って来た(何処からかは不明)らしく、慌てて声を掛けられた。

 

イッセー「すげぇよギャスパー!! 肉弾戦でサイラオーグさんに勝つなんてさ!!」

 

ゼノヴィア「ああ!! 最初ひ弱だとしか思っていなかったが、ここまでだとは思いもしなかったぞ!!」

ギャスパー「あ······はい、ありがとうございます」

 

びっくりした······でも、嫌われなくて良かった。

 

でもひ弱って思われてたんだ······

 

ロスヴァイセ「傷がない······!?」

 

ロスヴァイセさんとアーシア先輩は、僕を見て驚いていた。

 

ギャスパー「傷······? あれなら治しましたよ?」

 

転送されている間には傷なら全て治した。なかった(・・・・)状態に戻した(・・・・・・)と言った方が適切だけど······

 

アーシア「で、でも、明らかにそんな簡単に治る量じゃありませんでしたよ······!?」

 

何て言おうか······流石に、家族以外に言うと嫌われるのが目に見えているから······

 

ギャスパー「え~っと······魔法ですよ。ただ、自分以外に使うと精々捻挫くらいしか治せないんですよ」

 

イッセー「でも、それならシトリー戦の時にリタイアしたのは何でだ? 最後まで生き残れたろ?」

 

ギャスパー「それは······ニンニクだけはどうしても苦手で。克服しようとしてはいるんですけど、どうしても苦手で」

 

イッセー「ああ······前も言ってたけど、まだ苦手なんだな」

 

ギャスパー「はい······」

 

シトリー戦で引っ掛かってから、克服しようとしてはいるんだけどやはり苦手だ。匂いがするだけで鳥肌が······

 

裕斗「ギャスパー君はハーフヴァンパイアだからね。仕方ないと言えば仕方ないね」

 

ギャスパー「そう言ってくれるとありがたいです······」

 

小猫「······ギャー君」

 

ギャスパー「? 小猫ちゃんどうかした?」

 

小猫「あの仙術······」

 

小猫ちゃんは猫魈の末裔だから、仙術が使えるんだっけ? 教えてもらおうかな。

 

ギャスパー「お父様とお母様と黒歌さんと美猴さんに教えてもらったんだ」

 

小猫「そうなんだ······姉様が······」

 

やっぱり、6年も誤解を抱えていたら簡単にはいかないのかな······

 

 

 

ギャスパーsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

黒歌side

 

 

 

はぁぁ〜、ギャスパーカッコよかったにゃ~。

 

あの最後の叫びとかもう······////

 

『僕の······僕の勝ちだぁぁぁぁぁあッ!!』

 

超カッコよかったにゃ。

 

ギャスパーはもう一人前の男にゃ······今日はギャスパーを·······////

 

クルル「······はぁ。黒歌、カルナと一緒にギャスパーを迎えに行って(なんてだらしない顔してるのかしら······ギャスパーは罪作りね)」

 

クルルが溜息を付きながら言ってくる。

 

クルル······なんて魅惑のお願い!!

 

黒歌「いいの!?」

 

カルナと一緒じゃなければもっといいけど······ま、この際気にしないにゃ。

 

カルナ「えぇ〜·······黒歌と一緒? おばあちゃんとかじゃダメなの?」

 

黒歌「このガキ······」

 

図に乗ってるにゃ。年上を敬うって知らないの?

 

クルル「誰でも同じよ。それより、貴女場所分からないでしょ······」

 

カルナ「あ。そうだった。ギャスパー兄今どこ?」

 

クルル「······はぁ」

 

八幡「はぁ······黒歌、カルナ連れてってやれ(ここで黒歌一人行かせると、後で五月蝿いからな。そこもカルナの可愛いところなんだが)」

 

さっきからクルルは溜息付きすぎだと思う。八幡も何で溜息付いてるにゃ?

 

カルナ「む~······」

 

黒歌「仕方ないにゃ······了解にゃ」

 

 

仕方なしに、私はカルナを連れてギャスパーを迎えに行った。

 

 

 

黒歌sideout

 

 

 

 

 

 

 

八幡side

 

 

黒歌がカルナを連れてギャスパーを迎えに行ったのを見送った俺は、『須弥山』専用の観戦室にいた。

 

八幡「よぉ。久しぶりだな」

 

「HAHAHA!! 久しぶりじゃねえか『堕天魔』の小僧!! 今日は何か用か?」

 

俺の目の前に座るのは、五分刈りの頭に丸レンズのサングラス、アロハシャツを着て首に数珠というおかしな格好をした奴がいる。

 

『帝釈天』。それが俺の目の前に座る奴の名である。こいつは、アジア神話の主神であり、インド神話におけるインドラでもある。

 

八幡「······曹操が、『禍の団(カオス・ブリゲード)』で活動し始めていたことを知っていたな?」

 

 

曹操を俺に預けたのは闘戦勝仏(とうせんしょうぶつ)なのだが······『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』を所有していた曹操を、この目の前の巫山戯た格好した奴が把握していないわけがない。

 

 

帝釈天「だとしたら、どうすンよ? 俺さまがあいつをガキの頃から知っていたのは、予想付いてンだろ? お前はアホじゃねえしな。態々知ってることを訊きにくるなンて、律儀だなぁお前」

 

想定内の反応だな。まぁ俺はそもそも『禍の団』のことではあるが、『英雄派』のことを聞きに来たわけじゃない。

 

八幡「俺は思ってもいないお世辞聞きに来たわけじゃない。どうせ、『英雄派』がハーデスと繋がっていたことまで知っていたんだろう?」

 

帝釈天「HAHAHA!! そこまで見通してて何しにきたよ? 俺さまと喧嘩でもしに来たか?」

 

八幡「そんな下らんことはしない。今までは全て確認だ。曹操の身柄がこちらにある以上、曹操が誤情報を話してないかを確認しただけだからな」

 

帝釈天「そうかい。なら何だ? お前まさか雑談でもしに来たのか?」

 

······曹操のことを話しても、動じるわけがないか。大方、あんだけ大口叩いておいてあっさりやられやがって、とでも思っているのだろう。

 

八幡「······リゼヴィム・リヴァン・ルシファーを知っているか」

 

俺がここに来た理由······それは『クリフォト』の情報を少しでもこいつから引き出すためだ。

 

曹操とハーデスが繋がっていることまで知っているなら、『クリフォト』の活動まで何か掴んでいる可能性は十二分にある。

 

 

帝釈天「リゼヴィムって言やあれか? お前ン所の『リリン』とか言うのだろ?」

 

八幡「ああそうだ······知っているなら答えろ。あのゴミは今何処にいる」

 

帝釈天「ハッ!! そンなン一々把握してるわけねえだろ。俺さまはお前の情報屋でも便利屋でもねえぞ? ンなこと一々聞きに来んなや」

 

······これ以上問い詰めても無駄か。まぁ仕方ない。駄目元で来たからな。他の神話勢の奴らが繋がっている可能性もあるのだが、取り敢えず、一番信用ならん所に来たからな。答えてくれるとも思っていない。

 

帝釈天「ま、表向きに何か入ったら教えてやンよ。『禍の団』は確かに邪魔だからな」

 

その『禍の団』というのが何を指しているのか······

 

帝釈天はそれだけ言い残して去って行った。帝釈天の護衛も退室して、俺一人が部屋に残った。

 

アザゼル「······あん? 八幡、何でここにいるんだ?」

 

帝釈天と入れ違いに、アザゼルが入ってくる。

 

八幡「何だアザゼル。お前こそ何しに来たんだよ」

 

アザゼル「俺は帝釈天に聞きたいことがあったんだが······お前もそうか?」

 

八幡「ああ。逆に言えば、それ以外で用なんかないしな」

 

今日来ていたのは帝釈天とその護衛だけだからな。須弥山の他の柱神とは顔見知り程度でしかないし。

 

アザゼル「それもそうか。それより八幡。ギャスパーとサイラオーグは何なんだよ。あいつら2人は明らかに若手なんて言っていいレベルじゃねえ」

 

それもそうか······だいたいの観客は気にしていないだろうが、下級と若手の上級があんな試合を繰り広げたら疑心になるのは当たり前だ。

 

 

八幡「まぁ両方とも、3年前まで(・・・・・)俺が鍛えてたからな。あれくらいやってくれなきゃ困る。それに、今回の試合は両方共奥の手を使ってないしな」

 

サイラオーグは『獅子王の戦斧(レグルス・ネメア)』を出さなかったし、ギャスパーもバロールの『闇』の力を使っていない。怪我のリセットくらいには使ったろうが······

 

アザゼル「だとしてもあれは異常だ。並の最上級を超えてんだぞ」

 

八幡「だろうな。サイラオーグは接近戦に限ればグレイフィアより上だし、ギャスパーはそれより更に上だ。まぁセラフォルーかファルビウムくらいならギリギリ勝てるだろうな。超越者の2人はまだ荷が重いが······」

 

ギャスパーはバロールの『闇』の力と、ブリューナクをフルに使えば、魔王以上の実力は出せるからな。うちだったら、今の実力は、ヴァーリとどっこいどっこいってとこか?

 

アザゼル「どうなってんだよお前の家族は······」

 

八幡「さあな」

 

ヴァーリも、ギャスパーも、サイラオーグも、これからの成長が楽しみだ。世代交代が来たら、3人は魔王候補筆頭くらいにはなっているだろう。

 

 

だから、それまでに俺も出来ることをしないとな。

 

 

 

八幡sideout

 

 






正直やりすぎた感が凄いな。この2、3話。

まぁ何とかなるか。


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