イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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何度でも書きますが、本作のギャスパーは現在のギャスパーとは別人です。魔改造されてます。




第69話 レーティングゲーム⑨

 

 

 

史上最低クラスの試合が終わり、次のダイスシュートだ。

 

サイラオーグさんが5、部長が3で、合計はまたまた8だ。さっきイッセー先輩はさっき出たから出られない。

 

ゼノヴィア「·····8か。私が出よう」

 

ゼノヴィア先輩が一歩前に出る。

 

リアス「そうね。そろそろゼノヴィアが適任かしら」

 

部長がそれに応じる。

 

リアス「ゼノヴィアの援護には······ギャスパー。貴方の停止能力でゼノヴィアの援護をお願いするわ」

 

ここで僕に指名が出た。後試合に出ていないのは、僕とゼノヴィア先輩だけだ。

 

ギャスパー「分かりました」

 

ゼノヴィア「うん、頼りにしてるぞギャスパー」

 

 

もし、先にゼノヴィア先輩が倒されたら、実力を少しだけ出そう。

 

 

ギャスパーsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小猫side

 

 

 

第4試合。ギャー君とゼノヴィア先輩が転送されたのは、ゴツゴツした岩だらけの荒野だった。

ゼノヴィア先輩がスピードよりの『騎士(ナイト)』だったら、戦いに影響が出たかもしれない。

 

そして、2人の前にはバアル側から選出された2人が現れる。ひょろ長い体格の『戦車(ルーク)』の男性と、不気味な杖を携えた小柄な『僧侶(ビショップ)』の男性。『僧侶』の男性の顔立ちは、俗に言う美形という部類に入るだろう。

 

ナウド『グレモリーチームからは、伝説の聖剣デュランダルを持つ『騎士』のゼノヴィア選手、最強で有名な比企谷八幡とクルル・ツェペシを両親にもつギャスパー選手です!!』

 

ふっ、と軽く息を吐き、落ち着いているギャー君と、デュランダルを手にやや緊張気味なゼノヴィア先輩。

 

ナウド『対するバアルチームからは、なんと!! 両者と共に断絶した御家の末裔というから驚きです!! 『戦車』のラードラ・ブネ選手と、『僧侶』のミスティータ・サブノック選手。それぞれ、断絶したブネ家とサブノック家の末裔だそうです!! アザゼル総督、バアルチームには、複数の断絶した御家の末裔が所属しておりますが······』

 

実況に訊かれたアザゼル先生が答えている。

 

アザゼル『能力さえあればどこの誰でも受け入れる。それがサイラオーグの答え。それに断絶した御家の末裔が呼応したということでしょうな。断絶した御家の末裔は、現悪魔政府から保護の対象でありながら、一部の上役から厄介払いを受けているのが実情。他の種族の血と交わってまで生き残った家を無かったことにしたいという純血悪魔も上に行くほどおりますからな』

 

先生が皮肉げにコメントしている。実況の人も先生に困り顔だった。

 

ディハウザー『ハハハ、全くその通りです』

 

皇帝(エンペラー)ベリアルは笑っているが。

 

ラードラ『······その通りだ。サイラオーグ様は人間と交じってまで生きながらえた一族を迎え入れてくれた』

 

ミスティータ『サイラオーグ様の夢は僕達の夢だ』

 

両者とも、固い信念をもっている。瞳は使命に燃えていた。

 

『第4試合、開始して下さい!!』

 

審判(アービター)が試合開始を告げた。全員が素早く構え、攻撃を開始する。

 

リアス「ギャスパーは蝙蝠に変化して!! ゼノヴィアはその後に攻撃!!」

 

部長がイヤホンマイクを通して指示を飛ばす。

 

ギャー君は体を無数の蝙蝠に変化させ、フィールド中に散らばる。ゼノヴィア先輩は開始早々デュランダルの聖なる波動を相手に放った。

 

バアル側の2人は攻撃を躱し、『僧侶』が杖から複数の炎の魔法を放つ。が、ギャー君が炎の魔法を、双眸を光らせ全て停止させた。そして、停止した炎の魔法をゼノヴィアがデュランダルで振り払った。

 

ミスティータ『······ラードラ!! サイラオーグ様からの指示が届いた!! 先に剣士だ!! 僕は準備に移る!!』

 

ラードラ『了解!!』

 

何やらサイラオーグ・バアルからの指示が届いたらしく、敵の『僧侶』は後退し、全身にオーラを迸らせた。禍々しいオーラが立ち込めている。

 

すると、『戦車』の男性が『僧侶』の男性の前に立ち、衣服を破り捨てる。何らかの準備をしている『僧侶』の壁になるのだろうか······?

 

その時、『戦車』のひょろ長い体が突如盛り上がり、異様な体付きになっていく。あれは······ドラゴン······!?

 

巨大な黒いドラゴンは、ゼノヴィア先輩の前に立ちはだかる。

 

リアス「······ブネは悪魔でありながらドラゴンを司る一族······けれど、変化出来るのは、血を引く者でも限られている······よりによって······!!」

 

あの能力はグラシャラボラス戦では使われていなかった。使えなかった······? 或いは温存していた······?

 

アザゼル『ドラゴン変化は情報には無かった!! サイラオーグ!! その眷属を鍛え上げて、覚醒させたのか!!』

 

実況席に座る先生も驚いている。

 

 

ゼノヴィア先輩はデュランダルの波動を放ち、直接攻撃も加えているが、高い防御力により中々決定打が作れない。

 

ゼノヴィア『ギャスパー!! あれを撃つ!! 時間を稼いでくれないか?』

 

ギャスパー『了解!!』

 

ギャー君は魔力弾を放ち、ドラゴンをゼノヴィア先輩から離そうとする。

 

イッセー「部長、ギャスパーはドラゴンの血を飲めばパワーアップするんですよね? あのドラゴンの血を飲んでも同じ効果を得られますか?」

 

イッセー先輩が部長に訊く。吸血鬼の血を引くギャー君は、他者の血を飲めば一時的にパワーアップすることが出来る。だが、部長は首を横に振った。

 

リアス「ブネの血がギャスパーにどう影響を与えるかは分からないわ。もしかしたらいい効果が齎されるかもしれないけれど、逆も有り得る。飲むのは得策ではないわ」

 

ギャー君の攻撃をうざそうにしている『戦車』は、口から大質量の火炎を放つが、ギャー君は散開することであっさりと躱している。

 

ゼノヴィア先輩がエクス・デュランダルを掲げて、パワーをチャージし始めた時だった。

 

ミスティータ『今だ!! 聖剣よ!! その力を閉じよッ!!』

 

その瞬間、相手の『僧侶』の杖が怪しく光り、ゼノヴィア先輩を捕らえた。ゼノヴィア先輩の体が不気味な光に包まれ、おかしな模様が浮かび上がる。ゼノヴィア先輩の手元が震え出し、遂にはデュランダルを下ろしてしまった。

 

ギャスパー『一定時間対象の異能の力を封じる力を持つ神器(セイクリッド・ギア)、『異能の棺(トリック・パニッシュ)』······』

 

ミスティータ『正解だ!! 最近になって漸く使えるようになった能力でね!!』

 

相手の『僧侶』がやつれた表情で言う。

 

 

最近······? だから記録映像では使われていなかった······?

 

アザゼル『『異能の棺』。自分の体力、精神力などを極限まで注ぎ込むことで、対象の異能の力を一定時間完全に封じる神器だな。バアルの『僧侶』は自分の力と引き換えに、ゼノヴィア選手の聖剣を使う力を完全に封じたようだ』

 

ゼノヴィア先輩の聖剣を使い能力を封じられた! その代償で、『僧侶』がやつれたということか。

 

ミスティータ『聖剣を封じた余波で、彼女自身にも聖剣のダメージを与えたかったが······聖剣使いとしての才能は予想以上に高かったらしい······』

 

そう言えば、ゼノヴィア先輩はコカビエル襲撃の際、自分は聖剣の因子を与えられて聖剣使いになったわけではなく天然ものの聖剣使いだと言っていた。それが功を奏した······?

 

デュランダルを使えなくなったゼノヴィア先輩に、『戦車』のドラゴンが容赦なく襲い掛かる。ゼノヴィア先輩は為す術もなく······その時、無数の蝙蝠がゼノヴィア先輩を包み込んだ! あれはギャー君!

 

2人が間一髪で避けた所に、ドラゴンの踏み付け攻撃がされた。

 

2人は何処かの岩陰に避難していた。

 

 

 

ゼノヴィア『······すまないギャスパー。私は約立たずになりそうだ』

 

ゼノヴィア先輩は申し訳なさそうにギャー君に言う。

 

ギャスパー『そんなことないですよ。それに、この神器は、前にこれよりもずっと強力なものを受けたことがありますので、解呪も出来ます』

 

ギャー君はそう言った後、手元に小さな魔法陣を展開する。それはゼノヴィア先輩の足元に移動し、直径が3mくらいまで大きくなる。

 

ギャー君は指を噛んで自分の指を切ると、魔法陣に血を垂らす。すると、魔法陣が光り出した。

 

ギャスパー『後は時間が経てば勝手に解呪してくれます。解呪が完了したら、一応デュランダルをチャージしておいて下さい』

 

ゼノヴィア『待てギャスパー。お前1人では·····』

 

ギャスパー『大丈夫です。ここからは僕の番です』

ギャー君はそう言って、岩陰から出て行った。

 

リアス「無謀よ!! ギャスパー!! 隠れて!!」

 

部長がギャー君に叫ぶ。

 

ギャスパー『ここで戦えるのは僕だけです。それに、僕はこんな所で負けていられない』

 

リアス「ギャスパー······? いいから逃げなさい!! 早くッ!!」

 

部長の悲痛な叫びも虚しく、ギャー君の眼前にはドラゴンと『僧侶』が迫っていた。

 

ラードラ『見つけたぞ。あの剣士は何処かに隠したのか。この周辺にいるのだろう? 火炎を巻き散らせば出てこざるを得まい』

 

巨躯に迫られているが、ギャー君は平然としている。

 

ギャスパー『ここで貴方方に暴れさせるわけにはいきませんね。まぁさせる気もありませんが』

 

ラードラ『······ほう。ならばやって見せるものだ』

 

ギャー君は単身で立ち向かう気······!!? いやでも、死を司る神ハーデスにも一目置かれているギャー君なら······でも······

 

 

ギャー君は魔法と思しき魔法陣で浮かび上がると、ゼノヴィア先輩がいる岩陰とは反対方向に飛んでいく。ドラゴンと『僧侶』はギャー君を追う。確実に倒せる相手から倒していくつもり·····!?

 

 

ギャー君はある程度まで飛んだ所で、ドラゴンと対峙する。手を前に出して、魔力を撃つ格好になった。

 

ドラゴンは口から巨大な火球を吐き出した。ギャー君は防御魔法陣でそれを防ぐ。

 

ラードラ『······今のを防ぐのか。やるな』

 

ギャスパー『まだだ!!』

 

ギャー君は複数の魔法陣を展開して、多数の魔力弾を放つ。が、ドラゴンの防御力には叶わず、目立ったダメージは与えられない。

 

ドラゴンが先程よりもかなり大きな火球を放つ。ギャー君はそれを再び魔法陣で防ぐ。が、ドラゴンは更に大きな火球を放ち、ギャー君の魔法陣を突き破った!!

 

ギャスパー『ぐあっ······!!』

 

火球に吹き飛ばされ、地面を何度もバウンドして漸く止まる。

 

ゼノヴィア『ギャスパー!! 無理はよせ!!』

 

ミスティータ『聖剣使いの声? やっぱりこの近くに?』

 

ギャスパー『まだ······!!』

 

ギャー君の服は火球でかなり焼け焦げている。火傷も負っている。それでも、よろよろと立ち上がった。

 

ラードラ『ならこれで······!!』

 

ドラゴンの踏み付けが容赦なく襲い掛かる。ふらふらしているギャー君は回避に入れていない。

 

小猫「ギャー君·····!!」

 

私ら思わず声を上げる。

 

そして、ドラゴンの踏み付けが無常にもギャー君を襲った······

 

ズゥンッ!!!

 

リアス「そんな······!!」

 

ギャー君は踏み付けを諸に食らってしまった······

 

 

────ところが······

 

ラードラ『なっ······!? ヴァンパイアがいない!?』

 

ドラゴンが足を退けるとギャー君はそこにはいなかった······!!?

 

裕斗「ギャスパー君が消えた······!?」

 

裕斗先輩も声を上げる。

 

ミスティータ『何処だ······!?』

 

ドラゴンと『僧侶』は周りを見渡してギャー君を探している。斯く言う私達も探している。

 

 

ギャスパー『······ここですよ』

 

踏み付けを食らった筈のギャー君の声が聞こえた。

 

ロスヴァイセ「あ、彼処に!!」

 

ロスヴァイセさんがドラゴンの上空を指差す。

 

イッセー「なっ······!? いつの間に!?」

 

······ギャー君は、上空からドラゴンと『僧侶』を見下ろしていた。

 

 

いつ移動したの······!?

 

ミスティータ『まさか······一瞬で彼処まで移動したと言うのか!!?』

 

ギャスパー『······そういうことになります』

 

ギャー君はこともなさげに答える。

 

小猫「傷がない······!?」

 

ギャー君は、ドラゴンの火球によって、火傷を負っていた筈。なのに、火傷どころか擦り傷一つないし、燃えた制服も元通りになっていた。

 

どうなっているの······!?

 

ギャスパー『······小猫ちゃんとロスヴァイセさんが油断してやられそうになっていたので、折角ならと思って、僕も貴方方の油断を誘いました』

 

ギャー君はそう言って上空を指差す。

 

ミスティータ『何だこれは······!?』

 

ラードラ『マズイッ!!』

 

ギャー君が指差した上空······そこには、数え切れない程の輝く矢と思しき物が、バチバチと帯電して浮いていた。

 

ラードラ『······させんッ!!』

 

ドラゴンが上空にいるギャー君に火球を放つ。が、火球は空中で停止した。

 

ラードラ『停止の邪眼かッ······!!』

 

あれはギャー君の『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)』の停止能力!!

 

ギャスパー『食らえ······『天雷星群(サンダラ・インペルディオ)』!!』

 

双眸を光らせたギャー君が手を振り下ろす。すると、一斉に帯電する矢のような物がドラゴンと『僧侶』に降り注いだ。

 

 

 

 

『サイラオーグ・バアル選手の『戦車』1名、『騎士』1名、リタイアです』

 

 

 

第4試合、本領を発揮したギャー君によって、グレモリーチームが勝利を収めた。

 

 

 

小猫sideout

 

 

 

 

 

 

八幡side

 

 

黒歌「······ギャスパー······容赦ないにゃ。鬼畜にゃ。またそこがいいんだけど」

 

フィールドでは、ギャスパーがサイラオーグの『戦車』と『騎士』に『天雷星群(サンダラ・インペルディオ)』を放っていた。

 

カルナ「ギャスパー兄かっこいい······」

 

黒歌は遠慮なく(手加減はしているが)技を食らわせるギャスパーを見て恍惚とした表情を浮かべ、カルナはギャスパー兄かっこいいと呟いていた。

 

オーフェリア【あれがギャスパーの実力?】

 

筆談のため、メモに話したいことを書いたオーフェリアがメモを見せてくる。

 

八幡「······いや、全然手加減してるな。本来なら、あの技を使った段階で、フィールドが消し飛んでもおかしくないからな」

 

ギャスパーはかなり威力を抑えていた。最大医力の一割も出ていない。

 

まぁ、態々あんなことしなくてもギャスパーは相手2人を倒すくらい準備運動よりも簡単に出来るんだが······

 

『サイラオーグ・バアル選手の『戦車』1名、『騎士』1名、リタイアです』

 

審判(アービター)がリタイアを告げる。

 

ヴァーリ「······何故ギャスパーは全力でいかないんだ······?」

 

ヴァーリはギャスパーが力を出さない理由が分からず頭を傾げていた。

 

ギャスパーが力を出さなかった理由は十中八九······

 

ディオドラ「おそらくリアスのことを考えてのことでしょう。最初から全力で行けば、リアスは勝つために『堕天魔』の息子を雇ったと認識されますからね。それを避けたんでしょう。結局、使うことになりましたけど」

 

そのヴァーリにディオドラが説明していた。

 

 

ギャスパーの力は強大だ。それも魔王を凌ぐほどの。まぁリアス・グレモリーは陰で我が儘姫って言われているから、そこから、今ディオドラが言ったような考えを持つ奴も多いだろう。俺はギャスパーがリアス・グレモリーの眷属になった時のことを知らないから何とも言えないのだが。

 

俺はそんなこと放っておけと思うが、ギャスパーは身内には優しいからよしとしないのだろう。リアス・グレモリーを身内と認識しているかは分からんが······

 

 

 

そこで、サイラオーグはカメラ目線で訴えた。

 

サイラオーグ『やっと本来の力の触りを見せたかギャスパー······ああ······俺は、委員会に、そしてギャスパーに申したい。俺はギャスパーと······ギャスパー・ルシフェルとの一騎打ちを所望する······!!』

 

 

 

八幡sideout

 






オリジナル技説明

・『天雷星群(サンダラ・インペルディオ)
使用者:ギャスパー・ルシフェル、他数名

上空に、魔力などで形成した矢に超高電圧の電気を付加した物を100~10000本ほど出現させ、一気に降らせる技。

今回のギャスパーはかなり手加減していたが、本来の威力は、一発が姫島朱乃(原作23巻時点)の雷光を軽く上回る威力である。

尚、次にいつ使われるかは未定。

似たような技に、『業焔星群(フレイム・インペルディオ)』という無数の火球を降らせる技がある。使われるかは同じく未定。


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