イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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難産だった······話進んでないのに。




第50話 悪意の矛先

 

アザゼル「······実験?」

 

曹操率いる英雄派に遭遇した俺は、曹操の言っていたことをアザゼルと話し合っていた。セラフォルーとガブリエルもいる。

 

メリオダスには警戒を続けてもらい、クルルは一時的に冥界に戻っている。うちから非常要員として誰か連れてきてもらうのだ。多分(たばね)になると思うが。

 

九重には紫陽花が付いており、現在は案内ではしゃいだからなのか、疲れて眠っている。

 

八幡「······ああ。二条城でやるらしい······巫山戯てんのかあいつらは」

 

何が実験だ。何が英雄だ。あいつらはただのテロリストでしかない。英雄は民衆が、英雄を求めて、英雄と祭り上げて初めて英雄になる。傍から見れば都合の良い偶像崇拝でしかないし、そも英雄なんて呼ばれる奴はえてして大量虐殺者だ。

 

······祖先がなりたくて英雄になったとでも思ってんのか?筋違いも甚だしい。

 

アザゼル「······実験の内容は何か分かってんのか?それなら対策のしようがあんだけどよ」

 

八幡「······ああ。英雄派は八坂を使って『龍門(ドラゴン・ゲート)』を開きドラゴンを召喚しようとしている······そして、召喚しようとしているのは『真なる赤龍神帝(アポカリュプス・ドラゴン)』グレートレッド」

 

「「「なっ!!!!???」」」

 

アザゼル「おいおい、冗談じゃねぇよ」

 

セラフォルー「そ、そんなことしたら、八坂姫は無事では済まないんだよ!? 下手したら、命だって!!」

 

八幡「······ああ。そんなことになれば、下手しなくても八坂は死ぬ」

 

『龍門』でグレートレッドを呼び出したいなら、それこそ、六大龍王全員に、二天龍が両方揃ってやっと出来るかどうかだ。八坂1人で行おうとすれば、力に耐えられずに、八坂の体は四散するだろう。

 

ガブリエル「······しかし、仮にグレートレッドを呼び出すとして、何をするのですか? 呼び出せるとしても、『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィスでさえ敵わなかったグレートレッドとなると、例え『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』であったとしても彼等に勝機はないと思うのですが」

 

ガブリエルの言う通りだろうな。だが、そこまでは分からなかった。おそらく、そこから何をするのかを知っているのは曹操とゲオルクのみだ。あいつら(・・・・)もそこから先は分からなかったと一昨日言ってたからな。それに、それから連絡取れてないし。

 

八幡「さぁな······そこまでは分からなかったからな······」

 

それに、曹操の言っていたスポンサーというのが気に掛かる。というより、胸騒ぎがする。リゼヴィム(ゴミ屑)が関わっているのは確定と見て間違いない。だが、『スポンサーの1人』と言うからには他にもいると考えて自然だろう。曹操のフェイクでなければ、だが。

 

誰だ······? いると仮定した場合、相当な力を持っている筈だ。やはり帝釈天か? あいつは戦争大好きな狂人だ。曹操も須弥山の出身である以上、繋がりはあるだろうから、バックについていると考えられる。だが、あいつが戦いたいのは『破壊神』であるシヴァだ。態々、こんな極東の島国で活動する人間にそこまで協力するのか?

 

······グレートレッドを倒したいなら、『龍殺し(ドラゴンスレイヤー)』は先ず必須だ。クルルがあいつに貸している『魔帝剣グラム』も最強クラスの『龍殺し』だが、グレートレッドに勝てるとは到底思えない。

 

オーフィスの『蛇』くらいで何とかなるならばとっくにグレートレッドは討伐されているだろうからそれもない。

 

その時、俺の脳裏に一つの光景がフラッシュバックの如く通り過ぎた。

 

 

 

『オオオオォォォォォォォォ···········』

 

『······なぁ、この磔にされてるキモいのはなんだ? 凄い寒気がするんだが······』

 

『······ふん。此奴はサマエル。貴様の所の神から生み出された天使でありドラゴン。蛇とドラゴンを嫌った神の呪いが未だに渦巻いている。あまりの危険性故に、ここに封印されたわ。しかも、存在ごと抹消されてだ』

 

『こいつがね······曰く『神の毒』。曰く『神の悪意』、か』

 

 

 

八幡「······そういうことかよクソったれが······!!」

 

やってくれたなハーデスの骸骨が······!! しかもよりによってサマエルの封印まで解くなんてな······!!

 

狙いは何だ!? グレートレッドか!? オーフィスか!?

 

セラフォルー「ハチ君!?」

 

何故今まで忘れていた!? 封印されてるからって軽く考えてたのか!?·······俺に反感をもつ奴は数知れずだが、まさかテロリスト共に協力する奴がいるとは思わなかったがな。

 

俺は急いで冥府に対して通信用の魔法陣を開く。周りの3人が何か言ってきているが、気にしている事態ではない。

八幡「骸骨如きが······巫山戯やがって!!」

 

冥府からは一切の応答がない。それどころか、完全に拒絶された。あのクソジジイに先手を許してしまった。

 

今度は、うちの領にいる桃花に対して通信用の魔法陣を開く。

 

八幡「桃花、聞こえるか!?」

 

桃花『······八幡、突然どうしたんですか?随分焦ってるようですけど』

 

八幡「悪いが、説明している時間がない。冥府に連絡を取ってくれ。早く!!」

 

桃花『? 分かりました················? 駄目です。一切応答がありません···あ、先程クルルが来て束を連れて出ていきました』

 

八幡「そうか······悪い。事情は後で一から説明する。取り敢えず助かった」

 

桃花『······そうですか。では失礼します』

 

切羽詰っていると察したのか、桃花は聞いてこなかった。

 

·······チッ······完全に後手に回ってるな······今すぐ冥府に突撃してハーデスを締め上げたいところだが、今は八坂の救出が先か······本当にやってくれるな。

 

取り敢えずは八坂の保護と、曹操達英雄派を拘束する事だ。

 

アザゼル「おい八幡。お前、自分1人だけ何か納得したみたいだが、俺達にはさっぱり分からねぇ。説明してくれよ」

 

八幡「······ああ」

 

こいつらがいたこと忘れてたわ。

 

八幡「······アザゼル、グレートレッドを倒したい。でも、『黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)』も、『絶霧(ディメンション・ロスト)』も、『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』もグレートレッドには通用しない。如何なる『龍殺し』もグレートレッド相手では通用しない」

 

アザゼル「?······それの何処が問題なんだよ? 最強だからこその『ムゲン』だろ」

 

まぁ······一般的に考えればそうなる(・・・・・・・・・・・・)。一般的に考えればだが。

 

八幡「······ってのが常識だ。いや、そう思い込んでいた」

 

ガブリエル「······あると言うのですか? 『ムゲン』に通用するほどのものが」

 

八幡「通用するどころか、確実に滅ぼせる」

 

近付いただけの俺でも身の危険を感じるほどの寒気がしたほどだ。『ムゲン』だろうが、ドラゴンという種族である以上、必殺の猛毒であることに変わりはない。

 

セラフォルー「なっ······!?」

 

八幡「『エデンの園』、『知恵の実』、『地獄の(コキュ)()下層(トス)』。ここまで言えば、最初期に神に創られた天使であるアザゼルとガブリエルは分かる筈だ」

 

アザゼル「おいおい······冗談だろ······!!?」

 

ガブリエル「まさか······あれの封印が解かれたと言うのですか!?」

 

八幡「······まだ推測の域を出ないけどな。ただ、『禍の団(カオス・ブリゲード)』がハーデスと繋がっていると見て間違いない」

 

アザゼル「ありゃあただの『龍殺し』とはわけが違うんだぞ·······!? あの毒食らえば、ドラゴンや蛇以外だって簡単に命を失ってのによ」

 

龍喰者(ドラゴン・イーター)』、サマエル。現存する······いや、全ての『龍殺し』の中で、文字通り最強の『龍殺し』。未だに渦巻き続ける蛇とドラゴンに対する悪意は『ムゲン』ですら容易く喰らう。故に『龍喰者(ドラゴン・イーター)』。

 

セラフォルー「······ねぇ、そのサマエルっていうのは、そんなにドラゴン以外にも危険なの? 『ムゲン』に通用するほどなんだから、相当なものではあるんだろうけど」

 

アザゼル「ああ······『神の悪意』とまで言われた程の猛毒を宿している。本来、『聖』を司る神の悪意は有り得ない。それほどの猛毒だ······オーフィスやグレートレッドへの唯一無二の対抗手段と言ってもいいだろうな。『聖書の神』が幾重にも封印を施して『地獄の最下層』に封印した。存在を抹消して、だ」

 

今思い出しても鳥肌が立ちそうだ。おそらくは、俺が奪って体内に封印した二天龍共の力の影響もあるんだろうが。

 

ガブリエル「何故八幡はサマエルを知っているのですか? あれは『地獄の最下層』に封印された段階で存在を抹消された筈です。知っているのは熾天使(セラフ)、そして最古参の堕天使幹部くらいだった筈です」

 

八幡「昔『地獄の最下層』に行った時に偶々見つけて、ハーデスに聞いたらあっさり教えてくれた。今思えば、あの段階で俺を牽制と警告だったのかもな。俺が二天龍から力を奪ったことは全勢力に知れ渡ってるし」

 

考えてみればおかしな話だ。存在を抹消されるほどの危険性を宿すものが、異教のものとはいえ、部外者にそう易々と見せる筈がない。そんなことにも気付かなかったとは。

 

その時、通信用の魔法陣が開いた。

 

八幡「······桃花か。どうした?」

 

桃花『大変です。うちの領に、旧魔王派に触発された者達が襲撃して来ました』

 

八幡「何だと······?」

 

 


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