イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~ 作:シャルルヤ·ハプティズム
アザゼル「······実験?」
曹操率いる英雄派に遭遇した俺は、曹操の言っていたことをアザゼルと話し合っていた。セラフォルーとガブリエルもいる。
メリオダスには警戒を続けてもらい、クルルは一時的に冥界に戻っている。うちから非常要員として誰か連れてきてもらうのだ。多分
九重には紫陽花が付いており、現在は案内ではしゃいだからなのか、疲れて眠っている。
八幡「······ああ。二条城でやるらしい······巫山戯てんのかあいつらは」
何が実験だ。何が英雄だ。あいつらはただのテロリストでしかない。英雄は民衆が、英雄を求めて、英雄と祭り上げて初めて英雄になる。傍から見れば都合の良い偶像崇拝でしかないし、そも英雄なんて呼ばれる奴はえてして大量虐殺者だ。
······祖先がなりたくて英雄になったとでも思ってんのか?筋違いも甚だしい。
アザゼル「······実験の内容は何か分かってんのか?それなら対策のしようがあんだけどよ」
八幡「······ああ。英雄派は八坂を使って『
「「「なっ!!!!???」」」
アザゼル「おいおい、冗談じゃねぇよ」
セラフォルー「そ、そんなことしたら、八坂姫は無事では済まないんだよ!? 下手したら、命だって!!」
八幡「······ああ。そんなことになれば、下手しなくても八坂は死ぬ」
『龍門』でグレートレッドを呼び出したいなら、それこそ、六大龍王全員に、二天龍が両方揃ってやっと出来るかどうかだ。八坂1人で行おうとすれば、力に耐えられずに、八坂の体は四散するだろう。
ガブリエル「······しかし、仮にグレートレッドを呼び出すとして、何をするのですか? 呼び出せるとしても、『
ガブリエルの言う通りだろうな。だが、そこまでは分からなかった。おそらく、そこから何をするのかを知っているのは曹操とゲオルクのみだ。
八幡「さぁな······そこまでは分からなかったからな······」
それに、曹操の言っていたスポンサーというのが気に掛かる。というより、胸騒ぎがする。
誰だ······? いると仮定した場合、相当な力を持っている筈だ。やはり帝釈天か? あいつは戦争大好きな狂人だ。曹操も須弥山の出身である以上、繋がりはあるだろうから、バックについていると考えられる。だが、あいつが戦いたいのは『破壊神』であるシヴァだ。態々、こんな極東の島国で活動する人間にそこまで協力するのか?
······グレートレッドを倒したいなら、『
オーフィスの『蛇』くらいで何とかなるならばとっくにグレートレッドは討伐されているだろうからそれもない。
その時、俺の脳裏に一つの光景がフラッシュバックの如く通り過ぎた。
『オオオオォォォォォォォォ···········』
『······なぁ、この磔にされてるキモいのはなんだ? 凄い寒気がするんだが······』
『······ふん。此奴はサマエル。貴様の所の神から生み出された天使でありドラゴン。蛇とドラゴンを嫌った神の呪いが未だに渦巻いている。あまりの危険性故に、ここに封印されたわ。しかも、存在ごと抹消されてだ』
『こいつがね······曰く『神の毒』。曰く『神の悪意』、か』
八幡「······そういうことかよクソったれが······!!」
やってくれたなハーデスの骸骨が······!! しかもよりによってサマエルの封印まで解くなんてな······!!
狙いは何だ!? グレートレッドか!? オーフィスか!?
セラフォルー「ハチ君!?」
何故今まで忘れていた!? 封印されてるからって軽く考えてたのか!?·······俺に反感をもつ奴は数知れずだが、まさかテロリスト共に協力する奴がいるとは思わなかったがな。
俺は急いで冥府に対して通信用の魔法陣を開く。周りの3人が何か言ってきているが、気にしている事態ではない。
八幡「骸骨如きが······巫山戯やがって!!」
冥府からは一切の応答がない。それどころか、完全に拒絶された。あのクソジジイに先手を許してしまった。
今度は、うちの領にいる桃花に対して通信用の魔法陣を開く。
八幡「桃花、聞こえるか!?」
桃花『······八幡、突然どうしたんですか?随分焦ってるようですけど』
八幡「悪いが、説明している時間がない。冥府に連絡を取ってくれ。早く!!」
桃花『? 分かりました················? 駄目です。一切応答がありません···あ、先程クルルが来て束を連れて出ていきました』
八幡「そうか······悪い。事情は後で一から説明する。取り敢えず助かった」
桃花『······そうですか。では失礼します』
切羽詰っていると察したのか、桃花は聞いてこなかった。
·······チッ······完全に後手に回ってるな······今すぐ冥府に突撃してハーデスを締め上げたいところだが、今は八坂の救出が先か······本当にやってくれるな。
取り敢えずは八坂の保護と、曹操達英雄派を拘束する事だ。
アザゼル「おい八幡。お前、自分1人だけ何か納得したみたいだが、俺達にはさっぱり分からねぇ。説明してくれよ」
八幡「······ああ」
こいつらがいたこと忘れてたわ。
八幡「······アザゼル、グレートレッドを倒したい。でも、『
アザゼル「?······それの何処が問題なんだよ? 最強だからこその『ムゲン』だろ」
まぁ······
八幡「······ってのが常識だ。いや、そう思い込んでいた」
ガブリエル「······あると言うのですか? 『ムゲン』に通用するほどのものが」
八幡「通用するどころか、確実に滅ぼせる」
近付いただけの俺でも身の危険を感じるほどの寒気がしたほどだ。『ムゲン』だろうが、ドラゴンという種族である以上、必殺の猛毒であることに変わりはない。
セラフォルー「なっ······!?」
八幡「『エデンの園』、『知恵の実』、『
アザゼル「おいおい······冗談だろ······!!?」
ガブリエル「まさか······あれの封印が解かれたと言うのですか!?」
八幡「······まだ推測の域を出ないけどな。ただ、『
アザゼル「ありゃあただの『龍殺し』とはわけが違うんだぞ·······!? あの毒食らえば、ドラゴンや蛇以外だって簡単に命を失ってのによ」
『
セラフォルー「······ねぇ、そのサマエルっていうのは、そんなにドラゴン以外にも危険なの? 『ムゲン』に通用するほどなんだから、相当なものではあるんだろうけど」
アザゼル「ああ······『神の悪意』とまで言われた程の猛毒を宿している。本来、『聖』を司る神の悪意は有り得ない。それほどの猛毒だ······オーフィスやグレートレッドへの唯一無二の対抗手段と言ってもいいだろうな。『聖書の神』が幾重にも封印を施して『地獄の最下層』に封印した。存在を抹消して、だ」
今思い出しても鳥肌が立ちそうだ。おそらくは、俺が奪って体内に封印した二天龍共の力の影響もあるんだろうが。
ガブリエル「何故八幡はサマエルを知っているのですか? あれは『地獄の最下層』に封印された段階で存在を抹消された筈です。知っているのは
八幡「昔『地獄の最下層』に行った時に偶々見つけて、ハーデスに聞いたらあっさり教えてくれた。今思えば、あの段階で俺を牽制と警告だったのかもな。俺が二天龍から力を奪ったことは全勢力に知れ渡ってるし」
考えてみればおかしな話だ。存在を抹消されるほどの危険性を宿すものが、異教のものとはいえ、部外者にそう易々と見せる筈がない。そんなことにも気付かなかったとは。
その時、通信用の魔法陣が開いた。
八幡「······桃花か。どうした?」
桃花『大変です。うちの領に、旧魔王派に触発された者達が襲撃して来ました』
八幡「何だと······?」