イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~ 作:シャルルヤ·ハプティズム
料亭『大楽』に向かう途中、俺は
八幡「······悪いなメリオダス。突然呼び出して」
メリオダス「な~に、気にすんな。俺だって『
紫陽花「······あの、八幡様。この方は······?」
そういや説明してなかったな。
八幡「ん? ああ、うちの『
と言うよりは、呼べるのがメリオダスだけだったのだ。
クロウとミカは普段領の警備をしている。ティアは孤児院。百花と勝永は俺が人間界にいる間の事務仕事をしてもらっている。ディオドラは自身が『王』であるので、うちの領にいないことの方が多い。束は······うん。まぁ、あいつの技術力は凄いなんてレベルじゃないほど役立ってるのは確かだな。
メリオダスも普段は警備をしているが、こういう事態の際は真っ先に呼ぶ。クルルを除いた場合、俺の眷属内で一番の古株で、相当腕も立つからな。
余談だが、メリオダスの次に眷属入りしたのがティアで、その次がクロウだ。
メリオダス「八幡の『戦車』のメリオダスだ。よろしくな紫陽花」
八幡「ああ、お前のことは前もって知らせてもらったからな」
紫陽花「それは問題はありません······この度はよろしくお願い致します。メリオダス様」
メリオダス「う~ん。様付けはいらないんだけどな」
紫陽花「身分をはっきりするよう当主より仰せつかっておりますので」
日本神話と何かある時は、直接神の誰かと話し合って決めてるから、先日京都に来た時に八坂が代理で来たのは、急に決まったことだったからだし、比企谷家の現当主とはまだ会ったことないな······
メリオダス「そっか」
八幡「さて、顔合わせも済んだことだし、そろそろ行くぞ」
メリオダス「おう」
紫陽花「畏まりました」
俺はメリオダスと紫陽花と、料亭に向かった。
俺達が来たのは、古い赴きのある料亭。ここは異形に関わりのある者もよく利用するため、料亭には特殊な結界が張ってある。
この料亭の中からは、セラフォルー、アザゼル、昼間会ったオカ研の部員達。更には、
この感じは······ガブリエルか。まぁ、紫藤イリナ1人ってのは荷が重いか。魔王と堕天使総督がいるのに、天界が上級天使1人だけってのは体裁的に問題があるとミカエルが判断したのだろう。
「······比企谷 八幡様、お待ちしておりました。魔王様、堕天使総督様、熾天使様がお待ちしております。こちらへどうぞ」
俺達が裏口から入ると、頭から狐の耳が生えた女性が話し掛けてくる。この女性は八坂の従者の1人だ。
案内に従い廊下を歩く途中、不意に先を歩く女性に話し掛けられた。
「······八幡様、九重様は······」
八幡「九重なら、今、妻が側で面倒を見ている。下手に護衛を付けるよりよっぽど安全出来る。実力は折り紙つきだからな」
「······そうですか」
まぁ思う所はあるだろう。側近の紫陽花がここにいるしな。とは言っても、俺はクルルより強い奴を『ムゲン』を除いたら知らないから一番安全だとは思うが······クルルも懐かれてるし。
「······こちらでございます。皆様、こちらの方々が日本神話の代理としてお越しいただいた比企谷 八幡様でございます。では私はこれで」
襖を開けた案内の女性はそれだけ言うと一礼し、狐火を出現させて消えた。
俺達は開いている襖から部屋に入る。部屋は15畳ほどで、部屋の中心に大きめの木目のテーブルが置かれており、そこにセラフォルー、アザゼル、ガブリエルが座っており、それ以外の面子は後ろに立っていた。
······何故オーディンの側近である筈のロスヴァイセがいるのだろうか。
アザゼル「······八幡?」
セラフォルー「ハチ君!?」
八幡「······
簡単な自己紹介と、昼間九重がイッセー達を襲ったことを謝罪する。今は、天照からの要請で日本神話の代理として来ているからな。こういうことは形式上必要だろう。
俺達が来たことに、目を見張る者。怪訝な表情を浮かべる者。眉に皺を寄せる者。ここにいる奴ら全員の視線が俺達に向けられた。
そもそも、何故主神である天照から要請が来るかと言うと、各神話勢力と独自のパイプを持っている俺が、三竦みの被害(主に
因みに、悪魔が駒王町を
アザゼル「······おい八幡。お前が京都に来てるってことは聞いてたが、これはどういうことだ?何故イッセー達が襲われた?」
一番最初に冷静になったアザゼルが俺に聞いてくる。
八幡「今回は、天照からの要請で京都に来ている。それは順を追って話すから落ち着け」
そう言うと、アザゼルは更に怪訝な表情を浮かべる。
アザゼル「何故天照がお前に······?いや、そもそも、何故お前が呼ばれた······?」
八幡「話すから落ち着けよアザゼル。昨日のことだ······」
事の始まりは昨夜、京都からの一報だ。その一報は、八坂、九重の側近である紫陽花が報せたものだ。
その直後、天照から同様の報せと八坂捜索の要請を受けた俺はクルルと、早速京都に来た。
そこで、目からこれ以上ないほどの大粒の涙を零した九重と、苦虫を噛み潰したような表情の側近の紫陽花からより詳しい事情を聞いた。
話によると、八坂は数日前に帝釈天の使いと会談するため、裏京都にある屋敷を出発したらしい。だが、会場に着いた直後に、八坂は側にいたもう1人の側近の烏天狗と一緒に、忽然として姿を消したらしい。
紫陽花がその時にも着いて行っていたらしいが、一度だけ、八坂から離れるタイミングがあったという。帝釈天の使いと前もって会談の打ち合わせを軽くしに行った時だと。ほんの数分のことだったが、八坂ともう1人の側近の烏天狗は何処にも居なかった。
妖怪側で血眼になって探した所、行方知らずだった側近の烏天狗が発見された。重傷を負っていたらしい。その烏天狗の話によれば、自分達は突然黒い靄のようなものに包まれたかと思うと、気付いたら違う場所にいた、と。
そして、突然そこで襲撃され、強烈な攻撃を受けたかと思うと、また黒い靄に包まれて、そこで意識を失った。
その烏天狗は発見されてから一度だけ意識を取り戻したようだが、これを話すとすぐにまた意識を失ったらしい。
この話を聞いた俺とクルルは、早速八坂捜索に加わった。
尚、この時にメリオダスに来るよう頼んだが、流石にすぐには来れないので、今日になった。
その後、俺とクルルは単独で行動していたが、赤龍帝のオーラを感知した俺がそこに向かうと、既に九重がイッセー達に襲撃を仕掛けていた。恥ずかしながら、この時まで完全に駒王学園が修学旅行で京都に来ることを忘れていた。
八幡「······その後はアザゼル達の知っての通りだ」
ガブリエル「黒い靄······」
八幡「ああ。『
あれを除いて任意の者を簡単に転移させる神器なんてない。俺の『
アザゼル「······お前から話は聞いちゃいたが······『
イッセー「あの先生、その『絶霧』っていうのはそんなにやばいもんなんですか?」
アザゼル「ああ······あれは直接的な攻撃力は無いに等しいが、国1つを丸ごと次元の狭間に転移させることが出来るほどだ。神器システムが引き起こしたバグだなんて言う意見もある」
イッセー「そ、そんなにですか······」
アザゼル「······で、八幡。その八坂姫はまだ京都にいるんだろ?」
八幡「ああ。やっぱ分かってたか」
流石に気付くか。隣りに座っているガブリエルも気付いてるだろうな。
アザゼル「京都の気が乱れてないからな。京都ってのは存在自体が大規模な力場だからな。総括の九尾に何かあれば、何かしら異変が起こる」
アザゼルの言う通り、京都の気の気脈だののバランスを保ってるのは八坂だからな。今のところ異変の予兆も起こっていない。『
ガブリエル「······八幡は八坂姫の足取りを掴んでいるのですか?」
八幡「少しはな······つっても、今何処にいるかはな······」
セラフォルー「今、京都に詳しい悪魔側のスタッフにも動いてもらってるよ」
アザゼル「······なるほどな。最悪の場合、お前達にも動いてもらうかもしれん。何分人手が足りなくてな。最悪の事態の想定もしといてくれ。心苦しいが、いざという時には頼む」
アザゼルが後ろにいたイッセー達に言い、イッセー達はそれに「はい」と応じた。
ここで俺は1つアザゼル達に嘘をついた。それは、先程八坂は今も行方が分からないと言ったが、俺は、
英雄派には俺が潜り込ませた
無論、すぐに動くつもりだ。英雄派がやろうとしていることは、下手したら八坂の命に危険が及ぶからな。
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昨夜、深夜。
八幡「······なるほどな。にしても、英雄派はほんと何考えてんだ?」
『······僕の思考が及ばない所にあるのは確かだね。────に何か伝えることはあるかい?言っとくよ』
八幡「ま、危険になったら逃げてくれればそれでいい。────にも伝えといてくれ」
『────がそんなことになるとは思えないんだけど······まあ伝えておくよ』
八幡「ああ······気を付けろよ」
『······了解』
京都の時ずっと不思議だったんです。
悪魔側からはセラフォルー、堕天使側からはアザゼルが出てるのに、天使側から出てるのがイリナしかいないこと。
アザゼルがミカエルに報せてないとも思えないし······
という過程からガブリエルを追加したものの、23巻だけだと全然口調が分からない······