イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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更新が遅くてすいません。今回の話から、9巻です。短編の話は、ネタが思い付いたらねじ込みます。因みに、使い魔の話を普通の話として入れたのはアニメで使われてたからです。




第45話 笑顔を守る

京都から八坂の行方不明の旨を伝える連絡があった翌日。

 

俺とクルルは早速京都まで来ていた。ヴァーリがここにいるのは拙いし、ギャスパーは学校があるので駒王町にいる。

 

クルル「·······『八坂が行方不明になった』。京都の長である彼女が自ら行方を晦ますとは考えられないわ」

 

八幡「だが、簡単にも捕まるとは思えないな·······」

 

八坂とは、オーディンと一緒に和平を結んだ時以外にも何度も会っているが、そう易々と捕まるとは思えない。おそらく、龍王クラスの実力者だ(流石に、ティアにはわずかにだが劣るだろうが)。

 

となると、やはり、『禍の団(カオス・ブリゲード)』と考えるのが自然だろうか。上位神滅具(ロンギヌス)なら十分可能だろう。

 

因みに、俺は日本神話とは独自のパイプを持っているから、八坂とは、八坂が子供の頃からの付き合いである。

 

それのお陰で、悪魔が日本神話から駒王町周辺の地域を譲り受けた(ぶんどった)時は何とか取り持ったのだが······あの時はホント危なかった。『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』のことも含めて、日本神話は悪魔を滅ぼそうとすら考えてたからな······

 

今回の連絡も、本来なら聖書勢力の者には来ないであろうものだが、そこも、パイプゆえだろう。

 

「比企谷 八幡様。クルル・ツェペシ様。大変お待たせ致しました。九重(くのう)様がお待ちにあられます。こちらへ」

 

思案している俺とクルルの所に八坂の娘、九重の側近の1人が来る。八坂がつけた従者の1人だろう。天狗だと思われる。

 

八幡「······分かった」

 

クルル「······案内をお願いするわ」

 

「畏まりました。こちらへどうぞ」

 

俺とクルルは案内に従い九重の所に向かった。

 

 

 

だが、この時俺達は完全に失念していた。駒王学園の生徒が修学旅行で訪れるのが京都であることを。

 

 

八幡sideout

 

 

 

 

イッセーside

 

 

今日から駒王学園の2年生は修学旅行だ!!

 

そして、今の俺達は京都駅から一駅で行ける「稲荷駅」で下車し、伏見稲荷大社の千本鳥居をくぐりながら山登りをしていた。

 

歩き始めて既に20分ちょっとかな?

 

元浜「······はぁ·······はぁ·······待って、くれ·······何故そんなにすいすい登って行けるんだ·······」

 

尚、元浜が既にこの状態である。体力ないな。悪魔である俺達は兎も角、人間である松田は全然余裕なのに。

 

松田「情けないぞ元浜。アーシアちゃんだってまだまだ元気なのに。お前は女の子にまで負けるのか?」

 

元浜「クッ······!!あ、でも美少女に運動不足を攻められて、一緒に運動してそして体育倉庫で·······なんてのも······グフフフフフ」

 

体育倉庫には共感しつつも、流石に少し呆れたのだった。

 

 

 

イッセー「悪ぃ、俺頂上の景色先に拝んでくるよ」

 

タンニーンのおっさんに山で修行をつけられた影響かどうしても頂上を見に行きたくなった俺は、皆に断りを入れてから先に頂上に向かって階段を駆け上がり始めた。

他の観光客に邪魔にならないように階段を登る。

 

頂上と思しき所に出ると、そこにあったのは古ぼけたお社だ。適当に走ってきたから、道間違えたのかな?

 

辺りは木々が生い茂っており、まだ昼の2時だというのに薄暗い。

 

取り敢えず、お社に手を合わせて下山することにした。

 

イッセー「おっぱいを触って揉んで啄けますように! 彼女できますように! 皆とエッチできますように!」

 

と、我ながらこんな所にお願いするようなことでもないような、卑猥で正直な願いを念じて、その場を後にしようとした時だった。

 

「······お主、京の者ではないな?」

 

イッセー「······!? 誰だ!?」

 

周囲に気を配ってみると、俺は囲まれていた。強大ってほどでもないが、結構な数だ。

 

俺達の監視?

 

いや、確かに囲まれて周囲に気を配って初めて気付いたけど、監視にこんなに人数が必要か?数十人はいる。

 

すると、俺の前に巫女装束を纏った金髪の小さな女の子(可愛い)が現れた。

 

·······ただし、その子に小猫ちゃんみたいに頭から獣の耳が生えていることから明らかに普通の人間ではないことが分かった。あの感じ狐か?

 

イッセー「えっと·······」

 

囲まれている現状が理解出来ずにいた俺を見た女の子が俺を激しく睨み、吐き捨てるように叫んだ。

 

「余所者がのこのことッ·······!!かかれ!!」

 

女の子の声と共に、俺を山伏みたいな格好して、黒い翼を生やした頭部が烏みたいな連中と、神主の格好して狐の格好した狐のお面被った連中が俺を囲んだ。

 

「母上を返せ!!」

 

女の子が俺に指を向けると同時に俺を囲んだ奴らが一斉に襲い掛かってくる。このぐらいならぎりぎりなんとかなるか·······!

 

イッセー「俺はお前の母ちゃんなんて知らねぇッ!!」

 

「嘘をつくな!!誤魔化そうとしても無駄じゃ!!」

 

何で修学旅行に来てまで襲われなきゃいけない!? それに誤魔化そうとなんてしてない!! 京都に来たばっかだぞ!?

 

ゼノヴィア「·······イッセー!!」

 

イリナ「イッセー君!!」

 

そこで、ゼノヴィアとイリナが加勢に来た!! 2人は買った木刀を持っていた。少し遅れてアーシアも駆け付ける。

 

「お前達·······神聖な場所を穢し、母上までッ······!! 絶対に許さん!!」

 

3人が駆け付けたのを見て、更に憤慨した女の子。俺達を囲んでいた奴らも俺達に向けていた敵意や殺意を更に強めていた。

 

どうする······? 4人でやればなんとかこの場は凌げそうだけど、ここで凌ぎきってもまた襲ってくる可能性がある。俺達は兎も角、一般人の松田、元浜、桐生を巻き込むわけにはいかない。

 

ここで『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』をフルに使えば簡単だけど、それだとこの辺り一帯を破壊してしまうし、何より、部長が大好きな京都をあまり傷付けたくない。

 

俺がどうするか考えている時だった。

 

「両者そこまでだ」

 

林の中から1人の男が出て来る。そいつは俺達のよく知る······

 

イッセー「八幡!?」

 

アーシア「八幡さん!?」

 

ゼノヴィア「何っ!?」

 

八幡だった。八幡は駒王学園の制服ではなく、私服と思われるラフな服装だった。

 

そう言えば、木場から聞いてたが、八幡は修学旅行に参加してない筈だ。何故ここに?

 

八幡「······こいつらが八坂を攫った犯人じゃないさ。それは保証しよう。それに、こいつらが束になって掛かるくらいで捕まるほど、八坂は弱くない」

 

八坂······?攫った······? 八幡は何の話をしてんだ·······?

 

「······お主がそう言うなら信じよう」

 

八幡「助かる。それよりも、引き上げるぞ。お前らもだ」

 

八幡がそう言うと、俺達を囲っていた奴らが一斉に攻撃の手を収めた。何なんだ······?

 

八幡「感謝する。行くぞ」

 

八幡が転移用と思われる魔法陣を展開した。

 

イッセー「ちょっ、待てよ八幡!!」

 

何やら知っているらしい八幡に事情やら修学旅行に参加してないのにどうしてここにいるかなどを聞こうとして呼び止めようとしたのだが······

 

「······お主の知り合いか?」

 

八幡「まぁな······」

 

八幡は一瞬だけこちらを見た後、金髪の女の子や、俺達に攻撃した奴らと共に転移してしまった。

 

 

その場には、俺達4人だけが残った··········

 

 

イッセーsideout

 

 

 

 

八幡side

 

 

八幡「·······それで、どうしてあいつらを攻撃したんだ?」

 

俺はイッセー達を襲撃していた九重を始めとする奴らを収めてから、俺達のために日本神話から与えられた旅館の1室に八坂の一人娘、九重を連れてきてからそう尋ねた。

 

ここに、別で行動していたクルルも戻って来ている。

 

九重に付き従っていた者達は俺が一通り事情を説明した後、各々八坂の搜索に戻ってもらった。ここは、イッセー達と知り合いの俺達が話を聞こうと思ったからだ。

 

九重「······お主と共に、母上を搜索している途中、お主らではない魔の者の気配を感じ取って······そやつらが母上を奪った犯人じゃと思うて、いても立ってもいられなくなって······お主らの知り合いだとは思わなかったのじゃ。すまない······」

 

まぁ気持ちは痛いほどよく分かる。俺が九重の立場なら、間違いなく京都に無断で侵入した悪魔だとふんで、殺しに掛かるだろう。

 

俺もクルルも(・・・・)家族を一気に亡くしたクチだからな。九重はもし八坂を亡くしたとなれば、自分のせいだ、と一生自分を責めるだろう。なんなら、自殺してもおかしくない。9歳の女の子である八坂にとって一番大事な人は間違いなく母親の八坂だろう。

 

俺は、無力な自分を限界まで責めていた時を思い出した。こいつにそんな思いはさせたくない。家族からの愛は何物にも変えることは出来ないから。

 

八幡「······そんなに自分を責めるなよ九重。お前が正しいとは言わないが、それは母を助けるための行動だ。だから、今は八坂を助けることを考える。それだけでいいんだよ。俺達はいくらでも力を貸してやるから」

 

九重「っあ······」

 

出来るだけ優しい口調でそう言って、九重の頭を撫でる。まぁ、子供の扱いなら、ヴァーリやギャスパーでそれなりに慣れている。2人とも聡い子だから、手が掛からなかったが、頭を撫でてやると決まって目を細める。曰く、気持ちいいらしい。

 

九重がほんの少しでも気持ちが落ち着くなら、いくらでもやってやろう。

 

子供に似合うのは笑顔だ。それ以外には考えられない。子供が笑顔でいられるなら、及ばずながら、いくらでも力になる。

 

九重「ありがとう······ありがとう······」

 

九重は涙をポロポロ零しながら、そう口にする。

 

八幡「ま、今はしっかり休んで明日に備えな」

 

九重の体内の気を操作する。

 

九重「ん······母上······」

 

崩れ落ちる九重の体を抱き寄せて支える。今やったのは仙術を用いたもので、対象の精神を安定したものにしつつ、対象を眠らせるものだ。

 

以前は、オーフェリアやヴァーリ、ギャスパーが不安定になった時によく使っていた。

 

八幡「クルル、任せていいか?」

 

クルル「もちろん。九重は私が見てるわ」

 

八幡「そうか······で、あんたはどうする?比企谷(・・・)紫陽花(・・・)

 

俺は九重が座っていた椅子の後ろに佇んでいた、妹の面影を見せてくる女性に話し掛ける。

 

紫陽花「······側近である私目から見ても、九重様は御二方にたいそう懐いておられます。申し訳ありませんが、ここはクルル様にお任せしてもよろしいでしょうか?」

 

比企谷紫陽花(ひきがやあじさい)。日本神話に仕える一族、比企谷家の才女で、八坂、九重の側近の1人だ(側近は他にもいるが、今は出払っている)。何の偶然か、小町にそっくりである。まあそっくりであるというだけで、性格は似ても似つかないのだが。

 

 

割と最近知ったのだが、比企谷家は1000年以上前からある名家らしい。

 

尚、父方の祖父は大昔この家を飛び出したらしく、放浪生活の中で、悪魔である祖母と出会ったらしい。話によれば、祖父が家を出た理由は当主になれなかったところだとか。

 

俺が日本神話とパイプを持てた理由はこの辺にもあったりする。まあこれ以外にもあるんだが。

 

クルル「······全然構わないわ。子供は嫌いじゃないもの」

 

紫陽花「······誠にありがとうございます」

 

八幡「さて時間だ。紫陽花、そろそろ行くぞ。もう出ないと待たせることになるからな」

 

紫陽花「料亭『大楽(だいらく)』でよろしかったでしょうか」

 

八幡「ああ······そこに天使と堕天使と悪魔が待ってるんでな」

 

紫陽花「畏まりました」

 

 




唐突に出たオリキャラの説明します。


比企谷紫陽花(ひきがやあじさい)

太古より日本神話につかえる比企谷家の次期当主。才女と呼ばれるほど才に恵まれており、現在は八坂と九重の側近を務める(修行も兼ねて)。又、偶然か必然か、八幡の亡き妹、小町とそっくりである。

神器『鎌鼬(スラッシュ・シェイル)』を宿しており、神器、体術、陰陽術を用いた戦闘を行う。



神器:『鎌鼬(スラッシュ・シェイル)

風を操る神器。発動すると、右手に鉤爪が付いた篭手が現れる。この神器は、風を用いて遠隔的に斬撃を発動させる他、篭手による直接の攻撃や防御、更には自身を浮かせたり、相手の攻撃を反らす、など応用が効きやすい神器。


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