イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~ 作:シャルルヤ·ハプティズム
今回。突然ですが八幡の母、ルシフェルの話となります。どれくらいいるか分かりませんが、本編楽しみにされている方、申し訳ございません。本編はもう暫しお待ち下さいませ。
話は突然始まります。ご注意下さい。
これは、今よりも遥か昔。
時は14世紀。イングランドとフランスが大戦争を始めた直後の話。
ルシフェルside
ルシフェル「······天使長を降りるわ」
私──ルシフェル──は、
ミカエル「なっ······!!? ルシフェル!?」
弟のような存在であるミカエルと、我が創造主たるヤハウェを前にして、私は自身を奮い立たせる。ヤハウェはともかく、ミカエルへは心が痛む。が、私はやらねばならない。
ヤハウェ「······ルシフェル。どういうつもりですか?」
ルシフェル「あなたに愛想が尽きただけのこと、ヤハウェ。人々の信仰と宣って、侵略を繰り返す貴方に愛想が尽きた。他にも理由が必要?」
ヤハウェ、あなたには心底愛想が尽きた。人々の信仰を受けても、救いを与えないあなたに。
全ては────嘘だった。もう、私がここにいることは······
ヤハウェ「要するに······貴女は私達に反旗を翻すと。そういうことですね?」
巣立つ時が────
ルシフェル「その通りよ」
その言葉とともに、広げた、私の3対6枚の純白の羽は漆黒に染まる。
ミカエル「───ルシフェル!!!?」
ルシフェル「······只今を以て、私は堕天使を司る者ルシフェルとして、
ヤハウェ「ルシフェル······!!」
私は両手に光の剣を作り出す。それに対してヤハウェは手に光球を出現させる。ミカエルも手に光の槍を作り出した。
相手は
それだけを考えて、ヤハウェに突っ込む。小手先は通用しない。
······出来るだけの準備は既に済ませてある。私が堕天したと分かれば、アザゼルが着いてくる筈だ。アイツも、天界の現状に不満を抱いていた。というか、そもそも最初から周りと反りがあっていなかったが。
ヤハウェ「ミカエル」
ミカエル「······はっ······!!」
ヤハウェの声に応じて、ミカエルが私とヤハウェの間に割り込んできた。
ミカエル「何故ですルシフェル!!」
ルシフェル「言った筈よ······もうここにいるつもりはないと!!」
ミカエルの横に高速で移動し、ミカエルを全力で蹴り飛ばす。私相手に迷いを見せるようでは。
ミカエル「カハッ·······!?」
ルシフェル「次は貴方よ。他所の神様みたいに、今際を呪え!!」
右手に持つ光の剣をヤハウェに投げる。が、ヤハウェの両目が光ったかと思うと、空間を貫くようなスピードで投げた剣は最初から何もなかったかのように消えていた。
ルシフェル「······」
予想はしていた。堕天使というものが存在する以上、強制的に制御する術くらいはあるのではないか、と。
ヤハウェ「私は貴方達の創造主です。まだやりますか?」
次の瞬間、私の体から一気に力が抜け、膝を付く。体内の光力を無効化されたようだ。
ルシフェル「···まだだ!!」
左手に魔法陣を展開し、限界まで圧縮した魔力弾をヤハウェに放つ。
ヤハウェ「グッ·····!?」
魔力を使えると思っていなかったのか、ヤハウェは一瞬怯み、魔力弾の直撃を食らった。それを好機と見なし、私は魔力で身体能力を強化して、ヤハウェの懐に潜り込んで魔力を纏わせた渾身の蹴りを叩き込んだ。
本来、天使は魔力を使えないが、私は堕天したことと悪魔である時宗と結ばれたことによって魔力を使うことが可能になった。とは言っても、天使だったためか、魔力は下位の下級悪魔と比べても見劣りするくらい少ないのだが、それでも、使いようによって如何様にも出来る。
ヤハウェ「何故、魔力を·······」
ルシフェル「さあ·····ね?」
今ので光力の無効化が解除されたらしい。
ルシフェル「食らえ!!!」
おそらく、ミカエルでも作れないようなサイズの光の矢を作り出し、ヤハウェに投擲する。まあ、また無効化されるだろうがそれでいい。一瞬隙を作れればいい。
案の定また消失させられたが、一瞬視界を奪った隙にさっきよりも更に圧縮かつ濃縮した魔力弾を放つ。視界を奪われたヤハウェは魔力弾を諸に食らい吹っ飛んだ。
更に追撃として、魔力で形成した剣を体勢を立て直した瞬間のヤハウェの胸の真ん中に突き刺した。
殺した······私が、この手で!!
ルシフェル「さようなら、
そう言い残し、私は魔法陣で転移した。
────世界は荒れる。それでも、人間は自分達だけで進める筈だ。バケモノ達が我が物顔で人間界を闊歩する時代も、もうすぐ終わる。
最後の最後で詰めが甘かったことに、私は終ぞ気付けなかった。
ルシフェルsideout
ミカエルside
ミカエル「······主よ·······ご無事ですか?」
先程、ルシフェルに吹き飛ばされた主の下に駆け寄る。
ヤハウェ「大丈夫ですよ······安心なさい、ミカエル」
そうは仰られたものの、主の顔は暗かった。ルシフェルが反旗を翻したことに意気消沈なされているのだろうと推測する。
ミカエル「しかし、何故·······」
4ヶ月ぶりに現れたルシフェルの言葉の意味は、終ぞ分からなかった。
ミカエルsideout
ルシフェルside
私は、天界から20を超える中継点を経由した後、我が家に転移した。転移魔法陣には魔力のみを使ったうえ、追跡阻害を五重に掛けておいたので、ヤハウェでもまず追って来られないだろう。
この家は私の愛しい夫、時宗が様々な伝手を辿って手に入れた、冥界のグレモリー領にある。色々なことを工面してくれたグレモリー卿には、あの時ばかりは流石に頭の下がる思いだった。
ルシフェル「ただいま」
時宗「······リーラ。大丈夫か? 怪我してないか!?」
帰宅して真っ先に、時宗は鬼気迫る勢いで私に聞いてきた。
リーラ······私を
リーラ「時宗······大丈夫よ。例え神だろうとやられるつもりはないわ」
時宗「そうか、よかった······」
リーラ「貴方、心配し過ぎよ」
時宗「そうか? それならいいんだが」
私は天使長ルシフェルではなく、1人の女、リーラとして彼に見てもらえる。それが、これ以上ないほど嬉しかった。
リーラ「八幡は?」
時宗「寝てるよ」
私の子───八幡は穏やかな微笑みを浮かべて、寝息を立てていた。
リーラ「八幡······愛しい私の子······」
八幡の寝顔を堪能しつつ、そっと八幡の頬を撫でる。
リーラ「ごめんなさい八幡······あなたはいつか平和を手放さなくてはならなくなる」
時宗「リーラ、お前······」
八幡が、私のせいで平和の中にいられなくなることを───
その時、私は側にいないことを悔やみながら。
比企谷.L.リーラ(リーラ・ルシフェル)の容姿はモンストのルシファーにアホ毛が生えたのを創造してね。服装はお任せします。せめてD×D原作でガブリエルの全身イラストがあれば······もしあったら教えて下さい。
時宗、ヤハウェの容姿については、完全に読者の皆様方のご想像にお任せします。俺ガイルのキャラの誰かでも、全く違うパロキャラでもご自由にどうぞ。