イレギュラーは家族と共に 〜ハイスクールD×D'sバタフライエフェクト~   作:シャルルヤ·ハプティズム

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第43話 与える

 

 

 

アザゼルside

 

 

リゼヴィム、だと······!? こいつ、本気で······!?

 

 

 

······リゼヴィム・リヴァン・ルシファー。ヴァーリの祖父であり、前ルシファーとリリスの間に生まれた男だ。今は姿を晦ましてるが列記とした「超越者」の一角だ。聖書には「リリン」という名で記載されている。

 

しかし『クリフォト』ね······リリンだのと散々持て囃されたあの男がその名でテロリストか······引っ掛かるな。

 

 

アザゼル「おい八幡。『クリフォト』の狙い、拠点、その他戦力についての情報は?」

 

八幡「······残念ながらほぼない」

 

アザゼル「はぁ!?」

 

よくそんなんで狙おうなんてしてるな······らしくない、こいつにしては早計すぎる。

 

八幡「そもそも、『クリフォト』自体、他の派閥と関係が薄くてな。俺達が知り得たのだって、偶々ディオドラが耳にしたからで、ヴァーリチームには存在すら知らされていなかったからな」

 

アザゼル「······そんなんで大丈夫かよ」

 

奴は何考えてるかさっぱり分からねえからな······

 

それはともかく、『禍の団』は派閥ごとに別々の理念で動いていると見てもいいな。少なくとも、クリフォトは旧魔王派とは表立った協力はしていないと見ていい。決め付けすぎんのもよくないが、これぐらいははっきりしたと見て問題ないだろう。

 

八幡「まあこれに限って言えば()()だと思ってくれても構わねえよ、アザゼル。目的は、俺達が動くことで向こうを刺激することだからな」

 

 

確かにあいつの性格なら、従兄弟(勝手にやられた)の八幡と、孫のヴァーリがいるなら何かしら行動を起こす可能性もある。それが分かってるから、ヴァーリ達まで連れてきたのだろう。

 

私怨、か······まあ隠居しようとして早々、ルシフェルはいつの間にかルシファー家の者という扱いでやりたい放題やられたし、ヴァーリも孫ってだけあって、かなりあったろうからな······あいつは怒りに震えているが、両手を強く握りすぎて指が掌に食い込んでるほどだ。

 

言ってる八幡も何食わぬ顔をしてるが、殺気を隠しきれていない。相当だな······こりゃ。そこに北欧のジジイが口を開いた。

 

 

オーディン「······ルシフェルの息子よ。今その話はしても意味無いと思うがのぉ。今は、英雄派が先決じゃろうが」

 

八幡「······それも、そうだな」

 

「「「「「「「!!!!!?」」」」」」」

 

なっ······!? このジジイどうしてそれを!? それはトップシークレットの筈だぞ!? 天界ではミカエルしか知らないし、『神を見張る者(グリゴリ)』でも知ってんのは俺だけだぞ!!?

 

八幡「······いや、そりゃまあ向こうが行動起こさないと、情報が入ってこないのは確かだが、表立って活動する以上、好評しないと拙いだろ。色々と」

 

何で、八幡達は平然としていられる······!?

 

オーディン「それもそうじゃの。お主の言うことも一理あるのぉ」

 

アザゼル「おいジジイ!! 何で八幡がルシフェルの子どもだって知ってんだよ!?」

 

オーディン「騒ぐでないクソガキ。昔、ルシフェルが赤ん坊の此奴と共にわしの下を訪れてのぉ······その時、『ミーミルの泉』の水を飲ませろと言ってきての。気配は覚えておったんでのぉ」

 

その言葉に俺達全員が絶句した。と言うか、八幡もクルルも驚いていた。え、お前らも知らなかったの!?

 

八幡「それは俺初耳なんだけど······クルルは知ってたか?」

 

クルル「私も知らなかったわ······」

 

オーディン「そりゃそうじゃろう。彼奴は自身の光力と引き換えに泉の水を手に入れよったからのぉ」

 

光力と引き換えに、だと!? それは二度と戦えなくなるのに等しいことだぞ······!?

 

ルシフェル、血迷ったのか······? それとも······

 

八幡「お袋は知識だけ得て何しようとしてたんだ·······?」

 

オーディン「泉の水を飲んだのはお主じゃがの」

 

八幡「······俺に飲ませてなんの意味がある」

 

オーディン「お主は今まで何らかの術で気付かなかったようじゃがのぉ。その様子だと、今もまだ得た知識は駆使出来んのじゃろう。何が目的であのようなことをしたのか······はてさて、儂にも分からんよ」

 

そうかあいつ······いや、結婚すらしてない俺の推測なんて無粋もいいところか。

 

リアス「ちょっと待ってちょうだい!! ルシフェル!? ミーミル!? どういうことなのかしら!?」

 

見ると、リアスの眷属一同(ギャスパー除く)とシトリー眷属一同は皆それに頷いていた。

 

まあ······ルシフェルの存在を利用してルシファー家が好き放題やったが、『神を見張る者(グリゴリ)』結成した直後に行方を晦ましてからは人々の記憶から薄れつつあったからな。

 

俺達も驚いているが、顔に出していないだけだし······

 

サーゼクス「落ち着きなさいリアス。『ミーミルの泉』の件に関しては、私も驚いたけどね」

 

リアス「ですが、お兄様、突然言われても何がなんだか······」

 

その時、サーゼクスが横目で八幡を見、八幡はそれに頷いた。八幡は自分の身分を正式に明かすらしい。冥界の上層部は八幡が睨めばどうにでもなると思うが、大きな騒ぎになることは間違いないだろう。それも踏まえて、リゼヴィムを刺激するのかもしれん。

 

サーゼクス「比企谷八幡は────亡き堕天使ルシフェル様の実の息子だよ」

 

その言葉に知らなかった者は仰天していた。

 

ヴァーリ「言っておくが、悪魔のルシファーとは別物だからな」

 

と、ヴァーリがリアス達に向いて言う。

 

······ヴァーリが言うとは思わなかったよ。ルシファーの血より、血が繋がってなくともルシフェルの家族()であることを求めたか。

 

 

 

リアス「ギャスパー······あなた知っていたの?」

 

ギャスパー「はい。お父様には絶対に言うなと」

 

リアス「そ、そう······」

 

 

まあギャスパーの言うことは尤もだしな······こんなこと、絶対に三竦み内で混乱を招く。過激(タカ)派の活動への理由付けにもなりかねん。八幡め······分からんわけでもないだろうに、何故このタイミングで······?

 

 

 

アザゼルsideout

 

 

 

 

 

 

八幡side

 

 

 

まさかお袋が『ミーミルの泉』の水を求めて、北欧まで行っていたとは。しかも光力を代償にしてまで手に入れた水を、何故俺なぞに飲ませたのか。

 

 

あの後、会議は若干混沌(カオス)になりながらも、チーム『D×D』の活動に対して理解を得ることは出来た。又、ヴァーリチームの認識と、黒歌のような例のはぐれ悪魔云々の認識も改めさせられた。

 

黒歌と白音については当人達に任せることにした。黒歌がそうしたいと言ったからだ。

 

 

 

更にその3日後。オーディンを連れて、京都にて日本神話から使いとして派遣された九尾の八坂と対談。

北欧神話は日本神話と協定を結べたし、『D×D』も活動にある程度の協力をしてもらえることになった。まあ······ある程度が何処までなのかは俺達が考えるしかない。日本人ってのは、こういう時面倒だな。

 

 

 

そしてもう一つ言えば、会議では、オーフィスのことについては完全に伏せた。会議の翌日、アザゼルだけを呼び出して、オーフィスに会わせた。アザゼルの驚き様は半端じゃなかったが、こちらの協力もしてくれるらしい。というか、せざるを得なくさせたわけだが。

オーディンにも聞いてみた結果、最低でも『禍の団(カオス・ブリゲード)』がなくなるまではオーフィスのことを秘密にすることになった。

 

まあ向こうはオーフィスが居なくなったとバラせるわけがないので、すぐにバレる可能性はそこまで高くはないだろう。

 

オーフィス自身についても、ヴァーリにくっ付いているが雰囲気からある程度察せるようなので、そこまで問題ではない。こっちの言い分にも耳を傾けてくれるし。

 

 

 

 

そうして、『D×D』(ウチ)が表舞台に立った僅か一週間後。俺達は早速一つの大問題を抱えることになった。

 

 

冥府のハーデスと完全に連絡を取れなくなったのだ。

 

 


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